THE WEST WING
3-03:
E P I S O D E # 48
2004/10/19 on NHK BS2
WAYS AND MEANS
(方向と方法)
-STORY-
バートレットによって特別検察官が任命されてバートレットやその家族、スタッフらに召喚状が出されるが、検察官のクレメント・ロリンズが非の 打ち所のない人物のため、敵意を剥き出しにしてくる人物の方が戦いやすいと考えたCJはエインズリーのコネを利用して記者たちにホワイトハウス とロリンズとの親密性を匂わせて、打倒ホワイトハウスを目指す下院が聴聞会を開くように仕向ける。ドナはエインズリーの紹介で共和党弁護士の クリフ・キャリーとデートする事になる。最初ドナはクリフが、ジョシュと年中対立している、歳入委員会から異動になった事に喜ぶが話を続けて いくうちにクリフはドナの「箱」と異動の理由に気付き、途中で彼女を置いて帰ってしまう。トビー、ダグ、ジョシュ、コニーらは共和党が相続税 の廃止 による票集めをしていることに気付き拒否権の発動を提案するがそれを覆す動きを察知して、黒人票を握っているとされるマーク・リチャードソン 議員の説得にあたろうとするが票集めの保障は確約できない、とはねつけられる。

TELEPLAYAARON SORKIN
STORYELI ATTIE
GENE SPERLING
DIRECTORALEX GRAVES

US TRANSMISSION DATE
24 October 2001
JP TRANSMISSION DATE
19 October 2004
-TITLE'S MEANING-
An organization whose Cliff was belonged to, which manages the White House budget.

-EPISODE OUTLINE-
A procramation of fight.

-QUOTING-
1, Because I hate poor people. I hate them, Donna. They're all so...poor. And many of them talk funny, and don't have proper table manners. My father slaved away at the Fortune 500 company he inherited so I could go to Choate, Brown, and Harvard, and see that this country isn't overrun by poor people and lesbians.

2, Well, as long as there's a Congress, there are going to be multi-billion-dollar boondoggles.



INTO THE MAIN TITLE:★★★★★

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-TEASER-
ペンシルベニア通りの連邦検事局前に黒のセダンが止まるや中から出てきた人物に大勢の記者が一斉に詰め掛ける。その人物は司法長官が任命した 特別検察官のクレメント・ロリンズ。そのロリンズに召喚状がいつ出されたのか記者たちが尋ねるがロリンズは一切何も答えずに建物内に入っていく 。
検事局のロビーの柱の後ろの、ロリンズからは見えない位置で彼を待っていたオリバー・バビッシュは時計を伺いながら自分の前を通り過ぎる ロリンズ に合流して話し掛ける。大統領は誠意以外の何物をも示していないのにロリンズのオフィスから召喚状が出されたことなどの情報が漕ぎ舟のように ボロボロ漏れている。だがバビッシュがロリンズの元を訪れたのは検事局に既に訴えを申し出た事ではない。ロリンズは漏らされた情報は、集め られた理由すら知らされていない陪審員からではあり得ないと言う。そんな何故集められてるのかすらも教えられていない人たちを陪審員に任命 してもいいのか、とバビッシュが問うがロリンズはまず人気のない部屋に足を運んでから答える。バビッシュが召喚対象者に好意的だから言いたい 事も分から ないでもないがどうせそのような記事を書くのはやる気が無く、無責任な保守派のマイナーな新聞・・・・・・。「ウォールストリートジャーナル だぞ!!!」とバビッシュがロリンズの言葉を遮って新聞を机に叩き付けて怒鳴る。ホワイトハウスは全面的に、且つ好意的に全ての証拠を提示 するのに協力していて、スタッフも書類を集めるのに動き回っている、と。大統領特権での秘匿事項についてロリンズが言及するが大統領は その特権も放棄している、とバビッシュ言う。だがだからと言って弁護人依頼人特権や配偶者特権まで放棄したわけじゃないし医者と患者の特権に ついても然りだ。

バビッシュ:クレム、彼らは誠意を示しているんだ。

ロリンズ:だからと言って過度の信用もできない。

そう言うとロリンズは部屋を出てスタッフ数人と一緒に歩き出す。バビッシュも部屋の外に出てその様子を見届ける。

しばらく歩いたロリンズは「大陪審:審議中」というランプがついた会議室に入っていく。部屋の中は明るいと言うほどではないが暗くもない程度 の明かりが点っている。部屋の中央には長いテーブルがあり、その周りに18人の男女が座って特別検察官のロリンズを待っている。そしてロリンズ が彼らの前に来ると、話を始める。

ロリンズ:おはようございます、皆さん、私はクレメント・ロリンズ。訴訟番号CRSP 00101番の件で合衆国司法長官によって任命された特別検察 官です。この朝、国民の皆さんの代表として最初の召喚状を発行いたします。これらの召喚状は以下に挙げる人たちに証言と書類の提出を求める 強制力があります。

ロリンズが1枚の紙を取り出し、その召喚状の対象者となっている人物の名前のリストを順番に読み上げる。

THE SUBPOENAS SUBJECTS' LIST
召喚対象者リスト

JOSIAH EDWARD BARTLET
ジョサイア・エドワード・バートレット
:PRESIDENT OF THE UNITED STATES
合衆国大統領
ABIGAIL ANNE BARTLET
アビゲイル・アン・バートレット
: FIRST LADY
ファーストレディ
ELIZABETH BARTLET WESTIN
エリザベス・バートレット・ウェスティン
:BARTLET'S ELDEST DAUGHTER
バートレット家の長女
ELEANOR EMILY BARTLET
エレノア・エミリー・バートレット
: BARTLET'S MIDDLE DAUGHTER
バートレット家の次女
ZOEY PATRICIA BARTLET
ゾーイ・パトリシア・バートレット
: BARTLET'S YOUNGEST DAUGHTER
バートレット家の三女
LEO THOMAS MCGARRY
レオ・トーマス・マクギャリー
: CHIEF OF STAFF
首席補佐官
JOSHUA LYMAN
ジョシュァ・ライマン
: DEPUTY CHIEF OF STAFF
次席補佐官
CLAUDIA JEAN CREGG
クローディア・ジーン・クレッグ
: PRESS SECRETARY
報道官
SAMUEL NORMAN SEABORN
サミュエル・ノーマン・シーボーン
: DEPUTY COMMUNICATIONS DIRECTOR
広報部次長
TOBIAS ZACHARY ZIEGLER
トビアス・ザッカリー・ジーグラー
: COMMUNICATIONS DIRECTOR
広報部長
  
  
  
(ロリンズの手にしている紙を見る限り、おそらくこの後にも何十人もの名前が 続くと思われる)

-ACT ONE-
*   *   *   月曜日   *   *   *

旧大統領府ビル(OEOB)の倉庫でドナが必死に探し物を探しているところへジョシュが現れる。ドナが言うにその部屋にある箱には大統領の公式 予定表や公式に発行された予定表があるはずなのだそうだ。どうやらジョシュが出勤してきた朝の7時半まで徹夜で探していたらしい。19世紀の英文 学の中間試験の時にはしょっちゅう徹夜してたもんだわ、とドナ。あたし、英文学の中間試験を受けようとしているんじゃないわよね、とジョシュに 尋ねるドナ。もちろんノーだ。箱の中にはさらに大統領の10万人の新規教師採用に関する手書きのメモなどといった、MSの質問攻撃の後に着手され る政策もあるのだ。箱には番号がついているから見つけるのは容易いはずなのだが肝心のどの箱に何が入っているのかを記したメモ帳までどこかに いってしまったのだという。私、農場で育ったの、と突然話を変えるドナ。農場で生まれた彼女はキュートで元気少女だったがジョシュがやって 来て彼の犯罪人生ホに引き込まれてしまい、好成績だった19世紀の英文学の中間試験もオジャンになった。ホワイトカラーの犯罪少年になって、だ 。こんな農場出身の彼女が刑務所なんかに入れられたらきっと刑務所内でLuckyのタバコを売る事になるわ、そんな映画があったわよね、とドナ。 ジョシュは一人はしゃぎ立ててるドナを見て少し眠るよう気遣うがそんな心配も彼女には無用。彼女はまだしばらく上級職員に送られた小包や贈り 物の記録やレシート、そしてどこに何があるのかを示した紙を探すつもりだ。彼女の良く分からぬ気迫に押されそうになったジョシュはとにかく オフィスに戻ることにする。道中、悪い事しちゃダメよ、とドナ。

廊下に出たジョシュはサムを捕まえてどこか舞い上がってるドナを見るのは楽しいよ、と言う。ところで、とジョシュはサムに広報部からドナの 代わりの秘書を借りたいと頼む。それをあっさり請け負うと、サムはイエローストーン公園の放火事件に話をもっていく。火が出たのなら消せばいい 、とジョシュ。しかしサムはプロの消防士ではない、4歳の時に憧れはしていてもだ。ジョシュはその頃バレリーナになりたかったのだとついうっ かりと言ってしまう、後々サムが言いふらすであろう事も考えずに。公園内の松林に雷が落ちたことで火事になり、すでに500エーカーも広がっては いるが居住区域には届きそうに無いと言う。

サム:実際には昨夜、公園の管理責任者のビル・ホートンと内務省の高官数人と話し合った結果、そのまま燃えさせておこうという事になったんだ よ。

ジョシュ:つまり放ったらかしにするって事?

サム:火を消す事が必ずしも政府の対策とは限らないんだよ。

ジョシュ:消火活動が必要じゃない対策ってどういう事だよ?

サム:火はある環境下では環境のために有益なこともあるからさ。森には木々の再生をより活発にするために、焼却させて不純物を取り除くという 自然のサイクルが必要だからなんだよ。

ジョシュ:・・・・・・どうせ誰かがおまえにそう言って来たんだろ?

あぁ、とあっさり認めるサム。ところですべき事と言えば、「大統領は州知事と話した」と言えるように実際に大統領が州知事に電話することだ。 ジョシュがその件を請け負うと最後にサムは「バレリーナ?」と言ってジョシュをからかう。言いふらされるのは時間の問題だ。

CJのオフィスではエインズリーがソファーに座り、バビッシュが立ってCJと召喚状の件について話をしている。バビッシュは召喚状は証言と証拠の 書類を提出させるための法的な契約に過ぎないから「召喚状を”出された”」という言い方は無理やり送られたような印象を強調してしまいかねない 、とCJに言う。でも財布を出させるために銀行強盗が銃を突きつけるやり方とまでは言わないでしょう、とCJ。だがバビッシュはあくまでも政府が 全面的な協力を惜しまない姿勢を強調するよう言う。召喚状は本来の目的以外の事を指し示すものではないし、大陪審の調査範囲を定義するための 法的な道具として使われるのが定例だ、と。だが記者には調査の範囲などどうでもいい、彼らはただ単に「召喚状」という言葉を使いたいだけなの よ、とCJは言い、バビッシュの消極的なやり方では防戦一方に回るしかなくなってしまう、と断言する。政治は戦うか守るかなのだ、とも言う。 だが特別検察官のロリンズをよく知るバビッシュは、彼の人柄は先制攻撃の対象とするにはあまりにも穏健すぎて誠実すぎるため、彼を非難するの は難しい、と言う。その上彼を選んだのは司法長官、つまり政府側の人間なのだからなおさら攻撃しにくい、とエインズリーもバビッシュを援護す る。・・・しばらく悩んだCJは共和党員がロリンズにどういう印象を持っているのかをエインズリーに尋ねる。だが共和党内でもそれは同じで ロリンズに大しては皆敬意を払っていると言う。思慮深く、義務感も強い、真実を追究する姿勢を持っているし不適切な言動や超党派的な物腰も 控えている。それなら別の敵を作り上げるまでよ、と言ってCJはオフィスを出て行く。

レオのオフィスで彼とジョシュが立ちながら5分後に行われる相続税のミーティングについて話している。トビーもジョシュもその会合に参加する つもりだが議題の相続税についてこちら側は妥協案で迎えるつもりなのでこれに納得していないこの二人が会合に出たら何を言い出すか分からない 。レオはそれを心配している。僕はペカン・パイのように甘く、人畜無害ですよ、とジョシュ。だがすぐ直後に、あいつらは嫌いですからこの件が 終わったら個人的に締め上げてやりますよ、と全く正反対な事も言う。そこにCJが現れてジョシュを15歳のバレエダンサー「ジゼル」呼ばわりした ためにジョシュはすごすごと出て行く。
残ったCJは廊下を歩きながらレオに先ほどバビッシュとエインズリーと話した件で相談する。共和党の特別検察官ロリンズにはまるで敵意が無い ためこちらも正面きって戦いにくい、と打ち明ける。我々を取り調べるのは、我々を殺したがっているほど憎んでて、無責任で信用の置けない、党派 的な偏りのある、野心に燃えて注目を集めたがっているような人たちが適任だ、と。私の頭が確かならそれは下院議会に他なりません、とCJ。 遅かれ早かれ下院も乗り出しては来るだろうが情報を提供しないロリンズにマスコミが苛だっている今がそのチャンスだ、とCJはレオを説得する。 これからCJが会見を行う予定である事を考えたレオはその件をCJに任せる。

最初から妥協の方向で進められることが決まっている会議にこれから出席するためかトビーは例によってのそのそしながら会議に出かけようとする 。何故妥協が必要か?それは命令されたからだし相続税で妥協すれば共和党は大幅な減税を行いにくくなり、その結果ホワイトハウスはそれ以上の 妥協を必要としなくなる、だから会議に出ないといかん・・・。相続税の名称を共和党は死亡税と呼んでいる。共和党もネーミングだけは上手いな 、だから会議に出ないと・・・。なぜなら共和党と議会に折れるためにだ。アメリカは自給自足、自力で苦境を乗り越える精神を引き継いできた、 何故なら子供たちの子供の代までが生活のために働かなくてもすむようになるからだ、だから会議に出ないと・・・。会議に出る理由、それは、 妥協はするけれども相続税を免除されるべきは百万長者の人々であって億万長者ではないことをはっきりさせる事にある。再選した大統領は億万長者 ではなく百万長者の味方になる、という事もアピールするためにだ。だが秘書のボニーとジンジャーに手伝ってもらいながら準備を進めていると、 突然ボニーから相続税に関する会議中止の電話が議長から来たのだと聞かされる。いきなりの中止に呆然とするトビーを尻目にジョシュが広報部の オフィスを通ってトビーのオフィスにやって来る。ジョシュは中止の理由を議長の娘の結婚式だと言ったそうだがそれは週末の予定のはず。何かが 起こっている事に感づいたトビーはジョシュから、共和党が相続税を審議から外そうとしているらしいのだと聞かされる。対抗策は・・・・・・何 も無い、トビーにだって急には思い浮かばない。トビーもため息をついてイスに座る。

会見室ではCJが定例のブリーフィングを行っている。既にホワイトハウスは80箱以上もの書類をクレムことロリンズ検察官に提出し、それらは自主 的に提出したものでホワイトハウスは全面的な協力を惜しまないつもりだ、と発表して、CJはボビーを指す。召喚状が必要な理由についてCJは バビッシュから言われたとおり、調査範囲を定義するための法的な措置として取られる手段に過ぎない、と報告する。別の記者スティーブは議会で 開かれる聴聞会について尋ねてくる。私は必要無いと思います、とCJは言うがさらに言いにくいけど、と言って続ける。我々は議会の共和党員とは 特別検察官の調査について異なる見解を持っていて、さらに、我々は検察官のロリンズ氏は良くやっていて偏見を持たない調査をしているので 引き続き職務を遂行してくれることを望んでいる、と。この報告で記者のスティーブは下院議会が特別検察官に不満を持っているかもしれないとい う事を感じたようでそれを直接CJに尋ねるが、CJは「下院に直接聞いてください」とはぐらかす。さらに別の記者マークが特別検察官に送った箱の 中身についてCJに尋ねるそのずっと後ろでレオは、CJが下院をおびき寄せるために特別検察官のロリンズを好意的に持ち出したその様子を窺う。

-ACT TWO-
*   *   *   火曜日   *   *   *

マーガレットがデスクで驚くほど静かに職務をこなしている。よく見ると机の上の彼女の名前を貼ってあるプレートが裏返しになっている。立ち上 がってキャビネットの前に立っているブルーノの横でキャビネットからファイルを取り出すと唐突にブルーノに尋ねる。

マーガレット:私の名前、まだ知らないんでしょう?

ブルーノ:ガートルード。

マーガレット:違います。

今度はレオにアポイントを入れていたブルーノが、マーガレットからノートを受け取ったレオに彼のオフィスに通される。部屋 に入るやレオはこの相続税の廃止は大事になるだろう、と言う。昨日の相続税のミーティングをキャンセルしたことで下院の共和党員が相続税を 廃止しようとしているんだ、と説明するがブルーノがアポを入れたのは別の理由からだ。その理由を示したビデオを見せながら説明しようとする がTVの調子が悪く映らないので仕方なく自分の口だけで説明することにする。昨晩バスケットボールチームであるインディアナペイサーズ (Indiana Pacers)がクリーブランドキャバリエズ(Cleveland Cavaliers)と試合をしたのだと言う。インディアナが延長戦の末に5点差で勝利 した、と言うのだが無関心を装い続けるレオはその試合の方が大事だな、とポッと言う。ブルーノが言うに問題なのはビクター・カンポスが インディアナ州知事のバック ランドと観客席で隣同士で座っていたのを直に見てきた、という事だ。カンポスだって試合は見るさ、と相変わらず無関心のレオ。ブルーノは続ける 。カンポスはクリーブランドとインディアナの試合観戦をするためにわざわざロスからインディアナポリスまで行ったという。普通クリーブランド とインディアナの試合観戦をするのにそんな長距離フライトをする事など考えられない。そもそもチームがカンポスにジャージを着せて彼がコート に立とうともそんな事はどうだっていい、彼はインディアナ州知事のバックランドと会っていたのだ。だがカンポスはカリフォルニアの予備選挙で 当選させてくれたバートレット派の人物だ、とレオは言い、たかがバスケの試合に行っただけだと振り払おうとする。ここでブルーノが少し話を 変える。

ブルーノ:大統領の地域活性化委員会があるだろ?

レオ:あぁ。

ブルーノ:この委員会は都市部への民間投資を誘致する大統領指揮下にある委員会だ。

レオ:知ってる。

ブルーノ:カンポスはそこに入りたがっていた。

レオ:だから委員会のイスを彼に与えたんじゃないか。

ブルーノ:そして彼はそれを突き返してきた。(間を置く)あんたを裏切ったんだ。

レオ:(驚く)・・・・・・いつから?

ブルーノ:それはこのゲームの試合が・・・

レオ:(重なる)試合が延長戦を終えたすぐ後でか!何て事だ!(呼ぶ)マーガレット!

ブルーノ:(独り言)・・・・・・マーガレット・・・・・・マーガレットか!

イエローストーン公園が火事になっている様子を映したテレビを後ろにサムが電話で話をしている。そこにレオとブルーノがやって来たので電話を 切って火事が1500エーカーに広がったという事を説明した事から電話の相手が公園の火事関係者だと分かる。そんな話は置いといてレオはサムに 今しがたブルーノから聞いた件、ビクター・カンポスが昨夜ジャック・バックランドと会っていて、彼が地域活性化委員会の件を断っていた件、を 話す。サムは自分が彼とのミーティングをする事を請合うがブルーノは自分のチームからもその会合に一人入れたいと言う。別にサムに不満がある わけではなく自分のチームの人間が見聞きしたことをその人物から気軽に直接聞けるようにするためだ。ここがホワイトハウスと再選グループとの 差だ。とにかくサムならやってくれるよ、とレオ。そして今まで聞いていたサムは、僕は目の前にいるんですけど、と言う。とにかくミーティング を設定することにして去ろうとする二人に火事を早く消すことも呼びかけるサム。

旧大統領府ビルでまだ文書を探しているドナのところにエインズリーが来て、自分が紹介する男性とのデートの誘いを彼女に持ちかける。シーク レットサービスが管理している、チャーリーに会いにホワイトハウスに来た訪問客全員の記録の書類を持っていたドナはいきなりの誘いに驚くが すぐに顔を弛ませてクリフ・キャリーと呼ばれるエインズリーのロースクール時代の友人が今どんな仕事に就いているのか尋ねる。彼は最近ガール フレンドと別れたばかりでキュートな人だ、とエインズリーは言うがなかなか仕事を言わない。が、ようやく彼が議会の下院歳入委員 会(House Ways and Meansで働く弁護士 だという事を明かす、ついでに彼が多数党つまり共和党の弁護士である、とも。だがドナは急に顔を歪ませ、上司のジョシュがその委員会と年がら 年中言い争っている、と言う。ついでに、ジョシュは日夜働かせる事が出来て、今まで以上にプレッシャーの強い、それでいて歳入委員会のメン バーを嫌っている所に私を引き抜いたの、とも言うがその人物に興味を持ち始めたのかすぐに彼の事について尋ねようとする。私に電話するように 言ってもいいけど、別に彼に限らず鳴ったら誰でも電話に出るだけだから、とどこか言い訳がましく言うドナ。了解して去っていこうとするエイン ズリーに一言だけ「(そこらにある物を)触らないでね!」。

CJがエインズリーを廊下で捕まえて、召喚状の件で今夜のTV番組「キャピタルビート」に出て言ってほしい事があるのだと言う。「クレム・ロリン ズはよくやっていて、公正で、偏見の無い調査をしています。我々は特別検察官に協力を惜しまないつもりです」、と。
エインズリーと別れてブルーノと合流するCJ。ブルーノはビクター・カンポスと話すために彼をホワイトハウスに呼ぶ理由を相談してくる。彼は ローズガーデンの写真を48枚も持っているからそこで写真を撮らせるために呼ぶのもいい加減飽きるだろうし、アメリカ・ブラジル間の貿易協定 についての上院の公聴会で彼に大統領について異議を唱えさせるのも問題だ。それなら、とCJはHELP(Hispanic Education Longevity Program= ヒスパニック教養向上プログラム)の話で呼べばどうかと言う。HELPはラテン系の高校生の中退率を下げるのに役立っているからだ、と。君って 本当にいい女だね、とブルーノ。実際その通りですもの、とCJ。
ブルーノが離れCJはそのまま会見室に入ってブリーフィングに入り、ビクター・カンポスがHELPの件で明後日木曜日の会議の召集リストに加わった 事を忘れないうちに伝える。記者マークは特別検察官のオフィスから情報がどんどん漏れていることにホワイトハウスは不満を持っていないのかと 尋ねる。CJはオリバー・バビッシュとロリンズ氏が古い友人同士で数回にわたって建設的な意見を交わしてきたことを強調する。

ルーズベルトルームではトビー、ダグ、コニーが相続税の妥協の件で話し合っている。民主党側の考えとしては100万ドル以内の相続税を提示して いたが共和党はそれを500万ドルにしろと言ってきていた。そこをお互い妥協しあって250万ドルに治めたのだ。コニーはリーズナブルなかけ引きだ と言うがトビーはそうは思わない。ダグはこの人たちは既に収入税や財産税、キャピタルゲインで税金を払っている、その上死亡税まで払うのか、 と言う。トビーは共和党が使う「死亡税」という言い方はするな、とダグに釘を指す。金持ちは財産の98%もの税金を払っていない、我々が言って るのはこういう人間たちの事だ、とトビー。つまり払えるだけ払えという事ですか、とダグ。税制緩和に何百万ドルもつぎ込むぐらいなら国民に 使うことを考えるべきではないのか、とトビーは言うがお金の価値は昔とは変わってきている、とダグが反論する。これ以上いいヨットを作っても しょうがないだろう、とトビー。そこにジョシュが入って来て相続税に関するミーティングは今後も開かれないだろうと言う。ジョシュが議会関係 の下院の民主党員3人から聞いた話によれば歳入委員会が相続税の廃止の件で票集めを始めているとの事だ。トビーは深いため息をついてから妥協 案をもっと緩くする事を提案しようとするが彼らの目的は既に達成されていてこれからも達成されるプランがあるので相続税審議のミーティングは もう行われない。ジョシュはこれからどうすべきかとダグに振るが彼が答える前にトビーが代わりにダグの考えを予想して答える。ダグなら、大統領 が選挙の年に減税に反対するのはバートレット家の農場が代々受け継がれてきている土地柄であるから避けるべき、「流れに逆らうな」と言いたい んだろう、とトビー。ダグは肯定も否定もしないが今までにやった事の無い事をやっていっそのことこの際爆弾を落とすべきだと言う。憲法 第1条7節を持ち出して我々が脆弱じゃないところを見せてやろう、と言うのだ。妥協なんて冗談じゃない、つまるところ「拒否権の発動だ」、と。 しばらく間を置いた後、ジョシュはトビーに拒否権発動した場合の問題の増加がどれぐらいのものになるかは予想もつかないから探ってみる、と 言い、トビーとジョシュは部屋を出て行く。

-ACT THREE-
*   *   *   水曜日   *   *   *

ワシントンDCの公園で二人の男がCJに走ってやって来る。二人は民主党の政府関係者のようで旧大統領府ビルでミーティングを行った結果、議会の 事で心配事があるからCJの所に来たのだと言う。この2,3日、記者がロリンズの周辺を嗅ぎ回って来ているのだと言う、特にロリンズとホワイト ハウスとの関係との関係についてだ。民主党は共和党がこの件を持ち出して公聴会を早めに開いてくるんじゃないかと心配しており、だからホワイト ハウスは共和党員であるロリンズとの協力姿勢をあまり打ち出すべきじゃないんじゃないのか、とアドバイスしてくる。もちろんロリンズとバビッ シュとの関係もだ。二人が議会に戻って行くとCJは会見での効果が早速表れた事に笑顔を浮かべ、議会と反対方向に歩いて行く。

ホワイトハウスにやって来たCJはサムを見つけるや火事の件で州知事と話したかどうか尋ねる。サムに寄れば話は難航しているらしい。というのも 政府が火を消そうとしない事に州知事は腹を立てているらしく大統領がなだめようとしても過激な環境保護対策を支持している、と非難するばかり なのだ。だが今では二人とも落ち着き、知事も内務長官と状況をモニターで見ているのだと言う。そこにエインズリーがやって来てサムのヘアカット をアドバイスするとCJについて歩き、彼女のオフィスに行く。途中サムは別れる。

どうやらエインズリーはCJに呼び出されていたらしく、その理由を尋ねる。CJはエインズリーの昨夜のキャピタルビートでの言動を褒め、バビッシ ュとロリンズは同じイェール大で法律評論を書いていたのだと告げる。エインズリーはそれを公表すべきだと言うがCJ曰く、写真に撮って記者に流 す事は出来ないのだと言う。そこでまたしてもエインズリーの出番だと言うわけだ。エインズリーは共和党員だから保守的な記者には友人がいるはず 、その友人と二人っきりになった時にオフレコでこう言って欲しいのだと言う。「信じられる?大統領は大統領特権を放棄しても証拠書類の秘匿は 保持できるなんて」さぁあなたもやってみて、とCJ。エインズリーが同様のセリフを流すとCJは、信じられないと言うように頭を振りながら素早く 、とアドバイスする。もう一度同じセリフを言ってみるエインズリー、すると今度は、最初だけでずっと頭を振る必要は無いわ、と言われる。 3度目の予行演習では演習途中からCJが口を挟んでくるがさすがにエインズリーもこれ以上はやってられないらしく「その時が来たら上手くやるわ」 と言ってお互いに微笑み、一人部屋を出て行く。

バートレットがオーヴァルオフィスの自分の机の上で書類にサインしていたがペンのインクがきれ、ペンを探す。だが見つからずにチャーリーを呼ん で相談する。チャーリーはバートレットの机の上にあるペンホルダーにある高価そうなペンを手に取って示すがバートレットは「いつも持っている ようなペン」が欲しいのだと言う。それならとチャーリーは自分のペンを渡そうと提案するがさすがにプラスチック製の庶民的過ぎる安物のペンでは 嫌なのだそうだ。手にしっくりくるようなガッシリした、フォーマルなものではなくおしゃれでダンディな心地のするペンがいいのだとわがままを 言う。そんなペンも昔はポケットに入っていて毎日使っていたのにペンの業者は作るのを止めたのか、せっかくひいきにしてやってたのに、とバー トレット。ここでチャーリーが唐突にミセス・ランディハムに代わる秘書の面接をそろそろ始めてはどうかと持ちかけてくる。今は忙しいと言うの ならなおさら秘書が必要だ、とチャーリーは言う。部屋を出て柱廊の方に歩き出すバートレットにチャーリーがついて行きながら話をする。バート レットには既に5人の秘書がいる上に4人の長官もいるからこれ以上増えたら名前を覚えにくい、などと言うが彼女の抜けた穴は誰にも埋められませ ん、とチャーリーが言う。バートレットは大丈夫だと振る舞い、これからディナーがあるからその後またオフィスに戻って来る、と告げて行こうと するバートレットをチャーリーが少しだけ引き止めて言う。ミセス・ランディハムが毎朝バートレットのポケットにペンを入れてい た、と。バートレットは何か考えながら何も言わずに振り返って歩いて行く。

サムが自分のオフィスで食べながら調べ物をしているとコニーがやって来てイスに座り、挨拶をする。そしてどういうわけか自分の事について話し 出す。

コニー:私、政治のプロなの。

サム:それで?

コニー:オックスフォード大で政治経済学の博士号も持っているの、それはそれは易しい道のりじゃなかったわ。

サム:だろうね。

コニー:ブルーノもダグも私なら上手くやれると思ったから私をビクター・カンポスとの会合に差し向けるの。

サム:あっそう。

コニー:それはもう非凡な才能を持ってるのよ、私って。

サム:だけど?

コニー:ビクター・カンポスが誰だか知らないの。

サム:(少し微笑む)なるほど。

コニー:ねぇ、私オックスフォードを出てるのよ?イギリスの。

サム:君、政治のプロじゃなかったっけ?

コニー:サム?

サム:イギリスって確かヨーロッパにあったよね?


冗談はここまで、サムは立ち上がって本棚からバインダーを取りながらビクター・カンポスについての詳しい解説をコニーに教授する。ビクター・ カンポスはAFSE(American Federation of Service Employees=全米公営事業雇用者総同盟)1262支部のリーダー(支部長)で、民主党員は 彼の支援無しでカリフォルニアで当選することは出来ないほどの実力者だ。彼が電話をかければ1時間で5000人の人が集会に詰めかけるし最新鋭の 有権者動因戦略も持っていれば有権者登録名簿を管理するコンピュータバンクのある巨大な部屋まで持っている。彼の推薦文があれば35万もの電話 や手紙やメールを寄せることも出来る。

コニー:それで私はその会合で何をすればいいの?

サム:僕の邪魔をしないで。


ファラガトホテルのレストラン前にタクシーが止まり、中からドナが降りてきて運転手にお金を払う。そしてリップスティックを塗りながらレスト ランの入口まで来たかと思うと、中には入らないで、余程急いでいたのかドアの鏡を見て簡単に髪形を整える。そのドアから男が出てきてタクシー を呼ぶが既に人の乗るタクシーは目の前で出発してしまい途方に暮れる。男が振り返り、ドアの前に立っているドナを見て彼女かと尋ねた事から男 がエインズリーが紹介したドナのデート相手クリフ(クリフォード)・キャリーだと分かる。ドナは遅れてきたことを詫びて箱の件で遅くなった事 を説明しようとするが分かるはずもないと思って話を変える。私いつもはもっと良く映ってるのよ、とドナ。それは疑う余地も無いね、とドナに 好意的なクリフ、彼はドナの多忙ぶりを察して無理しなくてもいいように気遣おうとするが一杯誘われたので喜んでそこのレストランについて行く ことにする。

夜だが会見室では相変わらずCJが記者たちにブリーフィングをしているところだ。女性記者の一人ボビーが尋ねる、特別検察官は大統領がスタッフ と交わしたMSについての話についての公開も求めるのか、と。大統領特権では職務上大統領が必要とする会話を全て守ることが出来るが大統領は それを放棄しています、とCJは答える。ここで別の記者マークが尋ねようとするがボビーが遮って引き続き尋ねる。「大統領はどうして大統領特権 を放棄しても証拠書類の秘匿権は保持できるのか?」、これは保身のためではないのか?CJがエインズリーに言わせたセリフだ。CJは国家の安全に 繋がる情報もあるため、大統領府を守るために保持している、と言う。純情少女ぶらないで、とボビー。生まれつきそうなの、とCJ。しかしながら 理由がどうであれホワイトハウスが証拠書類を隠したらロリンズ検察官を怒らせることになるのではないのか?だがロリンズのこの件についての 考えを知りたければ彼が書いた秘匿権に関する記述を読めば分かるし、彼がシカゴ大学ロースクールの教授で、CJの記憶が確かならイェール大学で 法律評論の編集長をしていたはずだ。記者たちがそれをメモする様子を見ながらCJは満足そうに会見質を後にする。
会見室を出たCJは喜びに満ちた表情をしながら5メートルは離れたところにあるゴミ箱にクシャクシャにしたメモを見事に放り入れる。そこに秘書の キャロルがやって来てワイオミング州知事がTVを見て火事の件で怒っていると伝える。CJはマイクを向けられたときにはこう答えるように、とキャ ロルに言う。森林火災対策は5つの連邦機関の意見に基づいています。自然の火災は80年かけても消せません。自然の火災は国にとって森の生態系の 進化の一部という役割も担っているのです。・・・・・・要するに火事が起こっても消さないのね、とキャロル。それだけは絶対に避けなければ ならない表現なので丸で囲って線を引いておいて、とCJ。
CJが自分のオフィスに着くとそこには既にバビッシュが待っていた。バビッシュは帰ってきたCJに英文ドキュメントのオンラインデータベースが ほぼ一通り揃っているLexis-Nexis社のデータに感謝するんだな、と言う。CJが会見でバビッシュとロリンズの関係を持ち出したことで記者たち がLexis-Nexisのサイトで彼ら二人が判例文書などを見ることが出来る事を指したものだ。そして1時間もすれば締め切りが来るだろうがそれまで には探し終えているだろう。ところでバビッシュにはもう一つ気にかかっていた事がある。彼は2,3ヶ月前にCJが会見で叩かれてからどうやって 戻って来るのか考えてたのだと言う。それだけだ。バビッシュは微笑んでからCJのオフィスを出て行く。

レオのオフィスにコートを着たジョシュとトビーがやって来て座って話をする。この2,3時間の間に少数派の副院内総務と何人かの代理と話した 結果、彼らが拒否権発動を覆すのに必要な290票のうち218票までは押えていることが確実になったのだと言う。共和党は一致団結を呼びかけている ため226人全員が拒否権を覆す方に動いており、その上民主党からも離反者が何人かいる。カリフォルニア選出の民主党下院議員は別の妥協案を求め ており、可決されない場合は拒否権転覆に1票投じるそうだ。また地方の議員からも13票が覆っているそうだがここは説得の仕方次第では3票戻る かもしれない。レオはそれらで283票になったとカウントし、残りの7票を尋ねる。ジョシュはそこが問題だとし、トビーはそれが黒人幹部会議 が7票集まっているところであると言う。レオはその黒人幹部会議の議長であるマーク・リチャードソンと朝一で会って来るよう言う。その結果次第 で大統領は拒否権発動か発動に至る闘いを続けるかを決める事になるだろう、とも言う。ふと帰りがけにジョシュが尋ねる。

ジョシュ:議会の黒人幹部会議のメンバー・・・・・・何故彼らが相続税に反対するのか分かります。

レオ:もちろん。

ジョシュ:何です?

レオ:黒人で最初に財を成した世代は寿命に差しかかっているからだ。


そこにマーガレットが入ってきてバートレットが戻ってきた事をレオに伝え、ジョシュとトビーは部屋を出て行く。

オーヴァルオフィス前のチャーリーのいる部屋にバートレットがオーヴァルオフィスからやって来て、内務長官ビル・ホートンからの電話を待って いる最中だが火災対策計画の報告書をダイニングルームに置いて来てしまったので取りに行って欲しいのだとチャーリーに頼む。チャーリーが部屋 を出ると、チャーリーのデスクの上にあった報告書を読んでいたバートレットはそれを閉じてミセス・ランディハムの無人の机をじっと見つめる。 そこにレオがやって来る。バートレットはワイオミング州知事につい先ほど放火犯呼ばわりされた事を伝える。彼を尊敬していただけにショック ですなぁ、と人事のレオ。有権者の中には「あのバートレットって奴結構気に入ってたんだがまさか火が好きだったとはなぁ」なんて言ってるかも しれないなぁ、と自嘲気味にバートレットが言う。だがその知事にしてみれば環境への影響が気になるのは当然かもしれない。バートレットは、 シーズンも終わりだし観光客に被害が及んでいるわけでもないからこのまま火を放置するのが環境にはいいのだ、と誰かが私にそう言ってきたんだ 、と言う。ここでレオが内務長官ビル・ホートンと電話で話したかどうか尋ねると、もうすぐのはずだからレオにも電話に出て欲しいとバートレット が言うのでレオは自分のオフィスに戻る。レオが去り、再び一人のバートレットはもう一度空っぽの彼女の机を見て、イスに座る。机の引き出しを 開けてペンの入った箱を取り出し、中から一つペンを取り出してしばらくの間手にとってからポケットに入れる。そして箱を閉じると再び元の引き 出しの中にそれをしまい込む。

-ACT FOUR-
ドナとクリフが通り、公園を歩きながら話をしている。ドナからどうして共和党員なのかを尋ねられたクリフはおどけて答える。僕が貧しい人が嫌い だから、もう大っ嫌いだね。彼らは貧しいし、話し方は変だしテーブルマナーはなってない。父が将来有望な会社ベスト500に入るほどの会社で あくせくして働いたおかげで僕はコネチカット州のChoate、ブラウン高校、ハーバード大学とトントン拍子に上がって来れたしこの国が貧しい人々 とレズビアンの国じゃない事も分かったから。だから共和党員なんだ、というのは嘘で、と言ったクリフが今度はマジメに答える。ドナは笑いながら その様子を見ている。彼が共和党員なのは彼が小さな政府を信じているからだ。この国は自由を信念に作られたけどその自由の対極にあるのは制約 で、政府が大きくなると制約も大きくなるからね、とクリフ。ワォ、とドナ。彼女はこの意見に賛成しているわけではないけれどもあなたはカワイイ わ、と言う。続いてドナは自分の上司ジョシュがクリフのいる歳入委員会と相続税の事で年中言い争っている事に言及するとクリフは上からの指示 で「相続税」を「死亡税」だと正そうとする。もちろんドナには「相続税」だが。彼らのやり方に異を唱えるわけではないがドナは自分たち民主党 員が普通の人たちの生活水準を向上させようと戦っている一方でクリフら共和党員が少数の飢えた金持ちを何が何でも守ろうとしているのが不思議 でならない、と話す。クリフは、待ってくれよロビンフッド、と言って、1916年当時の国の富の集中化があった時代には貴族階級からの脱却を目指 すためにもそれは正しかったかもしれないが今は富が農民、中小企業のオーナー、農民、小売商の間に広がっているじゃないか・・・・・・ん?今 、農民を2回言ったかな、と言うクリフ。なら私との2回目のデートもビクビクしながらなんて事にはならないわよね、とドナ。ところがクリフが もじもじしながら告白するには、今週が歳入委員会で働く最後の週になるのだそうだ。コピー機のトナーとトレードされたんだよ、とクリフ。だが 院内総務に電話で言われて行政監視委員会に異動になった本当の理由はまだ言われていない。行政監視委員会が新しい弁護士を欲しがってはいた が異動の理由は何も知らされていない。クリフは思いを巡らせるうちにふと何かに気付き、横断歩道のど真ん中で立ち止まる。ドナはクリフが足を 止めたのは自分が言った「院内総務にいんな〜い♪」と言われた事が原因だと思っていたがそうではない。ドナが言った「箱」の事に気付いたクリフ は「おやすみ」を言ってから申し訳無さそうに反対方向に歩いて行く。ドナは何があったのか分からずに議会前の横断歩道で立ち止まったままにな る。

*   *   *   木曜日   *   *   *

サムとコニーがビクター・カンポスを前にミューラルルームで向き合う形で座りながら話を始める。カンポスは自分が招かれたのはHELPが理由では 無いと気付いているようだ。サムはカンポスが委員会の席を断った事に言及するがカンポスはそれも招かれた本当の理由ではないと察しており、その ためか少し余裕を持って水を飲んでいるようにも見える。だがサムは彼がしてきた事に加えそのような態度に及んだ彼に業を煮やして一気に本題に 入る。バートレット大統領と一緒に戦ってきたのにその忠誠心はどこに行った!大統領はストライキ参加者の不当解雇を約束し、そして現実に禁じ たしアイオワのダベンポートでの不法入国者の妊婦のケアについてもそうだ!パコイマに地域活性化ゾーンも設けたし最低賃金の引き上げにも務め た!それに対しカンポスは突然スペイン語で話すがサムもスペイン語で返す。

カンポス: Mi gente ganan mas que el minimo sueldo!
My people earn more than the minimum wage!
労働者は元々最低賃金以上に稼いでいた!
サム: Te subio al podio en la maldita convencion, Victor!
You were up on the podium at the damn convention, Victor!
党大会で壇上に上げてやったじゃないか、ビクター!
カンポス: Porque necesitaban una cara morena!
Because they needed a brown face!
それは浅黒いヒスパニック系が必要だっただけだ!
サム: Estas equivocado!
You're wrong!
それは違う!
カンポス: No lo estoy.
No, I'm not.
いや違わないさ。

ラテン系の非雇用者数は歴史上最低でヒスパニックの企業家への融資も増え、さらにラテン系の貧困率はこの20年間で最高の下落を示している!こ れ以上何を望むのか、と言わんばかりのサムの力説にカンポスもついに素直に答えを言う。それは「次の選挙でバートレットが当選したら何をくれ るのか」だ。一息ついて落ち着いたサムは忠誠心について再度尋ねるがそれは保障を確約できるものではない、とカンポスは断言する。カンポスは ヒスパニックの高校中退率が黒人よりも高いことを持ち出し、サムは対策としてNational High School Initiativeという関係機関への援助額を 倍にする事を明言する。次の、福祉改革を行った後にアメリカへ移住してきた子供たちについてはヒスパニックの子供健康法案を強力に後押しする が詳細は一般教書演説で述べる。そして最後の要求をカンポスが言おうとするがサムは案の定来たと言わんばかりにうなだれて、カンポスが要求を 言い切る前からそれを否定しようとする。それはメキシコ、チリ、エルサルバドルを含めた全てのスペイン圏から来る不法入国者に対する全面的な 恩赦を求めるというものだ。カンポスは今すぐにでも上院でアムネスティ平等法を法案として成立させるよう迫るがヒスパニックだけを特別扱いす るようなそのような法案を作成できるわけがない、とサムは断言する。だが今まで二人のやり取りを黙って見ていたコニーが「できるわよ」と割っ て入り、ここで初めて口を出す。サムは突然の彼女の言動に戸惑うが平静を装って説得しようとするが彼女の意思の固さにカンポスの前で口論は 出来ないと思い、少し彼女と席を外して部屋の外の廊下に出る。そして一体どういうつもりなのかを尋ねると彼女はこれを機に不法入国者を取り込 むチャンスが出来ることになると言う。もし百万人もの不法入国者がアメリカに潜んでいたらその票も一気に獲得できることになる。カリフォルニア では13%の割合を誇るヒスパニックの有権者は全部で300万人、アリゾナでは19%、彼らをほぼ全員取り込めることになる。それこそ早くしないと 共和党に持っていかれて裏目に出かねない。これを大統領に掛け合うことがどれほどの事になるのか分かっているはずなのにどうして相手の足元ば かり見ているの!とコニー。だがサムに言わせれば足元を見ているのは向こうの方だ、と言うが長い目で見た場合の利益を考えて彼女の考えに同意 する事にする。サムはカンポスを室外から呼んでその事を伝えようとするがその前にこちらが何を得られるのかを彼の口からはっきりと聞いておく 事にする。カンポスは「カリフォルニア党大会の支持」だと答え、サムは先ほどの非礼を詫びる。カンポスもそれを水に流す。そして帰り際に少し 微笑みながら「忠誠心だよ」と言う。

カンポスと話し合っていたミューラルルームの廊下を挟んだすぐ隣のルーズベルトルームではジョシュとトビーが黒人幹部会議の議長マーク・リチ ャードソンと予定通り話し合いの席に着いている。アフリカ系アメリカ人のコミュニティは千もの黒人ファミリーより少数派の金持ちを優遇する ような280億ドルもの予算の使い道を求めてはいないと思いますよ、とジョシュが説明するがリチャードソンは黒人幹部会議の中からも相続税の廃止 を求める声があがっているいるのだと言う。そのメンバーは、黒人の持ち家率が過去最高に達した事や事業を立ち上げる黒人の数も今まで以上に 増加していると感じている。ここで相続税をかけられたら黒人の力を向上させたりコミュニティの自給自足を確立するのは難しくなる。

ジョシュ:少数派の金持ちの黒人が何千億ドルもの無駄金で守られる事に賛成なんですか?

リチャードソン:議会がある限り無駄金は無くなる事はない。我々はその一部にあやかりたいだけだ。


トビーは政府がピンチに陥っていることを訴えて、我々につくか共和党の大統領に無視される日が来るのを望むのかのどちらを選択するつもりかを 尋ねる。それほど反対勢力に押されそうな状況なのだ。同じ党員であるはずのバックランドがビクター・カンポスと秘密の会合を持っている。 リチャードソンは政府が特別検察官やジャック・バックランドを相手に身を守っているうちに支持者が離れていくんじゃないのか、とまるで人事の ように言う。だが、我々政府は黒人社会への尽力を忘れなどはいない、放課後のケアや保健未加入児童へのヘルスケア、麻薬中毒患者の治療、首都 圏の再開発、地域警備の強化!このために政府が血を流していることを黒人社会は見過ごすことが出来るのか!?しかしそれでもリチャードソンは 黒人幹部会議の票を取りまとめる保障は何もできないと言う。黒人幹部会議の7票が拒否権発動を左右することになるが彼の保障が無いのならホワ イトハウスは一か八かの賭けに出るしかなくなってしまう。ならホワイトハウスは賭けに出るしかないだろうな、とリチャードソン。トビーとジョ シュは顔を見合わせ、そして席を立つ。

バートレットとレオが内務長官のビル・ホートンと廊下をオーヴァルオフィスの方へ向かって歩きながら森林火災対策について話し合っている。 消火活動はまだ順調とは言えず、火は1500からさらに6500エーカーまで広がったのだと言う。住宅地域にまで火の手が迫りかけていると言うが消火 活動の決定はまだ下すべきではない、とホートンは言う。というのもアルバータ地方から冷えた空気が迫っていて50%の降水確率となっているから 気温も下がるだろうし今夜中に雨がイエローストーン公園まで降れば十分消火する事が出来るだろうからだ。だがもし雨が降らなければ雨を待って いた大統領が恥を掻くことになる。その場合には内務長官にも恥を掻いてもらおう、とバートレット。ワイオミング州知事には内務省を信じて成り 行きを待ってもらうよう伝えるようホートンに言う。バートレットと握手してオーヴァルオフィスを後にするホートンと入れ違いにジョシュ、トビー 、ダグがオーヴァルオフィスに入って来る。入ってきたジョシュをバレリーナの事でからかうと必死に言い訳を探そうとするジョシュ、バートレット も追求を程ほどにしてトビーから相続税の廃止には拒否権をもった脅しを勧められる。レオはリチャードソンとの会合の様子を尋ねるがジョシュは 確約が得られず、彼らが政府の出方を窺っていることを話す。そこで拒否権で脅し、というわけだ。バートレットはトビーと折り合いの悪いダグに も尋ね、彼からもトビーと同じ考えである事を知らされる。選挙の年に減税に反対するのは避けるべき、という考え方から来たのではなくバート レット政権初の拒否権を発動することで相手の度肝を抜くことが出来るからだと考えたのだ。というわけで早速拒否権発動のためにスタンプとサイン の用意をしなければ・・・。トビーは減税に反対したからと言って恩恵を受けるのはたったの4500の家庭だけなのだから別に堂々と反対する事に リスクはないと考える。だが有権者が恩恵を得られなくても関係ない、とバートレットは言う。国民は皆いつの日か大幅な減税で恩恵を被る事が 出来ると信じている。そこがアメリカンドリームの問題点だ。誰もが金持ちに憧れる・・・・・・。ワイオミング、アイダホ、モンタナ、ユタの 州知事に上院多数党院内総務と下院議長が私を過激な環境保護論者だと呼んでいる、ただ内務長官と農務長官、そしてアメリカ森林警備隊、チーフ レンジャー、公園の管理責任者のアドバイスに従っただけなのに、だ。彼らは火を燃え広がらせる方が環境にはいいと言っているのだ。それに私自身 天気予報を信じているからな、外れることもあるが、とバートレット。バートレットは机の引き出しから正方形の木造の箱を取り出して机の上に 置き、その中からゴム製のスタンプとインクパッドを取り出して机の上に置く。レオもジョシュもトビーもダグもその様子をしっかりと見ている。 そしてバートレットは最後に胸のポケットからペンを取り出してしばらくそれを見つめ、そしてインクパッドの上に置いて箱のふたを閉める。

広報部のオフィスでは室内をスタッフが慌しく行ったり来たりしている。CJはビールのボトルを手にしてオフィスにある机から栓抜きを探している 。バビッシュにも栓抜きを持っていないかどうか尋ねるが主席法律顧問がそんなものを持ち歩いているわけがない。それよりもバビッシュはCJが 彼の部下のエインズリーを使って法的な議事進行をカットした事に言及する。クレメント・ロリンズが職務にうってつけだというのは皮肉のつもり だったのか、とバビッシュ。私は皮肉屋ですもの、とCJ。ホワイトハウスが薄汚れた政治の渦に巻き込まれたほうが戦いやすいと考えたんだな、と バビッシュが尋ねるがCJは彼から目線を逸らさずにその質問には答えず、栓抜きを求める。オフィスには段々とスタッフが増えてきてジョシュや ドナもその中に加わる。そこでドナがどの委員会が聴聞会で司法権を持っているのかジョシュに尋ねる。ドナは司法委員会かと思うがジョシュは、 それも正しいけど、と言った上でトーマスの委員会も司法権を欲しがっていたと話す。トーマスの委員会、それはつまり、下院の行政監視委員会、 クリフの新たな異動先だ。ショックを受けるドナを置いて周りにはレオ、サムらスタッフがどんどんと加わって上にあるTVの方を向く。サムが音量 を上げるように言うとボニーがリモコンで操作してC-SPANで中継中の記者会見の様子を映したTVの音量を上げる。話しているのはミシガン州選出の 下院議員ランドール・トーマスその人だ。

〜選挙の年で、州によっては2,3ヵ月後に投票が始まるところもあるだろう。人々は答えを求めている、それは大統領が指名した特別検察官のよう なスローペースではいつまで経っても事実を公表することは出来ない。よって今ここに下院の政府行政監視委員会が聴聞会を開きます。〜

ようやく見つけた栓抜きでビールのふたを開けたCJは一言。

CJ:かかってきなさい。


ビールを一口飲んだCJの周りにはサム、ジョシュ、トビー、レオ、ドナ、ボニー、ジンジャー、キャロル、ダグ、コニーらホワイトハウススタッフ が勢揃いしてその様子を見守っている。バビッシュも後ろの方のドアに寄りかかりながらトーマス議員がTVで話している様子を見ている。

トーマス:・・・・・・国民を欺いた税金の使い道を明らかにするために。今こそホワイトハウスの職権乱用を終わらせる時です。今こそホワイト ハウスはアメリカ国民に真実を告げる時なのです。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Ron Silver as Bruno Gianelli
Oliver Platt as Oliver Babish
Emily Procter as Ainsley Hayes
Connie Britton as Connie Tate
Evan Handler as Doug Wegland
Mark Feuerstein as Cliff Calley
Thom Barry as Mark Richardson
Nicholas Pryor as Clement Rollins
Miguel Sandoval as Victor Campos
Edmund L Shaff as Bill Horton
Jana Lee Hamblin as Bobbi
Charles Noland as Steve
Devika Parikh as Bonnie
Kim Webster as Ginger
Melissa Fitzjerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret



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