THE WEST WING
3-04:
E P I S O D E # 49
2004/10/26 on NHK BS2
ON THE DAY BEFORE
(事の前日に)
-STORY-
共和党の相続税廃止法案に初めての拒否権を発動するバートレット大統領。だが同じ党内から票を翻した者がいる事を知ったスタッフはそれぞれ その対応に追われる。サムとトビーは下院議員キンボールと、ジョシュはインディアナ州知事バックランドとそれぞれ会う。ジョシュは予備選に出馬 しようとしているバックランド州知事の健康がバートレット大統領の状態とは皮肉なぐらい対照的な事に頭が痛い。キンボールは4つの票を握ってい る立場を利用して次々と要求を繰り出すが途中でサムが、彼の要求内容が農場を持つ共和党員の考えに似ている事に気付き、共和党員のロイス議員 を呼び出して彼を取り込もうと考える。その一方、国外のエルサレムでは自爆テロによりサッカー観戦に来ていた二人のアメリカ人が犠牲になった 事でバートレット、レオを含めた軍関係者は犯人の背後を探る事になる。チャーリーは皆から免責を求めるよう言われるが自分ひとりだけチームか ら抜ける事はしたくないと言って頑なにそれを拒む意思表示をする。

TELEPLAYAARON SORKIN
STORYPAUL REDFORD
NANDA CHITRE
DIRECTORCHRISTOPHER MISIANO

US TRANSMISSION DATE
31 October 2001
JP TRANSMISSION DATE
26 October 2004
-TITLE'S MEANING-
Ask forgiveness for sins against people.

-EPISODE OUTLINE-
It's the difference between Friends and Enemies, and, Democrat and Republican.

-QUOTING-
1, Kovaleski. With a "v."

2, They're gonna miss hot pumpkin soup with a cheese gnocchi and a chevre brioche. That's a pretty big price to pay just to override my veto.

3, And the chemical abbreviation for table salt is NaCl.



INTO THE MAIN TITLE:★☆☆☆☆

TWW3-03へ| TWWとりびあ〜ん3-04へ| TWW3-05へ


-TEASER-
スーツ姿の男コヴァルスキーが警備員を伴って階段を下りてくる。彼の手には青のファイルが握られている。コヴァルスキーはそのまま廊下を歩い て行き「上級職員のオフィス」と書かれたプレートがある部屋へと入っていく。コヴァルスキーが暗がりのオフィスの中に入るとそこには一人の 職員ドナルド・ドーランがいて彼と挨拶を交わす。お互いに名前を確認してコバルスキー(Kobaleski)ではなくコヴァルスキー(Kovaleski)と 訂正した後、コヴァルスキーはドーランに”手順”の確認をする。ドーランは普段は7人いるこの部屋に現在自分しかおらず、しかも自分は新任の スタッフなためか少し緊張しているようで関係のない話でコヴァルスキーを煩わす。コヴァルスキーはドーランに、法案が出来た、と次席補佐官の ジョシュに伝えるよう言ってから大統領の元に法案を届けてくれ、と頼む。そう言うとコヴァルスキーはドーランに青のファイルを渡す、どうやら そのファイルが死亡税の法案のようだ。コヴァルスキーが退室するとドーランは早速受話器を取ってジョシュに電話をかける。

ドナがフォーマルなスーツを着たジョシュに蝶ネクタイを結んであげている。結びながら、最初から結んであるのを買えばいいのに、と本人の前で 愚痴をこぼすドナ。しかし今夜の終わりにはジャズ/ポップシンガーのトニー・ベネットのようにサッとネクタイをかっこよく取りたいのだ。蝶 ネクタイを真似ただけでトニー・ベネットになれるわけがないとドナは思うが彼女がどう思おうとジョシュには関係ない。ところで突然ドナが尋ね る。

ドナ:バックランド知事がいつ来るか知ってる?

ジョシュ:アントレ(前菜と肉料理の間に出る主料理)の前に呼ぶつもりだけど。

ドナ:アントレの後の方がいいんじゃない。

ジョシュ:どうして?

ドナ:さぁ、その方が礼儀正しいじゃない。

ジョシュ:この件にエチケットって関係ある?

ドナ:ない。

ジョシュ:んじゃ何でわざわざ僕を苛つかせるの?


その時ジョシュの部屋の電話が鳴るがドナは取らずに何かある事について話したい事があると言う。だが最後には蝶ネクタイを結び終えた後、電話に 出る。そして「来たわよ」とジョシュに告げる。

CJのオフィスでは真っ赤なドレスに身を包んだCJがトビーと一緒にいるが何やら不安そうにしている。どうやら彼女が今夜座るその隣には1993年に ノーベル化学賞受賞者であり1944年ノースカロライナ生まれのケイリー・B・マリス博士が座るのだそうだ。彼はジョージア工科大学で学士号を取得 し、CJの母校であるUCバークレー校では生化学の博士号を取得している。彼の出身地や名前や通った学校が言えるのなら何も心配することないだろ う、君は対話のスペシャリストじゃないか、と何気に励ますトビー。そこにキャロルが現れて「届いた」という知らせをCJに伝えるとトビーは オーヴァルオフィスで落ち合う事にして廊下に出る。するとそこでサムと会い、ディナーへの出席を約束した共和党員が現れなかった事を聞かされ るがトビーにしてみれば予想の範疇だったようで特に動じる様子は見られない。大統領は拒否権の発動もCJの法案への拒否権の公表も既になされて いて後には引けないのだ。

バートレットがレオと、共和党員がディナーの席に現れなかった件について話しながら柱廊を通ってオーヴァルオフィスまでやって来る。どうせなら アントレの後に帰ればよかったのに、そうすればチーズニョッキのパンプキンスープとシェーブル・ブリオシェが堪能できたんだぞ、とバートレット 。拒否権発動を覆すためにそれを失うなんて惜しい事をしたな、と冗談めいて言う。レオは彼らの行動を「票が集まった」かもしれないからだと考 える。だが5分前に法案を送ったばかりで今にも拒否権を発動しようという時に何故それを覆す採決を今行おうとしているのか?おそらくバートレッ トに拒否権発動を思い留まらせようとしているのだろう。そこまで話したところでジョシュが入って来る。そしてバートレットがジョシュにアント レのメニューを説明しているところにトビー、サムが次々と部屋に入って来る。サムが7人の共和党員がディナーに欠席した事を言おうとするが既に 知っているレオがそれ以上言うのを止めようとする。諦めないサムはその件に関して発動を延期することをその場で提案するがそうすれば弱く見え る事になると考えるトビーはその意見に反対する。だが反対するのはトビーだけではない、ジョシュも政務連絡局も議会連絡局も少数党院内総務も 挙って延期に反対している。まるで私だけ蚊帳の外だな、とバートレット。そして遅れに遅れてCJが到着するが法案はまだ届いていなく、今向かっ ているとの事だ。その間にCJは自分の不安についてその場の全員に悩みを打ち明ける。どうやらバートレットはその口ぶりから、彼女の隣に座るで あろうマリス博士の事を知っているようだ。CJはイーストルームには他にも23人のノーベル賞受賞者がいるのだから文学者との同席は避けて欲しい と訴える。CJ曰く、塩の事をアルファべットの組み合わせで答えるような暗号作成者みたいな人とはまともに会話できない、との事だ。そしてそこ にチャーリーが現れて、法案を運んできたドナルド・ドーランという職員をオーヴァルオフィスに通し、いよいよ法案が到着する。ドーランが緊張 しながら自己紹介するがそれが終わるやサムが先ほどの話を大声で再び持ち出して彼を遮る。サムは議会の幹部が週末に招集をかけたのはハッタリ ではない、と言い、レオもそれには同意する。トビーも続ける、拒否権を覆す自信が無いなら緊急の招集をかけたりはしないだろう、と。ここで バートレットがドーランを近くに招いて彼の手にする箱の中身を尋ねる。彼が説明するにそれは第10号下院決議案、死亡税廃止法で、上院・下院両 議長の署名入りだ。連邦議会が大統領にそれを是認するかどうかを尋ねにきている、というわけだ。ここでトビーがドーランを少し下がらせて話の 続きを始める。我々は知らない間に票を失ったのか、と。

ジョシュ:大統領、もし下院が拒否権の発動を阻止したら政府は弱く見られます。

バートレット:そうなったら実際に政府は弱い、という事だ。

バートレットが法案にサインし、スタンプを押す。

バートレット:NaClだよ、CJ。

CJ:何でしょう?

バートレット:塩のことだよ。(ドーランに法案を返す)この法案は拒否する。


-ACT ONE-
CJが会見で下院の職員から、共和党が「死亡税」または「子供強奪税」と呼んでいる、「相続税」の廃止を求める第10号決議案が出された、という 事を発表する。この税はアメリカ人の相続税が100万ドルを超える金額に対してわずか2%にしか過ぎないし、この税収は民主党の無駄遣いと言われ ている識字率の向上や難病治療のプログラムに充てられている。大統領は就任33ヶ月目にして約束どおり初めての拒否権の発動となる。今夜発動が 覆す動きがあることについての質問にCJはただ知らない、とだけ答える。 だがそのすぐ直後に、共和党のリーダーたちが今夜緊急の招集をかけたことで共和党に拒否権の発動を覆す準備が出来たことは考えられないのか、と の質問が来る。直接彼らに聞いてください、とCJ。そんな中シェリー・ウェクスラーというリポーターがCJに彼女の服装(赤いドレス)について 質問する。「あなた(CJ)が着ているのは何ですか?」「ドレスです」。リポーターの間から笑が聞こえた後、ダイアン・クックのものを着ている 、と答えたCJは遅れないようにまた会見を開くつもりだと言って会見を終了させる。
会見室の外に出たCJはキャロルに芸能リポーターのシェリーが会見室にいた理由を尋ねる。金曜の夜だしローカルニュースだからノーベル賞受賞者 のディナーを取材に来たついでなんでしょう、とキャロル。CJはイースターエッグでの取材もロクにできない彼女に下院での拒否権転覆の取材など 出来るはずも無いでしょうに、と思う。ダイアン・クックのスペルも間違えそうな人よね、と自分のスペルミス癖を忘れたかのように笑いながら言う キャロル。CJはこれからディナーに戻るつもりだがその前に元素の周期表を持ってないかどうかキャロルに確認する。もちろん持っているわけが ない。

自分のオフィスで少数党院内総務のオフィスからの電話を受け取ったサムは話を終えると電話を切って廊下に出て、トビーに彼らが採決の投票を 行うつもりである事を伝える。投票は90分後、1時間討論してから20分で投票するのだ。昨日から一転、どうして票が逃げてしまったのか?支持率の 低い大統領が臆病民主党員どもに選挙の年に減税に反対するよう投票しろ、と言っているようなものだ、逃げないほうが不思議だろう、と答えるト ビーはジンジャーを呼んでルーズベルトルームに電話10台と議会連絡関係の局員を何人か集めるよう言う。

サム:院内幹事に票集めをさせないと。

トビー:あの年寄り幹事ではダメだ。我々が集めるんだ。

サム:時間がかかりますよ。

トビー:皆座ってるんだから手を挙げるように言えばいいだけだろ。


今度はサムがボニーを呼んで国際空港に乗り込もうとしている民主党議員をデルタやユナイテッドアメリカンの航空会社に電話して呼び戻させるよう 言う。

ルーズベルトルームにサム、トビー、エド、ラリーが入って来る。ラリーが採決の時間を尋ねてくる一方でトビーはジンジャーに院内幹事のオフィス への電話をキープさせるよう大声で言う、そしてレオをディナーから呼び戻すように、とも。サムはルーズベルトルームの外を歩いているチャーリー を見つけて彼について行き、廊下を歩きながら委員会が司法取引を持ちかけてくるはずだ、と伝える。つまり免責の事だ。だがチャーリーはその件に ついて話す許可は無いとしてその話を打ち切る。チャーリーと別れたサムはドナと合流する。ジョシュは環境問題について少しは勉強しているよう だ、とドナから聞く。というのもジョシュが会うバックランド知事と話し合うためには環境問題についての議論が重要だし、その事について詳しい サムはルーズベルトルームのミーティングに出なくてはいけないため彼の力添えは期待できないからジョシュ一人で戦わなければならないからだ。 おそらく前菜とアントレの間には来れるわよ、とドナ。サムは環境保護庁(EPA=Enviromental Protection Agency)が小児喘息について出して いるデータもジョシュにおさらいしておくようドナに言う。
一回りしてルーズベルトルームに戻ってきたサムが票集めについての今の様子を尋ねる。ラリーは3人が裏切り、その首謀者はキンボールだろうと 予測している。キンボールが寝返ったのなら彼の委員会の半数が票を翻したことになるからさすがに彼ではないだろう、とサムは考えるが今彼が トビーの持つ電話に出ているところだった。ちなみに他に怪しかったニューハウス議員はイリノイで安泰だから何もしないだろう、なら残りはやはり キンボールという事になるだろう。レオがトビーに代わってキンボール議員の電話に出て、今すぐホワイトハウスに来るよう催促する。

ジョシュが自分の部屋の前の大部屋に戻ってきてタイが解けたから結びなおしてくれ、とドナに頼む。これじゃ今夜はトム・ジョーンズにはなれない わよね、と言うドナに対し、トニー・ベネットだよ、とジョシュが訂正する。ドナはバックランドとのミーティングにサムが出られず、小児喘息に ついて環境保護庁が出しているデータを見ておくようサムが言っていた、という事を報告するがその一方で個人的に話したいことがあるから、とも 言うがすぐにディナーに戻りたいジョシュはそれを後回しにするようやんわりと言う。ウィンドウ越しに「どうかな?」とジョシュ、「きまってる わ」とドナ。

広報部のオフィスではサム、トビー、レオがキンボール議員の出してくるであろう要求について話し合っている。ひょっとすると彼は妥協案に戻り たく、免税対象を500万人から1000万人にしたがっているのではないのか、とサム。1000万人の免税対象、そんな話はウチの親父でも聞いた事が ないだろうな、とトビー。そこにマーガレットが来てレオを呼び出すと、レオはサムとトビーに全面降伏だけはしないように言ってから彼女について 歩いていく。

歩きながらナンシー・マクナリーから呼ばれた事を知るレオは、自分の部屋で待っていた彼女からエルサレムでの自爆テロにアメリカ人が巻き込まれ たと聞かされる。詳しくはエルサレムのカフェで自爆テロが敢行され、10人が死亡、125人が負傷しその大半は若者なのだと言う。そしてその死亡者 のうちの二人はアメリカ人で、彼らは標的にされていた可能性がある。レオはマーガレットに、これからシチュエーションルームに行く事を伝え、 ナンシーと一緒にそこへ向かう。

-ACT TWO-
ナンシーがレオにINP(Israeli National Police=イスラエル国家警察)からの情報で自爆テロ犯が俗に言うプラスチック爆弾であるC-4を一台の 車分を身体に巻き付けて爆発させた、という事を知らせる。そこにバートレットが入ってきて被害者の両親への電話をしたかどうか確認すると、総 領事官が両親に電話をしたとナンシーが報告する。1時間以内には犯行声明が出されるだろう。だが政府はレバノンのべカでの件以来旅行者に警告を してきたはずではなかったのか?彼らはサッカー観戦に来ていただけなのです、とナンシー。アメリカ人が標的にされたかどうかという事について 、当初の目撃者によると自爆犯はナイトクラブに入ろうとしていたがアメリカ代表団のしるしと旗のついたシャツを着ていた二人のアメリカ人を見て 足を止めたのだと言う。二人は兄弟で名はアリエル・レヴィとノア・レヴィ。犯人が彼らのほうに歩いていった事は現場の大使館員からの証言でも 明らかだ。そこでレオがC-4爆弾の痕跡が見つかったと報告するとバートレットは即座にアフガニスタンが関わっているのか、と尋ねる。もしくは イランか、と答えるレオ。FBIの鑑識結果が出ればよりよい情報が得られるだろう。その結果が出るのはおそらく45分から1時間後だ。全員に冷静な 対処を呼びかけるよう言ってからバートレットは席を外す。

マーガレットのオフィスで待っているCJは時間潰しに化学の無駄知識をマーガレットに披露している。CJ曰くナトリウムのNaはソジウム(Sodium) の事で、ソジウムは英語の単語ソーダ(soda)から来ている。なら元素名のNaは何故Sodaと何の関わりも無いのか?それはNaがラテン語のナトリウ ム(Na)から来ているからなの。CJの講義が終わるとマーガレットが一つだけ尋ねる「”ナトリウム”って何?」「”ソジウム”の事」。二人の 無駄話が終わるやレオがシチュエーションルームから帰ってきたのでCJは彼についてレオの部屋に行く。レオがCJを呼んだのは自爆テロの件だ がCJも予想はついていた。二人の目的がただのサッカー観戦である事をレオは伝える。会見でその事を発表はしても彼らが狙われたことについては まだ伏せておくようレオは言う、名前も出さないように、と。大統領はご家族に電話するだろうが大統領とイスラエルの首相が連絡を取っている事 についてはあまり大きい事、特に報復について、は言わないようレオはCJに釘を指す。CJが帰ろうとするとチャーリーを見つける。
CJはチャーリーを見つけ、話があると言って近づいていくがチャーリーは彼女が何を話そうとしているのか分かっているため話を聞こうともしない 。そんなチャーリーに仮説の話よ、と言って無理やりにでもCJは話そうとする。あなたぐらいのある男が「刑務所に行かなくてもいい」という話を 持ちかけられたら・・・・・・。誰も刑務所になんて行きませんよ、とCJの話を遮るチャーリー。弁護士を雇えばいいだけの話だが司法取引なら 数百時間分でなく数時間分の弁護料だけで済む、とCJは言うがチャーリーの意思は堅い。頑なにその話をする事を拒んだ様子を見たCJもそれを理解 する。ところでこれから会見で悲しい話を伝えるためにも今の派手な格好をしたCJには着替えが必要だ。

CJ:着替えなきゃ。

チャーリー:なら見てます。

CJはびっくりしてチャーリーを凝視する。「なんてね」と言ってチャーリーは引き返す。

ルーズベルトルームにジョシュが入って来て既に空港を発った民主党議員の票を4つ取り逃がしたことを訝る。3人が飛行機に乗り、離陸してしまっ たのだとサムは言うが乗りたがっていた彼らを止められなかったのはもうしょうがない事だ。キンボールは今ホワイトハウスに向かっているようで トビーが彼と会うつもりだ。そこにドナがやって来てジョシュをバックランド知事を待たせてあるミューラルルームに通す。

そこにはインディアナ州知事のジャック・バックランドの他にも二人パム・ウェッチェルとジョナサンがいる。早速ジョシュが環境問題の話に入る。 大統領は過激な環境保護論者ですか、と。「ニシアメリカフクロウを守りたいならバートレットに入れろ、仕事を守りたいなら他の候補者に入れろ 」?これを言ったのはバックランドではなくパムという女性の方で、彼女が地方のIndianapolis Post-Dispatch誌に出したものである。僕はフク ロウの事なんて知らないけれど大統領派380万人の雇用増大を実現したプロビジネス者ですよ、とジョシュ。ならば同じ事をインディアナの元鉄鋼 労働者にも言ってごらんなさい、とパムが反論する。大統領が抵当を払うために作った仕事に彼らは就かされているようなものなのだから、と。 それでも製造業の不振は環境保護のせいではない、とジョシュは言い切るが今度はジョナサンがそれは違うと反論する。大統領が煙やすすの排出規制 を厳しくしたために中西部の鉄鋼業の工場は次々と閉鎖に追い込まれた、と。だがもし空気清浄法案を通過させていなければさらに200万人もの人 たちが心臓病や気管支炎、呼吸器疾患に見舞われることになっていただろう、とジョシュも負けていない。環境保護庁が小児喘息に出したデータも 早速持ち出そうとするがそこでバックランドが議論を止めに入る。彼もジョシュが自分を呼び出した本来の目的に気付いていないわけではなかった のだ。仕事を無くす事にはなりません、それどころか雇用創出に繋がります、とジョシュは説明を続ける。環境に有益な産業の創出で4000億ドル もの巨大市場が生まれることになる。55歳の鉄鋼労働者にハイブリッドエンジンを作ることなど出来んだろう、とバックランドはパムとジョナサン を退席させるとそう言い返し、ジョシュに本題に入るよう促す。バックランドはビクター・カンポスをインディアナに呼び出した。パムも新聞で 大統領を批判した。ジョシュは思い切って尋ねる。「あなたは予備選挙で大統領に立候補するつもりなのですか?」。「まぁ、飲もうじゃないか」 とバックランド。

ホワイトハウスに到着したキンボール議員をトビーが急いで出迎える。採決まで時間が無いからだ。

トビー:長い道のりをご苦労様です。

キンボール:どうにか耐えたよ。

トビー:その事を言ってるんじゃありません。

キンボール:つまり?

トビー:あなた無しでも勝てるという事ですよ。


そうは問屋がおろさない、とキンボールは自分には4人分の代理投票権があると言って自分が主導権を握っているように振舞う。彼にしてみればショ ッピングのついでにホワイトハウスに寄ったようなものだ。テネシーの田舎の農場出身者であるあなたの地元で我々はテネシー川流域を管理する機関 や農場の安全に力を入れてきたのに民主党の大統領に背を向けるんですか、とトビー。 相続税は1ドルにつき65セントかかるとキンボールは言うがトビーにはそんな事はどうでもいい。問題なのは昨日まで我々と一緒にいたキンボールが 今日には我々に人質を取って要求を突きつけている事だ。そしてキンボールは自分が優位に立っている事を強調して交渉を進めようとする。最初の 要求は放牧料だ。トビーは「何のための料金だそれは?」と言わんばかりに驚くが時間が無いので彼をさっさと自分のオフィスに案内する。

会見室では赤のドレスから普段のスーツ姿に着替えたCJが自爆テロの犠牲になった二人のアメリカ人の事件について会見を行っている。その中で名 前はまだ公表されていない、と伝える。停戦が失敗だったとはいえそれは双方が合意に基づいての政策だったしアメリカ政府はまだまだ平和に向け ての尽力を惜しまないつもりです、と言う。そこで、呼ばれてもいないのにシェリーがCJに尋ねる。悲劇によって二人の息子さんを無くしたダラス 在住のご家族に向けて何か言葉は?CJは、爆弾の犠牲になったアメリカ人の身元の判明が確認できないうちは何も言えない、と答えるがシェリー はCNN、AP通信、イスラエルのテレビなど他の局で流されてる報道を何故合衆国政府が何も掴んでいないのか尋ねる。1974年に制定されたプライバシ ー法によって家族の承諾が得られるまではその件について深い事を話すことは出来ない、とCJははっきりと言う。さらに別の記者マークが、アメリ カ人が殺されたことに対する報復措置は取るのか、と尋ねてくる。CJは、現在調査中であるため早まった対応に出ないよう各方面に呼びかけている ところだ、と答え次の記者を指す。フィル。

柱廊に出たバートレットは待っていたレオからパレスチナ自由戦線と呼ばれるパレスチナの一波の犯行であると聞かされる。どうやらFBIもCIAも この意見で一致しているようだ。国防長官のハッチンソンがイスラエルの外相や内務省と話した結果、犯行グループは孤立した一派であるとの事ら しい。Bekaaに対する報復攻撃だったのならパレスチナ解放機構(PLO=Palestine Liberation Organization)の議長であるアラファトから、 バートレットは暴力反対の言葉を聞きたい。そしてイスラエルとの協調路線を歩んでもらいたいのだ。レオは、国連事務総長の方からアラファトに 圧力をかけ、うまくいけばもしかすると今夜はイスラエルの報復を押えることが出来るかもしれない・・・・・・と言うがやはり事はそう簡単では ないとレオもバートレットも考える。

-ACT THREE-
トビーのオフィスでサム、トビーがキンボールと話し合いの席に着いている。西部では連邦の土地で家畜を放牧している牧場主が実に30000人はいる 、とキンボールは言う。だが市場価値の10分の1にしかならない牧場の低価格な放牧料は30年前のままだ。政府にしても牧場主を困らせてやろうとい うつもりで放牧料の引き上げを行うのではない。引き上げたその金を水質改善に使えば死滅していく魚や野生生物を救うことにもなるはずだ。だが サムが放牧料の引き上げがどれほど有益なことになるのか説得しようとしてもキンボールは牧場主の生活問題に関わると言って譲らない。連邦の 土地の放牧料が小さなバセット犬の餌代より安いと言っても同様だ。彼にしてみれば政府は地価の下落している牧場主を救うよりも、どの道選挙で 勝てないであろうその西部の土地を見捨てることの方が簡単なのだと考える。様子を見かねたトビーは牧場主たちの窮状を考慮して放牧料の引き上げ に1年間の猶予を与えることを約束する。だがキンボールはこれで収まるどころかさらに要求を釣り上げて、農業法の自由度の低下について会計検査 院(GAO=General Accounting Office)が出しているデータを持ち出して農業の安全性の強化や柔軟な生産契約の増加の援助、をそれぞれ求めて くる。これを見たサムは一旦退出して、バックランドと話し合っているジョシュを部屋の外で待っているドナに、ジョシュにもう少し時間を稼ぐ方法 を尋ねて来てくれるよう頼む。キンボールの要求釣り上げのおかげで説得にはまだまだ時間がかかりそうになったからだ。
話を受けたドナはミューラルルームからジョシュを一時的に呼び出して時間稼ぎの方法を尋ねる。それに対してジョシュは少数党院内総務のオフィス に電話してある種の見せ物をさせればいいと言う。具体的には、下院の議場内に展示物を持ち込む事は禁止されているので民主党の誰かにポスター を持ち込ませるのだ。そうすれば誰かがそれに異議を申し立て、それにより議長がその場全員の投票によってそれを裁定するためそれで20分は稼げ るだろう、というわけだ。了解したドナが早速行動に出る一方でミューラルルームのドアを閉めたジョシュは再びバックランド知事と向き合う。

ジョシュは大統領選に出馬しようと考えているバックランド知事の他の地方での具体的な支持率を列挙していく。アイオワでは5%にも満たず、彼の 政策を知った後ではさらにこれが下がることになる。党の幹部の強硬派の39%は彼を支持しないし18%の人間がようやく「価値観を共有できるか? 」という問いに賛同できるぐらいだ。バートレットの故郷ニューハンプシャーに至っての知事の支持率は3%に過ぎないし「価値観を〜?」は14%だ 。この地でバックランド知事の政策を聞くとその41%は知事を共和党員だと思うだろう。サウスダコタ3%、ジョージア8%、ニューヨークでも7% 。こうした具体的な数字をバックランドは知らない、というよりも資金が無いために知りようがない。だからおかげで助かったよ、と知事。それなら 何故彼は大統領選に出馬しようとしているのか?バックランドとしては訴えたい問題を広めるために出馬しようとしているのだが、彼の健康状態の 良好さがバートレットのそれとは危ないくらいに対照的な事を考えるとジョシュは頭が痛い。確かにバートレットも出馬当時は人気も資金も無かった 。しかし予備選当時の彼の相手は現職の大統領ではなかった。誰も同じ党内出身の現職の大統領を相手に戦いを挑んだりはしないのだ。私の支持率が 話にならないのなら放っておけばいいじゃないかとバックランドは言うが、ここでジョシュは健康問題を持ち出す。ジャック・バックランドはアメリ カンフットボールの最優秀選手に贈られるハイズマントロフィーを手にするほどのフットボールプレーヤーでオリンピック出場経験も持ち、さらに ニューヨークマラソンにも現役で参加。とどめは地元の少年たちにトスバッティングをしているその姿だ。それを見せつけられては大統領が酸素テン トをしながら大統領選に出馬しているようにすらジョシュは感じてしまうのだ。私にも聞いて欲しいことがあるんだ、とバックランドは言う、これは 真面目な挑戦だ、と。何なら腕立て伏せでもやってみせようか、と知事。そうですね、とジョシュ。

シチュエーションルームに再び入って来るレオにナンシーがイスラエルのハツェリム空軍基地に戦闘機が12機スタンバイしている事を報告する。 空対空ミサイルのサイドワインダーを8機搭載しておりパイロットも既に乗り込んでいると言う。べゼット基地からは対戦車ミサイルを積んだ攻撃 ヘリのロングボウアパッチも10台待機しておりヘルファイアも搭載していると言う。レオは演習の可能性を指摘しようとするがナンシーは普段の軍 事行動の出方と殆ど変わらないため区別は難しい、と言う。ターゲットとして考えられるのはへブロンのアブ・スネイ・バブやアル・スケイ近辺、 ラマラやアル・ワタンの警察署、ハマスの新聞社などが考えられるがそのいずれでもない可能性も否定できない。それに対するアラブの反応として はエジプトがイスラエルが報復に及んだ際に臨時にアラブ首脳会議を開こうとしていることが挙げられる。C-4爆弾の件については調査が進み 、CIAは犯人をアブドゥル・ムジーブと関連があると突き止めたそうだ。それを聞いたレオは問題解決の糸口が見つかったかもしれないと呟いて バートレットに知らせるために部屋を出る。

CJのオフィスにキャロルがやって来てTV局が生中継を希望している件についてどうするか尋ねてくる。どうやら先ほどの女性リポーター、シェリー ・ウェクスラーが中継するそうだ。

キャロル:シェリー・ウェクスラーが中継するそうよ。

CJ:何をリポートしようとしているかも分からない人間をよこすなんて局は何考えてるのかしら。

キャロル:本人は分かっているつもりみたい。

ところでキャロルが、先ほどの会見でシェリーから挑発されたのによく我慢したわね、とCJを気遣ってくる。あの手の人間は受け流すに限る、と言 いな がらTVの方に目をやるCJ。TVの中ではシェリーがホワイトハウスを背景にニュースキャスターに様子をリポートしている。アメリカ人が巻き込まれ たというのにホワイトハウスは殺された二人のアメリカ人の名前の確認が取れてない、もしくはこの時点では公表できないと言っているのはどういう 事なのか?その一方で議会では相続税の廃止法案に対して大統領が拒否権を発動した件を巡って議論が繰り返し行われているところだ。キャスター のアランは自爆テロの件に話を戻して具体的にホワイトハウスがどういう声明を出したのかを尋ねる。するとシェリーはCJ個人の話を持ち出して 彼女が今夜数回にわたって服を着替えていたことに言及する。

シェリー(TV):クレッグ報道官はお洒落な事で知られていますからおそらく衣服を取っ替えひっ替えしているうちに情報を忘れてしまったんでし ょう。

CJ:そう・・・自分が何をしているのかは確かに分かっていたみたいね。


シェリーへの対処を買って出ようとするキャロルを止め、CJは自分で対処することを腹に決める。

マーガレットの部屋へ来てレオを待つサムとトビー。だがトビーは向こうにチャーリーがいるのが見えたので彼のほうに歩み寄っていく。だがトビー もCJ同様に、免責を申し出るように言ってくる事を察知したチャーリーにその件については話せない、とはねつけられる。

トビー:何の話か分かるだろ?

チャーリー:免責(Immunity)ですよね?

トビー:あぁ。

チャーリー:だからその話は出来ないんです。

トビー:ワクチンの話ならいいだろ。

チャーリー:それは免疫(Immunization)です。

レオも戻ってきたので説得を諦めて仕方なくサムと一緒にレオの部屋に向かうトビー。そこで、足元を見てきたキンボールから多大な要求が課せられ た事をトビーは伝える。放牧料の引き上げを1年間待つ事、農業輸出に十分な助成金を出すような柔軟な生産契約の減少の援助、そして牛乳に含まれ る抗生物質の違法な使用についての食品医薬品局の厳重な取締りの強化・・・・・・などがそうだ。まるで子供の要求だな、とレオ。今度は入って 来たジョシュにバックランドの様子を尋ねるとやはり何かしらの要求に応えざるを得ないだろう、とジョシュも言う。レオはいい加減同じ民主党員が 要求を突きつけてくることにもううんざりしている。最初がビクター・カンポス、次にキンボールと彼の持つ4票、そしてバックランド。そんな彼ら に釘を指すようレオは言う。空気清浄産業や水の清浄化、天候の調節、そして労働者の安全に配慮する企業との結びつきを攻撃せずに大統領を脅迫 しようものならこの件をマスコミにリークするぞ、と。リークの出所が我々だと知れても良い。レオはあるたとえ話をする。名選手ビル・ラッセル は肘打ちを絶対にしない、というよりやりたくなかった、選手で有名だった。コーチのレッド・アバーバックはそんな彼に一度だけしてみるように 言った。公共放送の試合で肘打ちをやってしまえば二度と出来なくなるからだ。リークの件も同じ事だ、と言ってレオはトビーに「要求は呑むか蹴る かだ」と言う。了解したトビー、サム、ジョシュはレオの部屋を出て行く。

その途中サムがトビーを脇にやって話し掛ける。放牧料にしろ農場のネットにしろ牛乳の助成金にしろキンボールの言っている事は地方に農場を持つ 共和党員が言い出しそうな事ばかりだ。それなら、とサムは共和党のロイス議員を取り込もうと提案する。彼なら6票握っているから合わせて7票獲 得できるしキンボールもその様子を見てこちら側につくかもしれない。それにCJも会見で超党派的な面を前面に打ち出せるし何よりも「肘打ちを 食らわせる」事が出来るかもしれない、全国放送の場で。

サムとトビーがキンボールの待つトビーのオフィスに帰ってくる。キンボールが牛乳に含まれる抗生物質の話をもう一度始めようとしたその時、トビ ーが肘打ちを食らわせる。すなわち彼の出す全ての要求を却下したのだ。不意打ちを食らったキンボール議員は黙り込んでしまい、もう一度話し掛け ようとしたその時にトビーとサムから、投票が近づいていると言う理由で退出を迫られる。キンボールを去らせるとトビーはすぐにジンジャーを 呼んで、ペンシルベニア州出身のロバート・ロイス共和党議員を電話口に呼び出すよう言う。さぁ、また忙しくなりそうだ。

ベッドルームに戻ってきたバートレットはベッドで横になっているアビーのところに行って容態を尋ねる。アビーはペトリディッシュにたくさん 菌がいるような状態であると自分を表現する。バートレットはエルサレムでアメリカ人二人が自爆テロの犠牲になった事を伝える。彼らは19歳と21 歳の兄弟だった。ところで今日はゾーイと話したか、とバートレットが尋ねる。1日に1度は電話する事になっているのに今日はまだなのだそうだ。 しょっちゅう電話はしてくるが毎日とまではいかないそうだ。バートレットは毎日電話させるようアビーに言ってからまた戻っていく。

-ACT FOUR-
柱廊の窓際で座っていたレオのところにバートレットが戻って来る。C-4とそれに付随する化学薬品からどうやら自爆テロの犯人とアブドゥル・ム ジーブの間に接点がある事が確認されたようだ。バートレットも窓際に座って話をする。バートレットの方からアラファト議長に電話してムジーブ をイスラエルに引渡すよう言い、さらに議長がイスラエルの秘密警察に狙われていることも改めて伝えておくべきだ、とレオは言う。もしアラファト がムジーブを引き渡さなかったら議会に頼んでNGO(NonGovernmental Orgarnization=非政府組織)の1億ドルの援助を引っ込めるようにしておく べきだろう。そうすれば1日だけイスラエルの報復を押えることが出来るだろう。話し合いが終わるとバートレットは公邸の方へ行き、レオはオーヴ ァルオフィスの方へと歩いていく。

バックランド知事は怒っている。それも当然だ。インディアナの州知事ともあろう者が健康的過ぎると言う理由で選挙から降りてくれと頼まれるなん て馬鹿げているからだ。もちろんジョシュも知事の政策を馬鹿にして出馬を断念して欲しいと言っているわけではない。だが知事も打ち出したい問題 があるため予備選に出たいのだ。そこにドアをノックしてドナが現れ、ジョシュを呼び出してサムがもっと時間が欲しいと言ってた事を話す。サム もロイス議員とあって話をしなければならないだろうから時間がかかるのだろう。ジョシュは民主党の誰かに議事録採決を要求させるよう言えばいい とアドバイスする。そうすれば下院は前日の議会の活動をチェックすることになるからまた時間が稼げるだろう。その後に拒否権転覆に修正案を つけさせればかなりの時間が稼げるはずだ。修正案の具体例としては「相続税を廃止するには人工芝(Astroturf)を持っている人に限られる」と いったように適当なものでもかまわない、と言うジョシュに対し、こんな事ばかりやってるから議会では何も進まないのね、とドナ。再び部屋に 戻ったジョシュは顔を曇らせながらほんの昔話を始める。バックランドはインディアナ、本当のところは中西部全域にかけてバートレットによく尽 くしてくれたが副大統領の座も夢ではなかったのに誰もが彼ではなくホインズを後押ししたのだ。ホインズ無しでは勝てなかった、とバックランド もそれは分かっている。とはいえバックランドにも任期が迫っている。今のうちに言いたいことを言っておかないと、と彼は思っているがジョシュ も上からの命令でこの場にいる。最悪の場合は彼を潰すしかない・・・・・・だがジョシュは敢えてそうはせずに妥協案を提案する。それはつまり 現在の労働長官カール・リードが民間企業のシエラソンに天下りを希望しているため3ヵ月後には自動的に彼のポストが空く事になる。そこにバック ランドが入れば言いたいことを言えるのではないか?後はレオに承諾を得れば大丈夫だろう。そんなに私の健康が怖いのか、と思わず顔を緩ませな がら知事は言う。何もかもがですよ、とジョシュ、これはお世辞ではなくあなたなら立派な労働長官候補になれるでしょう。今から帰ればデザート には間に合うかな、とバックランドもようやくその条件で大統領選出馬を断念することに同意する。そしてジョシュと握手するとバックランドは 会場の方に戻っていく。

ルーズベルトルームにロバート・ロイス下院議員を呼び出し、彼を間にトビーとサムが囲む形で話し合いを行っている。ロイス議員が条件を確認する 。放牧料の引き上げに1年間の猶予を与える、農場の安全性教科の必要性の見直し、農家への補助金削減の停止、そして食品医薬品局による牛乳に 含まれる違法な抗生物質の徹底検査。これを政府が承認する代わりに彼の持つ7票を頂きたい、というものだ。同じ条件をキンボールに示し、これを 条件とするならばキンボールは受ける気でいる事をトビー、サムが保障する。だがロイスの応えはNOだ。トビーはロイスが最初から相続税の廃止に 反対していた事を持ち出すとロイスもそれを認めたうえで本音を話す。ホワイトハウスは常日頃から党内の強硬派、つまりより力の強く、より取引 上手な人間の意見に従い、彼らが選挙区での人気を取るために政府から何十億ドルという大金がそれにつぎ込まれてきた。それはつまり・・・とサム が尋ねる。穏健派は締め出されるより他にない、とロイスは声を大きくして答える。相続税廃止など彼に言わせれば共和党員でいることが恥ずかしく 思えるほどのやり方だ。かつての共和党は財政面についても良心のある穏健派の集まりだった。それが今や億万長者に税制優遇措置ときたもんだ。 拒否権発動は当然の事だろう、とロイス。マサチューセッツ最高裁判所判事でもある共和党員のオリバー・ウェンデル・ホームズはこう言った「税金 は文明社会の代価である」。今度はトビーが、つまり・・・、と尋ねる。ロイスは続けて言う。勝つために私をあてにしないでほしい。私も地元では 影響力がない、民主党全国委員会が保守派の民主党員をぶつけてきたら負けは確実だ。だがその民主党員は当選しても大統領との写真 撮影などしないだろう、ましてや投票などするはずがない。自分の周りの民主党員をざっと見回してみるといい。こうな ってはもはや誰が敵で誰が味方か分からなくなってくるはずだ。キンボールやバックランドがいい例だろう。サムとトビー が互いを見回し、しばらく間を置いた後トビーが尋ねる。もし彼の地元に保守派の候補を置かないと約束したなら?その時は今夜君たちに新しい7票 が入ることになる、とロイス議員は確約する。ただし牛乳の条件だけは結構との事だ。トビー、サムと握手して部屋を出るロイス議員はすれ違った レオに「お帰り」と声をかける。レオはすぐ後ルーズベルトルーム内のサムとトビーの顔を見て交渉が上手くいった事を確信し微笑む。

そしてそこを通りかかったチャーリーをレオは自分の部屋に通す。ドアを閉めてからレオが提言する。

レオ:免責を取れ。

チャーリー:取りたくありません・・・

レオ:取るんだ。

チャーリー:他の誰かは取りました?

レオ:誰も取るようには言われていない。

チャーリー:その人たちなら取ると思いますか?

レオ:チャーリー、訴訟に巻き込まれたら何が起こるかわからないんだぞ!?超党派的な訴訟で君は破産に追い込まれ、ロースクールからも締め出 される事になる。

チャーリー:免責は罪を認めることです。

レオ:そんな事はない。

チャーリー:誰かが僕の立場に立って免責を取ったらその人は自分の雇用者に何と言うんです?自分を信頼してくれている人に申し訳ないですよ。

レオ:英雄になろうとするな。

チャーリー:何故いけないんです?(間を置く)僕もこのチームに残ります。他の人にも僕に免責を求めるよう 言うのは止めさせてください。

そこにマーガレットがノックして部屋に入って来て、レオを呼ぶ。レオはチャーリーの方を向くと、彼の固い決意を感じ取ったのかそれ以上言うの を止める。チャーリーが出て行くとマーガレットの部屋からナンシーが通される。彼女の嬉しそうな顔を見るとレオもそれがいい事だとすぐに分かる 。ナンシーが言うには、パレスチナ警察がガザの自宅でムジーブを逮捕したのだと言う。その知らせにはレオも心から安堵したのか、マーガレット を呼んでCJを呼び出すよう言ったかと思うと料理が残っていないかどうかも尋ねる。

バックランドとの話し合いを無事終わらせたジョシュがドナのデスクのところに戻って来て蝶ネクタイの結び方を覚えたほうが良いよとアドバイス する。そして仕事は終わりだから帰ってもいいよ、とも。だがドナにはまだ仕事がある上に彼女にはジョシュに言わなければいけない事があった。 そしてドナはここ2,3日の彼女の身の回りに起こったことを話す。2,3日前の夜にエインズリーの紹介でデートした男が共和党の弁護士で歳入委員 会のメンバーだったが、異動になって行政監視委員会に移った、という事を。それを聞いたジョシュは即座に2度とその男には会わないよう警告する 。だがドナはその次の日にも彼に会っていた。ジョシュは途中目線を合わさずに聞いていたが再びどこか冷たい目で彼女の方を向くと、その男が自分 と相続税の件に関して敵対関係にある委員会に所属しているという事実を知っていながら会っていた事に言及する。そしてジョシュは冷たい声でもう 帰るよう促す。その前にドナは大統領が5分後に来るよう呼んでいた事をジョシュに伝える。ジョシュは「そうか」と言って部屋に戻り、ドアをきつ く閉める。

定例の会見でCJが記者からの質問に答える。大統領はアラファト議長にアブドゥル・ムジーブの引渡しを命じたのか?大統領は停戦協定を守るよう 求め、アメリカが和平交渉の実現に向けて仲介役になることを協調している、と報告するCJ。質問、ガザのAP通信によるとムジーブを引き渡さなか ったらパレスチナのNGOに1億ドルの援助金を引っ込めさせるよう大統領が脅しをかけたと報じているそうだが?外交交渉については離せない、 とCJは答え、そこで全ては明日に回しましょうと言って記者からの質問を打ち切る。代わりに今回下院が大統領の初めての拒否権を覆すための票集 めをしている事に触れ、初めての拒否権発動について少しおさらいをしましょうと言って唐突にシェリーに尋ねる「拒否権の発動を覆すのに必要な 票は何票か?」。いきなりの質問にシェリーは戸惑うばかりだが何とか「過半数」だと答える。答えは「3分の2」の290票だ。続いて質問する「そ れでは拒否権を発動させるのに必要な票は?」。今度はもう答えられない。シェリーのその顔を見たCJが即座に解答する「下院議員の総数から290を 引いて1を足す」ようにすればいいだけの事。シェリーも頷くが、続く最後の質問「下院議員の総数は?」に答えられず、周りのリポーターも彼女の 方を見ている事から自分が恥を掻かされた事に気付く。お友達からノートを借りてもっと勉強したほうが良いみたいね、とCJは言ってから会見を 終わりにする。
会見室を出たCJはキャロルからオーヴァルオフィスでのミーティングがある事を聞く。そこに同じく赤っ恥を掻かされて会見室を飛び出てきたシェ リーがやって来てCJを捕まえる。

シェリー:CJ!

CJ:あらっ。

シェリー:ひどすぎるんじゃないかしら。

CJ:そう?

シェリー:ライバル局は、さっきの様子を流すわ。全てのローカル局で、あれが・・・

CJ:えぇ、当然じゃないの、154もの関係各局でくまなく流されるでしょうね。

シェリー:ねぇ、CJ・・・

CJ:私は二人のアメリカ人が犠牲になったことを伝えるのに、赤いドレスは不謹慎だと思ったから着替えたの。あなたはそれをねじ曲げて伝えたで しょ。あなたの通行証は警備員に没収させるわ。私のオフィスに毎日電話して許可を貰わないと会見室には入れないわよ。私がリポート場所を ペブルビーチのゴルフ場に移してあげるからあなたはラファイエット公園から手を挙げてもらえるかしら。

シェリー:いったい何の権利で・・・

CJ:出て行かないとおたく以外の全ローカル局に大統領のインタビューを認めるわ。わたしを怒らせたのが失敗なのよ。

悔しそうにCJを睨んでその場を去るシェリーにCJが追い討ちをかける。

CJ:知ってる?塩の化学式はNaClよ。

オーヴァルオフィスの中央にあるソファやイスにバートレット、レオ、トビー、サム、ジョシュが座っている。全員疲れたような顔をしており、 バートレットは他のスタッフが話しているのを聞いている。サムはこう言うようバートレットに提案する。

サム:〜妻と私自身に代わり、ここに深い哀悼の意を示します。息子さんの死は無益ではありません。

完全に無益だろう、とジョシュは思う。だがこの件がきっかけで国際社会の中を平和活動に向けられるかもしれない、とサムは考える。そこにCJが ノックして部屋に入ってきてサムの隣に座る。

サム:〜この悲劇を通して、更なる悲劇が国際社会の注意を引く事になりました。

トビー:〜彼らは平和の精神を象徴するかのようでした。

CJ:〜サッカーを通じて平和の精神を呼びかけていたかのようです。イスラエルとパレスチナの子供たちが共に遊んで・・・

ジョシュ:〜共に学び、お互いを理解するように・・・。

レオが悲痛そうな表情を浮かべるバートレットの方を向く。そのバートレットが厳かに口を開く。

バートレット:ディナーの席である男から聞いて初めて知ったんだが贖罪の日(On Yom Kippur)には神に対する罪の許しを乞うのだそうだ。だが その前日には(On the Day Before)人に対する罪の許しを乞わねばならない。知ってたか?

トビー:えぇ、あれは何と言いましたか・・・・・・

ジョシュ:確か・・・・・・Erev(前日に)ですよ。

トビー:Erev Yom Kippur(贖罪の日の前日に)。

バートレット:そうだ。神に対する許しを乞うにはその前日に(On the Day Before)人に対する許しを乞わね ばならないそうだ。


そこにチャーリーがノックをしてバートレットを呼ぶ。自爆テロで亡くなった二人の兄弟のご両親だ。バートレットは一人で電話に出るほうがいい だろうと言ってスタッフにおやすみを言うと机の方に歩み寄って受話器を手にする。だがすぐには電話をせずに深いため息をついてからボタンを 押して電話に出る。

バートレット:レヴィご夫妻、ジェド・バートレットです。私にも三人の子供たちがいますから本当に何と言っていいのか・・・・・・。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Stockard Channing as Abigail Bartlet
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Anna Deavere Smith as Nancy McNally
Kevin Tighe as Jack Buckland
H Richard Greene as Robert Royce
Cliff De Young as Kimball
Thomas Kopache as Bob Slatterly
Peter James Smith as Ed
William Duffy as Larry
John F O'Donohue as Koveleski
Scott Michael Campbell as Donald Dolan
Mary Mara as Sherri Wexler
Timothy Davis-Reed as Mark
Charles Noland as Steve
Kris Narmont as Katie
Randolph Brooks as Arthur Leeds
Devika Parikh as Bonnie
Melissa Fitzjerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret



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