THE WEST WING
2-17:
E P I S O D E # 39
2004/02/07 on NHK
THE STACKHOUSE FILIBUSTER
(スタックハウスの議事妨害)
-STORY-
ハワード・スタックハウス上院議員が家族健康推進法案に反対して議事妨害を始めてから8時間が経とうとしているためホワイトハウススタッフは いつになったら終わって帰れるのかと苛々しながら待っている。この法案はジョシュが数週間前に議員本人と直接会って彼の提示した修正案をはね つけた法案だ。そんな中、CJ、ジョシュ、サムはすることがなくて親に宛てるメールをそれぞれ書き始める。CJは少し前にエジプトで交友の証にと 渡されたバステトの置物を割ってしまったためそれをバートレットに切り出すのに苦悩する。サムは19歳の会計検査院研修生ウィニフレッド・フー パーから仕事のやり方に文句を言われそのまま言い負かされてしまう。一方トビーは石油業界と密接な関わりをもつ副大統領のホインズがなぜその 業界批判をエネルギー長官に代わり、自ら買って出たのかその行動を疑問視する。そしてホインズを見送る時にその疑問をぶつけたトビーは彼から 謎めいた言葉を聞きますますその疑念を深めることになる。

WRITERAARON SORKIN
STORYPETE MCCABE
DIRECTORBRYAN GORDON

US TRANSMISSION DATE
14 March 2001
UK TRANSMISSION DATE
9 October 2001(E4)
JP TRANSMISSION DATE
7 February 2004
-TITLE'S MEANING-
He was in congress for about eleven hours.

-EPISODE OUTLINE-
That all is for his grandchild.

-QUOTING-
1, Dad, this would be a good time to mention that it's possible that an Egyptian cat goddess named Baste has put an ancient curse on me.

2, GAO needs well housekeeping, that's my nickname, OK? And I'm "Housekeeper". ......God, terrible nickname.

3, Toby, the total tonnage of what I know that you don't could stun a team of oxen in its tracks. Good night.



INTO THE MAIN TITLE:★★★★★

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-TEASER-
*   *   *   金曜日現在   *   *   *

議会でミネソタ州選出の民主党上院議員、ハワード・スタックハウスが何かのレシピの本の内容を読み上げている様子を映した中継がホワイトハウス 内のTVに映っている。CJはその様子を半ば呆れ返って伺いながら、父親宛てに誕生日祝いのメールを打っている。本当ならメールをするよりも早く 帰りたいところなのだがスタックハウスが家族健康推進法案に対する議事妨害(The Stackhouse Filibuster) を行っているため投票の予定時刻が大幅にずれ込んでしまってまだ帰れそうにないのだ。こんな事態は誰も予想していなかった、 上院院内総務も党の院内総務も、そしてもちろんCJ自身も。だがだからといって金曜の夜で、早く帰りたがっているスタッフをそのまま帰すわけに もいかない。そんな事はCJがさせない。
別室でサムがTVを見ながら、これは大した事じゃない、と自分に言い聞かせている。そして広報部のオフィスでサムがCJを捕まえて一緒にに廊下を 歩きながらスタックハウスの議事妨害についての不満を彼女にぶつける。20から30のレシピが載っていそうだからまだまだ続きそうだと聞いてサム はあからさまに不満顔になる。このままだと7時半の定期往復便に遅れそうで、8時半の便にも遅れてしまったらサグ・ハーバー行きの最終便に乗り 遅れてしまうからだ。洋服ブランド、トミー・ヒルフィガーの宣伝であった天才建築家のフランク・ロイド・ライトの設計した家を楽しみにしていた サムには残念だが彼の持っているレシピの本は、読み上げが簡単に終わりそうな厚さではない。その数は、下手したら30以上にも上るかもしれない 。サムはとうとう歩くのを止めて、おもちゃを買ってくれない親にダダをこねる子供のように、CJに文句を言う。CJはそんなサムを特に気にもせず にそのままジョシュの部屋がある空間の室内へと入っていく。
CJがスタッフを帰さないのは議事妨害が終了したら家族健康推進法案の投票があるからだ。
ジョシュの部屋の前を通り抜けるとジョシュが走って来てCJに合流する。ジョシュまでもがあのレシピに驚いているがこのレシピは非難の対象にす べきでないばかりかCJに言わせればおかげでコールドアスパラガスの隠し味が分かったからいいじゃない、ということだそうだ。ジョシュも予定が あるようでこの週末にはPort St. Lucieへ行ってニューヨーク・メッツの春季トレーニングで捕手のマイク・ピアザを直に目にしたいのだ。だがCJ は野球に興味がないのかバスケットボールチームのニューヨーク・ニックスとフットボールチームのニューヨーク・ジェッツと、ジョシュが行きたい と思っている、Port Saint Luciを本拠地とするベースボールチームのニューヨーク・メッツとを混同してしまっている。ジョシュはバッティング のポーズを取るぐらいそこへ行きたいと思っているようだがCJはそんなジョシュを冷たくあしらって、これまたカンヅメにされている記者たちのい る会見室へ足を運ぶ。
投票を行う必要があるのはこの法案が超党派的な法案で超党派的な立場としての信用を得るためには獲得しておきたい法案だからだ。記者たちが カンヅメにされているのもそのためだ。
会見室内を見て明らかなように皆、いつまで待たせるのか、といった表情をしながら、やって来たCJの方に一斉に目をやる。CJはそんな彼らをなだ めようとあれこれ言うが記者たちはほとんど聞いていない。別の記者のマークがCJの方に近づいてきて彼女とのデートに送れそうだから何とかして くれ、と言わんばかりに詰め寄ってくる。CJ曰く、こういった事はシャーベットのようにマンネリ化した関係のよい口直しになる、のだそうだ。だ がマークが付き合い始めたのはわずかに3週間程度。この程度の事でブーブー言うんなら別れてしまいなさい、とCJ。壇上に上がるや否やいつものよ うに彼女を呼ぶ声が聞こえてくるがまずはCJの方からこの件についての釈明ともとれるコメントを出す。今回の件については彼女の予想が甘かった わけだが70を超えた議員ならもうそこまで文句を言うほど長続きはしないだろう。議事妨害が終わって投票が行われ、それも済めば大統領から召集 がかかりホワイトハウススタッフがコメントを出して記者たちもメモすることができるようになるだろう。というわけで、皆さんそれまで私と一緒 にピザはいかが!?・・・・・・室内からは誰からも反応がないばかりか話し合うものすらいない。結構、とCJは言って会見室を出る。
会見室を出たCJは秘書のキャロルにメモを渡すと、トラック1台分のピザと自分用のテキーラ Cuervo 1800を持ってきて、と彼女に頼む。キャロル が後ろからついて来ながら、トビーと合流する。トビーの話によればどうやら彼も週末の予定があるそうで朝一の便でコロラド州のテルライドに行 かなければならない らしい。6時50分のデンバー行きの便は逃してしまったがシカゴで8時40分の国際線に乗り継げば大丈夫だそうだ。が、私はあなたの旅行代理店の エージェントじゃないんですからそんな最新の情報はいりません、とCJ。

CJ:私だって本当なら父の70歳の誕生日を祝いに今すぐナパまで行くつもりだったのに文句一つ言ってないでしょ?

トビー:今言った。

CJ:消えて。

だがトビーは消えずにイスに座ったCJに父親のことを尋ねる。父はカリフォルニアのナパに住んでいて彼女は今ピザを頼んだりEメールを書いていた りするがトビーはバスケットボールの試合を見るつもりだ。加えてサム、ジョシュに続いてトビーまでもスタックハウスの持つ本のレシピの数をCJ に尋ねる。CJはTV画面を見てから、分からない、と答え、トビーはCJのオフィスを出て行く。そしてCJは父へ宛てるメールのためにキーボードを 打ち始める。

CJ:というわけで今も記者たちは会見室に、スタッフはホワイトハウスの西棟に、私もここに残っています。お父さんがこのメールを読んだらきっ と私がここに留まっていた事に喜び、そしてミネソタ州選出のハワード・スタックハウスという名の上院議員を最後まで応援したくなるでしょう。 なぜならこれはただの年寄りの議事妨害ではないだろうと思えるからです。

-ACT ONE-
CJのメールの続き(以下CJ(V.O.)(=Voice Over)と略す)。議事妨害は自分を含めホワイトハウススタッフらにとっても初めての事で、その事 に詳しいわけでもありませんが議事妨害にも ルールがあります。それはいたってシンプルで議場を明渡さない限り議場を維持できるんです。どういう意味かというと、つまりは、話し続けなけれ ばならないという事です。食べたり、飲んだり、トイレへ行くために議場を離れることもできません、もちろん行きたければ行っても構わないので すが。しかし何より耐えられないのが何か、または誰かにもたれかかったり座ったりできないという点です。事の始まりは、(父が)明日の朝には 目にするであろう、家族健康推進法案(Family Wellness Act)と呼ばれる法案にあります。ジョシュはこの法案を議会連絡局のスタッフとかかり きりで議長との交渉にあたっていました。そして 先週の月曜日、ルーズベルトルームのミーティングで開口一番にこう言いました「(法案は)成立確実です」。

*   *   *   先週の月曜日(11日前)   *   *   *

レオを含むスタッフが大勢いるルーズベルトルームにジョシュが入ってきてそう言うと、レオに質問に答えながらどういった交渉をしてきたのかを 詳しく話し始める。まず第7章の聴覚障害を持つ幼児に関する条項は殆ど譲歩せず、病院以外で生まれた子供を除く、アメリカで生まれた全ての子供 に聴力検査を義務付けるところを得た。養子縁組意識拡大プログラム(Special Needs Adoption Awareness program)は特別な理由で子供を欲し がる、養子縁組に関して公に情報を提供する全国的なプログラムで、妊娠している女性にヘルスケアのスタッフが、養子という、中絶などの他の 選択肢並みの選択肢に関する情報を教える、という提案を呑んで実現したプログラムだ。だがこの条項は全米女性機構(National Organization for Women)の反発を食らう事になるだろう、とCJは指摘する。それはもちろん分かっている、でも君は味方してくれるんだろ、とジョシュ。それに 対して、えぇもちろん、もう一度仲間の女性を裏切ればいいんでしょ、と皮肉めいて言うCJ。その様子に小さく笑う男性スタッフにも指を指して責 める。最後に指されたラリーは弱弱しく抵抗するがCJには噛み付けない。ミーティングが終了し、法案通過の功労者のジョシュに拍手を送る。
サムにも褒められ、調子に乗ったジョシュはエージェントをつけてメジャーリーグ行きを目指すことを考えている、などと言う。交渉の際には1回目 は腰を低く、2回目からは強気で攻めたい、との事だ。学校での勉強をやめてまでプロ入りしたかったというが・・・。
レオの部屋にレオ、サム、ジョシュ、トビー、CJがやって来ると、小さい条項を譲歩してはいるものの、レオからまたまた褒められるジョシュ。 サムの前でとは違いヘルスケアに60億ドルの予算を取ってきた感想を聞かれたジョシュはただ、これで問診表にゴチャゴチャ書かされずにすむなら 別にどうだって構いませんよ、とたんたんと言う。と、ここでトビーが、アメリカ石油協会会長のフィリップ・スルーマンがFTC(Federal Trade Commission=連邦取引委員会)で「バートレット政権は・・・(中略)・・・メチルーT−ブチルエーテル(MTBE=Methyl Tertiary Butyl Ether )のような低公害な添加剤における排出規制に頑となって取り組んでいるが、これこそがこの国の石油価格高騰の大きな引き金になっている」と証言 した、と報告する。この件にはエネルギー長官が反論を行うだろうがトビーは、石油業界と密接な関わりを持つホインズ副大統領にも伝えに行く予定 だと付け加える。予想するまでもなくホインズもいい顔はしないだろうから気をつけていけ、とだけレオが言って報告を終える。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

CJ(V.O.):家族健康推進法案は子供に多大な影響を及ぼす病気に狙いを定めた総括的な健康法案です。この法案は通過確実だと思われてい たが、当てが外れてしまいました。今だから言えることなのですがもしかしたらバステトという名のエジプトの猫の女神が私たち(特に私)ホワイ トハウススタッフに呪いをかけてきたのかもしれません。

*   *   *   先週の月曜日(11日前)   *   *   *

CJは、ホインズ副大統領との謁見にとキルトを持ってやって来た老女のグループのいるロビーを通り抜けようとしていると後ろからチャーリーが合 流する。CJはチャーリーをからかってチップ、チッパー、ギリガンと呼ぶがチャーリーはすぐさま本題に入る。今週末にエジプトの、38人もの奥さ んがいる、ハッサン・アリがやって来る予定であるからバートレットがエジプトのカイロへ旅行に行ったときに彼から貰ったセラミックの置物の像を 彼がホワイトハウスを訪れた時にそれを飾ってほしい、と国務省が儀典局に言ってきたのだ。飾れば?、とまるで他人事のようにCJは言うがチャー リーが聞いたところによれば儀典局はその置物を見つけられず、贈答品の担当官と話したところ持っているのはCJなのだと言う。

チャーリー:シェリー・ハルパーンというエジプト旅行時の贈答品担当官はカイロであなたに像を渡した、と言ってるんです。

CJ:小さい、セラミックの置物って言った?

チャーリー:はい、猫のやつです。

CJ:・・・(目を閉じてやや下を向く)なるほど・・・・・・・・・(口元に小さく薄ら笑いを浮かべてため息をつく)なるほど・・・・・・ (急に顔を上げて)分かった。

チャーリー:CJ?

CJ:何?

チャーリー:何か心当たりがあるんですか?

CJ:(自己弁護っぽくまくし立てる)えぇ、心当たりならいっぱいあるわ、チャーリー。1年も前のことだし、そのセラミックの猫の置物がカイロで 渡されたものかどうかなんてすぐに思い出せるわけないじゃないの。

チャーリー:なるほど、では儀典局には何て言いましょうか?

CJ:儀典局には「私が記憶を探っている」と言っといて。

チャーリー:なら儀典局スタッフの記憶力はさぞかしずば抜けてるんでしょうね。

CJ:早く行って。

チャーリー:はい。

チャーリーを追い出したCJは、今ごろはキルトを手に持つ老女と一緒にいるであろうホインズ副大統領と会おうとしているトビーとバッタリ出くわ すが文字通りトビーは副大統領に会いに行くのでCJには構っていられずさっさと行ってしまう。どうしようか困ったCJは秘書のキャロルに悩みを打 ち明けようと彼女を部屋へ呼ぶ。

ミューラルルームではホインズ副大統領とキルトを持った老女たちとの写真撮影が終わったところで、ホインズは老女にキルトを返して握手をする。 自然科学に知識の深いホインズは撮影の間にもスタッフらと雪解けによる洪水についての話をしていたが撮影が終わってもまだ続けている。そこへ トビーが入って来て、お互いに向かい合って座り、話を始める。フィリップ・スルーマンが連邦取引委員会で石油価格の高騰は政府の打ち出した厳し い排出規制が原因である、と言った事に対してホインズはその意見が的を射ていると言う。だがトビーはスルーマンの件に関してホインズと言い合う つもりはない。どの道彼の言ってることは的外れだからだ。利益に疑問のある添加剤の使用を政府が強引に勧めていたとしても石油会社はそれを理由 に石油価格をいたずらに釣り上げて言いわけではない。ホインズはそうした石油価格の高騰は一時的なものだと言うがトビーは本題に入る。エネルギ ー省長官のビル・トロッターが明日の晩、デトロイトで開かれる21世紀のエネルギー効率に関する経済会議でスピーチする予定なのでトビーはその 中にフィリップ・スルーマンの意見についての辛らつな反駁を書き入れる予定であることを伝える。だがホインズはトロッターでは駄目だと言う。 トロッター長官の石油会社批判は毎度の事なので記者も大々的に取り上げないだろうしその反論はエネルギー長官としての地位を脅かしかねない。 するとホインズは自分がその役を買って出ようと提案する。トビーはしばらくの間面食らっているがホインズは続ける。ホインズは明日の午後に独占 禁止法の顧問グループを記者会見で記者に発表する予定なのでその最後に質問を受け付けると言えばスルーマンの発言についても聞かれるだろう。 だがトビーはまだいまいち確信が持てない。だがそんなトビーの考えを読んでいたかのようにホインズは付け加える。後ろから会見の様子を見ていて ホインズの口調が穏やかならその時は次の晩にビル・トロッターを担ぎ出せばよい。とりあえずトビーもホインズに同意し、原稿を用意しようかと 持ちかけるがホインズは笑いながら君のケツに突っ込んでもよろしければ、と返してくる。家族健康推進法案の成立はホインズもほぼ確実だと思って いるようで金曜の昼の12時5分までにはモノにしているだろうとトビーに言う。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

CJ(V.O.):猫の話は横道に置いといて少し試してほしい健康法があります。もし2,3時間暇な時間があ ればどこにも寄りかからずに立ったまま話し続けてみてください。多分すぐにへたり込んでしまうでしょう。私だって無理です。スタックハウスも もう15分ともたないでしょう。彼は78歳だし、鼻風邪を引いているし、法案は通過する。通過を阻止できる希望も無ければ言うまでもなく一体全体 彼が何と戦っているのかも見当がつきません。スタックハウスはあと15分ともたないでしょう。
その時、スタックハウスがバージニア・グリーンアップルパイのレシピを読み終えて今度はチャールズ・ディケンズの名作「デビッド・コッパーフ ィールド」の生い立ちについて話し始める。とうとう8時間目に突入したことを彼は知っているのだろうか・・・。

-ACT TWO-
食堂では議事進行妨害の様子を映したTVを後ろにサムはパソコンをしている。そこへメールを一時止めて休憩に入ったCJが同じ部屋にやって来て コーヒーを入れ、パソコンをしているサムの方へ真正面から歩み寄っていく。サムは後ろの窓にパソコンの画面が移っているのも知らずにトランプ ゲームの助言をくれたCJに少し感謝する。ふと好きなライターを聞かれてトビーだと答えるサム、フィクションで好きな作家は今スタックハウスが 読み上げている「デビッド・コッパーフィールド」の原作者チャールズ・ディケンズだそうだ。そしてCJはサムが父親の問題で悩んでいることにつ いて彼をねぎらう。自分は今父親にメールを打ってるの、とCJも自分の父親について少しだけ明かす。彼女もそれほど父親とはコンタクトを取って いないようだ。ところでこのまま議事進行妨害が続けばサムの乗る最終便にも乗り遅れることになるだろう。CJが去りかけた時、ふと思い出して サムに尋ねる。サムが14歳の会計検査院の研修生に言い負かされたと聞いたのだ。サムがそれを訂正する。彼女は14歳ではなく19歳だ、もっとも サムも14歳だと最初は思っていたようだが。とにかく誰とでもオープンな姿勢で議論を繰り広げようとしたまでだよ、と自己弁護に走るサム。CJは 笑みを浮かべながら聞いている。CJが去り、サムも父親宛てにメールを書き始める。「親愛なるクソッタレ・・・・・・もとい父親へ」。

サム(V.O.):CJが父親宛てにメールを書いていると聞いて最近父さんにホワイトハウスの出来事を報告していないことを思い出したから今 ここに報告するよ。まずは自分が19歳の会計検査院の研修生にやり込められたという話だ。ジョシュは週に2回スタッフを集めてミーティングを開き 、次の数日間で処理すべき役割をスタッフに割り当てる。その時の僕は果物を探してジョシュのオフィスにたどり着いていた。

*   *   *   先週の月曜日(11日前)   *   *   *

ジョシュは集められたスタッフの一人に連邦航空局(FAA=Federal Aviation Administration)にはデータリンク通信の確立へ十分な予算が回さ れているかどうかを確認するよう求める。その時サムがやって来てみかんやバナナの入っているバスケットをゴソゴソしているのが目に入る。ただ 果物を探しに来ただけだというサムを置いといてジョシュは仕事に戻る。議会からの要請で削除すべき400件の報告書をリストアップすることになっ た。内容的に重要度が低く(=議会にとって利益がない)税金ばかりかかるものがその主な対象になるだろう。そこでバナナを食べていたサムがその 仕事を引き受けたいと申し出る。農務省は280件もの報告書を作成するのに4000万ドルもかけているがサムが大学4年、ロースクール3年で報告書に 費やした費用はわずかに30ドルでしかないのがその理由らしい。とりあえずジョシュも了解してサムにその仕事を割り当てる。そこでミーティング を解散し、サムがGAO(General Accounting Office=会計監査局)から整理魔(Housekeeper)と呼ばれていることも確認するとホインズ副大統領と話してきたばかりのトビーがやって来る。そして石油 業界をホインズが叩くつもりである事を告げるとサムもジョシュもトビー同様に不思議そうな顔をしている。本当に彼はやるつもりなのだろうか? 明日(先週の火曜日)に独占禁止法の記者会見を開くのでその最後に質問を受け付けることになっている。そうすればスルーマン会長についての コメントを求められるだろうからその時に批判しようというわけなのだがこの行動がどうも腑に落ちないのだ。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

サム(V.O.):そういうわけで僕は早速チームを結成して削除すべき400件の報告書を作ることにした。

*   *   *   金曜日の正午10分前   *   *   *

ルーズベルトルームでラリーから提示された収監者向けの学資援助、ルート66の研究、五大湖を乗っ取ろうとしている二枚貝についての調査をサム が次々と切って捨てていくのをはた目に、 報告書を配って仕事をしていた女の子がその度にため息をつく。サムがその様子を見て問いただしたところ彼女は14歳ではなく19歳の会計検査院の 研修生ウィニフレッド・フーパーでサムが中身を読みもせずに次々と報告書を捨てていく様子に腹が立っていたのと言う。400件の報告 書を切り捨てれば納税者の負担が軽くなる、だからといって中身を読まずに却下していくなんてあなたバカじゃない?さすがにサムも自分は上級職員 だと言って聞かせようとするが彼女は意に介さないといった様子だ。サムが例にとって一つの報告書のタイトルを読み上げる「固形廃棄物処理および 資源再生のための訓練に対する障害についての報告書」。つまりゴミ収集業者のキャリアアップについての報告書だ。こんなのは中身を読まなくても 現状は分かるとサムは言うがウィニフレッドの「MSW(Municipal Solid Waste=地方自治の固形廃棄物)が年間どれぐらい排出されるか」という 質問にはサッと答えることができない。その後もウィニフレッドはゴミ収集業者の労苦について事細かくサムに説明するが逆にサムはどうして彼女が それほど詳しいのか疑問に思う。彼女の話によればサムらスタッフが置いていた報告書全てに目を通していたのだという。サムは一転してプライドを 捨て、才能があるから彼女にホワイトハウスの職員になるよう勧めるが逆に「あたしが卒業したらあなたが私のところへ来てください」と言って部屋 を出て行く。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

CJ(V.O.):あれ以来猫の件が頭からついて離れなくなり、これは大事なのだと思うようになりました。そこで誰かに打ち明けることにしま した。私の共犯者になってくれそうな人を・・・・・・。

*   *   *   先週の月曜日(11日前)   *   *   *

・・・で、その共犯者探しの第一候補にとドナを見つけたCJは早速カイロに旅行していた時に貰った置物を割ってしまったという話をする。といっ てもドナは咽頭炎でカイロには行けなかったのであまり聞く気が無さそうだ。それでも構わず古くから伝わるバステトの置物を割ってしまった苦悩 話を聞かせようとするCJ。バステトにまつわる話や、その風貌が猫に似ていることから猫が神聖な生き物として扱われている事など、調べ上げた事 柄を事細かく話しているがドナは興味が無いのでやはりあまりよく聞いてはいないようだ。残念ながらCJの立場が危ういという以外に道はなさそう ね、とダメ押しするドナ。変わった物に興味を示しやすいバートレットもその置物を気に入っていたし、それでなくとも、相手国の権力者から譲り 受けた像を割ってしまったのだから外交問題もヒビが入るだけではすまなくなってしまうかもしれない。なら何故そんな大事な物を割ってしまった のか??実はカイロで像の置物を貰った時に他にもお菓子やTシャツを一緒に貰っていたため像の置物の価値を低く見積もってしまっていたのかもし れない。それでついついポイっとスーツケースに投げ入れてしまう、といったような扱いをしてしまい、おそらくはそのために割れてしまったのだ ろう。とにかくCJがピンチなことに変わりは無さそうだ。CJが去って別のスタッフからメモを受け取るドナ。そのメモの主はハワード・スタック ハウス本人からでジョシュに用事があるそうだ。その時ちょうどジョシュが部屋から出てきて財布の在り処を誰となく尋ねるとどこからともなく財布 が投げられて手元に返ってくる。そこへドナがスタックハウスから呼び出しがかかっていた件を何故自分に言ってくれなかったのかを尋ねる。ジョ シュはスタックハウスが家族健康推進法案に自閉症の子供に予算を割く修正案を加えたがっている事を知っている。ジョシュに言わせればこれはい わゆる「クリスマスツリー法案」と呼ばれるもので、修正案をくっつけすぎたためにその重み(期間・予算)によって議会の通過が危ぶまれてしま うというのだ。だから彼と話し合う気は全く無い、とジョシュは言い切るがドナがスタックハウスからのメモを読み上げる。

私と会わなければ命がけで法案の通過を阻止する。  〜スタックハウス〜

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

CJ(V.O.):バステトが私たちに呪いをかけてスタックハウスの脅しを軽視するようにさせたのかもしれませんが馬鹿にしてもいられなくな ってきました。明日の朝刊の締め切りまであと2時間ほどあります。
そこでメールをいったん止めた時、スタックハウスは次にトランプのルールを読み上げ始めようとしてCJを落胆させる。

-ACT THREE-
ジョシュ(V.O.):(母親に宛てたメール)スタックハウスのよこしたこのメモは銀行強盗が窓口で見せるメモのように妙に暗号っぽかった。それ に側近を通さず上院議員本人から直接送られてくるのも異例だ。レオは会ってもいいが彼の要求は呑まないように、と言って同意した。議会へ行って ミーティングを行い、要求ははねつける。そこで早速僕は議会へ行った。母さんが僕にくれたけどまだ履いたことのなかった靴を履いて。ここで亡く なった父さんに代わって僕が母さんに退屈な歴史の話をするよ。そもそも議事妨害とは150年にわたってこの国で行われている議会戦略 の一つだ。僕ら がスタックハウスの意見をあまり聞き入れたくないのは彼にはあまり力が無いからだ。議員歴は長いが影響力が少なく、権力も少なければコネもあ まり持っていない。ところで引き続き父さんが聞かせたがっているだろう事を話すけど「議事妨害」を 表す(Filibuster)の語源はオランダ語の「ury geiter」で、文字通りに訳すと「海賊、略 奪者」といった意味があるがここでは「buccaneer(スペインの船やアメリカの植民地を荒らす海賊、一般には”pirate”)」を表す。

*   *   *   先週の月曜日(11日前)   *   *   *

その靴で議会へ着くや早速人前でずっこけて尻もちをついてしまうジョシュ。起き上がってそのままスタックハウス議員の部屋に入っていくと早速 法案の話に入る。スタックハウスは自閉症と戦う費用として4700万ドルの予算が欲しいと言ってくる。国内の大学に研究者と共同して研究を進める 5つの研究機関とCDC(Centers for Disease Control and prevention=疾病管理予防センター)で自閉症疫学を研究する特別ユニットを3つ設置 、そして遺伝子と大脳バンクの共同設備も作る予定だ。それが4300万ドル分、そして残りの400万ドル分は誤診率の高い自閉症の誤診を減らすべく 医者の教育に宛てればそれで4700万ドルになる。ジョシュは、この法案が審議された当初は20億ドルだったのに今では60億ドルにまで膨れ上がって いる、と指摘するがスタックハウスは逆に60億ドルに4700万ドルをプラスするぐらい構わないだろ、と言う。この法案の予算の0.8%は子供の健康問 題に充てられているが、大雑把に言ってこの比率は自閉症にかかる子供のパーセンテージと同じだ。そもそもこの法案は子供の健康問題に焦点を当て ていたはずなのに0.8%しか予算が回されず、殆どの予算はアルツハイマーや緑内障、勃起障害に回されている。だがジョシュは、先ほどドナにも 説明したように修正案を出してこの法案を再審議するとなると今の会期中に法案を成立させることは難しくなってくる上に法案自体が潰れかねない。 ところがジョシュがその不安を話すやスタックハウスは急に話を打ち切り、ジョシュは冷たくあしらわれてしまう。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

スタックハウスの議事妨害の話題がついにはTVのニュース番組でも取り上げられている。TV画面にはスタックハウスに関する議事妨害以 外の、彼の私生活、彼の議員としての経歴の様子などが流れている。78歳になるミネソタ州選出の古株の上院議員スタックハウスは、このまま続け ると二日目に入る可能性も出てくる。彼の同僚の議員たちは投票が行われるはずだった9時間も前からずっと投票を待ち続けている・・・。 ドナは自分の持ち場からその様子をじっと見つめていてふと何かに気づき、他のスタッフに彼の選挙中のシーンのダビングを頼む。ドナが気にかか っていることは7番目の孫について彼が語っているシーンなのだが・・・。そこへジョシュが通りかかり、ドナは例によって彼の後からついていき、 ジョシュが観戦したがっているニューヨークメッツ行きの切符が取れそうだと話す。・・・が、着くのが昼の12時58分なので試合が終わってしまう よ、とジョシュは不満を言う。実はジョシュが今観たがっている試合とは公式戦ではなくてエキシビジョン、つまり記録に残らない紅白戦だ。ドナは そんなものをフロリダまで行ってよく観たいという気になるわね、と思う。とにかく他のルートを何とかして探すようにジョシュはドナに言う。 明日の朝にはマイク・ピアザが彼を「Dude」と呼ぶかもしれないのだ。ところで自分の部屋に着いたジョシュはメールを打ち始める。靴を買ってく れたお礼を母にしようというものだがドナがその行動に目を輝かせるのでジョシュは参っている。お願いだから人には言わないで、ということだろう 。
ジョシュ:(V.O.):母さん、ドナがよろしくってさ。とにかく、スタックハウスとの件はそれほど重要視しなかった。自分の欲しい物が いつでも手に入るって人はあんまりいないしね。それより僕は別のことを考えてたんだ。トビーと同じく石油業界を資金源としており、石油業界を 擁護している立場にある副大統領がなぜその石油業界批判を買って出たのか僕も気になっていた。

*   *   *   先週の火曜日(10日前)   *   *   *

会見室では予定通りホインズが独占禁止法の顧問グループの発表をしており、それが終わってから質問を受け付けている。そしてフィリップ・スル ーマン会長がFTCで、バートレット政権が取り決めた排出規制こそが石油の高騰の原因となっている、と証言した件について予想通り記者から質問が 出る。ここでホインズは石油業界よりもバートレット政権を擁護し、厳しい排出規制のおかげでカリフォルニアはこの50年で最低の喘息発生率と大 気汚染率を記録した、とコメントし、添加物をつけることでコストは確かに上がるが業界はそれを利用して消費者に法外な値段を設置して利益を得 ている、と続け、約束どおり厳しい業界批判を行う。トビーはその様子を会見室の後ろの部屋の通路から伺っている。すると別の記者からそれをPPA (Petroleum Producers Association=石油生産者協会)批判だと受け取っても構わないのでしょうか、という質問がくる。ホインズは自分が石油 業界と少なからず繋がっている仲であることを認めたうえで、彼らは利益の出し方を知っているのだ、とその後も次々と批判を続けていく。

*   *   *   金曜日現在   *   *   *

ジョシュ(V.O.):ホインズの口調は非常に攻撃的で僕は彼が如何に大統領当選という地位に近かったのか思い出した。トビーもホインズの その行動には感銘を受けてはいたものの何故自ら批判を買って出たのかという疑問は依然として残ったままだ。
そして議事妨害の間、大統領はどうしていたのかと思うかもしれないが初めてのことだから分からないけど今は公邸で夕食を取っている。有名なフラ ンス人シェフが大統領に食事を作るために招かれるんだ。

レオのオフィスにバートレットがやって来てレオを夕食に誘い出す。フランス人シェフの名前はピエール・ボワロ、それを聞いただけでレオは料理 内容を期待する。古典的プロヴァンス風料理の新解釈とやらでカソールトというカモのグリーンオリーブ、サフランチキン・・・。しばらくサフラン チキンをほお張っていなかったレオにバートレットがトマトとサルタンビークのデザートでとどめをさす。豪華な夕食に携帯電話はいらない、と バートレットは言うがレオは常時携帯する癖を身に付けているため手放す気はない。歩きながらバートレットは今はトランプのルールを朗読している スタックハウスの議事妨害がまだ続いている事に言及する。あんな大ばか者は見たことがないよ、とバートレットは言うがレオは彼には男気がある と思っている。

バートレット:最初の年は彼にはよくやられたよ。「鈍感バートレット」(Bartlet the Inert)と呼ばれた。

レオ:あれは滑稽だった。

バートレット:私は改革支持者で、彼が使えてきた大統領の中でも最もリベラルな大統領だ。彼の中のヒーロー、ミネソタ州選出のヒューバート ・H(Horatio)・ハンフリー、第36代ジョンソン大統領時代の、元副大統領はほら・・・。

レオ:あなたと握手した。

バートレット:そうだ。

だがバートレットは大統領選挙中に彼の奥方の葬式に参列しなかったことを後悔していると言う。気を取り直してダイニングルームに行くとどういう わけかテーブルの上には火の灯ったキャンドルが二つ置かれていた。おそらく執事がアビーと食事するものだと思ったのだろう。

バートレット:あのキャンドルは無いと思って食事しよう。

レオ:そして偏執狂なホモ恐怖症ではないふりをしますか。

バートレット:そうだ。

バートレットもレオも少しだけうろたえはしたもののとりあえず落ち着いて席に着くことにする。するとレオの携帯が鳴り、それに出る。その電話の 相手によれば「終わりが見えない」と言っているそうだが・・・。

-ACT FOUR-
広いオフィスの中の上の方に置いてあるTVにはスタックハウスが、今度はカジノで得たチップの換金の仕方について話している様子が映っている。 ドナがCJに先ほどのTVを見て気づいたことを話す。スタックハウスの選挙期間中の別々の二つのイベントを比較して彼女が奇妙に思った事は、7人 映っていた孫が次の映像では6人しか映っていなかった事だ。スタックハウスはただの頑固親父なんかではなく、彼には自閉症の孫がいたのだ。CJも ようやく事の重要さに気づき、ジョシュにも伝えるように言う。

バートレットとレオは席に着いているがレオはまだ携帯電話で話をしているためバートレットはビリーという給仕係から挨拶攻めにあう。あいにく ファーストレディのアビーはマンチェスターの別荘に行っているため来れないのだがビリーは「よろしゅうございますね」と言うばかりでバートレ ットはうんざりする。

バートレット:聞いたか?今どき「よろしゅうございますね」なんて言わないだろ?

レオ:(電話で)あぁ。(バートレットに)何ですか?

バートレット:何でもない。

レオ:(電話で)移動したのには理由があるんだよ。バーニーのG-8を待機させてくれ、我々はテル・アビブへ向かう。

バートレット:(横を向いて)これ以上話すことなんかないような気がしてきたよ。

レオ:(電話で)週末明けにはテル・アビブへ向かう。(バートレットに)何ですか?

バートレット:(レオの方を向いて)・・・な?聞いてもいない。

レオ:(気まずそうに電話で)ベン、また後でかけなおす。

一日中仕事をして久しぶりに夕食に出かけたと思ったら話す時間もない、とバートレットはレオの奥さんになったかのように愚痴をこぼす。だがレオ が実際に妻のジェニーと別れた時には今言われた事と全く同じ事を言われたと明かす。そしてバートレットがようやく相談事を話そうとした時、 ビリーが入ってくるのが見えたのでレオは彼を退室させる。あらためて、バートレットは自身の病気の事でアビーと約束したとレオに打ち明ける。 アビーには、大統領職は1期しか務めない、と言っていた。 だからホインズは石油業界を非難したのだ。なぜなら彼もバートレットが一期しか務めないであろう事を知って いるからだ。レオがアビーの事について話し始めようとしたその時、またもやレオの携帯電話が鳴る。CJからの電話に出たレオがバートレットに、 スタックハウスには自閉症の孫がいる、という事を知らせる。バートレットはため息をつくがすぐに立ち上がってレオと一緒にダイニングルームを 出て行く。

オーヴァルオフィス前の秘書室にはCJとドナがスタックハウスの件(と置物を割ってしまった件)について詳しい話をバートレットらにしよう と待っている。彼女が像の置物を割ってしまった事にとっくに感づいているチャーリーが心配そうに、誰かがその事を言ったほうがいいですよ、と 助言するがCJは接着剤でくっつけたから大丈夫よ、と言って返す。接着剤の名前「Crazy Glued」の事までは知らないようだがポプリもつけて匂い の方もバッチシなのだそうだ。とにかく私にはバステトの古代の呪いがかかってるんだからもうほっといてよ、とCJ。接着剤とポプリの事も黙って ますよ、とチャーリーは請け負う。そして窓の向こうの柱廊に大統領の姿が見えたのを見てチャーリーがCJとドナをオーヴァルオフィスへ通す。
一方オーヴァルオフィスへ向かう途中の柱廊を歩きながらバートレットはレオに尋ねる。何故スタックハウスは孫がいることを教えてくれなかったの か?そうすれば修正案でも何でも認めたのに!既にCJとドナの待つオーヴァルオフィスに入ってくるとレオは、彼が孫を政治的に利用したくなかっ たからで、それは立派な行為ですよ、と答える。CJの挨拶にバートレットが応えるが何故ドナまでいるのか分からない。孫の事に気づいたのは彼女 なんです、とCJは説明する。バートレットは電話のメッセージ通りスタックハウス議員は倒れるまで立ち向かい続けるつもりだろう、と考える。CJ が「かもしれません」と言ったのに対しバートレットは何故かしつこく彼の肩を持つ。孫を持つ男を過小評価しないことだ。孫のためならトチ狂って も、敵を作っても、法を破っても、骨を折ってでも何でもやるぞ!・・・キャラメルクリームで糖分を取り過ぎたんだよ、とそのまくし立てる様子 を見たレオがCJに説明する。ここでふとバートレットがCJに尋ねる。もし新聞の締め切りを気にするなと言われたら今何をする?CJも彼を助けたい 、と考えを明かす。とにかく疲れきっているであろうスタックハウスを何とか休ませないと・・・。その時ドナが、小学校で子供がするように、 おずおずと手を挙げる。上院議員は発言の場を引き渡さずに発言権を他人に与える事ができるというのだ。バートレットはそんなルールは知らなか ったといった様子だがジョシュは知ってて説明したがっていたのでドナが黙って聞いていたのだ。とにかく発言権を与えることができるのは上院議員 だけなので彼らに片っ端から電話をかけて呼んでみよう。早速バートレットはチャーリーに上院議員の一人に電話をかけ、それが終わったら残りの 98人にも同じようにしてかけろ、と命令する。孫を持つ議員を優先させて、とCJが付け加える。そう言うとバートレットはCJやドナより先に、 チャーリーに続いてレオと一緒にオーヴァルオフィスを後にする。残ったCJがさりげなく「あ、それから大統領の像の置物 を割ってしまったんです」とバートレットが出て行った後で小声で言う。もちろん聞こえるはずがないのでドナがつっこむ 「聞こえてないわよ」「えぇ」

一方スタックハウス議員のゴタゴタとは別の場所でホインズがスタッフとレイクパウエルのダムの危機管理の甘さについて話しながら帰ろうとして 歩いている。話していたスタッフと入れ違いにトビーが合流する。ちゃんとうまくやっただろう?とホインズは言い、トビーもそれに感謝している と言う。だが長いこと考えていた疑念が頭から振り払えないでいるトビーは思い切って尋ねる。

トビー:お分かりかとは思いますがあなたが何故業界批判を買って出られたのかというところが気になっていたんです。

ホインズ:あぁ。

トビー:あなたが行っていた個人的な世論調査を手に入れました。

ホインズ:あぁ、それで?

トビー:かなりの数の人があなたと大手石油業界との密接な関係に疑問を抱いています。

ホインズ:今回の批判でそれも解消だろう。

トビー:はい、ですが一体何故そもそもあの地で世論調査を行ったのかが分からないんです。副大統領、私が知らない事であなたが知っている事 は何ですか?

ホインズ:トビー、君が知らない事で私が知っている事の総量を見積もれば道に群がる雄牛の大群ですらもその強靭な 肝を押しつぶしてしまうだろう。おやすみ。

そう言ってホインズはリムジンに乗り込んで出発してしまうがトビーは面食らった様子でいる。

ホワイトハウスでは協力してくれる各スタッフが上院議員に電話をかけていっている。まず身近な関係を持つ議員に電話をかけ、付き合いの少ない 議員には大統領から電話していった。最初の20分間は誰も応えてくれなかったがワシントン州選出のトム・グリッソム上院議員がオフィスを出て 議会に向かっているという知らせをたった今受けた。そしてスタッフ全員が何が起こるのかを見るべく広報部のブルペンに集まり始めた。ただここで 問題なのは我々が彼を引きずりおろそうとしているように思わせず、且つドナが言っていた上院の手順・決まりを彼が知っている かどうかだ。グリッソム議員がオフィスを出て議会に着くまでの時間を計算しながらスタッフたちはブラックジャックのルールを朗読しているスタ ックハウスが映っている14台のTVに無言で耳を傾けていた。

そして事は起きた。

トム・グリッソム上院議員が議会に到着して今議長に話し掛けようとしているのだ。そしてグリッソム議員がスタックハウスに質問する権利を頂いて も構わないでしょうか、と尋ねるがスタックハウスは無言のままでいる。サム、ジョシュ、そしてバートレットまでもがその様子に「あともう一歩」 と思っている。そしてスタックハウスは議長に、ワシントン州選出上院議員からの質問をお受けいたします、と答える。

グリッソム議員:質問は22部に別れていて少し時間がかかるかもしれません。議員はおそらく座って水でもお飲みになりたいでしょうからその間に 質問させて頂きます。

グリッソム議員のその言葉にホワイトハウススタッフが歓喜の声をあげる。

CJ(V.O.):大成功でした。グリッソムはスタックハウスに休憩と自閉症についての真面目な質問に対する返答をするチャンスを与え、彼の 後にはマクナマラ議員、さらにその後にはジアンネリ議員が続きました、全員孫を持つお祖父ちゃんです。私はこれから記者団に経緯を説明するた めに会見室へと向かいます。今夜行われるはずだった投票は見送られ・・・

ジョシュ(V.O.):上院議会は来週まで閉会する。どの道、スタックハウスが新聞の締切時間をぶち壊してしまい・・・

サム(V.O.):ジョシュが議長に掛け合って法案を再審議しない理由が無くなったからだ。

CJ(V.O.):ここではどんないい事が起こるか想像もつかないような日が何日もあります。

ジョシュ(V.O.):党派主義の影役にされたり売り込み合戦や・・・

サム(V.O.):馬鹿馬鹿しい足の引っ張り合い・・・。

CJ(V.O.):えぇ、ホインズの石油業界批判や大統領の再選問題についての悩み事はこの際明日にしましょう。なぜなら今夜私は脚の無い男が 立ち続け、声の出ない男が叫び続けるのを見たからです、父さん。もし政治が人間の最悪の部分を引き出すのなら おそらく人間自身が最高の部分を引き出すのでしょう。なぜなら今私はTVを見ていますが何と28人ものアメリカ上院議員が彼を助けよ うと議会に駆けつけたのです。朝の最初の便を捕まえまるつもりでいますからどうか最高の明日が来るまで70歳にならないでいてくれたら嬉しいの ですが。ところであなたの事をとても愛しています。あなたの娘、クローディア。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Tim Matheson as John Hoynes
George Coe as Senator Howard Stackhouse
Peter James Smith as Ed
William Duffy as Larry
Cara DeLizia as Winifred Hooper
Robyn Pedretti as Candy
Pete Leal as Stewart
Shishir Kurup as Zach
Mindy Seeger as Chris
Charles Noland as Steve
Jana Lee Hamblin as Bobbi
Randolph Brooks as Arthur Leeds
Melissa Fitzjerald as Carol



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