THE WEST WING
4-22:
E P I S O D E # 89
2006/03/07 on NHK
COMMENCEMENT
(卒業式)
-STORY-
数年間ニューヨークに潜伏しているのを監視していたクマーの幹部五人が同時に失踪すると同時にポートランドに不審船が入港しようという情報が入ってきたのを受けて、警戒態勢を敷くよう命じるバートレット。一方、ダニーはついにアメリカによるシャリーフ暗殺の手がかりを掴むが、警戒態勢が上がったという知らせをレオとCJから聞いて、大統領との独占取材を条件に記事を三日間差し止める事を約束する。
ゾーイが卒業するジョージタウン大学の卒業式当日に、入学前に彼女と国立公園にシャンパンを埋めたことを思い出したチャーリーは、副大統領候補選びに忙しいジョシュと一緒に卒業式の晩にそのシャンパンを取りに行く。だがそこには既にゾーイが待っていた。次の日にフランスへ行く事になっている彼女は、今抱えている不安をチャーリーに話す。
フランスへ行くゾーイの護衛の責任者に新たに任命されたウェスリー・デイビス。卒業式の夜、早速クラブのパーティーに行く彼女の護衛にあたるが・・・。

WRITERAARON SORKIN
DIRECTORALEX GRAVES

US TRANSMISSION DATE
7 May 2003
JP TRANSMISSION DATE
7 March 2006
-TITLE'S MEANING-
Zoey graduates.

-EPISODE OUTLINE-
Zoey kidnapped.

-QUOTING-
1, Well, it's been said that I have a pleasant speaking voice and oratorical style.

2, Okay, well, let me ask you this. Would you consider instead of living in France with your boyfriend for three months, staying here, living in your room, being a candy striper, or surfer?

3, Before I forget, if something comes up and you're faced with the choice of killing the boyfriend or not killing the boyfriend -- kill the boyfriend.

4, Well, if it turns out we closed the Port of Portland because of a typo, it's only going to fuel Margaret's insanity.



INTO THE MAIN TITLE:★★★★☆

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-TEASER-
ジョシュのオフィスで流れているTVのニュースではホインズの辞任騒動についてアナウンサーがコメントしている。画面に映っているタイトルは「ホインズ:政界への別れ」(Hoynes: Farewell to Politics)で、TVの音は消音に近いほど小さいが、かろうじて聞こえる声を拾うと、ホインズの辞任から五日(土曜日)が経ち、ホワイトハウスのスタッフが未だに後任探しを続けている、と報道している事が分かる。ジョシュの机の上は今正に後任を選ぶための資料が山積みになっていて、クリップボードには数名の民主党上院議員の写真と名前の付いた札が貼られている。その内の写真の札の一枚には「デジョイ上院議員」(SEN. DeJoie)という文字が記されている。現職の上院議員から後任を探そうとしているのは明らかで、手には「上院議員」、「出生記録」といったファイルを持っている。ファイルを手放したかと思えばある書類には「本命ではない」(Not Really)と書いたり、議会で100人の上院議員が座る位置、党、名前と選出州がそれぞれ記された議会地図を広げてユタ州選出の民主党議員に×印をつける。と、そこにチャーリーが私服でやって来てジョシュに5年前に用意していた副大統領候補の調査ファイルがまだあるかどうか尋ねる。が、ジョシュが答える前にチャーリーはクリップボードの方を向いて、マッケナ議員に×印が付いているのを見てジョシュに確認する。健康面に問題があるとジョシュは言う。チャーリーがライアン・リンデル議員を推す。ジョシュも大統領もリンデル議員のファンではあるが下院議長に嫌われているから議会での承認が取れないだろう。ジョシュによればリンデル議員は家の裏庭にアジア風の庭を作ろうとしていて下院議長がそれを嫌っているのだそうだ。アジア風の庭という言葉を聞いたチャーリーはポケットに手を入れてある事を思い出したと言う。昨日財布から落ちてきたメモに「5/7 10 P.M. 山芍薬(やましゃくやく)と竹」と書かれていた。奇しくもそれが両方ともアジア系の庭にフィットしていたもので、何のメモかという記憶がチャーリーに蘇ってきたのだ。これは森林公園にあるこの二つの花の間にある物を指しているのだ。ドナのデスクにあるファイルを取りに行って戻ってくるジョシュについて行きながらチャーリーがいきさつを話す。このメモは三年半前、ちょうどゾーイが大学へ通い始めた時に書いたものだ。14ドルのシャンパンボトルと一緒に公園に埋めて彼女が卒業する時に掘り起こして一緒に飲もうと決めたのだ。ジョシュはチャーリーが国立の森林公園にシャンパンを見つからずにちゃんと埋めることができた事に驚く。それに日付の5月7日は今日この日だ。それを知ったジョシュはチャーリーに是非ボトルを掘り返すよう勧めるが、ゾーイにはっきりとフラれたチャーリーは消極的だ。

チャーリー:彼女は明日あの偽善者とフランスへ行くのにそれじゃ14ドルがもったいないですよ。

ジョシュ:いや友人として、卒業プレゼントとして彼女にあげるんだよ。今夜のパーティーで彼女にシャンパンをあげれば君が怒っているとは彼女ももう思わないだろうし。

チャーリー:怒ってますよ。

ジョシュ:そうだけどそれは彼女が悪いわけじゃないししばらく離れるんだから。まぁ・・・今のは忘れて。それよりもちょっといいかな。ここだけの話だけど・・・別に僕は昇進を狙っているわけじゃないけど、でも・・・ここだけの話、副大統領候補にこの人選はどうかな?


そう言ってジョシュは新聞から切り取った写真をクリップボードに貼り付けてチャーリーに見せる。

チャーリー:副大統領候補の調査ファイルあります?

そう言って最初の用件を思い出してジョシュからファイルを手渡され、部屋を後にするチャーリー。

ジョシュ:じゃぁね。

そう言いながらジョシュの目線はずっとその写真に焦点を当てている。そこには手を振っているバートレットと、彼の後について歩いているレオの姿があった。

-ACT ONE-
シチュエーションルームでナンシーから新たな報告を受けるバートレット。FBIがサクラメントでテロリストが借りていると思われているバンが乗り捨てられているのを発見した。ナンシーはバートレットに脅威見積もり(Threat Condition)を上から二番目のブラボーに上げる事を薦める。最低でも空港と湾口の警備だけは増強するべきだろう。北西の海洋で激しいどしゃ降りが起こっている(=テロの意味)として警備を増強すると言えば問題は無いだろうが、バートレットはこれには、FBIがテロリストのメンバーを逃した言い訳も少し含まれていると考える。そう、五人のテロリストが行方不明になったのだ。状況を理解したバートレットはナンシーの薦めどおりに脅威見積もりをブラボーに上げるよう指示し、レオと二人でまた戻ってくると皆に言う。

エイミーがドナのところまで行って、ファーストレディがドナに、メアリー、フレッド両ウェリントン夫妻がこちらに向かっているそうだから彼らと話し合って欲しい、と伝える。引き受けたドナに、ところで、と別の事を話し始めるエイミー。今朝ジョシュが自分の元に来て副大統領の六人の候補者リストを見せてくれて「ワオ!これは棚ぼたね」と言ったのだが、ジョシュの反応が静まりかえっていて、彼が去った後すぐにピンと来た。もしかするとジョシュは、副大統領候補が素晴らしいからホインズ前副大統領が辞任したのは喜ばしい事だと彼女が言ったように聞こえてしまったのかもしれないのだ。ジョシュはその事について何か言っていただろうか?いいえ、とドナ。もちろんエイミーもホインズの辞任を残念に思っている。ドナは淡々とウェリントンの事はジョシュに言っておく、とエイミーに伝える。

オーヴァルオフィスの外で鉢合わせるトビーとCJ。CJがトビーに「今日は大きな日ね、神経質になっている?」と聞くと、トビーは何故その事を知っているんだと返す。最初トビーは大統領に呼ばれていることについて話しているのかと思ったが、すぐに、そうではなく、自分がアンディのために家を買う事について言っているのだと気付く。しかし何故CJが知っているのだろう?するとウィルがやって来る。彼はやっと大統領にスピーチの手伝いを頼まれるのかと思いワクワクしているがトビーには卒業式のスピーチの話でないことだけは分かっている。今集まっているのは三人だが、大統領が日曜の朝8時に我々四人を呼んで卒業式のスピーチを書かせるわけがない。するとウィルも今日トビーが家をアンディに家をプレゼントする日である事を思い出し、トビーが今日は別のことでナーバスになっていると言ったのを聞いてすかさず「今日は大きな日ですね」と言う。CJもウィルも家の事を知っているのを聞いたトビーは、今到着したばかりのジョシュに皆に喋ったのはおまえだなと問い詰める。ジョシュはあっさり認めるどころかこんな良い事ならすぐにでも皆に広げた方がいいとすら言う。そしてチャーリーがオーヴァルオフィスからやって来て四人を中に入れる。
バートレットは今電話に出ているから、レオが四人と挨拶する。レオはトビーにアンディの出産について尋ねる。トビーは十日もすれば好きな日に産む事が出来ると言う。出産予定日を選べる事にレオは驚き、それなら金曜日にすべきだと提案する。そうすれば週末を子供たちと一緒に過ごす事が出来るだろう。レオなら今日にも病院でチェックさせるだろう。マロリーが産まれた時はロングアイランドの高速の322番出口の辺りだったと言う。するとバートレットも電話を終えて四人とレオの方へと歩いて来て唐突に切り出す。

バートレット:まぁ聞いてくれ。今さらこんな事を聞いても誰も驚かんとは思うが、去年の5月私はアブドゥル・シャリーフの殺害を特殊戦術チームに命じて彼らがそれを実行し、皆が既に聞いているように彼が生きているように見せかけた

レオ:話を中断した方がいいか?

ジョシュ:いえ。

レオ:誰か時間が欲しいか?

トビー:いいえ。

CJ:いいえ。

レオ:この計画の詳細を知っているのはフィッツウォレス、ナンシー、ベリーヒル、バビッシュ、司法長官、そしてあと数人だけだ。8人組にも知らせた。シャリーフは罪を犯し、脅威となった。例えば、彼がゴールデンゲートブリッジを爆破しようとしたのを我々が止めたことなどもそうだ。アメリカの法は破っているのか?「いいや」。国際法は破っているか?「かもしれん」。

バートレット:(レオに)な、我々がシャリーフを殺したと言っても何でもないだろ。君ももうあと5分か10分は喋れるぞ。

CJ:大統領・・・

バートレット:何だ?

CJ:何故今朝言おうと思われたんですか?


脅威見積もりをブラボーに引き上げるよう命じたからだ、とバートレット。それで今週末は警備を強化する事にした。CJは何が脅威なのかを尋ねる。北西の海洋でどしゃ降りが降っている(=テロが起きる可能性がある)からなんだよ、とバートレットが言う。そのバートレットの言葉に冗談で乗っかかるウィル。専門家が既に分析している事によれば、実際、今北西の海洋で雨が降っています。辺りはほんの一瞬シーンとなり、トビーがウィルの顔を覗き込む。ウィルは「やってしまった」というような顔をしている。すぐさまレオが話を元に戻し、2,3年前からアメリカはセントラルニューヨークに潜伏しているテロ組織バヒーのメンバー五人を監視していたが、昨夜その後人が一斉に消え、見失ってしまったのだ。ジョシュはその五人がシャリーフの報復に出る可能性があるかもしれないと考える。それよりもスケネクタディ(ニューヨーク州中東部の工業都市)にいる五人のクマー人偏狂者たちがどうやったら一斉に消える事が出来るのだろうか?我々も驚いているよ、とレオ。他に質問は無いかと聞くと、ウィルがどうやってシャリーフの乗る機体を着陸させたのかと尋ねてくるのでそれを無視してレオはミーティングを解散する。四人が出て行こうとする際にバートレットが思い出したかのようにトビーに、アンディの出産祝いにトビーが家を買った事を喜ぶ。キスしようとするがそれはトビーに遠慮される。そうしてウィル以外の三人が部屋を出て行くがウィルだけはまだ残っている。ウィルはバートレットの娘ゾーイのジョージタウン大学の卒業式でのスピーチ作りを買って出る。バートレットは助けは要らないと最初言うがすぐに意見を翻してウィルに原稿を頼む。ウィルは喜び、早速手直しのために原稿を見せてくれるよう頼むが何と原稿はまだ全く無いのだと言う。私はアドリブで喋るのが得意なんだがね、とバートレット。ウィルはまだ原稿が用意されてないことに驚く。それはそうだ。卒業式は本日午後4時から始まるからだ。だがバートレットとしては原稿を書く前にフランスへ行くゾーイの護衛官たちと会わなければならない。護衛官たちは全員フランス語も話すことが出来る。別に護衛能力に関係があるわけではないがフランスへ行くならフランス語が出来ている人間の方がいいだろう、とのことだ。そうですね、とウィル。原稿についてバートレットは独創性について語りたいと思っていたからその点を考慮に入れて書き始めてくれるよう頼む。

北西部のロビーでゾーイの警備担当責任者のウェスリー・デイビスとたまたま顔を合わせるジョシュ。二人は知り合いのようで気軽に話し合う。ウェスリーはゾーイのパパラッチ対策の護衛として明日の朝から3ヶ月間フランスへ行く事になっている。プロのウェスリーにとっては朝飯前の仕事だ。

ジョシュ:それでシークレットサービスの訓練だけど、町や田舎で見知らぬ人がゾーイの顔に近づいてきたらどうするように教えられるの?

ウェスリー:分かっていると思うけど理由をつけて君を殺す事も出来るんだよ、ジョシュ。


そうだね、とジョシュ。

男一人と女二人が話し事をしている公邸のとある部屋にバートレットが入って来て挨拶する。三人が余りに若々しく、バートレットは彼らをゾーイの友人かと思ったほどだが実際には三人ともシークレットサービスの護衛官たちだ。三人はそれぞれ証明書を見せて軽く自己紹介する。男はジェイミー・リード、二人の女はそれぞれモリー・オコナーとランディ・ウェザーズだ。そこにロンがウェスリーと一緒に入って来て彼をバートレットに紹介するが、二人はそれほどまでに親しくはないが以前に顔を合わせたことはある。バートレットは不本意ながらも引き受けてくれたウェスリーに感謝し、握手する。そしてロンからざっと警備の概要を聞く。ウェスリーを始めとしたここにいる護衛官四人が、現地に詳しいパリのバックアップグループ14人に合流することになっている。指揮を執るのはウェスリーだ。だがバートレットはウェスリー以外の三人があまりに若々しすぎてゾーイの護衛につくには少々物足りないと思っている。彼らには本当にどんな危険にも対処する力を持っているのだろうか?その不安を読んでいたかのようにロンがウェスリーに、ランディに向かって飛び掛るよう命じる。すると飛び掛ったウェスリーをランディの横にいたモリーが腕を掴んで地面に叩き伏せ、銃を取り出してウェスリーの頭に向ける。これにはバートレットも満足したようだ。するとそこに物音を聞いてやって来たゾーイが、ウェスリーが倒れているのを見て驚く。ゾーイに言われてモリーに起こされながらウェスリーはロンに、このために自分を呼んだのだろうと確認する。そうだ、とロン。ゾーイがモリーの事を知っているのを見てバートレットは二人が知り合いだと気付く。それもそのはずで彼女は次女エリーの護衛にも付いていた事があるのだ。なるほどそのおかげでエリーは元気なんだな、とのん気なバートレット。バートレットの不安を拭い去るために投げ飛ばされる役をやるはめになったウェスリーをゾーイが気遣う。ウェスリーは、そんな事はいいから、毎日確認するからアラームをちゃんと持っているように、とゾーイに言う。するとゾーイはバッグからアラームを取り出してにっこり笑う。彼らがゾーイの警備に付くのは今夜の6時からだ。これから大学に戻ろうとするゾーイにバートレットはフランス行きを諦めてアメリカに残って欲しいと懇願する。三ヶ月間あの男とフランスに行ってそこに住む代わりに、ここに残って、自分の部屋に住み、看護婦のボランティアをしたりサーフィンしたりするのも悪くはないだろう?夏の間はペットショップで働いて過ごしたり、カードゲームをしたり、夜は映画を見たりするんだ。だがやはりゾーイは父親の言うとおりにするのを拒む。バートレットには彼女らが過ごすべき生活プランがあるのだと言う。話も程ほどに、ゾーイはバートレットのお願いを拒んで部屋を出て行く。ゾーイが出て行くやバートレットはすぐにウェスリーに、もし何かが起こってゾーイのボーイフレンドを殺すか殺さないかの選択を迫られたのなら、いいから殺せ、と命令する。ウェスリーは口を閉じたまま笑顔でうつむく。と、そこにレオがフィッツウォレスを伴って入って来る。レオと話したいバートレットはウェスリーに一言言ってから部屋を出て行き、残るフィッツウォレスは、ウェスリーと顔なじみのようで、たちの悪い人間もいるので今度の警備には慎重にあたるように釘を指す。ウェスリーは少し緊張しながら分かりましたと返事をする。
そうしてレオ、バートレット、フィッツウォレスの三人が大統領の書斎に入る。ポートランドの沿岸警備隊によれば、14時間港に泊まっているアジールというカーゴ船のコンテナが一つ足りなくなっている、とレオが話す。46個あるはずが45個しかないのだ。船はナイジェリアの旗を掲げてはいるが実際にはシリアの船だという事が分かっている。それに対しFBIが船に乗る人間全員を拘束して1時間が経つ。それならもう一時間彼らを拘束して、沿岸警備隊にポートランドの港を封鎖するようバートレットは命じる。5人の男が消えただけでFBIは日に7億ドルも失う事になるんだな、と皮肉も忘れないバートレット。それはそうと何故このミーティングを開いたのか分かったよ、とバートレット。ポートランドの北西の海洋でどしゃ降りになっているからだ。これがテロの起こる可能性を示唆している表現だということはちゃんと分かっている事をバートレットはレオに示す。最後に、1時間してから港を封鎖するようフィッツに確認してから話を終え、フィッツウォレスは部屋を後にする。残ったレオが残ったバートレットに別の話をする。

レオ:ところで、ご存知でしたか?今日から十日間の中から赤ちゃんを産む日をトビーとアンディが選べるようにドクターがしてくれるのだそうです。つまり双子が生まれる日を決める事が出来るんです。

バートレット:あぁ、親が子供の事を決めれるのはそれが最後だな。火曜日を選んで20年もすれば現実を目の当たりにすることになる。


そう言って二人も部屋から出て行く。

-ACT TWO-
自分の部屋に戻ってきたCJはまず椅子に座り、新聞を手にとってさっと目を通す。そしてコーヒーを取ろうとデスクの向こうに手を伸ばそうとした時、何者かがカウチで寝ている事に気付き、驚いて大声をあげるCJ。寝ていたのは記者のダニーで、その彼もCJの叫び声につられて叫び声をあげ、目を覚ますがまだ頭がボーっとしているらしい。CJが大声でキャロルを呼ぶと、キャロルもダニーが来ていた事を言い忘れていたと言ってすぐに部屋を出て行く。CJがダニーに何の用かを尋ねるが、ダニーは気持ち良く寝ていたところをたたき起こされたばかりなのでまだ目が空ろな状態だったが少しずつ目が覚めてきたのか、答え始める。ボストンから帰ってきた・・・のではなく、ドイツのアウグスブルグからのフライトで戻ってきたばかりなのだと言う。CJは一度家に帰って眠ってからもう一度来ればと言うが、それには構わずにダニーが話す。アメリカ政府とアブドゥル・シャリーフの乗った飛行機との関係を掴んだのだと言う。これさえあれば記事にも出来るし、ここに来たのはホワイトハウスからのコメントがあれば聞きたいから来たのだ。証拠を見ない事には何も言えない、とCJ。ダニーは以前から何度も言っていたパイロットのジャミール・バリを見つけたのだと言う。証拠を見せてくれればコメントするとCJは言うが、ダニーはコメントはなくても記事は書けると断言する。CJは国家の安全に関わるとしてその記事を書くことを止めようとするが、ダニーは人命に危険が及ぶという保証もなしに記事の差し止めはできないと言う。CJはあると言うが国家の安全に関わる内容を暴露できる立場にない。せめて週末だけは控えて欲しい、とCJは頼む。するとダニーはついに不満を露わにし、数ヶ月間も言い逃れしてきたCJを責める。

ダニー:2,3時間あげるからレオと話し合って記事を差し止めるための正当な理由を教えて欲しいね。さもなければコメントしようがするまいが明日の一面に出す。それもこれも君が全く誠意を見せてこなかったからだよ。

CJ:誠意ならいつでも見せてるじゃない。

ダニー:いつ?

CJ:私のカウチで寝てたでしょ。

ダニー:なるほどね。


2,3時間は待ってくれると言うのなら、とCJはレオに相談するために自分の部屋を出ようとする。ダニーは最後に一つだけ疑問をぶつけてくる。オフレコでだけど、本当に政府がシャリーフを殺したのか?CJはダニーを凝視しながら答えず、そのまま部屋を出て行く。

閑静で大きな住宅が立ち並ぶ道路を走ってきた車がある家の前で止まる。中から降りてきたのはトビーで、彼は中にいたもう一人のアンディを外へとエスコートする。アンディは目隠ししており、他の人が今の二人の様子を見れば警察を呼ぶかもしれないと言う。そこまでは想像もしていなかったと言うトビーは、段差があるので足元に注意するよう言いながら彼女の手を取って家の前に立たせる。トビーに言われてアンディが目隠しを外すとそこには彼女に見覚えのある家が建っていた。それは下院議員であるジェファーソン・ワイラー議員の家だ。アンディはこの家の前の道路を通る度に絶賛していたのを聞いたトビーがこの家を買い付けて、今、彼女にプレゼントしようとここへ案内したのだ。ワイラー議員が話をしてきた時も絶賛したし、彼が家を売りに出すと言えば買いたいとまで言っていた。嘘じゃないけど、とアンディ。それで実際に議員が家を売りに出そうとしていたからトビーが買ったのだ。アンディはその話に驚き、金をどうやって工面したのか尋ねる。トビーはあらゆる方面に頭を下げて金を集めたのだと言う。そして彼は彼女の手をとりながら彼女を家の中へと案内する。リビングへ来たトビーはカーテンを開けながら次に彼女をダイニングへと促す。

TOBY and ANDY
アンディ:今はここがあなたの家なのね。

トビー:そうだ、でも実際には・・・
(シャンデリアが顔にかかる)君の家でもある、その、一言イエスと言ってくれれば。

そうして日差しが入り込むサンルームへと歩いてくる二人。

トビー:だから・・・結婚してくれないか?

アンディ:まさかトビー、私のためにこの家を買って・・・

トビー:いや、違うよ。だから・・・

アンディ:そう言えばアパートを出て家が欲しいって・・・

トビー:最初の質問に戻ってもいいかな?

アンディ:頭金はもう返せないの?

トビー:つまりノーか?

アンディ:そうよ、トビー。もう何度も断ったじゃない。もちろん家まで買ってくれるなんて嬉しいけど・・・

トビー:君は気付いてないだろうが、私は君に指摘された振る舞いを変えようと頑張ってきたんだ。アパートでの一人暮らしをやめたのもそうだし最近ではサラダも食ってる。

アンディ:どこに住もうと何を食べようとそんな事は問題じゃないわ。確かに問題でもあるけどそれほど気にしていないもの。

トビー:なら何故再婚できない?

アンディ:本当にそれを言わせたいの?言わせたくないでしょ?

トビー:知りたいんだよ。君はポーズを取っていたものだとばかり思っていた。ポーズを取っていたのは罰として私に結婚を迫らせようとしていたからだと。私は別に構わないんだが。

アンディ:ポーズなんか取ってないわ。

トビー:どうして?

アンディ:あなたがいると悲しくなるのよ、トビー。

トビー:何だって?

アンディ:悲しくなるのよ。あなたは悲しいし、その悲しさを家に持ち込んでくるのよ。

トビー:私は悲しいわけじゃない。

アンディ:でもそうなのよ。どうやったら変えられるのかと思ってたけど無理だったわ。

トビー:私は悲しいんじゃない、物事を真剣に捉える性質なんだよ。

アンディ:私だって真剣に捉える方よ。

トビー:私は誰とも比較できない。だから・・・

アンディ:あなたは悲しいし、怒りっぽいし、それに冷たいのよ。人を永遠に信じる事なんてないでしょ。

トビー:なぁ・・・、私の父は生きるために殺人を犯していたが、世代的に見てジーグラー家は進歩を遂げている。子供の事についても心配していない。

アンディ:私は子供たちが心配よ。

トビー:やめてくれ。

アンディ:だってあなたなら子供たちに世界の素晴らしさを教えるよりも、学校で一生懸命勉強してみすぼらしく、絶望的な世界についての知識を詰込むよう言うにきまってるもの。

トビー:そうやって十分詰め込まれた子供たちが世界中で私たちの子供たちだけしかいなくても別におかしくはないだろう?

アンディ:トビー、私もあなたと同じぐらい真剣だし、グラスに水が半分入っているのも分かるわ。

トビー:それはいい。半分も入ってるのか?半分しか入ってないのか?少なくとも満タンじゃないという点で我々は一致しているわけだな?
(グラスに入っている水を見て「半分も入っているのか」「半分しか入ってないのか」で楽観・悲観の心理状態を判断するジョークの一種)

アンディ:ほら、私が言った通りじゃないの!

トビー:ただのジョークじゃないか!

アンディ:真剣に話したいとさっき言ったばかりじゃないの。

トビー:結婚していた時もそういうふうに考えていたのか?

アンディ:よしましょうよ・・・。

トビー:つまり今はそう考えてはいないのか?

アンディ:よしましょう、ね。さっき言った事は悪かったわ。妊娠してるから戻りたいの。

トビー:なるほど。結婚していた時もそう感じていたんだな?私が悲しいって?

アンディ:違う、もう車の中で座りたいのよ。足首が痛くなってきちゃって・・・

トビー:私の友人たちもそう思っていたのか?

アンディはその質問には答えずに外へと歩いていく。

トビーはしばらくドアを開け閉めしながら考え事をしていたが、外から自分を呼ぶアンディの叫び声が聞こえてくる。急いで外に出てみると車に寄りかかるように体制を崩したアンディがいた。どうやら破水したようだ。トビーは彼女の体を支えて病院に連れて行こうとする。

-ACT THREE-
ゾーイの卒業式のスピーチを頼まれたウィルはホワイトハウスでバートレット夫人のアビーと草案の相談をしている。5時間で3900ワード書いた事をどこか自慢そうに言うウィル。

ウィル:あと、大統領は2ページにわたってシセロとトマス・アキナス、それからルディ・ヴァリーの引用をしています。

アビー:その三人の共通点は?

ウィル:三人とも知名度が低い。

アビー:テーマは独創性?


大統領は自分の話したい事を話すと決めているので土壇場で気を変えないかどうかがウィルには心配だ。ロビーまで来るとそのバートレットが二人を待っていた。そしてバートレットはすかさず草案内容を変更したいと言い出してアビーとウィルを困らせ、さらに三人の子供を生んで育てたアビーにプレゼントとして黒のパールをあしらったネックレスをケースから出してプレゼントする。アビーもそのネックレスを大いに気に入る。だがバートレットはそのネックレスがダイヤだと思っていたようで、実際にはダイヤではないと知ってがっかりする。ここでウィルが、草稿の内容を変えたいと言ってきたバートレットに、具体的にどのように変えたいのか尋ねる。バートレットは、内なる瞑想について語る代わりに寛容の限界とアメリカ生活の情熱と直感的真実について語りたいと言う。三人はそのままリムジンに乗り込む。ゴージャスなネックレスがガムみたいに見えるからといって食べてはいかんぞ、と意味のない釘をアビーに指すバートレット。ウィルがバートレットに先ほどの変更点を確認してからリムジンが出る。

自分の部屋でマーガレットからギフト梱包されたペンを渡されるレオ。ゾーイへのプレゼント用に用意させたもので、レオに言わせればただのペンではないそうだが、一見ただのペンなのでマーガレットから安物のペン一つだけしかプレゼントしないのかと暗黙の非難を受ける。CJが入って来てダニーが上の会見室で待っていると言ってレオをオフィスから引っ張り出して会見室へと向かう。レオもダニーが何を掴んだのかは想像がついている。シャリーフのパイロットであるジャミール・バリはクマー人のパスポートを持っていて墜落で死んだ事になっているが、実際にはアメリカ人でまだ生きており、本名はジャミール・バリではなく複数の偽名を持っていた。ダニーはそれを掴んだのだろう。会見室へ入る直前にCJもレオに、ゾーイにあげるのはペンだけなのかと尋ねる。会見室へ入った二人は部屋の後ろにある記者用の部屋まで入って行き、ノートパソコンを広げ、片腕で顎を支えてサングラスをかけ座っているダニーの元まで歩み寄る。レオはダニーに、まずCJと話し、それから私と話し合おう、と声をかけるがダニーのサングラスの目線はノートパソコンに向いたまま微動だにしない。怪訝に思ったレオがもう一度尋ねようとしたところで、彼がまた寝ているのだと気付いたCJが紙の束を持ち上げてテーブルに叩きつけ、彼を起こす。ダニーは言い訳がましく、自分には隠れた才能があるから全部耳に入っていると言う。そんなダニーをレオとCJがコピールームに連れてドアを閉めて話を聞かれないようにする。小声でCJは脅威見積もりがブラボー(Bravo)に入った事を伝える。原因はテロ組織バヒーの分子五人が同時に消えたからだ。そう、レオたちが不穏な動きを掴むのと同時にだ。もしダニーがその記事を書けばその五人が何をしでかすかわからない。話を聞いたダニーは三日間だけ記事を差し止めておくと明言し、大統領との独占取材を求める。レオもそれをあっさり承認し、パイロットを見つけたのかと確認する。ダニーは、その男がフロリダの特殊戦術部隊にいた人間で、アメリカ人のパスポートを所有し、航空学校に通っていた事を掴んだ、と話す。アウグスブルグでそれを見つけたのか、とレオ。そうです、とダニー。

エイミーがドナのところにやって来るなり早々彼女の衣服を褒める。ドナもエイミーの服を褒めるがウェリントン夫妻のことはまだジョシュに伝えていないのだと言う。でもその必要はない、とエイミーは言う。またリストから外れたので今度はそれを言いに来たのだ。二人はそのままジョシュのオフィス前の大部屋から車が止まるホワイトハウスの私道へと出る。エイミーは再び、先ほど棚ぼたと言った事でジョシュに嫌われたんじゃないのかと漏らすがドナはそれはないだろうと言う。エイミーは再度候補者リストについて自己弁護を始めるが、ドナも再度ジョシュは気にしてないか、気にしていても忘れているだろうと言って適当に受け流す。それよりドナも車を待っているがまだ来ていないようでエイミーの乗るリムジンに乗らせてもらうことにする。

破水したアンディが病院のベッドで横になっている様子をドアの向こう側の隅からじっと窺っているトビー。するとそこにアンディの担当医がやって来て、後ろにいるトビーには気付かずにアンディに話しかける。アンドレア、私の予定を狂わせてくれちゃって困った人だ、と担当医は気さくに話し掛ける。

アンディ:何があったんです?

担当医:何もないよ。これから産まれるだけ。


予定では10日以内に産まれるはずだったのでアンディはいつ出産が始まるのかと心配しているが、破水してしまったのでじきに二人とも産まれることになると担当医は言う。起こるべくして起こった事ではないが起こってしまったものはしょうがない。10cm開いているからもう頭部が見えているし次のステップに進むべきではないとはとても思えない。そこまで言ったところで担当医は後ろにいるトビーにようやく気付く。トビーは室内の方に歩み寄ってアンディに鎮静剤を打つつもりなのかと尋ねるが、担当医が時間がないから彼女に我慢してもらうと言うのでアンディが嫌だと言わんばかりにうめき声をあげる。ところで「すぐ」産まれるとは具体的にいつごろなのだろうか?担当医は文字通りの意味で、15分後にはどちらか一人を目にする事が出来るだろう。だがアンディは消極的に事を考えている。今日出産すると知っていたらトビーにあんな事は言わなかっただろう。トビーはそんな事は心配しなくていいと言うが、それでもアンディは出産間近で苦しみながら必死に謝ろうとする。トビーが家まで買ってくれたのにあんな酷い事言ったなんて・・・。それから彼女は再びうめき声をあげたかと思えば思いっきり息を吐き出して出産のリズムを取ろうとする。トビーはアンディの横に座って彼女の手を取って彼女を勇気付けようとする。

ジョージタウン大学のキャンパスは今まさに卒業式の最中で、学生たちがイスに座っているのを保護者たちが立って見届けている。
大学の講堂内部の最上階に控えているバートレットとウィルは卒業式のスピーチ原稿を限界直前まで練っている。バートレットはガンジーの代わりにユードラ・ウェルティの引用を使うのはどうかと提案する。ウィルはどっちもいけそうだが変化を成し得そうにないのでガンジーの引用でも十分だと考える。「世界を目にしたければ自らが変化となれ」、まるで東洋哲学のような文言だ。それも仕方ありません、とウィル。ガンジーはインドの人間だからだ。独創性について書いたこのスピーチはウィルにしてみれば最高の出来だ。とはいえ明日フランスへ行くゾーイを思い留まらせるほどの力まではないだろうが。ならもう一度書き直すか、とバートレット。その時側近が来てバートレットに卒業式用のスカーフを被せて準備を整える。ジョージタウン大学の総長がやって来ていよいよ準備の整ったバートレットを学生たちが座って待っている外へと案内する。案内される直前のバートレットに、やはりユードラ・ウェルティの引用を使いますとウィルは言う。学生たちが待っている外のキャンパスでは、いよいよ合衆国大統領がジョージタウン大学の総長と一緒に現れるというアナウンスが流れている。そしてその言葉どおりに二人が現れたのと同時に学生や保護者たちから大歓声と拍手が起こる。バックグラウンドではエルガーの「威風堂々」(Pomp and Circumstance)が演奏されている。二人は学生たちに手を振りながら話をする。ポケットのナプキンにメモを持ってきているため、今回バートレットは読み上げるべき文字が出てくるプロンプタを使わないが、着ているガウンの上から中のポケットに手が届かないため原稿を見る手段は手に持つフォルダーしかないのだ。でもまぁしょうがないだろう、と素直に諦めて笑いながら学生の中にいるゾーイを見つける。ゾーイは父親であるバートレットに向かってカメラのフラッシュを炊きながらにっこりと微笑んで手を振る。

-ACT FOUR-
夜もかなり遅い頃、明かりもまばらなジョシュの部屋の前の大部屋でひっそりと座っているドナのところにエイミーが三度やって来る。ウェリントン夫妻の件がまた持ち上がった事をメモで伝えようと思ってやって来たのだが、ドナがまだ残っていたので、直接彼女にウェリントン夫妻がA-PECに戻ってきたというその話をする。もし戻れば問題になるだろうが、エイミーとしては週に三度援助を受けている人権を護る会、アムネスティインターナショナルの支持を取り付けたいから彼らとのミーティングを持たせて欲しいと言う。さらにもう少しだけ手伝って欲しいとドナに頼む。

国立森林公園内にこっそり侵入したジョシュとチャーリーが薄暗い暗闇の中をこっそり歩いている。朝話していた山芍薬と竹の間に埋めたシャンパンを取りに来たのだが、付き添う羽目になったジョシュがぶつぶつと文句を言っている。埋めた場所が分からなくて必死に探し回り、夜明かしするのだけはごめんだ、と。そもそも掘り返そうと言った張本人なのに、言葉が出た口の裏からすぐ後悔の念が出始めている。チャーリーもジョシュのアイディア自体には賛成していると言う。ゾーイをクールに送り出すのもいいだろう。ジョシュが尋ねる「本当に?」。「嘘ですよ」とチャーリー。歩いていた二人はあまりの暗さに足元を踏み外して小さい川に足を踏み入れてしまう。ベトナムの水田にハマった気分だ、とジョシュ。もちろんベトナムに行った事などないが。すると足を踏み外した音を聞いた何者かが声をかけてくる。「誰かいるのか?」。声の主は警護官のジェイミーで、彼とチャーリーは知り合いだったのですぐにお互いを認識する。ジェイミーは袖口にある送信機に向かってチャーリー・ヤングが来たと知らせる。それを聞いたチャーリーは、何故ゾーイの警護官であるジェイミーがここにいるのかをすぐに悟り、信じられないといったような表情で一人橋を渡って「山芍薬」と書いている標識のある竹の間を進み。同じようにジョシュも悟り、自分はこのままここで待つことにする。進んだ先の芝生の上に座って待っていたのはやはりゾーイだった。周りには和風の橋がかけられていて、その下を小川が流れていたり、薄暗いが桜が咲いていたりする。

CHARLIE and ZOEY
ゾーイ:遅いわよ。

チャーリー:来てたんだ。

ゾーイ:10時7分よ。7分も遅刻じゃない。

チャーリー:君はセダンで来たんだろ。僕は壁をよじ登ってきたんだから。

ゾーイ:そんな事したらいけないんじゃない?

チャーリー:ここに来ているとは思わなかったよ。

ゾーイ:あなたは何故来たの?

チャーリー:シャンパンを掘り返して卒業プレゼントとして君にあげようと思ったんだよ。君は何故ここに?

ゾーイ:なるほど。私はそれを飲みに来たの。

チャーリー:なるほど。

ゾーイ:冗談よ。でもそう来ると思った。もう飲んじゃったけどね。

チャーリー:ラジオ局主催のパーティに人が集まってる。世界の終わりを表したかのようなテクノ系のクラブだよ。君が行くって言ったから皆してクラブに人が集まってるんだよ。君が来ると知ってたら来なかったよ。たぶんね・・・

ゾーイ:私とシャンパン飲みたくないの?

チャーリー:いや、違うよ。飲みたいよ。ただクラブの皆に電話しておいた方がいいと思ってさ・・・

ゾーイ:あなたっていい人ね。劣悪な環境で育ったのに何があなたをそんないい人にしたの?

チャーリー:いいものを食べているからさ。馬鹿みたいなんだけどさ、最初にあのメモを見たとき・・・

ゾーイが寄りかかってきて突然チャーリーとキスする。

チャーリー:こんな事駄目だろ。どうしたの?

ゾーイ:別に。

チャーリー:嘘だ。

ゾーイ:言うほどの事でもないし。

チャーリー:知りたいよ。

ゾーイ:何でもないわ。ただ、いろいろあって・・・もう。ジャン・ポールが今夜私にエクスタシーをやろうって。

チャーリー:なるほど、でもあれやったら子供に異常が出るよ。

ゾーイ:そんなことはどうでもいいわ。私が・・・その、心配なのはパパの事よ。3ヶ月間離れる事にパパも賛成してくれているわけじゃないもの。それにあなたの事でも混乱してるし。

チャーリー:何のアドバイスも出来ない。

ゾーイ:どうして?

チャーリー:どうせ今日が終われば明日にはコンコルドに乗ってるだろ。

ゾーイ:そうだけど、一緒に座って、もう少しだけ一緒にいたいの。

チャーリー:・・・そう・・・でも、行くって言ったところに行かないのはやはりまずいと思うよ。

ゾーイ:パーティーに行かなきゃ。

チャーリー:あぁ。

そうして最後にゾーイはもう一度だけチャーリーにキスしてからシャンパンのふたを元に戻し、彼に預けて一人立ち上がってパーティーに向かう。

FBIは登録されたコンテナ船のクルーを確保したと報告するナンシー。レオが、外国人を尋問するときはどのような手順を踏むのかを尋ねる。FBIは彼らを七日間、隔離された明るい部屋に監禁できる、とナンシーが答える。明るい部屋にするのは眠らせないためだとフィッツが言う。最後にレオはもう一度テーブルの周りにいる皆の意見を聞きたいと言う。

テクノ音楽が流れていて、ライト代わりに青のイルミネーションで照らされているナイトクラブにようやくゾーイが到着する。中は既に客で一杯になっている。ジャン・ポールがゾーイを見つけて歩いて来る。ゾーイは遅れた事を謝って、警護官のランディやジェイミーに遠くから警護されながらジャン・ポールに奥の座席エリアに連れられる。ゾーイが国立公園に行っていた事をジャン・ポールはあまり気にしていないようだ。警護官たちが連絡を取り合う。ジェイミーはフロントドアで待機し、ウェスリーはクラブの階段を理ながら、店の外の裏道で見張っているモリーが183台の車を全て数えたという報告を受けて満足そうに微笑む。

ウェリントン夫妻とのミーティングをエイミーと一緒に練っているドナが早速アイディアを出す。農業問題をテーマにするのはどうか。エイミーはできれば人権問題関係の方がいいと言う。そこでドナは不当解雇についてのグループセッションをまた提案する。囚人の労働問題についてエイミーが尋ねるが、資料をめくって調べているドナがそれはないと言う。代わりに労働法の時針に関するDRL(Democracy, Human Rights, and Labor=民主主義、人権、労働局)とUSTR(United States Trade Representative=通商代表部)の共同セッションならあると言う。エイミーもこれに決めたようだ。とりあえず問題も解決し、ビールを飲みながらエイミーは相変わらずジョシュに言った事が頭から離れないでいるとドナに再び打ち明ける。自分でも考えてみたがこれほど悩む理由が何も思いつかない、とエイミーが言う。ドナは怪訝そうな顔で「本当に?」と尋ねる。

Massive Attack「Angel」が流れる。

会見室の後ろの部屋でパソコンのキーボードを打っているダニーを見て、何をしているのかと尋ねるCJ。それよりも彼はいつ眠るのだろうか?さあね、とダニー、打っているのは春の俳句だと言う。もちろん三日間の記事の差し止めは自分で言い出したことでもあるから分かってはいるが、三日経つと同時に発表できるように今のうちに書いているのだ。ゾーイの卒業式での大統領のスピーチの話はダニーも聞き及んでいるらしく、大統領が祈願の最中にずっとガウンをごそごそとしていたと通信社が伝えているね、と言う。ナプキンを取ろうとしてたのよ、とCJ。ダニーが再び、メキシコ湾流にのっていたジェット機が墜落したという、シャリーフの飛行機の墜落の原因に言及しようとしたところCJから、この二、三日の間はその件に言及する際には「マドラスプロジェクト」と呼ぶようにするよう求められる。

クラブで踊っている学生たちの中に、テーブルを挟んでそれぞれカウチに座っているゾーイとジャン・ポールの姿が見える。ジャン・ポールは三ヶ月という期間は長いからまず二、三週間にしてからパーティーに行ったりして延期を決めればいいと言う。ゾーイはそれはいいアイディアかもしれないと言うが、自分が家を出たいのはパーティーとかに出たくなかったから、とも言う。ジャン・ポールはパーティーは夜だけだと言うが何故かゾーイは頭が軽くなって、ボーっとしたような感覚がしてどこか変だと感じる。先ほど飲んだシャンパンのせいだろうか。ボーっとするのはいいことだよ、その反対の状態よりもね、とジャン・ポールが怪しく言う。

自分が言った事でジョシュが誤解したかもしれない事で未だに悩んでいるエイミー。だがジョシュが怒るのは分かるとしても、この話を最初にドナにした時に彼女も怒っているような感じがしたのがエイミーに分からないところなのだと言う。ドナはそんな事はないと言う。ジョシュは長いことホインズの部下として働いてきたのだから、ジョシュが怒っているとすればそれが理由だろう。とはいえジョシュから一方的に辞めたのだが。

ドナ:そんな簡単な事じゃないわ。ジョシュは人を見捨てたりしないもの。

エイミー:でも彼、ホインズとは親しかったでしょ。だから分からな・・・

ドナ:あなたジョシュが好きなんでしょ?


突然の質問に驚くエイミー。

クラブの外で、中の警護官からの情報を受け取りながら待機しているウェスリーと、彼と一緒に車のボンネットの上に座っているチャーリーとジョシュ。国立公園の壁はよじ登ったのであって飛び越えちゃいないよ、とジョシュ。でも壁は9mぐらいあって城門みたいだったし、あちこちで鳥が飛んでいたよ。ウェスリーはその話を聞き流しながら手首に通したマイクで状況報告を行うよう伝える。

あなたに対して嘘はつきたくないけど、けど・・・ごめんなさい・・・あなたを傷つけたくはないけど、でも、あなたに嘘はつきたくない。・・・かなり気分が昂ぶっている様子のゾーイを見て満足そうな笑みを浮かべるジャン・ポール。ウェイトレスが来てドリンクをゾーイの前のテーブルの上に置き、空のグラスを持って行く。やはりどこか普通とは違う妙な感じがするとゾーイ本人も気付く。ジャン・ポールが言うように文字通り酔っているだけなのだろうか。

ジョシュの姉は彼女が彼の面倒を見ていた時に起こった火事で亡くなった。姉は火を消そうとしていてジョシュだけが逃げて来たのだ。選挙中には父親も亡くなったし、病院で目を覚ました時には大統領も撃たれたとも知った。だからジョシュは毎日、自分の好きな誰かが自分のせいで死にはしないかと心配しているのだ。そうエイミーに話して立ち上がり、郵便箱のところまで歩いて郵便物に目を通すドナ。エイミーも初めて知った事もあるのか驚いている。ともかく、エイミーがリストを見て「棚ぼた」と言った時、ジョシュには「ありがとうジョシュ、またやってくれたわね。また(犠牲者は)私たちよ」と聞こえたのだろう。驚きながらもエイミーは話を元に戻す。

エイミー:ジョシュが好きなんでしょ、ってあなた言ったわよね。

ドナ:えぇ、だってほら・・・あなたが彼に気がない・・・なんて考えられないし。

エイミー:あなたもジョシュが好きなんじゃない?


もはや目にしている郵便物のことなど忘れていそうなドナ、ストレートなエイミーの質問に固まりながらやがて郵便物を閉じる。

ゾーイのドリンクにエクスタシーを入れたのか、とゾーイが思い切って尋ねる。ジャン・ポールはあっさり認め、半分だけ入れたと言う。ゾーイは怒りたいのに薬物のせいでまともに思考が定まらない。ジャン・ポールはこうして音楽を楽しむようゾーイにも体験してもらいたかったのだと言う。ゾーイは中途半端にそれを受け流し、火照った顔を覚ますためにトイレに行って来ると言って席を立つ。

会見室の最前列に座ってマドラスプロジェクトについて話すCJとダニー。

ダニー:聞きたいのは次の五つだよ。紙に書かなくていいの?

CJ:何も記録に残したくないわ。

ダニー:(Q1)マドラスプロジェクトは報復か、それとも防止策か?(Q2)アラブ社会の同盟国やイスラエルに事前か事後に通告は入れたのか?(Q3)議会の執行部はどのように関わったのか、またこれからどのように関わるのか?

CJ:詳しくは分からないけど最後の二つの質問に対する答えは同じよ。

ダニー:特別な大統領命令が無ければ彼らも法的な保護を・・・

CJ:国家安全保障会議の決定で命令が出ているわ。

ダニー:(Q4)これは未来のマドラスプロジェクトの前例となるのか?

CJ:それで四つ目ね。五つ目は何?

ダニー:(Q5)大統領か国家安全保障担当補佐官は報復を恐れているのか?

CJは黙ってダニーを見ている。

しかし慣れとは怖いものだ。地獄へ行こうと叫んでそのまま立ちションしてもおかしくない。そう言いながらボンネットの上でビールを空けるジョシュ。ボンネットから離れているウェスリーはジョシュの戯言を無視してクラブの中にいるランディと連絡を取る。ゾーイはそろそろ帰ろうとしているのか?ランディは、ゾーイはまだトイレにいると言うが、クラブ内の別の場所で見張っているジェイミーが彼女を見ていると言う。だがよく見るとそれはゾーイでないことが分かり、ウェスリーはゾーイの現在地をしっかりと把握するよう警護官たちに命令して自身もクラブの方へと走っていく。ランディはまだ彼女がトイレにいると思い、確認しようとするがウェスリーに止められる。警護官が無理してトイレを調べに来たのを見れば、雰囲気を壊されたゾーイが怒るかもしれないからだ。クラブに入ったウェスリーはジェイミーの横を通り過ぎる際に腕を叩いて自分が先へ行く事を示す。そしてそのままランディと合流し、近くを通り過ぎようとしていたウェイトレスを捕まえて彼女にトイレの中を確かめてもらうように頼む。ウェイトレスはトレイを置いてトイレに調べに入る。その間ウェスリーは裏口で見張っているモリーに連絡を取って誰かいないか確認する。だがマイクからは何の反応も無い。その時ウェスリーはトイレのすぐ横にある、裏口へと抜けれそうな火災用非常通路を見つける。ウェイトレスが出てきて中に誰もいないのを聞いてからすぐにウェスリーもそれを確かめにトイレに入って一つ一つ個室をチェックする。チェックする間もモリーへの呼びかけは続けていたが何度呼びかけても彼女からの応答が無い。トイレから出たウェスリーは先ほど見かけた通路が非常用通路であることをウェイトレスに確認した後、銃をホルスターから抜いて、古い蛍光灯が明滅を繰り返す階段を慎重に下りていく。裏口へ出たウェスリーは路地の真ん中に落ちていたゾーイのアラームを見つけ、拾い上げる。そしてモリーが見張っていたと思われる向こうの路地までおよそ100m走っていき、額を打ち抜かれて即死しているモリーの死体を発見する。路地は血まみれになっている。それを見たウェスリーは即座に「ゾーイ拉致」の報をマイクを通して伝える。

ウェスリー:ブックバッグ(ゾーイのSSコードネーム)が拉致された。拉致されて警護官が一人死亡。コードブラックだ。

状況も一段落して人も少なくなったシチュエーションルーム。電話を終えたナンシーがレオに、FBIが尋問のためにシェリダン連邦刑務所にアジャイル(Agile)のクルーのメンバー98人を護送したと伝えるとフィッツがくすっと笑う。船長は死ぬのを恐れて震え上がっており、積荷目録のコンテナ数が45個になっているのは誓ってタイプミスだったと言っているそうだ。フィッツが笑ったのを笑い事ではないと言ったナンシーも徐々に危機感が薄れてきたのかタイプミスの話を聞いて安心しているようにも見える。レオは、タイプミスのためにポートランド港を封鎖したと知ったらマーガレットの狂気が一段と大きくなるに違いないと言う。これにはフィッツも声を出して笑う。とりあえずレオは2,3時間家に帰るから何かあったら連絡してくれるよう頼む。そうしてレオがドアの方に向く前に海兵隊二人がドアを開け、レオがドアの方を向くと同時にドアの向こうに息を切らせたロン・バターフィールドが飛び込んでくる。机の向こうにいるフィッツウォレスを背にしながらロンのところまで歩いていき、ドアが閉まると二人きりで話を聞くレオ。ロンはいつになく取り乱しているがそれを必死に押さえようとしているのが分かる。それはレオにも伝わり、レオが何事か尋ねる。

ロン:問題が起こりました。コードブラックの場合、手順に従ってまず首席補佐官に話すことに・・・

レオ:何があったんだ?

ロン:ゾーイ・バートレットが行方不明です。現場で捜査官の死体が見つかりました。

ショックを受けたレオはしばらく顔を伏せていたがすぐに再びロンの顔を見上げ、とりあえずシチュエーションルームの通路から出て階段を上がり、ホワイトハウスの通路へと出る。レオの脳裏にはゾーイの断片的な顔のフラッシュバックが白黒で浮かび上がってくる。通路を歩きながらフラッシュバックするそのゾーイは、自分の顔の前に両手を出していて何者かからの攻撃を防ごうとしているように見える。ゆっくりと歩いているだけだったレオもだんだん事体が飲み込めてきたのか走り始め、それについてロンたち警護官たちも彼の後について走り始める。フラッシュバック内のゾーイは目だけが映っており、その目の向こうに犯人が映っているのかもしれない。瞳孔が大きくなっている様子から相当の恐怖感が窺える。ルーズベルトルームの横を走り抜け、オーヴァルオフィスも走り抜けてバートレットのいる公邸へ柱廊から向かうレオ。息を切らせながら必死にこの事を知らせようと走っていく。



EXECTIVE PRODUCER
AARON SORKIN
THOMAS SCHLAMME
JOHN WELLS


-END-
Starring
Main Cast
Stockard Channing as Abigail Bartlet
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
John Amos as Percy Fitzwallace
Michael O'Neill as Ron Butterfield
Anna Deavere Smith as Nancy McNally
Mary Louise Parker as Amy Gardner
Timothy Busfield as Danny Concannon
Kathleen York as Andy Wyatt
Elisabeth Moss as Zoey Bartlet
Taye Diggs as Wesley Davis
Trent Ford as Jean Paul
John Antonini as Jamie Reed
Kimberly Bigsby as Molly O'Connor
Shannon Marshall as Randy Weathers
Ayre Gross as Dr. Glazer
Melissa Fitzgerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret



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