The West Wing:とりびあ〜んコーナー
1-05:The Crackpots and These Women(変わり者と女たち)

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★My Impression(管理人VicePresidentの感想)
    
★A Little Learning Is a Dangerous Thing(生兵法は怪我の元)
    生産者物価指数の上昇がインフレの懸念に繋がる。バートレットは、失業者数の低下から、経済が強くなっていると信じている。「または鼻持ちならない経済学者みたいにその質問には答えない姿勢を貫くのもいいかもしれませんよ」と伺うマンディー。不幸にも、大統領は「私はその”鼻持ちならない経済学者”だよ」と言う。
    この部屋で経済学者でないのは私だけだが年会予算が赤字か黒字かトントンかのどれかだって事は分かりますよ、とレオ。 「それ以外の状態があるだなんて事は8年生を卒業した人はもちろん議会だって到底納得しないでしょう」

★American History X(アメリカン・ヒストリーX)
    第7代大統領アンドリュー・ジャクソン(1767-1845)はホワイトハウスの玄関前に大きなチーズを置いていた(※)。ジャクソン大統領はホワイトハウスを国民のものとしたかった。そして次から次へと、願いを聞き入れてほしいと思っている国民のためにドアを開放し見学希望者を受け入れたのだ。
    ハリー・S・トルーマン大統領を「病的な性格をした暗殺者」と評していたジョセフ・マッカーシー上院議員(1909-57)は50年代の間、調査小委員会の議長を務めていた。誰もマッカーシーに似ていませんよ、とトビーは大統領に言う。それで当選できたのだ。

(※)大きなチーズ・・・このチーズは元々オレゴン州オスウィーゴ郡の農場主から贈られた物だ。ジャクソン大統領は、チーズの味覚を保持し一般人を受け入れる、と1837年に発表した。町の警察署長とその副官たちは彼らの出入りを防ごうとしたが、同じ時代を過ごした人たちが言うにはいわゆる”町の浮浪者”たちがこのチーズに群がる人間の中に紛れ込んでいたそうだ。そのチーズは2時間で平らげられ、ホワイトハウスは何ヶ月か後までチェダー=チーズ(Cheddar Cheese=もと英国Cheddar原産の最も有名なチーズの一種)の臭いがしたそうだ。

★Behind the Camera(カメラの後ろで)
    この回を監督したアンソニー・ドラゾンはImaginary Crimes('94)、Hurlyburly('98)などの監督もしている。前者の映画にはTWWで大統領の娘ゾーイを演じてるエリザベス・モスが出演しており、後者の映画は彼が製作・脚本も兼任している。

★Cheat!(ズル)
    バートレットはそんなにズルをしない、トビーは言う、だって本人は恥ずかしげもなくするんですから。大統領がどんな事をしたのか尋ねるとトビーはハッキリ返す「私がCJとダブルスを組んでテニスをした時の事ですよ。あなたは自分のパートナーをウィーンのアメリカ領事館の職員だと言ってたでしょう!」。バートレットは本当だと主張するがトビーは「嘘ばっかり!」、と言い、半ば叫ぶ「ステフィ・グラフがサーブを打ってきたんですよ!?あなたは私がそれで気づかないとでも思ったんですか?」。 バートレットはそれから大統領健康維持委員会の会長のロドニー・グラントをバスケのゲームに引き入れる。余談だが実際には、ロドニーはデューク大学でプレイしていた。

★Cigarettes and Alcohol(煙草とお酒)
    バートレットはゾーイの到着を祝うためにビールとチリのパーティーをスタッフとセッティングする。

★Critique(論評)
    「彼らは、細部に神を宿している、と言う」とNewsweekは書き留める。(ワーナーブラザーズスタジオの重役会議では、この回を監督したトニー(アンソニー)・ドラザンとディ・ディ・マイヤーズが協議している。「ルーズベルトルームでは、朝の会議ということになると、ドーナツやべーグル、コーヒーなどが欲しい」と監督に言うと「そんな事は有り得ないだろう」と監督は驚く「食べ物を持ち込んだりするかな?」。すると、サムはけちな中年なんだよ、とマイヤーズは 説明する「エアフォースワンでは、君は自分のランチを金で払うんだろうな」。

★Cruelty to Animals(動物虐待)
    CJは科学者が言っていた、バンフ国立公園、アルバータを旅しロッキーを上り下りするのに4年もかけている、狼のプルーイーの話をする。そこで彼らは4万平方マイルもあるカナダとワイオミングの間を3度往復する。野生動物保護団体はイエローストーンからユーコン領域までの1800マイルにも及ぶ狼専用道路を提案する。彼らはどのように狼に標識を認識させるのだろうか?、CJは尋ねる。ご存知のように科学者たちが研究中です。次第に、牧場主は殺し屋だ、とまで 話が拡大する。CJが言うには、牧場主たちは株価の値上がり、増税、長引く干ばつ、牛肉消費量の低下、といった問題に直面している。文句を言いたいのは、常に何かと戦っている、彼ら(牧場主)の方だ。「だからこのプルーイーに選挙権がない限りは・・・」。不幸にもプルーイーはカナダのブリティッシュ・コロンビア州で牧場主に撃ち殺されたのでそんな事は出来ない。

★Did You Know?(ご存知?)
    「我々が子供だった頃、(マーティン・シーンが)バスケットボールのコートで毎日しごかれたよ」とロブ・ロウはSmoke雑誌に語った。「彼は誇りに思ってるよ。スタジオにもコートがあるから12年ぶりに対戦したんだ。15歳に戻った気分だよ。この時どっちが勝ったかなんて言えないけどね」

★In the Interests of National Security(国家安全の関心事)
    アーロン・ソーキンは、「アメリカン・プレジデント」('96)の調査をしている際に、クリントン時代の政策アドバイザーであるジョージ・ステファノポロス(George Stephanopoulos)に会い、そこで側近にバスのチケットのような物を見せてもらった。そのカードには戦争時にどこに避難すべきかを書いている。このエピソードの間に、ディ・ディ・マイヤーズは言う「彼らはこのカードをもらってないんだよ」。「”彼ら”は持っていた、と分かった。 だが”彼女”は持ってなかったんだ!」とソーキンはGrill's Content(メディアをテーマにした雑誌)に語った。

★Logic, Let Me Introduce You to This Window(論理の世界へあなたを・・・)
    スタッフは近々公開されるロスのラリー・ポズナー邸で行われる資金集めの事を話している。だがハリウッド(1-16"20 Hour in L.A."参照)に行った時に彼らが参加した資金集めの場所はテッド・マーカスの邸宅でだった。もちろん、ロスで別の異なる資金集めの話をしてた、という事もあり得る。とはいえポズナーの政権に対する関係の事を考えると大統領が敵対関係にある人物の資金集めパーティーに 出席するとは思えない。
    ジョシュの姉のジョーニーは指揮者になりたくて「アヴェ・マリア」で練習してた。ユダヤ人の少女にしてはちょっと変わった選択なのかも。何故ジョシュNSCのカードを今(この話の中の時期で)渡されたのだろうか?1年中政府の元にいるというのに。

★Notes(注目)
    「天然痘が撲滅された時、今世紀の人道主義の最たる偉業だと考えられた。ならもう一度できるだろう。天国に目を向け、手を伸ばし、神の顔に触れよう」今までのTVシリーズの中でも最高に感動的な一片だ。友情、信頼、誠実さについての人生を肯定する物語だ。本当に荘厳な感じのする話だ。ジョシュは安全保障のカードを渡し、バートレットはここにいない友と、思わずスクリーンにキスしたくなるような”女たち”について話す。
このエピソードをご覧になればただ見てただけの人もファンになるだろう。
    サムとキャシーは仲がいいだろ、とジョシュは尋ねる。サムは、ジョシュが彼女の裸を見たがっている事では無い事を確認し、彼女は妹みたいな存在であり、彼女もそれに報いている、と言う。彼女には サムもビビってるが彼女が好きだ、丁度ジョシュとドナの関係のように。ファーストレディはパキスタンにいる。ミセス・ランディガムはベトナムで息子を二人亡くした(1-10"In Excelsis Deo"参照)。彼女はこの14年間一度も仕事を休んだことはない。ゾーイは春から大学生活が始まり、医学の道を志すつもりだ。

★Office Gossip(噂話)
    サムとジョシュによれば、ファーストレディは心霊術をするらしい。

★Oh, Donna!(愛しのドナ!)
    ジョシュがこれから行こうとする場所まで歩いていっているのにドナは敢えてこれからの行き先をジョシュに伝える。それについてジョシュはあれこれ言うが、ドナは「可愛いと思わない?」と尋ねる。ドナルドから電話がない、とドナが言った時のジョシュの反応はこうだ「ハッキリさせておくけど、君がどんなダサい相手と付き合おうと仕事サボって作ったフリータイムに何してようと僕は全然興味がないから」。

★Politics of Indulgence(寛大な政治学)
    レオの巨大なチーズの日(トビーによれば「ドアを開き普段目にかけることのない人間たちと話し合いをする」デーであり、ジョシュによれば「変人さんいらっしゃい」デーだそうだ)は毎月一日にスケジューリングされている。年に2回だった時とかもあるとか・・・。

★Quote/Unquote(本編の引用)
    
トビーがレオに尋ねる。

トビー:レオ、そんな事より今は弱小国に戦争を仕掛けることでも考えたほうがいいんじゃないですか?

バートレットはトビーのことを「コニー・アイランド(Coney Island=ニューヨーク随一のリゾート地)出身の偏屈男」と呼び後に「君は賢くて素晴らしい人間だ」と言っている。

ジョシュは”核攻撃”のカードを大統領に返しこう言う「僕は悲劇が起きたときには友人を慰めたいし、勝利のときは 共に喜びを分かち合いたいんです。そしてどんな時でも彼らの目を見て行きたいんです」。

バートレット:あれは本気で言ったのか?私の中の悪魔が天使の声をかき消しているって?

トビー:はい・・・ですがね、大統領。大統領にとって悪魔と良き天使の戦いはつきものなんですが、長い歴史の中で初めて対等な戦いが出来そうな気がするんです。


★References(ご参照あれ)
    リチャード・シフはニューヨーク・シティ・カレッジ(CCNY=City College of New York)のシャツを着て、母校を祝っている。「彼は栄誉授与式のゲストスピーカーとして戻ってきたんだ。我々は本当に彼を誇りに思ってるよ」とCCNYのチャールズ・デシコは言う。「彼にシャツを送り、彼はこのエピソードでそれを着たんだ」
The New Yorker, Miami Herald, Chicago Sun-Times・・・どれも有名な新聞社だ。American Express・・・クレジットカード会社、ニューヨークにあるファッションストアの ダナ・カラン(Donna Karan)・・・イタリア人俳優のロベルト・ベニーニが資金集めの邸宅でCJをプールに突き落とした時にCJが着てた服がこれだ。バートレットはジョン・ギレスピー・マギーの詩「High Flight」(※1)に言及する。ウィーンの作曲家フランツ・シューベルト(1797-1828)。1966年から始まったTVシリーズのHollywood Sauares、米国人権自由協会(ACLU=American Civil Liberties Union)。バスケの時にバートレットが詩人ジョージ・バイロン卿(1788-1824)(※2)について言及する。 ジョシュのオフィスには銃のターゲットになる様子を示したシルエットがある。サムは映画「ゴッドファーザー」('72)を賞賛し(1-20"Mandatory Minimums"参照)、USAトゥディ紙を読み、彼の部屋の壁には人権に関するポスターが二つ飾られてある。CJ曰く、昨年狼に殺されるより自動販売機からおつりを取ろうとして死んだ人のほうが多い、のだそうだ。これはネットでも有名なサイト「Darwin Awards」を参考にしたものだと思われる。この賞は、生存価が低く自然消滅してしまうような遺伝子を除去した功績を称えた事を元に、とんでもなくバカな死に方をした人に与えられる・・・いわゆる”ジョーク賞”なのだ (1995年の受賞者はコーラの自動販売機で無料の景品を取ろうとした時に自販機が彼の上に落ちてきて死んだ・・・というものだ)。薄まった遺伝子貯蔵庫。CJが言った「バッキンガム宮殿の説明」、イギリスの王室で数世紀に渡り同族で交配してきた(?)人たちの事だ。

(※1)High Flight・・・この詩を書いたJohn Gillespie Magee Jr.は当時19歳、スピットファイアでの訓練中、地上30000フィートのところでこの詩を思いつき母親への手紙の中に書き記したという。だが彼はこの詩を書いた2ヵ月後、イギリスで空中衝突事故を起こし亡くなった。この詩のラストに「Put out my hand, and touched the face of God」すなわち「手を伸ばすと、神の顔に触れた」という一文がある。この文章が、このエピソードの最後でバートレットが引用した一文だと考えられる。

(※2) George Gordon, Lord Byron(ジョージ・ゴードン・バイロン卿)・・・ロンドンに生まれた詩人。2年ほどヨーロッパ各地を放浪しその間に書いた旅行記で一躍有名になる。ロマン主義運動に多大な影響を与えた人物。男爵で奔放な女性遍歴、ギリシア独立運動への参加などなど。

★Sex and Drugs and Rock'n'Roll(セックスと麻薬とロックンロール)
    大統領は暴力映画に悪評の高いプロデューサーであるラリー・ポズナー邸で資金集めをする前の日に映画とテレビの暴力性についてエンターテイメント業界にスピーチするつもりだ。トビーはこんなやり方は偽善的だと思っている。ポズナーの映画はひどい性描写や暴力描写ばかりではない、と大統領は言う。ただ劣悪なのだ。だが人々が見に行くのはそういう際どい描写を好むからだ。「こんな劣悪な映画を見に行かないように説得すればポズナーも作らなくなるだろう」 その戦略は麻薬には通用していませんがね、とトビー。

★The Encyclopedeic Mind of Josiah Bartlet PhD(バートレット博士の博識ぶり)
    10年前連邦政府の予算は220億ドルの赤字だったが同じ会計年度内にて国債は5.2兆ドルから5.4兆ドルに跳ね上がった、とバートレットは説明する。「頭の中に数字まで入ってるんですか?」経済学者の一人が尋ねる。「そういう事だけは人間離れしている」とはレオの弁。

★Watch the Skies(空を見よ)
    サムは、ホワイトハウスがUFOにもっと目を向けてほしいと思っている、USスペースコマンドの職員ボブと会った。サムは、全く目を向けてないのかな、と思っている。カリフォルニアに向かって太平洋を横断する未確認飛行物体をアメリカの航空管制局が捉えた、という話を聞く。大統領専用機のエアフォースワンと海軍のジェット機がそのエリアにいたというのに肉眼に捉える事は出来なかったという。大統領が知る必要はないのか?サムは答える、航空防衛指令を出すのにレーダー管制官が最高司令官に 直接知らせたら何段階かすっ飛ばすことになります・・・ペンタゴンや・・・おそらくセラピーみたいに。後に大統領が、それは飛行船ではなく長いこと捨てられていたソビエトの衛星だ、と明かす「二つの大国が宇宙への進出にしのぎを削りあっていた時の悲しい名残なんだ」。



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