THE WEST WING
4-20:
E P I S O D E # 87
2006/02/21 on NHK
EVIDENCE OF THINGS NOT SEEN
(見えざるものが真である)
-STORY-
いつものように金曜の夜にスタッフ一同でポーカーゲームに興じているところにドナから、昇進したエインズリーに代わる新しい法律顧問の面接を頼まれるジョシュ。男の名はジョー・クインシー。資格も受け答えも完璧だがジョシュはある引っ掛かりが頭から離れないでいる。
ロシア上空を偵察していた無人偵察機がカリーニングラードで消息を絶つ。バートレットはロシアのシゴーリン大統領と連絡を取り、偵察機の回収を行うことを告げる決意をする。
ポーカーも一段落して今度はカードをどこまで遠くまで飛ばせるかを競うために会見室にやって来たトビー、ウィル、CJ。だがそこに三発の銃声が響き渡り、シークレットサービスがなだれ込んでくる。偶然にもこの日は世界各地でテロと見られる行動が起きていたためロンがCRASHを発動してホワイトハウスの封鎖を命じる。
銃撃の話を聞いてチャーリーの無事を確認しに来たゾーイ。強がって見せるチャーリーを前にゾーイは、卒業後に3ヶ月間フランスのアビニョンに行く事を告げる。

TELEPLAYAARON SORKIN
STORYELI ATTIE
DAVID HANDELMAN
DIRECTORCHRISTOPHER MISIANO

US TRANSMISSION DATE
23 April 2003
JP TRANSMISSION DATE
21 February 2006
-TITLE'S MEANING-
Sentence of the New Testament. "Now faith is the substance of things hoped for, the evidence of things not seen"

-EPISODE OUTLINE-
CJ believes egg stand during equinox and did it, all the others doesn't believe and didn't it.

-QUOTES-
1, I've seen guys make ace of spades jump out of their shoes, I don't think it was the equinox.

2, You know, black-white, rich-poor, north-south, odd-even. There may not be anything anymore that outpaces the hatred the right feels for the left or the tonnage of disrespect the left feels for the right.

3, I'm not the one using the student bodies of GW, Georgetown, AU and Catholic University as intelligence gathering sources.



INTO THE MAIN TITLE:★★★☆☆

TWW4-19へ| TWWとりびあ〜ん4-20へ| TWW4-21へ


-TEASER-
金曜日の夜

夜、レオのオフィスでポーカーの準備をしているCJ、ジョシュ、レオ。ジョシュはテーブルの上にチップを並べながらCJの雑談を聞く。昼と夜の時間が同じになるちょうどその境界線の春分点に卵を置けば真っ直ぐに立つのだという。CJは見たと言うのだがジョシュは実際に9月の秋分にやってみたが駄目だったのだと言う。秋分じゃダメよ、とCJ。レオは夜食になる食品を満足そうに眺めている。クルーピンという店のティッシュペーパーのような薄さのパストラミにローストビーフやコンレッドビーフ、七面鳥、ロシアンドレッシング、コールスロー、そして種抜きのライ麦という組み合わせだ。それに加えて部下たちのなけなしのお金を巻き上げるこの快感は何物にも替え難い。そう言ってCJにパストラミのティッシュペーパー並の薄さを手触りで確認させるレオ。そこにマーガレットが入って来てレオを呼び出す。レオとマーガレットが部屋を出た後、ジョシュは再びCJの卵の話に戻る。春分でも卵を立たせる事が可能なら秋分でも大丈夫なはずだ。つまり秋分も昼と夜が12時間ずつあるのだからCJの論理が正しければ春分だけではなく秋分でも卵を立たせる事はできるはず。でも実際に試したが出来なかった、とジョシュ。そう言うとトビーが部屋に入って来る。トビーが何か言おうとするのを遮って卵の話をするがトビーは理解不能な顔をするがすぐにそれは不可能だと言ってジョシュを後押しする。やった事はないがやらなくても分かる、とトビー。

トビー:春分点を形成する要素と卵の重心が関係しているとはどうしても思えない。

CJ:でも見たのよ。

トビー:私も靴からスペードのエースを出す人を見たが、その時は春分じゃなかったぞ。


突然ドナが入って来てジョシュに、法律顧問室が今夜法律顧問を希望する人との面接を出来るかどうかを聞きたい、と言う。今夜、と言うのはその人がこの町にいるのが一晩だけだからなのだそうだ。ドナはジョシュが面接に出かけた場合、代わりにカードで楽しんでもいいかと訊くがジョシュは聞いてない。エインズリーが恋しいらしく、法律顧問室には彼女みたいなセクシーで保守的で法律の議論ができ、且つ強烈なインパクトのある名前を持つ人を入れて欲しいとぼやいている。ドナはまだカードに参加したいと言っているが、ジョシュは耳にも入っていないのかドナの懇願を無視して。他の参加者を求める。金があれば誰でもいい(参加できる)、とトビー。

一方オーヴァルオフィスではバートレット大統領にポーカーへの参加の許可を請うデビーの姿があった。デビーは元ギャンブラーの血が騒ぐのかバートレットの腕前を持ち上げてまで参加しようとしている。だが息抜きの意味もあるゲームの場でギャンブルに強そうなデビーを参加させていいものかと迷っていたバートレットだったが、彼女が目の前にチラつかせた紙幣の束を見てチャーリーに現金を引き出させるのを忘れていた事に気付き、即座に参加を許可する。レオが部屋に入って来ると彼にCJが卵を立たせる話をしている事を直接卵を手にとって示して教えるバートレット。レオはデビーを退席させてから無人偵察機であるUAV(Unmanned Air Vehicle)が消息を断ったと説明する。プレデターB-UABがカリーニングラードからおよそ20Kmの地点に落ちた。それは突発的な天候の変化に対応できない衛星によってコントロールされているために軌道から外れ、内陸部に墜落したのだ。だがそれは無人の偵察機なのだから心配するのは費用の面だけでいいのではないかとバートレットは言うが、レオはその偵察機は違法な核輸送の写真を収めるために飛ばせたものであるため軍が回収したがっていると伝える。バートレットは少しふざけて、それならロシアのシゴーリン大統領に電話してアメリカ軍が入ってスパイ機体を回収してもいいかと尋ねればいいのか、と言う。レオは「スパイ機体」という言葉さえ出さなければと言う。バートレットはレオが本気でロシアの大統領に連絡を取って機体を回収させようとしていると知って驚く。レオは今、州と国防総省に上手い事言えるアイディアを考えてもらっていると言う。彼らなんかに出来るのかと言わんばかりにバートレットが皮肉っぽく言う。

レオ:彼らが考えている間にカードでもやりませんか?

バートレット:待ってくれ。

そう言うとバートレットは卵を再び手にとって上手く机に立たせようとする。だが卵はバランスを失い即座に転げる。

バートレット:そら、やっぱりできるわけがない。

-ACT ONE-
ポーカーのテーブルには時計回りにCJ、デビー、ラリー、バートレット、ジョシュ、トビー、エドが座って、カードを楽しんでいる。50ドルの大金を賭けてきた彼女の賭け方に驚いて皆一斉に身を引く。強者がいた方が盛り上がるよね、とジョシュ。バートレットがデビーにカードの中身を尋ねるが50ドル賭けてくれればと返される。そこに空軍の軍服の上からスーツを着たウィルが入って来る。CJはウィルに頼んでいた卵を受け取る。バートレットはウィルが空軍士官だと初めて知って驚くが、他の皆は彼が中尉だとまで知っている。海軍法務部のJAG(=Judge Advocate Generals)に所属していて週末の今日帰って来たのだと言う。在籍していたのはボーリング空軍基地の空軍法務部で今夜にはワイオミング州の州都シャイアンに飛ぶ予定だ。チャーリーが入って来て、レオが、もう少しだけ待ってほしい、とバートレットに言う。バートレットはウィルに席を明け渡して自分はオーヴァルオフィスへと戻っていく。ウィルが手馴れた手つきでカードを切る様子をCJとデビーがじっくりと眺めている。

オーヴァルオフィスには既に数人の軍関係者やアドバイザたちが待機しており、レオも結婚指輪をいじりながら待っている。そこにバートレットが戻ってきて状況を尋ねてくるが、カリーニングラードはロシアで唯一飛び地になっている州なので偵察機の回収任務をシゴーリンに知らせるだけで事は済むだろう、とレオは言う。それならシゴーリンがハワイがアメリカの一部でないとか、アルファベットをキリル文字に変えろとか言ってきたらどうするんだ、とバートレットが意地悪く尋ねる。レオも真剣には取り合わず、同じように意地悪く「その場合はどうするんだシーモア?」と室内の関係者に向かって返す。ロシアをスパイしているのではなくロシアのためにスパイしているのでやましくはないが、シゴーリンとの電話もホワイトハウス内のNGシーンになりそうだ。ここでレオがバートレットに二つの報告をする。マレーシアのクアラルンプールで爆破があった事とベルリンのブランデンバーグゲートを爆破しようとした容疑者を捕らえた。この二件に繋がりがあるかどうかはまだ分からないがとりあえず報告しておきたかったとレオは言う。

トビー、ラリー、CJが順番にチェックし、そこでデビーが50ドル賭けたためラリー、エド、ジョシュ、CJが降りる。金曜の夜のゲームでただ飯が食える事はないことを彼女(デビー)に証明してくださいよトビー、とたき付けるウィル。トビーはコールして勝負に出るがデビーの出したキングのストレートに惨敗する。笑い声が聞こえる中お金をかき集めるデビー。ウィルは今度こそ彼女を負かそうといきり立つが、CJがカードを渡してきたがポーカーに不必要なジョーカーなのでウィルはサッとCJの後ろのゴミ箱に飛ばし投げる。それを見たメンバー一同が沸き立ち、真似して今度はトビーが同じようにカードを見事放り投げてみせる。でも飛ばしたのはクラブの3なのでジョシュから必要なカードを飛ばすことないのに、と文句を垂れられる。ウィルが会見室の演壇からなら5列目まで飛ばすことが出来ると豪語するのを聞いてトビーが無理だと反発する。何ならこの52枚のカードで試してみましょうかとウィルが言うが、既にクラブの3も飛ばしたので51枚だよとジョシュが言うが二人は聞いていない。トビーはこのカード飛ばしで賭けを提案する。トビー、ウィル、ラリー、CJが立ち上がるのを見てデビーがゲームを続けようと言ったところにドナが入って来て、ルーズベルトルームで面接をする人が待っているとジョシュに言って彼をゲームの外に引っ張り出す。
ルーズベルトルームまで歩く途中、ドナがいつもの雑談を始める。これからジョシュが面接をする人をハンサムと言う人もいるかもしれないけど、私はハンサムだとは思わないわ。私がハンサムだと思うのはあなた一人だからね。でもあなたが彼を雇って他のスタッフが彼を見ても私は彼がハンサムだと思うことにしているから。もちろんあなたの方がよっぽどハンサムでパワフルだから彼がハンサムというのは嘘だけどね。・・・ジョシュは全く意味が分からないという感じでドナを見ている。君のユーモアのセンスって綱渡り級の危なっかしさだね、針を通そうとしているぐらい必死過ぎるよ、とジョシュ。その半分もあなたには通じないしね、とドナ。ジョシュはドナから面接者のプロファイルを受け取りルーズベルトルームに入る。ジョシュが座っていた男にへクターと声をかけるが相手はジョー・クインシーだと名乗り、渡されたプロファイルが別人のものであると知りすぐさま部屋の外に出てドナからジョー・クインシー本人のプロファイルを受け取る。ひょっとしてハンサムなのはヘクターの方なのかとジョシュは尋ねるが、ドナは中にいるジョーを指差して「彼よ!彼!彼!」と迫る。ジョシュは再び部屋の中に入ってジョー・クインシーと握手し、彼の面接に取り掛かる。名前はジョセフ・クインシーだがジョーと呼ぶ方が気楽でいいと言う。ジョシュは名前を聞いて少し笑う。というのも彼が面接に来た職に以前就いていた女性の名前はエインズリー・ヘイズで、彼女はとても魅力的な女性で、次も同じように魅力的で変わった名前の女性を探していたからだ。なのに今回男が来て名前はジョーときた。急にそう言われてもと言わんばかりに少し困惑するジョーを見てジョシュが話を続ける。ジョーがカリフォルニアのロースクールでMBAを取得(JD-MBA=Joint Degree, Master of Business Administration)していて、その後ニューヨーク市の運輸局で司法次官を務めていたことに言及する。ジョーはそこで住民のクレーム処理にあたっていた。歩道や地下鉄で転んだり、転んで改札口に頭をぶつけたりしたことに対するクレームなどだ。大学を出てすぐに法廷経験を積みたかったのでそこに勤めていたのだ。それから財務省の副法律顧問を経て法務次官のオフィスへと移った。しかしここでも政府の法務次官指名に伴ってスタッフを辞めている。これだけ渡り歩いているのにジョーと会ったことがない事にジョシュは驚く。そこにノックをしてレオがジョシュを外へと引っ張り出し、二人はジョーを部屋に残してルーズベルトルームを後にする。出る前にジョシュはジョーに質問表の一番下の質問SF-86が空欄になっているのでサインするように言う。
歩きながらレオは、大統領のゴーサインが出ればすぐにでもロシアとの電話回線を繋ぐ手筈を整える、とジョシュに言う。二人がオーヴァルオフィスへ入るとすぐ後に柱廊からバートレットも姿を表す。理想的なシナリオはシゴーリン大統領の許可を得た上でアメリカ側の人間によって機体を回収させる事だ、とレオがバートレットに報告する。バートレットも即座にシゴーリン大統領の立場になったつもりでレオに問い掛ける「しかし、大統領、我々にも素晴らしい捜索チームがいます。こちらで回収してお引渡ししましょう」。レオがバートレットの立場になって返す「シゴーリン大統領、申し出には非常に感謝していますが我々のUAVには自爆機能がついていますからうちの人間じゃないと解除の仕方が分からないでしょう」。「うちの人間」という部分に、ロシアの大統領にそんな言葉を使っていいものかどうかとバートレットが引っかかりを感じる。こう言ってはどうかとジョシュが提案する「このUAVはアメリカの航空宇宙会社による特許技術で作られたものなのでそれを守りたいのです」。そうすればシゴーリンに「私にもカリーニングラードを守る義務がありますので、一体全体このようなものを飛ばして何をされていたのですか?」と返されるだろう。複数の任務、例えば 通常の任務やバルト海沿岸の神職の様子を衛星写真に収めるといった任務のためとレオは説明する。環境のために行ったものだと言うわけだが実際の任務も環境に関わる事だ。だがそう言えば向こうもアメリカのコニーアイランド(ニューヨーク市沿岸の遊園地)の写真を要求してくるだろう。だがバルト海はスウェーデン、フィンランド、ドイツが共有している海であり、フィンランドの環境のための任務も実際に行っているのでそれを撮影するためだと言うところから始めてみてはどうか。バートレットもそれに同意し、シゴーリンとの電話を用意するように指示する。

-ACT TWO-
部屋を歩き回りながらセオドア・ルーズベルトのノーベル賞を見ているジョー。そこでドアが開き、ジョシュが戻ってくる。机の上にあるジョーへの質問表に相変わらずサインがされていないのを見てジョシュはもう一度軽くサインするよう言い、面接を再開する。ローレンス・ハーモンに引き抜かれて法務次官のオフィスから移った事を聞くと、今度はホワイトハウスのジュディ・ウェルズ、オリバー・バビッシュとそれぞれ話したかどうかを尋ねるジョシュ。ジョーは一昨日2,3時間話して、今朝も45分ほどバビッシュと話したと話す。その時の質問に心理状態に関する質問があったことを挙げて、A:悲しいと感じない、B:悲しく感じる、C:いつも悲しくて立ち直れない、D:悲しすぎて自殺したい、の中からジョーがAを選択した事について問い掛ける。それならこれまで一度も悲しく感じた事はないのか?もちろんそんなはずはなく、ジョーは、悲しくなる事もあるが質問を受けた時は悲しいと感じなかった、と答える。ジョシュもひとまず納得し、後1分ぐらいで終わると伝える。

トランプのカードを持って会見室へとやって来たトビー、ウィル、CJ。会見室は暗がりだが記者がまだ外にいるので鍵をかけるCJ。5列目まで飛ばせれば1ドル、6列目までなら5ドル、絵札なら6ドルとルールを設けてスタートしようとするがCJがまたもや卵の話をする。地球の反対側まで穴を掘ればそこはこちらと同じ気候のところに出る。ウィルにあり得ないと言われるがそれでも続けるCJ。これは鏡像異性体と言って、もしこれが本当だとすれば春分点の終わりに卵が立つ事だってあり得るはずだ、と主張するが目の前の賭け事に集中しているトビーにはどうでもいいらしく「できるわけがない」と言うばかりだ。それを言うなら5列目まで飛ばす事だってあり得ないわよ、と言って窓際に寄りかかり、二人の賭けを見守ろうとするCJ。同時に投げる事をトビーが提案し、ウィルがそれを受けて立ったところで突如銃声が響き渡る。一発目、二発目と鳴り、三発目はCJの後ろの窓に命中する。ウィルとトビーが急いでCJを床に倒して自らも身体を伏せて待つ。頭を持ち上げようとするCJを二人が再び身を伏せるように押し付け、銃声を聞きつけたシークレットサービスがなだれ込んでくる。シークレットサービスは一人俯いているCJの安否を確認し、ウィルが通りの向こうからこっちに向かって三発撃たれたとシークレットサービスに教える。トビーは大統領がオーヴァルオフィスにいるかどうか尋ねるがシークレットサービスはそれには答えずに早く外に出るように促し、何人かで窓の外を見る。

一方その頃、ロシアのシゴーリン大統領との電話を繋いで準備を整え終えたバートレットが通訳を介してシゴーリンに電話で一言目の挨拶を終えたその時、オーヴァルオフィスにシークレットサービスとマシンガンを携帯した特殊部隊員が入って来たのでバートレットはシゴーリンに「かけ直す」と言って電話を切る。ロシアへの電話をかけようとしていた時だけにレオも驚くが言われたとおりにする。指示通りに窓から離れたバートレットはシークレットサービスが窓とカーテンを次々と閉めている様子をじっと見つめている。そして、シークレットサービスが口にしたBambooという言葉がリムジンを指している事にバートレットが気付き、レオにそれを言ったところへ警護最高責任者のロン・バターフィールドが入って来る。ロンは大統領の身の安全をはっきりと確認し、室内にいる、通訳者も含めた全員の身元の確認がはっきりしている事を知る。三発の弾丸が通りから放たれ、その内の一発が会見室に命中した。ライフルを持った容疑者を武器共々確保したと報告する。バートレットは会見室にCJ、トビー、ウィルががいた事を知ってドアのほうへ歩いていこうとするがロンが彼らの無事を伝えてバートレットとレオを制止する。そのトビー、CJ、ウィルが息を切らせてオーヴァルオフィスへとやって来る。バートレットはトビーとCJに無事を確認し、ウィルに自分がジェスチャーしている指の数を尋ねる。ウィルは「ウィルって誰ですか?」と息を切らせて答えるが意識がしっかりしている事は見て取れる。バートレットが自分の警護責任者のロンをウィルに紹介すると、今度はレオが「ベイリー中尉」と言って、機密事項を取り扱う人間のみが今オーヴァルオフィス内にいる事を伝えてウィルを退席させる。バートレットは次にチャーリーの心配をする。ホワイトハウス館内で足止めされていることは確実だろうが、銃撃があったことを知れば何が何でも自分のところにやって来るだろうとバートレットは確信している。電話が鳴り響くのを聞いてレオが受話器の方へ向かっていくその時にチャーリーが息を切らせてオーヴァルオフィスに駆け込んでくる。チャーリーは周りを見渡しながらバートレットの方に歩いていく。バートレットは笑顔で、窓は防弾だから外からでは殺せない、とチャーリーに言うがチャーリーにはバートレットが元気そうに話しているだけで充分だ。トビーとCJの無事を確認してからチャーリーはオーヴァルオフィスの外へと歩いていく。それからバートレットは銃撃の事を知れば真っ先に飛んでくるであろうデビーをシークレットサービスが押さえていたことに驚く。そう言っているうちにデビーがレオのオフィスからやって来てバートレットとCJ、トビー、ウィルの無事とをそれぞれ確認する。その後ロンに警察への報告を任せ、数分後に血圧を測る旨をバートレットにこっそり伝えてから部屋を出る。デビーが部屋を出てからレオは、ロンに今日世界各地で起こったテロについて報告する。マレーシアとベルリンでのテロはバートレットも既に知っているが、新たにもう一ヶ所、グアムで事件が起こったと聞いてロンも初耳かのように耳を少し傾ける。レオによるとグアム島行政局のトップがスナイパーに撃たれたのだと言う。バートレットも驚き、それを聞いたロンは即座にホワイトハウスを封鎖(Crash)するよう周りのシークレットサービスに命令し、オーヴァルオフィスの外にいるデビーにも封鎖を命じる。デビーは即座に電話でオーヴァルオフィスから西棟を封鎖する指示を出す。ロンは机の下にある緊急用の赤い電話を素早く取り出し、電話に向かって「Nevada, bravo, three, three, one. ホワイトハウスを封鎖せよ」と命令する。

-ACT THREE-
CJは銃撃の件で電話を受けている。相手はおそらく今TVに映って銃撃についてニュースを発信しているMSNBCの局員だろう。そのCJの部屋には他にもキャロルと三人のスタッフがいて全員がそのニュースを見ている。MSNBCのリポーターは、男が数発撃った後にシークレットサービスと公園警備隊に取り押さえられ、目撃者によれば男はグラウンドに入ることなくホワイトハウスの窓に少なくとも一発命中させた、と言っている。CJはそのリポートについて、撃たれたのは数発ではなく三発で弾道検査もまだしておらず、改造したM-16を使用したとむやみやたらにTVで言わずに、内容に少し自信がない部分もあるためその部分についてはもう少し具体性を欠いた発言を電話の相手に求める。大統領はオーヴァルオフィスにいて、通常の封鎖手続きを始めたとも伝えると電話の相手から、大統領が何か面白い事を言っていたら教えて欲しいと言われ、CJはキャロルに確認する。キャロルは「4年間で2度だ。私はやっぱり恨まれているのか?」と答える。CJは、面白くはないけどそれでいきましょうと言う。

外の廊下でトビー、レオと話していたが、再びルーズベルトルームに戻ってきて「君は今夜いい時に来たね」とジョシュ。ジョーも何か起こったことに気付いて大丈夫かと尋ね、何が起こったのかも尋ねる。ジョシュはペンシルベニア通りからライフルで二、三発ホワイトハウスに向けて撃たれたと言う。幸いにも怪我人はいなかったが通常の手順に従ってホワイトハウスは今封鎖されているので今はホワイトハウスに出入りできない状態になっている。ジョーは先ほどジョシュと話していた時に銃声がかすかに聞こえたようだがまさか本当に撃たれたとは思っていなかったと言う。ジョシュはブラスアンサンブルの「The First Noel」(最初のクリスマスキャロル)が聞こえたので誰かがどこかで銃を装填してたのかもしれないと思っていたと話す。そんなジョシュにジョーは、共和党はジョシュのトラウマについての話を信じてはいないし、民主党は気にもしていない、と言う。ジョシュはしばらく間を置いた後、それを受け流して面接の続きに戻る前に今夜はいつまでいられるか尋ねる。ジョーは飛行機でなく次のシャトルに乗ることにすると言う。二人ともイスに座り、こういうことはよくあるのかとジョーが尋ねる。さすがにホワイトハウスが銃撃されたのはジョシュにとっても初めてだ。テロの可能性についてジョーが尋ねてくるがジョシュは曖昧な可能性しか示唆しない。もちろんジョーの言いたい事も分かった上でだ。ジョーは何らかの国家規模のテロに関係しているのではと思っているのだ。だが何故狙われたのかはジョシュにも本当に分からない、それどころか男かどうかもあまり情報を受け取っていない彼にしてみれば真実かどうか、というところだ。そこにドナがドアのガラスをノックしてきたのでジョシュはジョーに彼女と会ったか尋ねる。会っているとジョーが答えるとジョシュは外に出て行ってドナが自分のことをあれこれ心配していると察する。銃撃の際ドナは食堂にいたらしいが、ジョシュがずっとルーズベルトルームにいたと知ってドナも安心する。ドナは水を持ってこようとするがジョシュに止められる。次にドナは室内にいるジョーについての印象をジョシュに尋ねる。まだあまり話してないから分からないとは言うが何か引っかかりを感じているらしいジョシュ。

ジョシュ:彼は・・・資格も充分だし、それに服装も整ってて自信にも満ちている・・・

ドナ:でも?

ジョシュ:妙な感じがするんだよ。何て言うかその・・・一流の野球選手が初めて他のチームのロッカーに来ているかのような感じが。

ドナ:あなたが野球選手?

ジョシュ:彼が野球選手だよ。


よく分からないけど詩的な表現ね、とドナ。ドナが尋ねたから答えたのだがあまり分かってもらえなくて少しばつが悪そうなジョシュ。それに構わずにドナは、スタンリー・キーワース博士に電話して、後々ジョシュが電話するかもしれないと言うかもしれない、と言っておきましょうか、とジョシュに訊くがやはりジョシュはいらないと答える。ドナはとりあえずしばらくはホワイトハウスにいることを告げてからそこを去り、ジョシュも再び中に入る。面接の続きだがその前にジョシュは先の銃撃犯の話に絡めて今日も嫌な手紙をもらったという話をする。そこには「あなたは嘘ばかりつく嘘つきだ。バートレットと同じぐらいの嘘つきだ」と書かれていた。黒人、白人、金持ち、貧乏、北、南、奇数、偶数、もはや右翼が左翼に対する憎しみや左翼が右翼に対する侮蔑に勝るものはないかもしれない。ドナには昨日こんな手紙が届いた「僕は君らが禁止したありとあらゆる銃をかき集めているし、その銃一つ一つに対して君の名前が刻まれた弾丸をそれぞれ持っている」。この手紙の男は自分の怒りをドナに向けているわけだが、実際のところ、この男はドナと会ったり話したりしたこともなければ、ドナと会ったり話したりした事のある人と会った事すらない。どうしてそんな事を思えるんだろう?どうして彼女をそこまで憎めるんだろう?どうして彼女を好きになれないのだろう?彼女は都会から離れたウィスコンシンの出身なのに!・・・・・・途中からドナの話になって戸惑うジョーをよそにジョシュは別の話を続ける。ともかく、アメリカを狙った2万通もの脅迫状が毎年届くけど、別にこれは、ホワイトハウスが恐ろしい場所だと言っているんじゃないよ、とジョシュは言う。ジョーは、先ほどテロの事について尋ねたのは、ホワイトハウスが封鎖されたからだと言う。数時間内に何かあればそうした手順でホワイトハウスを封鎖するのだろう、と彼は思ったのだ。マレーシアでも爆弾テロ、ベルリンでも数時間前にテロが起こっている、とジョシュが言う。二人は再び座って面接を進める。どうせだからじっくり面接をしよう。

レオのオフィスにトビー、ウィルが戻ってきているが他のメンバーは解散している。トビーはキャンディを舐め、ウィルはTVを見つめ、CJが部屋に入って来る。TVのニュースではCJが9時23分にホワイトハウスで数発の銃撃があったとの声明を出したと言っている。当のCJはニュースなど無視して今だ卵の事についてトビーに話し掛けている。春分点に卵が立つのは太陽の重力と地球の重力がちょうど一直線になるからだと言う。トビーはうんざりしていると言わんばかりにため息をつきながら指で弧を描いて説明する。地球の中心から太陽の中心に向かって線を引けば地球上のどこかがその点に該当する事になる、と。そしてCJにそんなに言うなら卵を持ってやってみるといいと言う。だが今は春分点じゃないので出来ないとCJは言う。今度はその様子をずっと見ていたウィルが口を挟み、その瞬間がいつ来るのか尋ねる。さすがにCJも正確な時間を答えられずにたじろぐが、それでも地動説を唱えたガリレオの如く卵が立つのを見たから間違いないと主張する。ドナがやって来てポーカーを再開するかどうか尋ねたので、ウィルがエドとラリーを連れて来ると言って部屋を出て行く。今度はオーヴァルオフィスからレオが入って来て、ジョシュにもう一度準備が出来たと伝えるようドナに言う。ウィルもレオもドナも退出して二人だけになったトビーはもう一人残ったCJの方をずっと見つめている。CJは、今度は月の一日と一年が同じだと知っていたかどうかトビーに尋ねる。あぁ、と退屈そうにトビーが答える。会見室での私の反射神経、ネコのようだったわ、と自分で言うCJ。さすがのトビーも今度は無言だ。

オーヴァルオフィスでは再びシゴーリン大統領との電話回線を繋ぐ用意が完了し、通訳者がクレムリンとの回線が繋がった事をバートレットに伝えた後にジョシュが入って来る。バートレットは再びポーカーを始めたのかをジョシュに尋ねる。もう一度ゲームが始まった事を聞いてから、バートレットはシゴーリンとの電話に再び臨む。軽く挨拶してから、先ほど早々と電話を切った理由をCNNで確認してもらえたらと言う。シゴーリンもニュースでホワイトハウスが銃撃に遭ったのを知ったようで、誰も怪我人が出なかったことでホッとしたようだ。バートレットは、ホワイトハウスの封鎖といっても機能の全てをストップさせるわけではなく、シチュエーションルームはちゃんと動いていると言うが、これを聞いたレオはそうした事は話さない方がいいと言わんばかりの様子でバートレットを見る。バートレットも少し言い過ぎた事を反省しているジェスチャーをレオに示してから本題に入る。数時間前に無人のB-UAVがカリーニングラード内に墜落した。応答が無く、原因はおそらく急激なな天候の変化によって落ちたものだと思われる。シゴーリンはカリーニングラードでの軍事活動の報告は受けてはいないと言う。バートレットは先ほどの打ち合わせどおり、UAV(無人偵察機)なのでバルト海沿岸の侵食の様子を衛星写真に収めていた、と話す。フィンランドもこの事を知っているのでこちらとしてはそれを回収するために特別戦術チームを編成して、ボルサコヴァの西10Kmの地点に派遣したい。しばらく間を置いてからシゴーリンが答える。我々もあなたと同じように環境問題を重視している、と。バートレットが聞き返すともう一度同じ言葉に返されたので通訳者に訳が正しいのかどうか確認する。訳が正確だと言うので話を続ける。あなたも環境問題に取り組んでいるのならバルト海沿岸の侵食は気になるでしょう、とバートレット。するとシゴーリンは、再び間を置いてから、UAVで撮影した侵食の様子を写した写真を見せて欲しいと言ってくる。だが問題があって、UAVには自爆機能が付いているからこちらの人間じゃないと解除が出来ないだろうからあなたたちにはリスクが大きいはずです、とあくまでも打ち合わせどおりに伝える。それなら、とシゴーリンは、そちらの専門家からうちの人間に解除の仕方を教えて欲しい、と言う。それに対して極秘技術が絡んでいるんです、ピーター、と答えるバートレット。さすがにシゴーリンも海岸侵食の撮影に何故そのような技術が絡んでいるのか疑問を口にする。そしてバートレットが次のセリフを口にした瞬間、情報局の人間と相談するために中断してもいいかと尋ねられる。断る理由が無いバートレット。電話は切られ、この手はもう通じない、とバートレットは口にする。

-ACT FOUR-
チャーリーがレオの部屋から外の様子を一人窺う中、他のスタッフは再びポーカーゲームに興じているところだ。エドが札を配っているCJにワイルドカード(ジョーカーなどの万能札)があるかどうかを尋ねるがそれを知るのはディーラーだけの特権だ。4はブタ、6はストレートかも、ハートはフラッシュかも、ジャックはブタ、そして自分の札にきた10のペアで10ドル賭けるCJ。すると、今日銃撃があったばかりなのにポーカーでディーラーを務めるCJに、ラリーが口を開く。

ラリー:ところで君ってさ、4年間で2度撃たれた人たちの中では一番楽天的だよね。

CJ:私が?

トビー:そうだな。

CJ:信じているからよ、皆さん。

トビー:信じる?

CJ:信仰の本質とは、目に見えないものが存在する(Evidence of Things Not Seen)と望む事
(新約聖書の一文)よ。

トビー:あぁ、だがラリーが訊きたいのは・・・10ドル上乗せする。ラリーが言いたいのは、君が、世界がフラフープのごとく破滅との道を行き来していると考えているのに何故今夜に限ってはそうじゃないと考えているのかということだ?

CJ:2回も銃撃を受けたのよ。gefilte fish
(ユダヤ料理)でも食べる?

トビー:スージークリームチーズを付けてな。でも典礼書
(ユダヤ人が過越(すぎこし)の祭りの祝宴に用いる書物)まで持ち出すのはやめたほうがいいぞ。

スープの清め方まで知ってるわよ、と言いながら10ドルレイズするCJ。エドが降り、残るはCJ対トビーの一騎打ちとなった。ところで何に対する信仰なんだ、とトビーが尋ねてくる。「私たちよ」。それはこの部屋にいるポーカーのメンバーではなくもっと多くの人たちのことだとCJは言う。ここでラリーがウィルにフライトに乗り遅れないかどうか確認してくる。軍のフライトだから12時30分までに離陸する事は絶対にないとウィルは断言する。トビーは何故ウィルがフライトでコロラド州シャイアンに行くのかを尋ねる。すると、ウィルの空軍仲間が、2,3時間前に起こった事を調査するために彼を派遣したのだとウィルは話す。何が起こったのか?ウィルはそれを声に出して言ってしまうと皆が暗くなってしまうから、とあまり言いたがらないがトビーがしつこく尋ねてくるので仕方なく事情を話す。二人の兵士が、北朝鮮から発射されたと思われる大陸間弾道ミサイルの到着地点にロケットを発射して迎撃せよという命令に背いたのだ。結果的には応戦しなくて良かった。それは北朝鮮から飛んできたのではなく隕石だったのだから・・・―地球外から降ってきた。宇宙か、と言ってトビーは笑い、さらに詳しく何が起こったのかを話すよう促す。

ウィル:ミニットマン・スリーの施設の二人のミサイル発射担当官がアメリカに飛来する信号を拾ったんです。速度、弧状、軌道からそれがコネチカット州のニューロンドンに向かっていると分かったんです。

トビー:北朝鮮からか。

ウィル:はい。

トビー:彼らは現時点で北朝鮮が何故アメリカ東海岸を攻撃する必要があるのかを考えなかったのか?

ウィル:そのミサイル施設からの写しにも、その時の驚きぶりが記されていますよ。

トビー:だろうな。

ウィル:基地は既に防衛準備態勢がデルタ(DEFCON4?)に入っていたので、ミサイル発射担当官がレスポンスコードのオライオンを開始したんです。つまり、武装させた50人のミニットマン兵士に命令を下すための最初のステップをね。

トビー:ニューロンドンに何があるんだ?

ウィル:トライデント。

トビー:ゴム製の槍?

ウィル:原子力潜水艦の事です。

トビー:50人も武装したのにその中の誰もおかしいと気付かなかったのか?

ウィル:その二人が気付いたんです。ミサイル発射の準備に二分の空白が出来ましたが結局ミサイルではなく隕石だと判明しました。しかし、エアボーンのミサイル発射管制官やシャイアンのマウンテン戦術司令部と話していくうちに二人は厄介な立場に追い込まれることになったんです。これがミサイル防衛の実情です。こうした無駄な事に時間を費やすんです。

トビー:それでそれを調査するために軍が弁護士チームを行かせるのか。

ウィル:はい、でも僕たちもケンカ好きですから。

トビー:
(笑う)。空から隕石が降ってきたその結果二人の兵士が軍法会議にかけられる事になるのか。北朝鮮が、サンディエゴやハワイのではなく、コネチカットの原子力潜水艦を攻撃するのは変だと気付いたのはその二人だけなのに。それで、それがもし本当の攻撃だったらどうなる?空軍はNORAD(North American Aerospace Defense Command=北米航空宇宙防衛軍)といつまでも議論し続けるつもりだったのか?

ウィルは肩をすくめて黙って聞いている。この国には物理的にも人間的な水準の両面で問題がある。だから何を信じているのかもう一度言ってくれ、とトビーがCJに尋ねる。CJが信じるのは「私たち」。ウィルは忙しい中彼らを守るためにワイオミングに行こうとしているし人間的な面で問題があるとは思えないからだ。トビーは少し止まってから自信を持ってエースのフラッシュを出して金を巻き上げようとするが、CJが10とクイーンのフルハウスで対抗してきたので負けてしまう。

その時、座って窓の外をずっと見ていたチャーリーが突然立ち上がり、ゾーイが柱廊を歩いて来るのが見えたと言ってレオの部屋を出て、自分の部屋に本を置いて自分も柱廊に出る。そこでばったりゾーイと出くわしたフリをするチャーリー。ゾーイはホワイトハウスが封鎖されたので足止めを食らい、数分前に移動を許可され、そして今チャーリーを心配しにこうしに様子を見にきたのだという。チャーリーはそれを復縁の示唆のように受け取って強がって見せるがゾーイの本心は変わらず、チャーリーが中へ通そうとしても入ろうとしない。それに卒業試験を明日に控えて勉強しているところなのだ。試験は明日だが二週間後には卒業する事になっている。早くも大学を卒業する、その点に関してのみゾーイはチャーリーに心から同意する。自分でもこれほど早く時が過ぎ去るとは思わなかったのだろう。その雰囲気を先に破ったのはチャーリーだ。彼はゾーイが付き合っているジャン・ポールをシェフ・ボヤ―ディ(Chef Boyardee)にたとえて彼がまだ恋人なのかどうか尋ねる。今夜ばかりはゾーイもケンカすることなくチャーリーと話が出来ると思っていただけに彼の自分の恋人をけなす態度に呆れる。だがチャーリーも今回は自分が個人的に狙われたわけではないからこそまだ元気があるのだ。だがその先を話そうとする彼を遮ってゾーイが唐突に卒業後に三ヶ月間もとい十二週間フランスに行く事を告げる。決心したのは二日前で、ジャン・ポールの家族がアビニョン(フランス)の近くに中程度の大きさのブドウ農場を持っているのだと言う。そこは記者もいなければ政治も無い、まさにゾーイの望む土地なのだ。チャーリーは何故ジャン・ポールと行くのか分からないと言う。ゾーイはそれについては言うまでもないし、それでなくてもチャーリーの方も別れてから何人もの女性と付き合っていた事を持ち出す。ゾーイの知っているいろんな町の大学の生徒から話が入って来る。だからチャーリーが誰と付き合うとも黙って知らないフリをする「サポート」を続けていたのだとゾーイは言う。チャーリーは今までゾーイが気付いていたのに黙っていた事に腹を立て、ジョージワシントン、ジョージタウン、アメリカン、カトリックのそれぞれの大学の学生から、情報部が情報源を集めるかのようにして自分の情報が漏れていたのを黙っていたことでゾーイを責める。大学はそれだけではないらしくゾーイはヴァージニアとジョンズホプキンスの大学の生徒もそれに加わって話の的にしやすいチャーリーの事を皆が噂していたと言う。

ゾーイ:嫌でもそうした情報が耳に入ってくるのよ。私にどうしろと言うの?

チャーリー:ジャン・ポールとフランスへ行って欲しくない。

ゾーイ:どうしてそこまで彼を好きになれないの?

チャーリー:分かるだろ・・・。

ゾーイ:私、ホワイトハウスにもう4年も住んできたの。4年間は候補者の娘として、8年間は知事の娘として暮らしてきたし私の成績も男友達の事も新聞に載っているわ。私の人生は両親の成功と失敗に左右されているの。あなたもそうでしょ。むしろ私よりも振り回されているじゃない。でもジャン・ポールは違うわ。彼は陽気で・・・・・・そう、楽しいの。

チャーリー:あいつは500万ドルの資産があって自制心が無いからだろ。

ゾーイ:違うわ。彼もちゃんと考えてるのよ。私のこともね。でも政治のことは考えてない、それが今の私には魅力なの。

それなら分かる気がするよ、とチャーリーも初めてゾーイの新しい彼の選択に理解を示す。そしてゾーイも勉強のために帰っていく、最後に二度目の銃撃があった事を気遣ってから。ありがとう、とチャーリー。

オーヴァルオフィスではシゴーリン大統領への説得が難航している。バートレットは受話器の送話口に手を当てて、シゴーリンに声を荒げられっぱなしでうんざりだといった様子をレオに見せる。国のレーダーに、アメリカの言う地域で未だにUAVを捉えられない、とシゴーリンが言う。それにはバートレットに代わりレオが答える。UAVは軍のレーダーより低い位置を飛行するよう設計されているからで、それによって写真の精度も高まるからだ。だが目的地がバルト海沿岸だという話までは、情報部との話し合いを持ったシゴーリンも鵜呑みにはしない。今度はレオに怒鳴っている、と室内の将軍に向かって言うバートレット。ともかく、本当にバルト海沿岸を撮影するために飛んでいたのなら、台風ほどの劇的な天候変化が無い限りはカリーニングラードに落ちたりはしないはずだというのがシゴーリンの見方だ。さらにシゴーリンはUAVの捜索に専門家を擁した救出チームを向かわせたと言う。バートレットとレオは即座にやめるよう求める。

レオ:チームの派遣はやめてください、大統領。我々はロシアの領空を飛んでおりません。

シゴーリン
(通訳):カリーニングラードはロシアの領空です、レオ。それにUAVを発見の手助けをするために既に救出チームを10Km西に派遣しました。

レオ:ならすぐに見つけられるでしょう。5分もすれば私が大統領にUAVを爆破するよう進言しますので。

シゴーリン
(通訳):お好きにどうぞ。

バートレット:カリーニングラードの写真を取っていたんです。

レオをはじめ室内の全員が驚きの様子でバートレットを見る。シゴーリンも驚いている様子だ。

シゴーリン(通訳):もう一度言って下さい。

バートレット:カリーニングラードの写真を取っていたんです。ブラックマーケットで取引される核物質が貯蔵所の裏口からトラックに積み込まれるその現場の写真を取っていたんです。核物質は非政府団体に売却されるので我々が探していたのです。失業した技術者や軍事サイエンティスト、そして元KGB。これらはロシアにとっても大問題だがアメリカにとっても大問題だ。なのにそちらが動こうとしないから我々がカリーニングラードの写真を取っていたんです。我々はお互いを信用するべきでしょう、ピーター。写真はお見せしますがそれを撮影するために用いた偵察技術は明かせません。我々はお互いを信用するべきです。この二つの国は世界を破滅から守るためにこのような会話を60年も続けてきた。もういい加減にやめるべきでしょう

間を置いてシゴーリンも「分かりました」と言い、バートレットは電話を切る。レオはバートレットの説得に心から感心する。私なら「ロシアをスパイしていたのではなくロシアのためにスパイしていたんです」と言っていただろう、とレオは言う。ともかく、もう一度向こうから電話が来たら取引をする事になるだろうからそれまでの間ポーカーの席に戻る事にしよう。

ルーズベルトルームのドアを叩いてジョシュを外に呼ぶドナ。ジョシュは、ドナがジョーに会いたがっているから来たと思っていたが、ドナはジョシュのかかりつけの医師であるスタンリー・キーワース博士にいつでも連絡が取れる事を伝えに来たのだ。何かあったらジョシュから電話するかもしれない、と。実際のところジョシュにそのつもりはないがドナが気を利かせてくれたのだ。そんな事にはならないだろうし、それよりも今面接しているジョーは資格も態度も充分だけど何かがおかしい、とジョシュは言う。だが少し間を置いた後何かに気付き、ドナを連れて中に戻る。二人が部屋に入ってきたのを見てジョーも立ち上がり、ジョシュからドナの紹介を軽く受ける。封鎖のおかげでじっくり面接を受けられる、とドナに答えるジョー。

ジョシュ:そうだね。彼の名前についても聞いたし、ニューヨークシティの運輸局の事も聞いた。それに大都市や雇用、最低賃金、公立学校、海外援助、いわゆる民主党の泣き所は全部話したのに今まで肝心な事を聞くのをすっかり忘れていたよ。民主党の党員資格は持ってる?

ジョー:いえ。

ジョシュ:党に所属していないってこと?

ジョー:いえ。

ジョシュ:でも党の資格は持っている?

ジョー:はい。

ジョシュ:共和党員だろ。

ジョー:そうです!

ジョシュ:やっぱり!

ドナ:
(ジョーに)ジョー、いいのよ。(ジョシュに)エインズリ―・ヘイズも共和党員だったじゃない。

ジョシュ:いや、よくないよ。

ドナ:どうして?

ジョシュ:共和党員ならエインズリ―・ヘイズと同じぐらいに見てくれがよくないと!

ドナ:素敵じゃない!・・・・・・タイプじゃないけど。


でもそれなら何故自分の党のために働こうとはしないのか?ジョーは、法務次官宛てのメモに、選挙への政治献金を規制する規定を連邦最高裁は支持するべきだと書いたため、全国委員会のメンバーに睨まれることになり、党のために働く事も出来なくなったと話す。そういう事をすると共和党(Grand Old Party)では危険視されるだろうね、とジョシュ。民主党で言えば中絶に反対するようなものだ。

ジョシュ:何故ここで働きたいの?民間企業に勤める気はないの?

ジョー:ニューヨークへ行くつもりです。

ジョシュ:他にも面接の予定があるの?

ジョー:デベボェズ・アンド・プリンプトン事務所の最終面接が残っています。

ジョシュ:僕の父が共同経営者だった事務所だ。

ジョー:知っています。

ジョシュ:あそこなら年収22万5千ドルはいくだろうね。こっちは滑り止め?

ジョー:あっちが滑り止めです。

ジョシュ:どうしてここで働きたいの?

ジョー:政府のために仕事がしたいんです。それならもうここしか残っていません。

ジョシュ:質問表にサインしなかったのはどうして?

ジョー:できないからです。

ジョシュ:嘘をついたの?

ジョー:はい。

ジョシュ:どの質問?

ジョー:75番、「今まで大統領に不利になるような事をしましたか?」。

ジョシュ:何したの?

ジョー:投票しなかった。

ドナ:この人本当にいい人ね。・・・・・・
(ジョシュの視線を受けて)タイプじゃないけど。

ジョシュは最後の確認をする。金曜の夜に銃撃を受けるようなところだけど本当にここで働きたいのか?ジョーの考えは変わらない。その堂々とした返答に、ジョシュもレオに推薦する事を約束する。

レオのオフィスではレオとバートレットが傍観者としてポーカーに加わっている。全員にコールされそうだから何とかしろ、とデビーに言うバートレット。デビーが50ドル出すと全員がため息をついて次々と抜けていき、バートレットが微笑む。そのバートレットはティッシュ並の薄さのパストラミをレオに確認する。そこにナンシーが入って来てシゴーリンから電話が入ったと伝える。バートレットとレオは席を外し、レオのパソコンをいじっていたウィルがCJに卵が立つ話は迷信だと言う。インターネットで「春分点」と「卵」で検索をかけていたところ「ThingsThatAreWrong.com」がヒットし、そこには「これは馬鹿げた話の一つだが未だに信じている人が後を立たない」と書かれているのを目にするCJ。他にも発信元が疑わしいと思われる話についてのサイトなどへのリンクが張っているとウィルが言う。CJがウィルに確認したところ、卵の話を支持するサイトは無いと言う。それなら、とトビーが、インターネットでも誰もその存在を信じていないんだからそろそろ見間違いかもしれないと認めればどうだ、と問い掛けてくる。それでも頑なに「見た」と言い張るCJにいよいよ全員が呆れかえる。見たと思い込みたいだけじゃないの、とラリー。そこにロンが入って来て封鎖が解除になった旨を知らせてくる。逮捕した男はテロ組織の陰謀などとは関係なく、自殺願望の男なのだと言う。警護間に撃ち殺されたがったがために発砲してきたのだと言う。とにかく、協力をありがとうと言ってロンは部屋を出る。ウィルもそろそろアンドリュース空軍基地へと向かう時間らしい。 気をつけてな、とトビー。エドは金をチェックして誰か乗って帰らないか尋ねるがラリーは自分で帰ると言う。デビーも自分で金を数えて退出し、後にはCJとトビーが残る。トビーもコートを持って出て行こうとするがCJにまだ帰らないのかと尋ねる。CJはもうしばらく残って記者たちに封鎖が解除になった事を知らせたいのだと言う。トビーもまた翌朝と言って部屋を出て行き、CJがふと時計を見上げるとちょうど夜の0時を指していた。CJは、トビーがエドと話しているのが聞こえる中、再びテーブルに座って神経を集中させて卵を立たせようと試みる。卵を持って机の上に沿え、固定していた手を静かに放すと・・・・・・立った。卵から目を離さずにCJは微笑みながら皆を呼ぼうと声をかける。

-END-
Starring
Main Cast
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Joshua Malina as Will Bailey
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Michael O'Neill as Ron Butterfield
Elisabeth Moss as Zoey Bartlet
Lily Tomlin as Debbie Federer
Matthew Perry as Joe Quincy
Peter James Smith as Ed
William Duffy as Larry
Bradley James as Donnie
Penny Griego as news anchor
Robert Beuth as translator
Melissa Fitzgerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret



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