THE WEST WING
4-21:
E P I S O D E # 88
2006/02/28 on NHK
LIFE ON MARS
(火星の生命)
-STORY-
火曜日の朝、ホインズ副大統領からの辞任届を受け取るバートレット。話は24時間前に遡る。

CJはワシントンポスト紙の科学部の主幹から、NASAの宇宙科学研究委員会が火星に生物がいる証拠を掴んでおきながらそれを秘匿しているのではないかとの疑いをかけられ、調査する事を約束する。その委員会の委員長はホインズ副大統領で、CJはジョーに秘匿の場合にそれが違法かどうかを調べるよう指示する。
一方ジョシュも同じワシントンポスト紙から、ホワイトハウスが司法省に圧力をかけて独占禁止法の捜査が及んでいる企業への捜査打ち切りを指示し、見返りとして10万台のパソコンを受け取っていた疑惑をつきつけられる。レオに確認を取ったジョシュは10万台のパソコンが企業との示談の条件である事から情報の漏洩に気付き、それを探ろうとする。そしてこの示談内容を知っていた者の中にホインズがいる事を知る。

調査を重ねたジョーはCJにワシントンポストの情報源に電話してくれるよう頼む。

TELEPLAYAARON SORKIN
STORYPAUL REDFORD
DEE DEE MYERS
DIRECTORJOHN DAVID COLES

US TRANSMISSION DATE
30 April 2003
JP TRANSMISSION DATE
28 February 2006
-TITLE'S MEANING-
NASA committee's research shows.

-EPISODE OUTLINE-
Bartlet administration is going to need to choose a new Vice President.

-QUOTES-
1, Joe, I outrank you by, like, 17 rungs, so follow me, would you?

2, I don't get a vote in the U.S. House of Representatives, but I do go to the grocery store. I know that food is cheaper, and I know that when life expectancy goes up, that's not victimizing undertakers.

3, And that mom was worried 'cause dad's hauling a yardsale up Kilimanjaro. And she's thinking, "Wow, I married an idiot."

4, I don't practice law? I help write the laws, I write the laws, I make the laws, I am the law.

5, You said in this case that the Fourth Circuit lack the judicial imagination God gave pistachio nuts.



INTO THE MAIN TITLE:★★★★★

TWW4-20へ| TWWとりびあ〜ん4-21へ| TWW4-22へ


-TEASER-
火曜日 5:58 A.M.

大雨が降りしきる中、チャーリーが小さな屋根のある入り口で車道から来る車を待っている。その近くにはどしゃ降りの雨から機材を守るためにビニールを被せられた三脚付きのカメラをマスコミが何台も用意してある。その前をタクシーが通り過ぎ、チャーリーの待っている前で止まり、中から女性が出てくる。チャーリーが自己紹介して彼女に来客用のタグを渡し、ホワイトハウスの中へと案内する。彼女も首にタグをかけ、中へ入る。二人はロビーを通り、女性は手に手紙を持っている。二人がCJのオフィスの前を通っていくところをCJが見ている。チャーリーが女性に名前を尋ねる。女性は不意を突かれたかのように口ごもってしまうがクレア・ハドルと紹介する。ジョシュが廊下を歩いているその前を二人が通る。二人はそのままトビーがいる広報部のオフィスを歩いていく。トビーもまた二人が歩いていくところをしっかりと見ている。そしてオーヴァルオフィス前のオフィスに入り、チャーリーのデスクに何かを置いているドナの横を通り過ぎてオーヴァルオフィスに入っていく二人。そこにはバートレットが一人新聞を読んでいるところだった。チャーリーがクレアをバートレットに紹介する。バートレットはクレアが持っている手紙の内容を知っているようで、法律でこの手紙を国務長官に渡す事が決まっているのだと言う。法令:第三章二十節(3-USC-20)。そしてバートレットは新聞を自分のデスクの上に放り、クレアが彼に近寄ってきて手紙を渡す。バートレットは何故クレアがタクシーに乗ってきたのかを尋ねる。クレアは自分の車のエンジンがかからなかったからと言うが、バートレットには聞こえなかったらしくもう一度尋ねられ、次はより大きな声で答える。次にバートレットは何故ここに来ることになったのか知っているか尋ねるがクレアは返事をしない。いいんだよ、とバートレット言い、クレアも頷く。クレアから受けとった手紙を開き、眼鏡をかけて手紙を読むバートレット。そこに書かれていたのは・・・

親愛なる大統領へ

ここに、本日午前六時をもって合衆国副大統領の職務を辞任いたします。

敬具

(John Hoynes
という自筆のサイン

ジョン・ホインズ

-ACT ONE-
24時間前 月曜日 6:00 A.M.

早朝から記者団にロビーで質問攻めに遭うCJ。記者のケイティが質問があると声をかけようとするとCJがそれを遮り、記者のマークにハッピーバースデーを言う。これで私がそういう事にも無関心だとは言わないでね、とCJ。でも彼の誕生日は12月に終わったとマークが言い、続いて、評議委員会のレポートについての大統領のコメントを尋ねる。―メディケアのことならまだ大統領は見ていないだろうけど調べておくわ―。記者のクリスは下院235法案:石油基準価格の釣り上げ法案は握りつぶすつもりなのか尋ねてくる。―必要とあらばね―。別の記者のフィルがその件について行政管理予算局が関係しているのか尋ねようとするのを再び「必要とあらば」と遮るCJ。再びクリスが別の件で質問をする。大統領は児童保護基金のディナーに行くつもりなのか?―分からないし、行きたがっているけれどまだ時期尚早ね―。そう言ってCJはもう行こうとしていたが再びケイティに声をかけられ、最初に彼女に声をかけられた事を思い出し、他の記者には午前11時に会見室で会う約束をしてから彼女を部屋へと入れる。部屋に入る時、ケイティは科学部の主幹ラルフ・ギッシュを紹介し、副大統領の事で来たのだと言う。ギッシュはNASAの宇宙科学研究委員会について尋ねる。存在だけは知っている、とCJは言い、でもその手の質問なら大統領の科学担当アドバイザに話をするとも言う。だがギッシュによれば科学についての質問ではないと言う。―ホワイトハウスは火星に水分子が存在する二つの証拠を持つという委員会の報告書を隠しているのではないのか?NASAの宇宙科学研究委員会は化石化した水分子が隕石に含まれていたと言っているが、その事に関した報告書を表には出していないのではないのか?別に火星の表面に何かあるという証拠をあなたたちが消そうとしているとまでは言わないが、しかし、この報告書は・・・―と言ったところで途中から驚いて聞いていたCJがケイティ一人を部屋の外へと連れ出す。

CJ:他の記者たちが見ている中からわざわざあなた一人を部屋に呼んだのよ。なのに「火星には生物(Life on Mars)がいるのか?」とか「ホワイトハウスは火星に生物がいる事を隠しているのか?」ですって?そもそも副大統領と何の関係があるのよ?!

ケイティ:副大統領はNASAの委員会の委員長なのよ。

CJ:カタリーナ!

ケイティ:情報源が副大統領から個人的に聞いたと言っているのよ。

CJ:そんな事あり得ないわ。

ケイティ:分かってるけどギッシュが・・・

CJ:なら彼に、科学部主幹(彼)に情報を持ってきた情報源にどれほどの信憑性があるのか聞いてみてよ。じゃなければ・・・

ケイティ:彼も情報源は知らないのよ。情報源がポストの別の記者にこの話を持ち込んで、その記者が主幹に情報を伝えたの。


それを聞いたCJは部屋に戻ってギッシュに先ほどの話は真実だとは思えないと言う。

ギッシュ:ではその報告書が仮に存在すると仮定すればどうでしょう?存在するとすればそれは公表されるのでしょうか?それともされない?もしされないのならばそれは違法ではないのですか?

CJは分からないし、法的に違法かどうかを調べるなら法律顧問にゆだねる必要があると言う。そこまで言ったところでCJは法律顧問に新人が入ってきた事を思い出し、その新人に新人イジメついでに調査させようと意気揚揚と申し出る。そう言ってケイティとギッシュを部屋から出し、嬉しそうに自分も部屋を出て歩いていく。

ホワイトハウス法律顧問として初出勤となるジョーがスチームパイプの配管室にやって来て唖然としている。驚きながら見回していると一人の若い女性が入って来る。女性はブレア・スプーンアワーと紹介し、法律顧問のスタッフとして働いていると言う。彼女を見たジョーはあまりの若々しさに彼女に14歳かと尋ねる。実際には22歳でジョージ・ワシントン大学の法学生だと言う。1年目を終えてホワイトハウスの法律顧問アシスタントに配属されたのだ。なのに今日こうしてジョーを馴染ませるために2,3日彼に付く事になったのだと言う。

ブレア:新人の法律顧問はこのオフィスに配属されるのが伝統なんです。

ジョー:なるほど。で、それ以外の時は何に使われてるの?

ブレア:スチームパイプの配管室です。

ジョー:ホワイトハウスは弁護士が嫌いなんだな。

ブレア:はい、共和党の次ぐらいに嫌われていますね。

ジョー:じゃ僕は大当たりなわけだ。


ジョーが共和党員だと知って驚くブレアだがジョーは早速仕事に取り掛かるために読んでおくべき資料を求める。ブレアは最初から置かれていた棚にある、およそ10もの箱を指す。ゼロックスのコピー用紙だと思っていた、と面食らうジョー。とはいえ冷静に考えれば法律顧問のいる部屋にコピー用紙を置くわけが無い。ごもっとも、僕もスチームパイプ配管室の美観を損ねたくないからね、と言ってから仕事モードに戻り、優先順位をつけて読むべき順序をまとめるようブレアに指示するジョー。そこまで言ったところでドアをノックしてCJが入って来る。ブレアはCJをジョーに紹介し、箱を運ぶのをジョーに手伝ってもらわなくても大丈夫だと強がって言う。箱を運びながらCJの横を通り過ぎるときに「また共和党員です」とCJに小声で 言う。それを聞き逃さなかったジョーは「ありがとう」と皮肉めいて言う。ブレアが出てからCJはジョーと握手し、ご挨拶として、部屋の上の窓から路地が見えるし、パイプにスーツを乗せておくとクリーニング代わりになるわよ、などと言う。新人案内(welcoming committee)に来たんでしょ、とジョー。CJはそんなつもりではなかったがそれもいいわねと言って仕事に取り掛かろうとするジョーを部屋の外へと引っ張り出す。「楽しいわよ。でも楽しくなくてもそのように振舞ってね」、とCJ。17個も役職が上だから?とジョー。そうじゃないけどそう考えてくれるのは嬉しいわと言いながら階段を上がって上に行く二人。歩きながらCJは今日の会見で真っ先に聞かれるであろう質問について尋ねる。農務省が今朝出した報告によれば、今年物価が6%下がり、そのため失業の危機にある農家に対してホワイトハウスはどう対応するのかと聞かれるだろう。農家のセーフティネットを破ったのは共和党だから、共和党のジョーに会見で何と言うべきか助言を求めるCJ。ジョーは「値段が安ければそれに越した事は無い」と言うが、作物を売っても農場主たちが暮らしていくだけのお金は手に入らないのがいいことだと取られかねない、とCJは言う。もちろんジョーもそういう意味で言ったわけではなく、通常よりも安い価格で買えるのはいいこと、というだけだ。―とはいえやはり農家だけが苦しくなることに変わりは無い。でも心配はいらないかもしれない。農家は大産業というわけではないんだし。いや、違う、農業は国で一番大きな産業だ―一人で話を進めるCJに中を案内する予定だったのでは、と尋ねるジョー。CJも適当に階段を指してマディソン大統領夫人であるドリー・マディソンの階段だと紹介する。ルーズベルトルームなら前にいたけどね、とジョーは言うが誰も気にしていないわと冷たく返し、きりのいいところまで来たのでそろそろ本題に入るCJ。ワシントンポストの科学部の主幹の謎の情報源によれば、副大統領が情報源に個人的にこう語った―副大統領は、自身が委員長となっているNASAの委員会が火星に生命があると言った報告書を機密扱いにしている―と。それは極めて重大な問題だね、とジョー。CJはこの副大統領の行為が違法かどうかを調べて欲しいと頼み、ジョーは引き受ける。二人はそのまま歩きながらジョシュのオフィス前の部屋まで行き、再び話題を農業に戻す。

CJ:農家は共和党議会の犠牲者よ。

ジョー:僕は下院議員には投票していないけど食料品店には行くからね。そうすればやはり食べ物は安いのがいいし、平均寿命も延びてるから葬儀社の人たちを犠牲にしているとも思わない。

CJ:そういう話は何度も聞いてきたけど、それでもあなたとあなたの考え方も全て嫌い。

ジョー:クローディア・ジェーン、まだ4分しか僕と話していないじゃないか。普通の人なら僕や僕が支持するもの全てを嫌いになる場合には1時間はかかるよ。

CJ:私は報道官ですもの、お馬鹿さん。そんな時間はないわ。

去ろうとするCJを止めて一つ尋ねるジョー。副大統領と話したい場合はどうすればいいのか?彼の弁護士なんだから直接副大統領と話せばいいわ、とCJ。

-ACT TWO-
月曜日 11:00 A.M.

トビーのオフィスでは、トビーは座りながら、ウィルは立ちながら同じTVのCMを見ている。CMのナレーター「子供たち、キャンピングギア、そしてレックスも乗せる事が出来て、年中働いているあなたの過ごす休日にどうぞ」。トビーがレックスは犬かと尋ねる。そうです、とウィル。再びナレーター「お気に入りのキャンプ場へ行きたくありませんか?自由の国アメリカの下院議員に訴えてみてください。NOと言いたい人は235番で議員に電話してください」終わり。ウィルがテレビを消して感想を言う。僕らが石油基準価格を釣り上げたら、あの家族じゃとても丘の上まで車で行けませんね。反対にトビーは、いや、あの家族が丘の上まで行けないのはあの父親が子供やらキャンピングギアやら犬のレックスまで詰め込んだフォードファルコンでK-2(ヒマラヤの標高8611mの山)を登ろうとしていたからだ、と反論する。でもこの広告は力強いとウィルが言う。するとトビーは信じられないという顔でウィルを見る。もう一度ウィルが同じ事を言うと今度は手に持っていたボールをウィルの足元に投げつけて文句を言う。だが広告のターゲットはトビーでもなく父親でもなく、フロント席で心配そうにしている母親だとウィルは必死でCMを弁護する。つまりサッカーママ(soccer mom=子供をサッカーに送り迎えする中流階級の母親、その支持が選挙を左右するといわれる)向けだというわけだ。だがトビーは、サッカーママは、米国車産業最大手のビッグスリー(GM、フォード、クライスラー)は誰にでも歩み寄ってきて売り込んでくることは知っているし、「アメリカの自由を議員に訴えよう」はこの手のCMの決まり文句だ、と反論する。それにあの母親が心配しているのは父親がヤードセール(自宅の庭先で不用品を売る)を引きずってキリマンジャロ山(アフリカの標高5000mを超える高山)まで登っていくものとばかり心配していたからだ。こう思っていることだろう「あら、私とんだおバカと結婚したんだわ」と。ウィルは、それも間違いで子供が後部座席でいたから母親が心配していたのだ、そこがこの広告のミソだと言う。世間にしてみれば大統領とハリウッドの人間は青空を守るために子供を小さな車に押し込むというイメージを抱くだろう。それぐらい効果があるとウィルは考える。トビーにしてみればハリウッドの人間と何の関係があるのか分からないが、ウィルも必ずしも関係があるとは思っていないようだ。

トビー:対抗して私たちもCMを流すか。

ウィル:そうですね。

トビー:何て言う?

ウィル:さぁ、分かりません。

トビー:どういう意味だ?

ウィル:どういう意味って?

トビー:この20分間は一体何だったんだ?

ウィル:これ(CM)をあなたに見せて僕らもCMを作りたかったんですよ。アイディアはまだ何もありません。

トビー:なら作れ、アイディアを出すんだ!中途半端なところでここに来るな!これじゃまるで私を崖っぷちに連れて行って「飛び降りたいけど無理だ、どうすればいいのか分からない」と言うようなもんだ。何か大きなものを買ったのはいいが使い方が全く分からないと言っているようなものだろ!

ウィル:トビー、アンディと結婚するか自殺するか決めてください。

あぁ、とトビー。とにかくアイディアを考えることにしよう。ウィルは最後に、出て行く前に、明かりを消すかブラインドを下ろすかしましょうかと尋ねるがトビーの答えは「ノー」だ。

ジョシュのオフィスでイスに座っているドナ。書類に目を通しているが小鳥が断続的に窓をつつく音がして集中できず、ついに窓のところへ寄ってくちばしが痛むからやめなさい、と小鳥に話し掛ける。するとジョシュが入って来て一体何をしてるのかと尋ねる。ドナはかなり前から小鳥が窓をつついていて、それを聞くたびに痴呆症が進むようだと言う。それなら、とジョシュが追い払おうとするとドナが遮ってダメだと言われる。傷つけるわけでも、迷惑を被るのは自分だと言ってもドナは譲らない。話題を逸らせようとしてドナは仕事の話を始める。ジョシュはこれからレオにある必要があるのだと言う、というのもキャロルのオフィスに記者から電話があって、ホワイトハウスは司法省に圧力をかけてカセオン社に対する独占禁止法の捜査を打ち切るように仕向けたのか、と聞かれたのだ。だがジョシュはその話は違うと言う。というのも司法省は捜査を打ち切ったのではなく、カセオン社との示談が成立したからだ。しかしながらドナによれば、ワシントンポストには情報源があると言う。ジョシュはドナにCJのオフィスと協力して情報源を突き止めるよう指示する。ドナは自分がやっていいものかと尋ねるが、ジョシュが返答する前にジョーがオフィスに入って来る。ジョシュは初出勤のジョーに仕事は順調かどうか尋ねる。ジョーは適当に答え、レオ・マクギャリーに質問をしたいときは直接彼のオフィスに行けばいいのか、あるいはまずジョシュを通すべきかを尋ねる。ジョシュは、最初はまず自分に相談してもらえるとありがたいと言う。そうすればどうでもいい質問でレオを煩わす事もなくなるだろう。その時小鳥が窓を叩く音がしたのでドナとジョシュが同時に言う「やめなさい!」。ジョーはそれに少し驚きながらもすぐに事情を話す。ホワイトハウスがNASAの委員会に事実を公表しないよう迫っているのではないかと記者が勘ぐっている、と。それを聞いたジョシュは一日に二件も同じ話が出た事に疑問を感じ、ドナに再びCJのオフィスと協力するよう指示する。分かったと言ってドナとジョーが出て行こうとしたところで二人を呼び止め、ドナに司法省の捜査打ち切りの見返りが何だったのか尋ねる。ドナは学校への10万台のパソコンだと言う。ジョシュは一瞬ドナの作り話かとも思ったが彼女が真面目に話しているのを見て本当の事だと知る。それをキャロルが記者から聞いたのなら僕も一緒にレオのところへ行くべきだろう。そう言って先導するかのように二人の前を歩きながらレオのオフィスへと向かうジョシュ。途中ドナがジョーにsawbonesみたいと話し掛ける。しかしながらsawbonesは医者で、悪徳弁護士の場合はshysterと言うんだよ、とジョーが言う。ドナはジョシュを指して彼にそう(悪徳弁護士=shyster)言ってとジョーに言う。でもジョシュは弁護士だからダメだよ、とジョー。ドナもジョシュがロースクールを出た事は知っているが肝心の実践で役立てた事が無い事を指摘する。それについてはジョシュも反論する。法律を書く手助けをしているし、実際に書いてもいれば立法化する事だってできる。まさに僕が法だよ、とジョシュ。そうして三人はマーガレットの部屋に辿り着く。ドナがジョーに、窓の外の小鳥に悩まされているけどジョーのところはそういうことは無いかと尋ねる。コウモリが親子連れで飛ぶかもしれないぐらいで大したことはないよ、とジョー。お話中の二人をよそにジョシュがジョーをマーガレットに紹介する。マーガレットは、政務局の女性職員たちがジョーを見て彼女に、新人のジョーがこんなに素敵な人だと知っていたら駐車場にマヨネーズを撒いたりしなかったと言ってほしいと言われたのだと言う。戸惑いながらも気にしてないよ、と返答するジョー。そして三人はレオのオフィスへと入る。レオは忙しそうにしていて早めに要件を済ますよう急かす。最初はジョシュが喋ろうとしていたが途中でジョーをレオに紹介し、その勢いでジョーに報告させる。ジョーは報道官のところに寄せられたワシントンポストの科学部の主幹の疑問で、NASAの火星の生物存在を示す証拠をホワイトハウスが秘匿するように圧力をかけたと言われたと話す。レオはNASAの委員会の報告書を機密扱いにしたのはホワイトハウスではなく国防総省だと言う。ならばやはり報告書は存在するのか?機密だから存在すると断言は出来ないが機密扱いにする権限は国防総省にある、とレオは言い、次はジョシュの話を聞こうとする。ジョシュはホワイトハウスが、司法省によるカセオン社への独占禁止法の捜査を打ち切らせたと話し、さらに見返りに学校への10万台のパソコンを受け取った、と付け加えるドナ。全員がドナの方を見る。レオは10万台のパソコンも示談の条件の一つになっていたと言って驚く。つまり内部の誰かが、火星の件に加えて、この話を漏らしたのだ。ジョシュはこの示談の話を知っていた人間がどのぐらいいるのか尋ねる。大統領、レオ自身、ジョシュ、法律顧問、財務省と商務省の法律顧問、NEC(National Economic Council=国家経済会議)の2,3人のメンバー、ハックリー、リトル、メイ、そして副大統領のホインズもだ。他にも独禁法の司法次官もそうだ。話を聞いて副大統領が示談の件を知っているのかもう一度確認するジョー。レオはとにかくこの件を何とかしてくれと頼む。もしこの話が公になれば公務執行妨害になるだろうし、レイ・ブラッドベリーの本の焼却のように取られるかもしれない。いずれにしろレオには厄介な事になる。話し合いは終わり、ジョー以外の三人が部屋を出て行き、一人残って考えていたジョーもしばらくしてから部屋を後にする。

-ACT THREE-
月曜日 2:00 P.M.

ウィルは部下の女性職員らを従えてルーズベルトルームで先ほどトビーに言われたCMのアイディアを検討している。ウィルは何か案を紹介しようとするが、買い出しに出かけていたローレン・チンが帰ってきてキャシーに七面鳥のフライドチキンを渡すやり取りに遮られたため、間を置いてもう一度サッカーママ層を取り込むためのアイディアを話し掛ける。まず泥のぬかるみにはまるSUVのシーンから始まり、次にサッカーママがギアをバックからドライブにチェンジするがタイヤが空回りしている様子を後ろからカメラで捉える。ママが後ろに引いているもの、それは・・・。「サウジの石油掘削装置」とローレン・ロマノが答える。大正解、正にその通り、とウィルがロマノを褒め、彼女をナンバー3から2にランクアップさせると言う。するとそこでキャシーが突っ込む「見ている人はそれが掘削装置だと分かるんですか?」。全く同じ質問をロマノにするウィル。ロマノはそれはいいご指摘ですねと答え、そのおかげでまたも三人のローレンの中で最下位になってしまう。チンは食べ物を買ってきたのでナンバー1だから残るロマノとシェルビーでナンバー2と3の座を争ってくれ、と檄を飛ばすウィル。すると今度はシェルビーが提案する。サウジの石油掘削装置の代わりに実際のサウジを引きずるのはどうか、と。ウィルは一瞬意味が分からなかったがすぐにピンと来る。要するに全てサウジアラビア人になったUホール(貸しトラックと自家用車につける荷物運搬車をリースする会社)みたいなものだ、と。装置にアラビア文字を書けばそれがサウジアラビアのものだと分かるかもしれない、とロマノが提案するがそれではまるで黒人差別主義団体であるKKKが流す15秒スポットに限りなく近い差別CMになってしまう、とウィルがはねつける。チンがロマノにチキンを渡し、共和党と同じ家族を使うのはどうかと自ら提案する。チンに触発され、チキンを食べるのも忘れたロマノもそれに乗っかり、俳優もSUVも同じにして5Kmごとに止まってガソリンを入れるのはどうかと提案する。ウィルも気に入るが、15秒スポットでそれが可能なものか、とまたしてもキャシーが突っ込んでお流れになる。ロマノに食べ物をチンに返しなさい、とウィル。シェルビーはまだサウジアラビア人を引きずる事にこだわっている。彼らを丘の上まで引きずっていったからといって差別的な表現にはならない、むしろ引きずられて楽だと思うかもしれない、と。お口を閉じなさい、とウィルが静かに言う。はい、とシェルビー。

トビーのオフィスではトビーがサラダを食べ、チャーリーはTVでテニスの試合を見ている。そのチャーリーが新聞を見てぶつぶつと独り言をトビーに漏らす。
へレン・ボールドウィンが本を出すようです。彼女はエージェントを雇って、2ページの要点を送って入札制で出版社を決めたそうです。スチュ―・ウィンクルによればRandom House(世界有数の最大手出版社の一つ)は最低でも7桁(100万ドル)はいったそうです。スチュー・ウィンクルって本当に本名ですかね?(新聞を読む)「ワシントンDCとマンハッタン社会に長く居続けたボールドウィン。自身の慈善団体への貢献やウォール街、ワシントン、ハリウッドの有力者のスタッフという地位を経て、さらに政界がお気に入りの・・・」(読むのをやめる)一体どういう文章ですかねこれ?(バーガーを持つ)時計を綺麗にして管理している73歳の女性が公邸で働いているんですが退職しないんです。祖母から受け継いだ母の仕事を彼女がまた受け継いできたんです。彼女の年収は2万2千ドルで、信頼されているから大統領夫人の言い争いが聞こえたり秘密の会議にやって来る人たちを見ることができる個人的な部屋の内外を50年にもわたって行き来してきたんです。名前はミセス・ウィーリーさんといって僕は彼女に言ったんです「ウィーリーさん、本を書いてはどうですか」ってね。そしたら彼女は「とんでもない。そんな事はしません」ですって。年収2万2千ドルなのに
チャーリーの話を長々と聞いてきたトビーは呆れ返っている。静かにしているから入ってもいいと言ったのに何でここまで喋るんだ?チャーリーはその疑問を無視してトビーがサラダを食べている事を指摘する。

チャーリー:あなたが今までサラダを食べているところを見た事が無かったんですよ。だから何のサラダか教えてください。

トビー:知らんよ。

チャーリー:野菜が入ってるだけですか?

トビー:だから知らないと言ってるだろ。サラダを食べてるんだよ、いいか?ただのサラダだ。名前なんてどうでもいい。違いなんて無いだろ。たかが草のかたまりだ。時々チーズも付いているが今食べているものには付いていない。これで答えになったか?何でいつも君らは「トビー、子供のようにがっつき過ぎですよ。トビー、それは真っ赤な肉ですよ。葉巻の吸い過ぎですよ」なんて言ってくるんだ?ここでサラダを食べてるだろ。バーベキューソースをかけても土を食ってるのと変わらん。その上、私の部屋にやって来てケチャップをかけたローストビーフのサンドイッチをかじりながら人のテレビでテニスを見ているギャラリーにも辟易とさせられているがな。言いたいのはそれだけだ。

チャーリー:ねぇ、トビー、アンディと結婚できるように本当に頑張ってますか?


やる事はやっている、とトビー。と、そこにジョーが現れ、来る前に前もって連絡を入れていた事をトビーに確認する。トビーはジョーに君がsawbonesかと声をかけるが、既にドナから同じ事を言われていたと知って悔しがる。チャーリーと挨拶した後ジョーが本題に入る。広報部からの要求で第四区巡回裁判所の控訴審判決に関する声明のチェックを行っていたのだが、CJのオフィスに出したトビーのコメントに難アリと見たのだ。言葉が扇情的で、トビーが控訴審を見下しているかどうかは分からないがこれでは連邦最高裁の耳に入れば厄介な事になりそうだ。トビーは自分のコメントを覚えていないらしく、何と言ったのかジョーに確認する。ジョーが言う「この件において第四裁判所には神が授けたピスタチオナッツにも劣る法的想像力しかない」。トビーは笑いながらそれが事実だと言う。かもしれません、とジョー。だがトビーは急に真顔になって言う。大統領の声ともいえる存在である自分が報道官の下に行って連邦判事をピスタチオナッツと比較するわけがないだろう、と。CJはトビーの言葉をいつも和らげて発信するからだ。それなら納得です、とジョーも頷く。するとチャーリーが、トビーは今アンディとサラダの件で頭がいっぱいなんです、と茶々を入れてきたのでトビーも反論して、チャーリーがヘレン・ボールドウィンの出版について10分間喋ったのももっともだが自分が悩まされているのはアンディの事でだ、と言う。するとジョーはヘレン・ボールドウィンが本を出版するという話に鋭く反応する。チャーリーは良くぞ聞いてくれたと言わんばかりに揚々と、「スチュ―・ウィンクル」というポストの記者がそれを書いていたからだと言う。ウィンクルがゴシップ記者だという事はジョーもすぐに気付くが話はそこまでにして北西部のロビーへと行こうとする。トビーはジョーに何があるのか尋ね、ジョーは今調べている案件二つが恐ろしいほど似ていると言う。とにかくまた来るかもしれません、と行ってからジョーはトビーのオフィスを後にする。

月曜日 5:00 P.M.

CJと彼女の部屋に歩きながらジョシュからの伝言を伝えるドナ。新築物件の販売戸数は先にジャーナルに漏らして、タイムズには後にして欲しいとの事だ。CJはそういうリークは上手くいかないだろうと言う。3分の2の新聞社はリークを得られなかったと言ってやきもきして我々をこき下ろすだろうし残りの・・・。その時窓の外にまたしても小鳥がやって来てコンコンコンと窓を叩く。一瞬そっちを見るが再びCJが続きを話す、残りの3分の1もよくは書かないだろうし・・・。するとまたも小鳥が窓を叩くので今度はCJも何なのかと気にし始める。ジョシュの部屋にいた小鳥がCJの部屋にも来た事にドナが驚く。おそらく窓に映った自分を別の鳥だと思って叩いているのだろう。鳥には学習能力が無いのかしら、とドナ。もう一度叩いたのでまたしても言う「やめなさい」。その時CJの部屋のドアをジョーがコンコンコンとノックしたので二人は驚き、CJは、今度は大きな鳥がやって来たのかと思ったと言う。鳥に付きまとわれてるドナが自分の事をアルフレッド・ヒッチコックの監督映画「鳥」の主演女優ティッピー・ヘドレンに喩える。だがジョーにはもうどうでもいいらしくCJと二人で話したいのでドナに退席を求める。ドナもそういう場合の事をちゃんと心得ているのか帰り際はドアをきちんと閉めていく。ドアが閉まったのを確認するやジョーは早速本題に入る。科学部の主幹が言っていたNASAの委員会の質問の件で、それを機密扱いにしたのはホワイトハウスではなく国防総省であり、NASAの件の情報源がスチュ―・ウィンクルという新人のゴシップ記者だと思われる。CJはそれを聞いて、何故ゴシップ記者が国防総省の情報を知っているのか尋ねるがジョーはそれについて詳しく語ろうとはしない。もし間違っていたら悪い印象を与えるし、軽蔑の対象にもなりかねないからだ。だがそのスチュ―・ウィンクルはホワイトハウスの違法な圧力の事は知らないのではないのか?もしかしたらそうかもしれないしそこは心配していない、とジョー。だからCJに彼に電話して彼が情報源かどうか確認して欲しいのだと言う。

CJ:私がスチュー・ウィンクルに電話を?

ジョー:新人のコラムニストだから激励すると言えば。

CJ:普段ならゴシップ記者に電話なんかしないわ。

ジョー:だから喜ぶと思うよ。


CJは理由を尋ねるがジョーはまだ言いたくない、たとえCJが彼を軽蔑し始めてきたとしてもだ。ジョーの覚悟を悟ったCJはキャロルを呼び、ワシントンポストのスチュ―・ウィンクルに繋いでくれるよう頼む。スペルが苦手なキャロルは一度聞き返すがすぐに電話をかけに戻る。彼女がドアを閉めるやジョーはウィンクルに対してどう言うべきかを話そうとするがそこはCJの得意分野だ。スチュ―・ウィンクルから電話を待つ間、CJは手元にあったフォルダに目を通し、笑う。どうやらトビーが第4区裁判所の控訴審についてピスタチオナッツ並の想像力しかないとコメントしているのを目にしたようだ。当然こんな事はいえるはずが無いわ、とCJ。ジョーもそうだねと言う。そこにキャロルが入って来て電話の1番に繋がっていると言ってくる。キャロルが出てからCJは電話の1のボタンを押して電話の向こうのスチューに挨拶する。だが反応が返ってこないのでCJがもう一度尋ねるとどうやら本物のCJだとは思えなかったと驚いていたようだ。CJはジョーに言われたとおり新しいコラムを始めたと知ってホワイトハウスで応援したいと彼に伝える。スチューはCJの褒め言葉よりも彼女が電話してきた事の方にまだ驚いている。何せ彼にとってCJは最高に洗練された女性という印象があるからだ。CJは彼のヒーロー(?)でその聡明さや、ユーモアやファッションのセンスも何より素晴らしいものだと彼は思っている。向こうもあまりに褒めてくるのでCJは思わず笑顔になってしまい、日本大使館で着ていたドレスは酷かった、と言われても顔は笑っていたが、すぐにまたプロの顔に戻り、本題に入る。今朝ラルフ・ギッシュとケイティがよこしたNASAの委員会の質問の件について、その報告書を機密扱いにしたのはホワイトハウスではなく国防総省だ、とスチューに話す。するとスチューが5,6秒間黙り込んでしまったのでCJがどうしたのか尋ねる。スチューはそれでCJが電話してきたのだと悟り、火星がどうとかわけの分からない事を書いているから適当に記事を回したのだと言う。

C.J. CREGG and JOE QUINCYSTU WINKLE
CJとジョーはそれを聞いて、やはりスチュー・ウィンクルが情報源だったと確信する。そしてジョーはさらにCJにそれを裏付ける証拠を次々と見せる。一つ目はワシントンポストの新聞記事で、そこにはスタッフライターのスチュー・ウィンクルが、ヘレン・ボールドウィンが先月本を出版することにした、と書いている。二つ目は、黄色のA4サイズのメモ用紙に書かれた中から丸で囲まれているNASAの委員会の質問独禁法の質問の部分を指で指して見せる。最後はホワイトハウスの通話記録で、A3サイズぐらいはあろうかと思われるその紙にはジョン・ホインズとヘレン・ボールドウィンとの通話部分の全てを黄色の線で引いて以下のように示している。

(日付)
John HoynesHelen Baldwin
Patrick HansonNicholas Allen
John HoynesHelen Baldwin
John HoynesHelen Baldwin
Tervant HagopianDan Dobeon
Charlie MayHobart Lundt
John HoynesHelen Baldwin


それらを見せられたCJはようやくジョーの意図を理解する。
あなたが忙しい身だという事はもちろん分かっているし、何言ってるんだとも思われるだろうけれどもいいかな?その、すぐに却下されちゃうかもしれないし、あなたには選択の自由がもちろんあるけど一日一緒に少しコーヒーでもどうかななんて思ったりして。だって私、あなたは信じてくれないかもしれないけど、ゴシップ専門記者になるまではこう見えてもいっぱしの真面目なジャーナリストだったんだから。つまらないとかそういう意味の真面目じゃなくて、今書いているセレブネタよりはまともな事を書くという意味だよもちろん。コロンビア大学の卒業証書も持ってるし、あれとメトロカードがあれば地下鉄乗り放題。卒業してから二年がかりで月刊誌の編集部に潜り込んだんだけど、やっぱり戦場に出たほうがいいって気付いてね。だからフリーの記者になったわけ。エイズ問題の記事も書いたし、ミシシッピの洪水、ホームレスのティーネイジャー、人種暴動。あの頃は自分に満足してた。でもね、お金にならないのよー。それより女優に一時間インタビューしてボーイフレンドがどうしたとかくだらない話をテープに取ってそれを起こすほうが割がいいの。まぁピュリッツァー賞とは無縁だけどお金のためにはやっぱり率のいい仕事を選ばないとね。でもそんな調子でもうかれこれ十年でしょ。だからこのあたりでポストの記者という立場を利用してそろそろ本格的なジャーナリズムの世界に戻ろう・・・

そしてスチューを適当にあしらって彼との電話を切った後、ジョーを見たかと思うとキャロルを呼んで、ジョシュとトビーの二人を呼んでジョーが副大統領とのアポイントを取れるようにするよう指示する。指示を聞き終えて出て行ったキャロルに続き、ジョーもCJの部屋を後にする。

-ACT FOUR-
月曜日 7:45 P.M.

副大統領ホインズの部屋ではホインズとそのスタッフたちがミーティングを行っている。スタッフの中には昔から彼に付いているマークやスティービーの他に、新たに入ったインターンのクレア・ハドルの姿もある。スタッフは席に着いていてホインズは一人歩きながら話をしている。エジプトのカイロでは法と調整案に専念したい。全体的な政策はまだ前回から変わっていない、それも全くと言っていいほど。スタッフのスティービーはエジプトの副大統領アブ・エル・アズムが貿易と投資の枠組みを求めていると言う。ホインズは、それを行うには秘密の会議を持たなければならないし、シリアの質問を後回しにしているという印象を与えない事も重要だ、と言う。
そこへ秘書が部屋に入って来てホインズに対して頷き、ホインズは一日中行っていたミーティングを終わらせてスタッフを解散させる。だがスタッフがドアの前まで行った時にまだ少しだけ家に帰らないで欲しいと頼む。スタッフは頷いて退出し、入れ替わりにトビー、ジョシュ、CJ、ジョーが入って来る。ホインズは四人の面々を見て勢ぞろいだなと言う、そして今回の功績を称えてジョーの写真をどこかに飾り、食事時に褒めるべきだとも。今エジプトの副大統領との会議計画を持っている。今年はカイロで会議をする予定で法と財務のシステムがどれだけ外国の投資を誘致できるか興味があるのだ。君たちは私にカイロへ行くなと言うのか・・・。独り言のようなホインズのセリフには答えずにジョシュが単刀直入に尋ねる。

ジョシュ:副大統領、あなたはホワイトハウスでヘレン・ボールドウィンとの浮気を楽しんでたのですか?

トビー:ジョシュが言いたいのは・・・

ホインズ:殴られたいのか。

トビー:ですから彼が言いたいのは・・・

ホインズ:言いたいことは分かっている。言いたいことはな。ここに来た理由も分かっている。


ホインズは既にCJから全て聞いていると言い、覚悟を決めて、ヘレン・ボールドウィンには全てを話したと打ち明ける。そう、火星に生物(Life on Mars)がいる証拠がある事も、司法省に圧力をかけて10万台のパソコンを確保した事も、全て自分を良く見せようとしたいがために言った事だ。そしてジョーに確認する。ヘレンが本を書いたという記事を見て、本を書くために彼女が誰かに秘密を漏らしたのだと気付いたのだろう。暴露本のことだ。ゴシップ記事を記者が科学部主幹の情報源だったと分かったに違いない。そうです、とジョーは答える。

ホインズ:君は今日一気に株を上げたな。この件は最悪だが君は早くに気付いた。私はどうすればいい?

ジョー:副大統領、僕はまだ入ったばかりの法律顧問ですから。オリバー・バビッシュとは彼が飛行機に乗っている時に話しましたが・・・

ホインズ:私はどうすればいい?

ジョー:(間を置く)まずご家族に話された方がいいと思います。


思いつめた顔をして「分かった」と何とか声を出すホインズ。そしてCJ、トビー、ジョシュが一言言ってから副大統領の部屋を後にし、残ったホインズはずっと窓の外を見つめている。
ホインズの部屋から旧大統領府ビルの廊下に出てきたジョシュ、ジョー、CJ、トビー。ジョシュはジョーに「あんな時に笑うなんて思わなかったよ」と言うがジョーもCJも笑ってなどいないと言い、歩いていく。

月曜日 8:30 P.M.

ルーズベルトルームではまだウィルたちがCMのアイディアを必死(?)に考えているところだ。ローレン・シェルビーがガスマスクで何かを思いつこうとしている。彼女を鼓舞しようとするウィルだがローレン・ロマノと名前を混同してしまい、後ろで立って新聞を読んでいる本人から突っ込みがくる。シェルビーはガスマスクのアイディアを取り入れ、母親がマスクをつけているのに煙のせいで子供たちの姿が見えにくくなっている様子を話す。さすがにこれではやり過ぎなのかウィルがダメ出しする。ウィルの横でCMとは関係無さそうな本を読んでいるローレン・チンはトビーがサラダを食べていたのは変ではないかとぼやく。変なのは9時間も前の話をするローレン・ロマノだよ、とウィルは言うがまたしても間違え、本人から突っ込みがくる。するとウィルが突然立ち上がり提案を披露する。そこにトビーが現れウィルの提案を聞く。カメラは次第に濃くなっていくガスの中を潜り抜け郊外の通りを映し出す。ママとパパと子供たちを乗せたSUVが来る。俳優とあと犬のレックスは共和党と同じ人、犬をそれぞれ使えばいいだろう。車を降りるとガスマスクを着ける。別バージョンではサウジアラビア人が乗ったコンテナをこの家族が引っ張るという案もある。一通り聞いたトビーはレベルの高い議論の場に出すようなアイディアではないなとため息をつく。だがウィルはその程度のものでもいいと思うと言う。というのも、これはそもそも敵の広告に対抗して作る広告であるから、敵から身を守るために用意した塹壕のようなものだからだ。だが実際は塹壕にいるわけではない、とトビーは強い口調で反対するがやがてトーンを和らげる。政府の二つの勢力が燃料の効果について高いレベルでの討論を交わすのだ、塹壕にいるのとはわけが違う。それに15秒スポットなら視聴者を怖がらせるような物の方がいいんじゃないのかと提案する。そしてホインズの事を伝えるためにウィルを部屋の外に連れ出す。

柱廊のベンチに腰掛けて待っているバートレットとその傍に立っているレオ。そこへホインズが歩いてくる。奥さんのスザンヌには話したのかと尋ねるバートレット。話しました、とホインズ。

THE RIVALS
バートレット:スザンヌとは話したのか?

ホインズ:何ですか?

バートレット:スザンヌとは話したのか?

ホインズ:はい。

レオ:何があった?

ホインズ:君は知ってるだろ。

レオ:もう一度言ってくれ。何回会ったのか?どこから始まったのか?

ホインズ:どうでもいい事だろう。

レオ:はっきり言っておくがね、副大統領。今夜この時点において事の重大さを決めるのはこの私だ。47回も電話をするなんて、ホワイトハウスが通話記録を付けている事を知らなかったとでもいうのか?本当に知らなかったのか?いつから始まった?

ホインズ:君には関係ないことだ。

レオ:どの道、暴露本を読むんだぞ。

ホインズ:ならそれを読めばいい。

レオ:彼女がこんな事をしでかす女性だとは分からなかったのか?

ホインズ:まさか。夢にも思わなかったよ。

バートレット:そこが間違いだったな。

レオ:今回のこの件に関して裏で誰が動いていると思う?

ホインズ:分からない。

レオ:彼女が共和党の執行部に知恵をつけられた可能性は?

ホインズ:分からない。

レオ:ジョン、我々がこれを切り抜けたとしてもおそらくは・・・

ホインズ:切り抜けることは出来ない。

レオ:出来るさ。

ホインズ:出来ない。私は辞任する。

バートレット:手を打つなら今夜から始めないと。良く考え、諦めるのではなく・・・

ホインズ:ですから私は副大統領職を辞任します。

バートレット:「君には関係ない」と突っぱねたあの強気はどこへ行った?

ホインズ:私は機密情報を漏らした。これは私が関係していますし、重罪です。

レオ:何とかそれを否定する立場に立てないか?

ホインズ:無理だ。

レオ:彼女の出版金は数百万ドルだ。誰も彼女を信用しようとはしないだろう。

ホインズ:ならいつから彼女に信用が必要になる?

バートレット:謝罪して切り抜けろ。責任を認めるんだ。詳細を明かす必要は無い、それは彼女がやってくれる。君は2ヶ月間特別ディナーの席に招待され、2年半をかけて指名を勝ち取らなければならん。

ホインズ:もう指名は勝ち得ないでしょう。

バートレット:MS(多発性硬化症)が話題の間、我々は再選できないと思われていたが見事勝利したんだぞ。

ホインズ:だからこそ二度目の奇跡はもう起きないんですよ。

バートレット:ジョン・・・

ホインズ:そうです、あなたが奇跡を起こしてしまったんですよ。

バートレット:それはすまなかったな、副大統領、私の多発性硬化症が君の性生活の希望を奪う事になって。おかげでこっちはいい迷惑だぞ!!(間を置く)辞任はいかん、ジョン。それは酷い逃げ方も同じだ。

ホインズ:大統領、私が残れば全ての法案が妨害工作にあうことになります、それはお分かりでしょう。党も勝ち目の無い候補を必要とはしません。私がスザンヌにせいぜいしてやれることと言えばこれ以上巻き込まないことです。

バートレット:他にはないか?他に何かトラブルは?もし立て続けにトラブルに見舞われたら・・・

ホインズ:彼女が全部本に載せるでしょう。

レオ:君が非難の的に晒されるのは避けられない。それだけは変えようが無いだろう。今から君は誰からの支援も受けられずに一人で復帰を求めて戦わなければならない。

ホインズ:レオ・・・。

レオ:だが君なら出来るだろう。君なら絶対に出来る。私も力になろう

ホインズ:・・・家族だけは巻き込みたくない。

レオ:君は偉大な人間だ、ジョン。君は合衆国上院議員で、合衆国副大統領でもあり、党の最有力指名候補だぞ!こんなことで・・・こんな安っぽい人間のために辞任など必要ない。マスコミはメイシーズのデパートに張り込んで窓から有名人の出入りを常にチェックしている。離婚はともかく、辞任は必要ない。この程度の人間のために辞める必要なんて無いはずだろう。

ホインズ:大統領も私が正しいと知っている。君もだろう。就任演説では私も宣誓した。だから・・・

バートレット:こんな事をする人間だとは本当に思わなかったのか?

ホインズ:人を完全に見極める事なんてあなたの経験からでも無理でしょう。

バートレット:とにかく今日はもう寝よう。三人ともだ。

ホインズ:失礼します、大統領。

バートレットとレオの二人は去り行くホインズの後ろ姿をじっと見つめている。

火曜日 6:00 A.M.

再びどしゃ降りの火曜日の朝。クレア・ハドルの乗るタクシーがチャーリーの待つ入り口の前で止まる。チャーリーとクレアが歩いていくのをルーズベルトルームの中から見届けるジョー。二人はそのままオーヴァルオフィスに入っていき、バートレットがクレアからホインズの手紙を受け取る。

バートレット:何故タクシーで?

クレア:(小声)エンジンがかからなくて・・・

バートレット:何だって?

クレア:エンジンがかからなくて。

バートレット:これがどういう事か分かるね?


彼女は反応しない。

バートレット:いいんだよ。

今度は彼女も頷き、バートレットが手紙を開いて目を通す。

バートレット:分かった。


クレアは退出し、バートレットはそのままレオのオフィスへと歩いていく。

バートレット:今来たよ。新しい副大統領が必要だな

-END-
Starring
Main Cast
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Joshua Malina as Will Bailey
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Tim Matheson as John Hoynes
Matthew Perry as Joe Quincy
Claire Coffee as Cassie Tatum
Catherine Kwong as Lauren Chin
Kimberlee Peterson as Lauren Shelby
Lara Phillips as Lauren Romano
Mandy Freund as Claire Huddle
Kiersten Warren as Blair Spoonhour
John Apicella as Ralph Gish
Andy Umberger as Stevie
Jeff Mooring as Phil
Mindy Seeger as Chris
Timothy Davis-Reed as Mark
Kris Murphy as Katie
Melissa Fitzgerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret



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