THE WEST WING
2-12:
E P I S O D E # 34
2004/01/07 on NHK
THE DROP IN
(前触れもなく)

WRITERAARON SORKIN
STORYLAWRENCE O'DONNELL JR.
DIRECTORLOU ANTONIO

US TRANSMISSION DATE
24 January 2001
UK TRANSMISSION DATE
28 August 2001(E4)
JP TRANSMISSION DATE
3 January 2004
-STORY-
国防総省が推進する核ミサイル防衛システムの実験に積極的なレオとは反対にバートレットを始め国防総省職員、軍部関係者以外のホワイトハウス スタッフは挙ってこの計画に反対する。何とかバートレットを説得しようと試みるレオはイギリス女王陛下からの新駐米英国大使の信任状を携えて ホワイトハウス にやって来た、核ミサイル防衛の専門家でもあるジョン・マーベリー卿を味方に引き入れようとするがその彼とも真っ向から意見が対立してしまう。 CJは、過激なジョークを売りにしている黒人コメディアンのコーリー・サイクスに、大統領も出席する夕食会の司会を降りてもらうよう彼の説得に あたるが彼にも言いたい事があった。サムは環境 保護会議で環境保護団体ら聴衆の度肝を抜くような素晴らしいスピーチを書こうと秘書らスタッフと一緒に時間をかける。だが環境保護団体に迎合 しているように見え、労働者の票を失うことを懸念しているトビーはサムには内緒でレオとバートレットに相談し彼を出し抜く。後から知ったサム はその事で激怒する。


INTO THE MAIN TITLE:★★★★☆

TWW2-11へ| TWWとりびあ〜ん2-12へ| TWW2-13へ


-TEASER-
軍部関係者が席を埋めているシチュエーションルームにレオが入ってくる。国防総省の司令部でのやり取りをじっと耳を傾けて待つ。ミサイルが発射 されターゲットに命中するまでの2分10秒の間にバートレットを連れてこようと部屋を出るレオ。

オーヴァルオフィスではバートレットが新駐米タイ大使の任命式を執り行っている。新大使がお好きなゴルフはスポーツではなく紳士のたしなみだ とか言っている。6月に訪れるバンコクの「オリエンタル」というホテルの事を世界一だと褒めしきるバートレット。何でもジェームズ・ミッチェナ ーという作家が泊まっていた事があり、彼の使用していたタイプライターが残っているのだという。そしていよいよ仕上げに入る。彼をタイの特命 全権大使として正式に認め、新大使の妻も加わる写真撮影を行って新駐米タイ大使の任命式は終わりだ。
オーヴァルオフィスの外ではバートレットを連れてこようとやって来たレオが待っている。そのレオを不可解といった顔でじっと見つめるミセス・ ランディガム。

レオ:何を見てるんです?

ミセス・ランディガム:また奇妙奇天烈な機械の実験をするんでしょ。

レオ:これ(ミサイル防衛システムの実験)は奇妙奇天烈でもなければ珍妙な機械でもありません、ほっといてください。

ミセス・ランディガム:私の時代じゃ自分の身は自分で守ってましたわ。

レオ:そりゃぁあなたの時代じゃダニエル・ブーンの作ったマスケット銃で先住民を追い払えましたものね?

ミセス・ランディガム:皮肉ばかり言って・・・冗談の通じない人はユーモアに富んでますわね。

レオ:鉛筆でも削ってなさいな。

そこへバートレットがオーヴァルオフィスから出てくると早速彼を説き伏せようとするレオ。迎撃ミサイルが迎撃する瞬間をバートレットに見せて ミサイル防衛 の予算を増やしてもらおうというわけだ。だがそもそもバートレットはこの計画に賛成していないためか上手くいくはずがない、と言ってのける。 上手くいったとしても新駐米タイ大使のポストはやれんぞ、とバートレット。そんな彼をさっさと連れ出し、足早にシチュエーションルームへと向 かわせるレオ。歩きながらそんなレオをミサイル防衛のチャーリー・ブラウン、ペンタゴン(国防総省)をルーシーだとたとえるバートレット。だが レオはその漫画を読んだことすらないと言うのでバートレットが説明する。チャーリー・ブラウンがフットボールを蹴ろうとするとルーシーが それを止める。また蹴ろうとするとルーシーがボールを引っ込めてしまい最後にはチャーリー・ブラウンがしりもちをつく。だがその際ルーシーは 、次はボールを持たない、と言ってチャーリー・ブラウンを説き伏せながらもボールを持って彼に何度もしりもちをつかせてしまう。つまりこの場合 、バートレットが必ず失敗すると確信している、ミサイル防衛システムの実験を開発しているルーシーこと国防総省はミサイル防衛に熱心な チャーリー・ブラウンことレオを取り込んでバートレットに口添えしてもらい、うまい具合にNMD(National Missile Defense=国家ミサイル防衛 )システムの軍事費を底上げしてもらおうとしているのだ。だが実験はフットボールを空振りするかのごとく毎回失敗に終わっており、新しいミサ イル実験が行われる度にレオは国防総省にそそのかされ(?)、バートレットの元にやって来る、というわけだ。だがレオ自身もNMDの予算は増やす べきだと考えている。それよりも三ツ星の将軍相手に「ルーシー」と呼べるものなら呼んでみてください、とレオ。
そして二人がシチュエーションルームに入って来る。大佐の難しい説明の後、いよいよ迎撃の瞬間に向けてのカウントダウンが始まる。5・・・4 ・・・3・・・2・・・1・・・・・・・・・・・・・・・。迎撃ミサイルは宇宙空間で核弾頭に衝突することになっているが部屋は静まり返って いる。結果はネガティブ・インターセプト、つまり「外した」ということだ。関係者一同からいっせいにため息が出る。元気が良すぎたのかな、と バートレット。どのぐらいで外したのかレオが尋ねる。

大佐:137です。

レオ:137フィート(≒41.76M)で標的を外したのか?

大佐:マイル(≒1.6KM)です。

レオ:(信じがたいという顔で)137マイル(≒220KM)で外したのか?!

バートレット:宇宙空間の広さを考えたらそう悪い数字でもないぞ、レオ。

レオ:大統領・・・

バートレット:とにかく、こんな時チャーリー・ブラウンならこう言うよ、「ふぅ、やれやれ」(Oh good grief.)。

-ACT ONE-
定例のブリーフィングでCJが特命大使の任命の大まかなプロセスを報告している。新しく任命される大使はくだけた雰囲気の式典に参加する事にな る。オーヴァルオフィスに友人や家族らとともに招かれて大統領とおしゃべりをしたり贈り物を交換したりした後に儀典統括官によって公式に招待 され、大統領が大使の信任状を受容し、書類にサインをすれば終わりだ。そして記者からの質問に答える。任命式はホワイトハウスに来た順に行わ れることになっている。今朝はタイのスマトラ大使、それからスウェーデンのピーター・ハンス氏、続いてアルゼンチンのレネ・アーネスト氏 、そしてブルキナファソのノア・ジョラ氏の任命が順に行われる事になっている。だが新しい駐米英国大使は挙がっていた候補が次々と下りて いったのでまだ決まっておらずその式典はもう少しだけ先になりそうだ。他にも調べてきたことをいろいろ話したいCJだが誰も質問してこないので しぶしぶそこで会見を終わらせる。
会見室を後にして秘書のキャロルに文句を言いながらCJが歩いているとサムがやって来て、明日の夜にシェラトンで開かれる地球環境保護会議 (GDC=Global Defense Council)に大統領が出席するという事を午後のブリーフィングで発表してほしい、と頼まれる。この会議は、 3ヶ月前バートレットが 南アメリカに出かける予定があったので一度は断っていたのだがその旅行が中止になったというので改めて出席してもらい、CARE(Clean Air Rehabilitation Effort=空気清浄化運動)についての議論を巻き起こすべきだ、とサムが考えたのだ。CJはそんな事よりも自分が調べた事の方 を話したがっている。
CJと別れ、環境保護会議で発表するスピーチを練るためにスタッフの待つルーズベルトルームに入っていくサム。中ではややぐったりしている様子 のスタッフもいるがそんな事はお構いなしにサムの名スピーチの予行演習が”再び”始まる。地球温暖化は深刻な環境問題なのか、それとも単なる 一時的な 気候の変動によるものなのか?世界を脅かすほどの脅威になり得るものなのか、それとも警告者たちの誇張に過ぎないのか?いずれにせよこの手の 議論はもう終わりにしよう。今日を境にアメリカ合衆国は立場をはっきりさせることにします、つまり地球温暖化は健康とこの星の将来とそこに住む 全ての生物に多大な危機を及ぼす要因になるのだということを!・・・・・・サムは感無量だが手が動いているスタッフはいない。もう何度も聞か されたから既に書いています、とボニー。それなら、とサムは、5000億ドルの費用に対し22兆ドルの利益が生まれる事をその場にいるスタッフ全員 に確認しトビーに会議の概要を話すため部屋の入り口まで歩いて行く。出張から戻ってきたばかりのトビーに会議の件を知らせるが、何を言ってる んだ、という 顔をしている。トビーが大統領の環境保護会議の出席に後ろ向きなのは不機嫌そうな態度からも明らかだ。サムは既に了解が取れていたものだと思 っていただけに面食らっているがもう後には引けない。大統領の承認は既に得てしまったのだから、と会議用のスピーチ作りに熱心に取り組もうと しているサム。だがトビーは、何の相談もされずに決められた上に環境ロビイストと折り合いの悪いAFLCIO(American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations=アメリカ労働総同盟産業別組合会議)を敵に回して労働者の票が離れてしまいかねなくなった事 で明らかに苛ついている。とりあえずレオと相談するために受話器を手にするトビー。

ジョシュは自分の部屋の入り口の壁に背中をまっすぐにして立ちながら、調べてきた大使の話をしつこく話すCJとスピーカーで話している。 ジョシュの説明によれば、このように立っていると気分が良くなると医者が言っていたそうだ。CJが電話を切り、ドナが、リラックスしている ジョシュの立っている入り口のドアを開けて入って来る。バタン!何か当たったような気がして後ろを振り返るがドナは構わず尋ねる 。レオとマーベリー卿は仲が悪いのか?ジョシュはちょっとびっくりしながらスピーカーを切ると、二人の間には何もない、とだけ言う。でも二人は 本当は仲が悪い。というよりはマーベリー卿がどこかハズレた人だからで、彼が海の外の人で良かった、とジョシュがホッとしたのもつかの間。ドナ 曰く、これからは海のこちら側の人になる、との事だ。そう、決まっていなかった新駐米英国大使が彼に決まったというのだ。ジョシュは再び リラックスするために入り口の壁際まで移動する。

-ACT TWO-
ジョシュの部屋に入るなり、ノックしてくださいと言われてしまうトビー。先ほどのドナの素知らぬ一撃が効いているようだ。トビーはそんな事より も、と環境保護会議の話を始める。トビーは環境保護論者(ロビイスト)に噛み付いてもいいと思っている。というのも環境テロリストがキツツキ科 イュンクスの 生息地を脅かすから、といってスキーリゾートに放火したときに環境保護論者たちは何もコメントを出さなかったからだ。だがサムは反対するでしょ う、とジョシュは思う。ところでトビーは他にもジョシュに用件がある。バートレットも出席するウィル・ロジャーズの夕食会の司会にコーネリアス ・サイクスの名前が挙がっているため、それをCJに伝えてほしいのだと頼む。ジョシュもこの件がマズい事になるのは分かっている。ところで、と。 トビーが今度はジョシュのリラックス法について尋ねてくるがジョシュが説明し始めるやいなや自分にはどうでもいい事だと悟りさっとその場を離れ てしまう。

レオの部屋にやって来たトビーに迎撃ミサイルが137マイルずれていた事を教えるレオ。10のうち9の、国防総省が定める、基準をクリアしていても 当たらなければ何の意味もない。それはさっきレオが電話で国防総省職員にバートレットにどう伝えるかということで話していたことだ。トビーは 環境保護会議に関するサムのスピーチについてレオに提案する。環境ロビイストたちに恩が無いこと、つまりスキーリゾートの件で彼らを少々ねじ伏 せても別に悪いことにはならない。40分おだてて30秒殴り飛ばすだけですよ、とトビー。1200万ドルかけて作っていたコロラドの建設中のスキーリ ゾート開発が貴重な保護動物イュンクスの生息地を脅かしたという理由で放火されたのだ。レオはサムにその事を入れるスペースを空けてくれ、と トビーに頼むがサムと口論するのを避けたいトビーは大統領のアドリブでやって欲しいと逆にレオに頼む。

トビー:そこは文章には入れたくないんです。サムも彼の14の反対理由も要りません。ただ前触れもなく(Drop-In) やるべきです。

会見室ではサムがCJや他のスタッフ数人らに環境保護スピーチの要点を説明している。強調すべきなのはアメリカが世界最大の二酸化炭素の排出量を 誇っているという事。世界の人口の4%でありながら温室効果の25%をアメリカが放出している。そしてその二酸化炭素の排出量を抑えるのに貢献で きるのが先ほどのCARE、空気清浄化運動だ。アンダーラインのところだけを見るのではなく注釈にも目をやれ、と先ほどの秘書陣の反応といい、 そのあまりの徹底振りにCJも頭が上がらない様子だ。途中、高校時代モテなかったでしょ、というCJの野次もサッと流して続けてしまうぐらいだか ら彼女もたまったものではない。企業が年間の二酸化炭素の排出をあるボーダー以下に落とすことができた場合、その落とした分を報奨金として 受け取ることができることをスタッフに確認するサム。するとそこでジョシュが現れて、駐米大使任命国の原産品にまだこだわっているCJを部屋の 外へ連れ出す。もちろん先ほどのトビーの話を伝えにきたのだ。司会を務めることになったコメディアンのコーリー(コーネリア)・サイクスはCJ の友人だから彼女の方から彼に司会を降りるよう説得してほしいのだ。CJは嫌々ながらもその役目を引き受ける。ところでジョシュとは違いCJは マーベリー卿の新駐米英国大使就任を歓迎している様子だ。彼女の事を「Princepessa(お姫様)」と呼んだのが相当嬉しかったに違いない。ちなみ に彼はレオの事を「ジェラルド」と呼んでいるらしい。CJと別れドナがやって来ると彼女から、マーベリー卿に口添えして彼 から英国王室の男性を紹介してほしいのだと頼まれる。それに対するジョシュの答えは・・・・・・・言わずと知れている。

オーヴァルオフィスではバートレットが今度は駐米スウェーデン大使の任命式を執り行っている。大使の他には妻と二人の子供がそこにいる。バー トレットはローマ帝国の崩壊に一番貢献したのがスウェーデンから来たゴート族だと言って大使を困惑させている。スウェーデン国王からの信任状を 受け取り、バートレットが署名と紋章を記し駐米スウェーデン大使の任命が決定した。そして大使やその家族らとの写真撮影に入り、彼らの式典 が終了するとバートレットは、さっき入ってきたレオとスウェーデンの識字率100%の謎に一緒に首をかしげる。彼らはモノを数えるのが苦手なので は?と負け惜しみとも皮肉とも取れることを言うレオ。そしてすかさず本題に入る。

レオ:国防総省が定める実験の基準で10のうち9は成功を収めました。

バートレット:10番目は何だ?

レオ:標的を外した。

それでは何にもならないじゃないか、とバートレット。レオは今回の実験の成功のポイントをかいつまんで説明するがバートレットは、彼にとって 争いの種にしかならないミサイル迎撃システムに熱を注いで国防総省にいいように操られているレオをこれほど愚かだと思ったことはないかのように 思っている。金食い虫の実験を、行うばかりで何の効果もあがらなくてはそれももっともかもしれない。だがレオはアポロ11号の失敗をニール・アー ムストロングは成功だと言っていた。失敗があるからこそ成功があるんです、とレオは反論する。だがひとまずこの話題は脇に置いてレオがトビーと 話した事を伝える。サムの書いた環境保護会議用のスピーチにトビーが客観的な意見を盛り込んだ。それは先ほど話していた環境テロリストがスキー リゾートに放火した件だ。放火が悪いことぐらい誰でも分かるとは思わないのか、とバートレット。だがこれはジェスチャーだ。1年半前バートレ ットはミューラルルームでアル・コールドウェルを、彼のキリスト教団体が宗教過激派を公に訓戒しなかったという理由で怒鳴りつけた事がある。 友人には常に善悪の区別なしに腹蔵なく語るのがジェド・バートレットという大統領なのだと知らしめるためにはこのようなジェスチャーも必要に なるというわけだがこの程度のレベルの正義を行って点数稼ぎするのが素晴らしい行為だとはバートレットには思えない。ところで、とバートレット が突然、新駐米英国大使の話を振ってくる。レオはバートレットが、マーベリーが英国大使に納まると知った自分の顔を見て楽しんでいるものだと 分かっている。レオが去ってチャーリーが入ってくる。2000人の環境保護論者にフォークを持って襲われたら君を餌に置いて逃げるからな、とバー トレット。チャーリーと一緒に部屋の外に出るとトビーが待っていてレオの話を聞いたかどうか確認する。トビーはこのアドリブの件でサムと話し 合ったかどうかについては触れられたくないのでバートレットの問いかけにも話を逸らそうとする。そんなどこかおかしい様子のトビーを察知したの か、はたまた環境保護論者に襲われるという悪夢に日中から苛まされているのかバートレットもトビーの仕事にそれ以上深入りするのをやめる。それ よりも気になるのはベジタリアンが夜通しで自分を追いかけ回すのではないかという事だ。
バートレットが去り、コーリー・サイクスと会いに出かける直前のCJと合流したトビーは彼女にも「大統領は常に過激派の行為を黙認し続けるグルー プにも容赦なく注意を促してきたし、それは環境ロビイストに対しても例外ではない。友人は互いに正直であるべきだ」というスピーチ内容をサムに は内緒で教える。

-ACT THREE-
サムのオフィスでサムが本日何度目かのスピーチの予行演習を、トビーの確認を取りながら、行っている。温室効果が地球環境、特に極点のそれに 強い影響を及ぼし、その結果地球全体の水位が上がったらどうするのか。また二酸化炭素の排出量を制限するのは自動車産業を圧迫するのではない のかという疑問も生まれてくるだろう。だがこの問いに関する答えは先ほどのミーティングで出ている。環境基準の遵守に5000億ドルを費やせば22 兆ドルの利益が見込まれる算段だ。ふとトビーから、環境保護会議にはサムが責任者となって指揮を取ってくれるよう頼まれる。ルーズベルトルーム に行き、環境保護会議用のスピーチ作りの徹底振りにすっかり辟易している秘書のジンジャーたちからついに嫌味を言われるサム。だがそんな事で サムの闘志は消えない。そればかりかサムはここぞとばかりにスピーチの重要性について力説する。「良いスピーチ」と「最高のスピーチ」は違う ものだ。その違いは、読み終えた後に聴衆を立たせ、唸らせるだけの名文が織り込まれているかどうかなのだ。それは礼儀からくるものでもなければ 嫌々ながら唸るものでもない、また自分の上司が立ったからそれに続くものでもない。人々に感動を与えたところからくるのがスピーチ作成者の手腕 なのだ。・・・・・・というわけで残り時間を使ってもう一回練習しよう。

レオの部屋ではレオがジョシュに何とかバートレットを説得して予算を出してもらおうと相談している。だがバートレットがミサイルシールド計画に 否定的なのはジョシュも知っている。だがそれでもレオは時間をかけてじっくり説得していくつもりだ。そこへマーガレットが現れ、人が来た、と レオに伝える。レオが誰なのかと訝っていると突然大きなドラ声が部屋中に響き渡る。

ジェラルド!

レオにとって悪夢の瞬間が再びやって来た。以前会った時は彼を「執事」と間違えたジョン・マーベリー卿が今度 はレオを「ジェラルド」と呼びながら秘書のカプリスを連れてレオの部屋に勝手に入ってくる。ジェラルド!古き良き友よ!・・・・・・名前を間違 えられた上に勝手に友人にされたレオは以前とは違いもう名前を正すのも諦めたようだ。相変わらずのマーベリー卿、レオの秘書のマーガレットの容姿 もしっかりと見ていてその事をレオにこっそり告げるが彼女が地獄耳だという事までは考えていなかったようだ。「どうも」というお礼に思わず振り返 る。と、マーベリー卿がやって来たのはもちろん新駐米英国大使の 式典を大統領に執り行ってもらうためなのだがレオはこれを機会に仇敵である彼の力を借りようとする。マーベリー卿はNMDの専門家でもあるので彼 の口添えがあると非常に頼もしいというわけだ。だがマーベリー卿ははっきりと断る。NMDの実験は全く馬鹿げており無駄であるばかりか何の結果も もたらさない。 1972年にアメリカ・ロシア間で締結されたABM(AntiBallistic Missile=ミサイル迎撃ミサイル)条約(2002年に、ミサイル防衛を推進している アメリカのブッシュ大統領が正式に条約からの脱退表明をしている)の幾つかの条項にもことごとく違反している。国防に関してそんな議論を引き 起こすようなやつはマヌケと呼ばざるを得ないぐらいだ。・・・・・・と、全く協力が得られそうにないと分かったレオは彼の就任式をとっとと 済ませてさっさとお帰りになってもらおう(「駐米」大使になるのだが)と提案する。

ニューヨークシティのホテルのロビーでCJがコーリー・サイクスと会う。久しぶりの再会に思わず顔が緩む二人だがCJはそれとなく話を始める。「 これからあなたが出ようとしているウィル・ロジャーズの夕食会にはバートレット大統領も出席するの」。そこまで言うとコーリーも彼女の言わんと している事が分かる。CJはなだめながら説得しようとするがマスコミが2年前の件を持ち出してきたら大統領は気まずくなってしまう。 そんな話はほっとけ、とコーリーは言う。

CJ:そうはいかないわ。これがどういう事が分かるでしょ。別にあなたを無礼だと思っているわけじゃないのよ。

コーリー:本当に?

CJ:本当よ!

コーリー:俺はあんたたちのために金や票を集め、宣伝もして投票もした。なのに2年前の、言われのない悪い噂のために俺とステージに上がるのが嫌だというのか?

CJ:そういうわけじゃ・・・

コーリー:それでも無礼だとは思わないでいるのにはよほど特殊な傲慢さがなけりゃできないよ。

コーリーが皮肉を言うのも多少は仕方がないがそれでもやはり大統領とは顔をつき合わしてもらいたくない。CJはやりきれない表情で彼を見つめる。

ミューラルルームではマーベリー卿がレオから聞いた迎撃ミサイルの外した距離の程度に驚いている。誰の目に見ても失敗は明らかじゃないか、と マーベリー卿。そこにバートレットがチャーリーを従えてやって来るが握手をして挨拶を交わすとすぐに環境保護会議に出かけるために部屋を出る。 式典まで1時間の暇ができてしまったマーベリー卿、何か暇つぶしがほしいところだ。と、そこに、ジョシュに断りを入れたのかは分からないが、 ドナが目を輝かせながらやって来る。それを見たマーベリー卿は一言「エクセレント」、暇つぶしができたという意味だろうか。

CJはコーリーが、白人警官が黒人警官を撃った、というジョークはかなり際どかった、と言う。それに対し、俺は黒人だ、選挙年の満席の金持ち民主 党員の前で機内食の話でもしろというのか?とコーリー。だがそのジョークは選挙期間中の資金集めの時に言われたものだ。もうあなたは夜中のコメ ディ番組に出ている人じゃないのよ。当時候補者だったバートレットにとってそれを糾弾するのは極めてプレッシャーのかかるものだったが結局彼は しなかったのだ。別にそのことを感謝する必要もないだろう?そもそも間違ったことはしていないんだから、とコーリー。それよりも俺がどこへ行っ てもハリウッドの低俗野郎と言われたときに彼らにこう言って欲しかった「我々バートレット選挙委員会は彼をハリウッドの低俗野郎だとは思ってい ません。彼が世界レベルのコメディアンでありそれは数百万人のアメリカ人の知るところです。彼のユーモアは時に過激でもありますがそれをやか ましく騒ぎ立てる連中は白人を怖いものに仕立て上げようとしているだけなんです」。だが君らが言ったのはこうだ「彼(大統領)はあのジョークに は笑わなかった」。20年もやってきたら本気で笑っていたかどうかなんていうのは分かる、彼は確かに笑ってた、と断言するコーリー。あの笑いは コーリーにとって勲章ものだった。だが翌日「ハリウッドの低俗野郎」と載った新聞を親が見て、選挙スタッフは逃げた。だがコーリーも大統領には 迷惑をかけたくないと思い、その司会の役を断ることをCJに約束する。コーリーは繰り返し、大統領はあのジョークに笑った、と言う。CJも笑顔で それに同意する。

トビーの元に、環境保護会議でバートレットがスピーチをしている様子を見ていた、サムから電話が入っていると聞きため息をつきながら電話に出る 。サムが困惑しながら報告する。スピーチも終盤に入ったところで大統領が突然スピーチ内容から脇道に逸れて環境保護論者たちを非難した、と。 突然の出来事にサムは思わず息を切らせて喋っている。そこでトビーが例のアドリブ部分についての対応をサムに教え、会場の反応を尋ねる。誰も 立っていません、とサム。

-ACT FOUR-
パーティー会場でマーベリー卿がドナに英国王室のメンバーの生い立ち・出生について事細かく教えている。誰が誰の孫で、祖父で、と聞いている うちにわけが分からなくなりそうな事まで喋っている。そこへチャーリーがやって来て、大統領は戻ったが先に新駐米アルゼンチン大使の任命式を しているのでもうしばらくのご辛抱を、と伝える。

ニューヨークシティから帰ってきたばかりのCJをつかまえるサム。環境保護会議で何が起こったのか尋ねると、サムが会議での対応の際に言うように 、とトビーから言われていた言葉の内容をCJはスラスラと言ってのける。そして彼女はスピーチの始まる前にトビーと話していたと言い、サムは事態 の全てを把握する。

トビーの部屋でミサイル防衛の必要性をトビーに説いているレオ。外の広報部のオフィスにサムが帰ってくるのを見てサムに話し掛けようとする。 サムは歩き回りながら自分のオフィスに入っていき、歯切れが悪そうに返事をする。あの会議の後、環境保護会議の議長、4人の下院議員、内務長官 からそれぞれ質問攻めにされたサム、明日はマスコミの対応に追われることになるだろうと言う。そしてトビーに言葉を差し挟ませないよう早口で まくし立てる。「時として友人はお互いに正直であるべきだ」というトビーが言ったセリフを、奇妙にもCJからも言われた。CJはニューヨークに出 かけていて会議の後トビーと話してもいないのに、まるで何が起こるのかを事前に知っていたんじゃないのか。そして間髪入れずに「僕に構わないで くれ」と言って、猛然とトビーに背中を見せてオフィスを出て行くサム。
オーヴァルオフィスまでやって来たサムだが出てきたチャーリーはサムの後ろのトビーの意図を汲み取り、部屋には入れません、とだけ言う。その チャーリーの視線に気づいたサムが戸口の外に目をやるとトビーが立っていたが彼はすぐに帰っていく。サムも憤然としてその部屋を出る。

レセプション会場では引き続きドナがマーベリー卿から王室のメンバーについて尋ねている。

ドナ:アルスター伯エドワードですか?

マーベリー:そうだよ。

ドナ:彼、私を気に入ると思いますか?

マーベリー:若い男とデートしたいかい?

ドナ:もちろんです。それでおいくつですか?

マーベリー:5歳だ。

ドナ:んじゃその子はキープ君にする事にして先に進みましょう。

と、そこへレオがやって来て北朝鮮のテポドンミサイルの発射について話し出し、事実上の強制退出という形でドナを去らせる。テポドンに改良が 施されたらアラスカにも危険が及びかねない。

マーベリー:私はアラスカには住んでいないし、私の住んでいるイギリスもミサイルシールドで守られてはいない。そもそもどこの国だって同じ事 だ。君は、我々が72年のABM条約に調印し、その中ではミサイルシールドの存在が条約に違反しているという事を忘れている。他にもそれが中国の核 兵器工場の拡大につながる事やヨーロッパ諸国がミサイルシールドに強い不安感を抱いているという事も忘れている。そして「それ」が全く何の 役割も成さない、という事もだ。

レオ:忘れていない事もある。

マーベリー:何かな?

レオ:我々アメリカが南北戦争のヨークタウンであんたたちイギリス軍を打ち負かした事だ。

そこでチャーリーがレオを連れ出し会話は一旦終了する。近くにいたドナが「私、アルスター伯が読み書きできるようになったら彼と文通しようと 思ってるの」と独り言を言っていたところを、通りかかったチャーリーが、どうでもいい事ですね、と言わんばかりに「そうですか」と答えて去って いく。

ホワイトハウスの食堂で思いつめているサムのところに、そんな彼の落胆振りを見かねたトビーがやって来て一緒に注文をとる。サムはまだ大統領に あのアドリブの件で一言助言したいと思っている。だが先も見えないぐらい突っ走った状態でオーヴァルオフィスへは行くべきじゃない、とトビーが 諭す。あのアドリブのせいで環境ロビイストを敵に回し、その結果空気清浄化法案の通過が危ぶまれる、とサムは考えている。トビーは反対にこの 程度で背を向けられるような事はないと考えている。お望みの法案を手に入れようと大統領の夕食会に参加するような彼らがそんな事で反対の立場を 取るわけがないだろう、とトビー。だが今のサムはトビーの話をまともに聞く気にはなれない。ならその”迎合しやすい”環境保護団体にも、今僕に 説明しているのと同じように説明すればいいでしょう、と皮肉るサム。そして一人にしてくれるよう頼み、トビーは立ち上がるが去り際に言う。

トビー:サム、私は空恐ろしい反対意見にも耳を傾け、刻一刻と移り変わる数字も見ている。それに環境保護論者たちの脅しまがいの暴言にも耳を ・・・

サム:僕を外した。

トビー:(ため息混じりで)あぁ。

サム:あの党首たちの朝食会での失態の責任が僕にあったんですか?

トビー:あれは私だよ、サム。

サム:なら何が問題なんですか?

トビー:議論したくないんだ。

サム:なら今ここで僕と議論してるのはどういう事なんですか?今あなたは議論したがっている。あなたと大統領にはあのアドリブに それほどの価値があるとお思いかもしれませんが政治的保身のために仲間を攻撃するという皮肉に彼らは怒っている でしょうし僕も怒っています。さらにはあなたも頭にきているでしょうが今の僕にあなたを安心させられるようなことは何一つ言えませ んよ。

トビー:勝てなければ我々は国を治められないんだぞ

今回の件で著しく自尊心を傷つけられたサムをそのままにしておけないトビーはもう一度座り、黙ってビールを飲む。二人とも静かにしながらイスに 座っている。

レオとジョシュが先に待っていたオーヴァルオフィスにバートレットが入ってくる。どうやら先ほどの環境保護会議でアドリブを入れた件で、会議の 議長やら数人の下院議員やらから電話でがなりたてられたようだ。「策謀家」という言葉をあれほど別々の言葉で言い換えて口撃してきたのだから 類語辞典を目の前に用意していたとしか思えない、とバートレット。さらに第3勢力の候補にセス・ジレットを推すとも脅されたようだ。 とりあえず大統領を脅してもいいことはないぞ、とやんわりと言ってその場をしのいだようだ。秘書のナンシーに用件を伝えいよいよマーベリー卿の 新駐米英国大使就任の式典を執り行う時が来たようだ。バートレットがレオに尋ねる、私にミサイルシールド実験を勧めるのは国防強化のためにでは ないんだろ?違います、とレオ。彼は実験がいずれ成功すると信じているからバートレットに何度も勧めたのだ。実験の成功過程には必ずと言って いいほど、実験が全く成功しなかった時期はあるもののだ。なら、とジョシュが恐るべき提案をする、北朝鮮に600億ドル与えてアメリカを攻撃する かどうか試してみてはどうか?君が国家安全保障会議のメンバーでないことが不思議だよ、とバートレット。
オーヴァルオフィスのドアが開きマーベリー卿他カメラマンなどの式典関係者が入ってくる。フォークランド諸島を巡る争い以降かねてよりイギリス と折り合いの悪いアルゼンチンの大使の任命が先だと知らされてちょっと納得がいかない様子のマーベリー卿だが一般教書演説に参加させてもらえる と聞いて再び元気を取り戻す。進行役の職員が式典の挨拶を済ませるとマーベリー卿から女王陛下の信任状を受諾するバートレット。そして突然 ミサイルシールドについての意見をマーベリー卿に尋ねるバートレット。

マーベリー:はい、私が思うにそれは危険で、違法で・・・財政的に無責任で、技術的に信用できないものであり、あらゆるところにいる人々にとっ て脅威となるものです。

バートレット:レオ?

レオ:私が思いますに世界は核兵器を開発した。世界はそれを発明した自分自身の手で見当違いの物を作り出すことはできない事を確認する責任が あると思います。

マーベリー:なるほど、それは正しい感情だ。確かに戦争経験者の信頼できるお言葉ではあるが果たしてそれを止められるとお思いか?いや、できる わけがない。誰かがシールドを作ったら、別の誰かがもっと高性能のミサイルを作るだろう

そしてバートレットは正式にジョン・マーベリーを新駐米英国大使として認め、口頭でそれを確認する。バートレットと握手し、次にレオと握手する マーベリー卿。

レオ:おめでとうございます。

マーベリー:God Bless America(アメリカに神のご加護があらんことを).

レオ:God Save the Queen(女王陛下が神に守られんことを).

そして最後の式典のプロセス:バートレットとマーベリー卿が記念写真を取る。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J.Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradly Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Roger Rees as Lord John Marbury
Robert Clotworthy as Tom
Rocky Carroll as Corey Sykes
Alberto Isaac as Tada Sumatra
Erik Holland as Peter Hans
Jodie Hanson as Caprice
Elkin Antoniou as Bartender
Kris Narmont as Katie
Randolph Brooks as Arthur Leeds
Charles Noland as Steve
Melissa Fitzgerald as Carol
Devika Parikh as Bonnie
Kim Webster as Ginger
Renee Estevez as Nancy
Nicole Robinson as Margaret
Kathryn Joosten as Mrs. Landingham



TWW2-11へ|TWW2-13へ

〜とっぷへ〜