THE WEST WING
2-11:
E P I S O D E # 33
2003/12/20 on NHK
THE LEADERSHIP BREAKFAST
(リーダーたちの朝食会)

WRITERAARON SORKIN
STORYPAUL REDFORD
DIRECTORSCOTT WINANT

US TRANSMISSION DATE
10 January 2001
UK TRANSMISSION DATE
21 August 2001(E4)
JP TRANSMISSION DATE
20 December 2003
-STORY-
年が明け、CJとそのスタッフたちは民主党と共和党の党首たちが1時間半、面と向かって話し合う朝食会の席を苦労の末に何とか決める。その朝食会 では二つの党派が、その1年協調路線を歩むことを国民に知らしめるために行うのが定例となっているため今まで目立った衝突は起こらなかった。 だが共和党(多数党)院内総務の首席補佐官に新しく就いたばかりのアン・スタークと、彼女と長年の親友でもあるトビーは、レオとCJの 強烈な反対を押し切り彼女と話し合う。ところが彼女との話の中で出てきた言葉をそのままマスコミにリークされてしまいトビーはショックを受けるばかりか それが共和党の院内総務が大統領選出馬宣言をする手助けにもなってしまう。一方でレオはNYタイムズのコラムニストであるカレン・ケイヒルの靴 について冗談を言ってしまったことがきっかけで、その尻拭いをさせようとしたジョシュがサムに、そして彼女との話し合いの中でキルギスタンに 核兵器があると言ってしまったサムがこれまたドナに尻拭いをさせようとし、さらにドナが、カレンの前で落としてしまった下着に性的な意味合いが 無い事を、何と大統領から伝えてほしい、とチャーリーを通じて頼む。そしてバートレットがその話をレオの耳に入れることで話が1巡してしまう。


INTO THE MAIN TITLE:★★★★★

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-TEASER-
真夜中のホワイトハウス、ジョシュとサムの二人がドナの心配をよそにミューラルルームで火をおこそうと暖炉でゴソゴソしている。相当寒いらしく ジョシュやサムだけでなくドナも寒そうに厚いコートを羽織っている。サムがエゾ松は早く燃えきってしまうから硬くて燃えが遅い広葉樹がいいなど とジョシュに相談している。ジョシュの話し振りからドナは彼がクリスマス用の木々を失敬してきて燃やそうとしているのだと気づく。ようやく仕事 を思い出したのかジョシュがドナに、今ルーズベルトルームで翌朝の党首たちが集まる朝食会(The Leadership Breakfast)の席順を決めているCJに言づてを頼む。補聴器が必要なジャンコウィッツ氏は真ん中の席に座らせるように、との ことだ。サムとジョシュの行動はだんだんエスカレートしてついには着火に灯油を使おうとまでする。

一方ルーズベルトルームではCJが彼女のアシスタントのエド、ラリー、キャロルと一緒に党首、彼らの側近、ホワイトハウススタッフとその側近た ちの朝食会での席決めを考えているところだ。下院議長、多数党院内総務、少数党院内総務、上院の多数党、上院の少数党、院内幹事、補佐官、 上院の歳入予算委員会、下院の歳入予算委員会、上院の予算、下院の予算・・・・・・。ホワイトハウスの人間は首席補佐官、次席補佐官、議会 連絡局、政務連絡局、広報 部長、広報部次長、他のスタッフは壁際に立たせて、と・・・・・・完了だ、とエド。CJも納得するがそこへドナがやって来て耳の弱いジャンコウ ィッツ氏の席を真ん中に置いてくれというジョシュの言づてを聞く。やっと終わったと思ったのに、とCJ。新年明けの朝食会は民主・共和両党が 協調路線をアピールするための会のようなものでトランペットがけたたましく鳴るというのに誰が耳の聞こえない人を気にするのよ。と、文句を言 ってもドナはただのメッセンジャーだ。仕方がないから代わりに動かすべき院内幹事を上院と下院のどちらの人間にするかジョシュに尋ねてくれる ようドナに頼む。

まだ暖炉でゴソゴソしているジョシュにドナがCJからの質問を伝えるや否やサムとともに返ってきた答えは「下院」だ。建前の協調路線で朝食会を 乗り切るぞ、ということね、とドナ。ジョシュと一緒に火をおこそうとあれこれ考えているサムは今やっている事こそが「チームワーク(協調路線) だ!」などと言ってジョシュとのんきに笑っている。

ドナからの伝言を再び受け取り席決めを完了し、疲れきった様子のエドとラリーを見て「たったの7時間半しかかからなかったじゃない」、と皮肉を 言うCJ。トビーが現れてたかが席順を決めるのにやけに時間をかけるじゃないかと言ってくる。大統領が出席するというだけでいろいろと思惑が絡 むものだ。ところで一人抜けてるぞ、とトビーが指摘する。CJ、エド、ラリー、キャロルがじっと見ていると誰なのかすぐに分かる。信じられない 事だが彼らが忘れていたのは自分たちの国の代表、合衆国大統領だった。その時焦げくさい臭いがするというジンジャーの言葉にドナがハッと気づ き、急いで部屋を出る。
案の定、煙の出所はジョシュとサムのいるミューラルルームからだった。煙に気づいて駆けつけたトビーとCJも何事か と尋ね、サムが暖炉の上に飾ってあるプレートを読む。それによるとその暖炉は第17代大統領アンドリュー・ジョンソンのお気に入りで、よく火の そばでウィスキーを飲みながら楽しんでいたのだそうだ。さらに続けるところによれば、1896年以来煙道が溶接されて閉じられている、とのことだ 。そこへチャーリーがやって来て、警報が鳴った場合、シークレットサービスの手続きに則って大統領を起こしに行かなければならないのだと言う。 それじゃぁ鳴る前に消火器で消そう、とジョシュが言った直後に警報が鳴り、チャーリーはしぶしぶ手続きを踏むために大統領を起こしにパジャマ姿 のままの大統領をドア口まで呼び出す。

バートレット:(眠そうに)何だ?

チャーリー:大統領、火事の時だけは起こしてもいい、とおっしゃいましたよね?


-ACT ONE-
トビーがルール、レオがガイドラインと呼ぶものによれば朝食会の場ではパンケーキを食べながら新たな議会開会の幕開けに向けて両党が強調し、 両党の意見が一致するような案件しか話し合うことができない。今アメリカ社会を悩ませている患者の権利法案(医療情報の公開)、最低 賃金の引き上げ、減税・・・・・・これらの話題を話し合いの場に持ち込んではならないのだ。その上、政治的取引を有利に働かせるため に名称の変更にはしっかりこだわっているところがトビーには解せない。

トビー:レオ、ちょっと確認してもいいですか?

レオ:もちろん。

トビー:病気で・・・

レオ:あぁ。

トビー:まとまな医療ケアが受けられなくて・・・

レオ:あぁ。

トビー:金も支払えない・・・

レオ:あぁ。

トビー:そんな人たちが法案の名称の変更の議論を気にするとは思えませんよ。

だが議論はすべきなんだ、とレオ。そこでバートレットがチャーリーから予定を聞きながらオーヴァルオフィスに入ってくるや否や、昨夜の警報機 騒ぎのきっかけを作った犯人を追求しようとする。実行犯はジョシュとサムだが、悲しい友情かな、ジョシュはその問題をサム一人に押し付けよう とする。トビーが名称変更に関する注意を促すがバートレットはそれをモンロー主義と呼んでもかまわんというばかりか朝食のメニュー欄にニュー ハンプシャー州産ではなくヴァーモント州産のメープルシロップがあることに怒っている。最後にサムが、OMB(Office of Management and Budget= 行政管理予算局)が報道室を通りに移せば作業スペースが増えて仕事の効率が上がると言っている、と伝えてミーティングが終わる。
ミーティ ング終了後レオは自分のオフィスにジョシュを呼んで体調を尋ねる。これから毎日1回は尋ねるつもりだそうだ。ところでレオはジョシュにある仕事 を頼みたい。ジョシュにベンとサリーのディナーに参加してほしいというのだがその真意は、そのディナーにカレン・ケイヒルを招待したから彼女に 会ってレオが彼女の靴について冗談を言ったことを謝ってほしいというのだ。ジョシュは呆れてものが言えないといった顔をしている。そんな事の ために自分を嫌っている彼らの家へ行けというのはジョシュにしてみれば迷惑な話だがつい言い過ぎてしまったことを隠そうと振舞う。レオ曰く、 ニューヨークタイムズのコラムニストである彼女が靴に特別な思い入れをしているのかなんて私に分かるはずがないだろ、と自己弁護に走る。それに 自分で謝りに行けば女々しく見えるが他人を送り込めば思慮深く見える、ということだそうだ。ジョシュは昨夜の小火騒ぎのおかげで断る立場にない がその仕事をまたまた共犯のサムに任せようと考える。

ルーズベルトルームではCJの秘書のキャロルがアン・スタークの3人のスタッフと向かい合って話し合いをしている。CJとアンは反対方向に座ってお り各々の代表たちの話し合いをサポートしている。お互いに迎合ととられたり相手の立場を強く見せるような取引はしたくないことから自然と話し 合いは当初予想していた方向へと収束していく。つまりお互いが妥協しての協調路線をアピールするという方向にだ。一通り話し合いが片付くと キャロルが今後の予定を細かく話していく。だがここで突然アン・スタークがCJとキャロルを遮る。多数党院内総務の会見は外で行うものなのにCJ がホワイトハウスの大きな絵が飾られた青いカーテンの前で会見をするのは不公平だ、こちらも議会の前で会見をさせて、と言ってくるがCJはまっ たく相手にしない。そこへトビーがやって来てアンを部屋の外に連れ出す。こんなルールはくだらない。ガイドラインよ、とアンもレオと同じこと を言う。トビーは1対1で話し合うため、明日の朝にアンと朝食を取る約束をする。

サムが先ほどのOMBの話を今度はドナに事細かく説明している。会見室をよそへ移せばそこにプールを置くスペースができるし、OMBの人間が言う にはこのホワイトハウスで働く人々の過密状態はかつてないほどなのだという。ドナは会見室を移してまでプールを設置しようという考えが信じ られない、といった様子だが彼女はそこでとりあえず、ジョシュを通じてレオから受け取った伝言をサムに話す。サムに、カレン・ケイヒルの靴 について冗談を言ったのをディナーに行って彼女に謝ってほしいのだ、と伝える。サムはなぜ自分がそんな事をしなければならないのか分からない。 それにサムは彼女が苦手なのだ。だが自分に打ち勝つためにも一歩前に進み出てみよう、とさっきとはうって変わってその仕事を引き受けるサム。

トビーがレオのオフィスにやって来て、明日の朝アン・スタークと朝食を取る約束をしたことを告げるがレオは猛反対する。このような話し合いが 無駄に終わるだろうことはレオには分かっている。だがトビーは党のリーダーたちがカメラも何もない同じ 部屋で2時間近く過ごすのに本当の論点について話し合わず、ただ朝食をとるだけというのは愚かなことだと考える。

トビー:私は前の妻とは何年もそうしてきたんです。私たちの間にはルールがあったんです。私たちはどうして一緒に暮らせないかと いう事以外は何でも話し合えました。

だが今はもう昔とは違う。時代が変わり敵も変わったのだ。レオはアンを、院内総務の首席補佐官に就任してまだ2週間の新人で、自分をよく見せよ うと取引するような人間は好きではない、と言い放つ。だがトビーは顔見知りのアンと話すといって聞かない。レオがふとトビーに話し掛ける。

レオ:ジェニーと私もお互いに話し合おうとしなかった。なぜだか分かるか?

トビー:なぜです?

レオ:私たちは愛し合ってて、話し合うのが怖かった、そしてこのまま何も変わらないものだと分かっていたんだ。ずっと・・・。

何も言わずにトビーは立ち去る。

-ACT TWO-
ホワイトハウスの食堂で約束通りトビーとアンが朝食をとりながら話をしている。トビーは話し合いの場に最低賃金と患者の権利法案の話を持ち込み たい、と説得している。アンはその法案を「医療情報の公開法案」と正し、トビーの話をひとまず脇において彼にプレゼントを差し出す。アンは当て っこゲームをしたいと言っているがトビーにはどうでもよく「どうせニューハンプシャー産のメープルシロップだろ」とさらりと言ってのける。アン がつまらなそうな顔をしながら話を元に戻す、減税は税制緩和と呼びサウスカロライナはイタリアと呼べ、と。トビーが最低賃金云々についての議論 を始めようというのをアンはちっとも相手にしてくれない。そればかりか彼女の昇進祝いのプレゼントを用意してない、と言ってトビーに渡した シロップを取り返してしまい、彼女のペースに乗せられがちになってしまう。トビーにしてみればやれやれといったところか。

CJがキャロルを呼んで仕事をしているところにサムがやって来る。旧大統領府ビルにプレスルーム(会見室)を移すサムの案をCJはアンにやったの と同様に頑としてはねつける。サムが言うには会見室を移せば作業場のスペースが空くし、マスコミと大統領との間に物理的な距離が置け、最先端の 研究設備のそばにマスコミを行かせる事もできる。だがCJはマスコミと大統領との間に距離をおけば国民に何かを隠したがってるのではないかとい う疑念を彼らに生ませる事になるだろう、と考える。そう簡単に諦めきれないサムはCJと別れ、カレン・ケイヒルとの話し合いを尋ねてくるドナを 少し待たせてジョシュの部屋に飛び込む。ジョシュに民主党全国委員会の世論調査センターの人間を電話口に呼び出させ世論調査の質問条項を一つ 追加させる。「もしホワイトハウスが記者団をトレントン、ニュージャージーやホワイトハウスの外の通りにある設備の整った建物に移したらあな たは反対しますか?」。ドナが入ってきて再びサムにカレンとの話し合いの様子を尋ねる。サムが自信満々に言う、へまをするどころか前ソビエト 連邦共和国の安定性やイスラム原理主義過激派の恐怖について話し、それに加えてキルギスタンの核兵器保有問題について学術的な観点から指摘を 加えたんだ。といったところでジョシュからツッコミが入る、それってカザフスタンの事じゃないのか?カザフスタンはテキサスの4倍の国土面積を 持っており前ロシアのミサイルサイロが幾つも残っている。一方のキルギスタンは中国の近くの丘の上にあり、遊牧民と羊がいる。サムは一瞬呆けた 顔をするが自分はカザフスタンと言った、とやや戸惑いながら虚勢を張って答えるその姿からは、見るからに自信が無さそうで混乱している様子が 見て取れる。サムはオッケーと言って部屋を出るが・・・・・・。

トビーがアンと話しながらトビーのオフィスに入っていく。時給5ドル50セントでフルタイム働く人間の年収はたったの10712ドルにしかならない。 これが貧困ラインである26000ドルを下回っているのは明らかなのになぜ最低賃金引き上げを論じない、とトビーが尋ねるがアンはそんな事では貧困 率が減少するはずがないと明言する。最低賃金の労働者の購買力は30年前に比べて30%も減少している一方で株価は上がっている。アンは、中小 企業が倒産したり事業を縮小するのは企業が連邦法で定められた最低賃金を支払えないからだ、と言う。そしてそれゆえに雇用者が物価高という問題 に直面することになる。それこそが朝食会で話し合うべきことじゃないか、とトビーが指摘するがアンは即座に否定する。「そんな事をしたら20人 の上院議員が怒鳴り込んできて我々無しで勝手に事を始めるな、って言ってくるわよ」。トビーは彼女の前任者も彼女もやり方が下手だと言う。だか らこそ昇進したのかもよ、とアンはやんわりと言う。だがらちがあかないのかイライラしたトビーがついに言いたい事を口にする。我々は票をおさ えてるし会期が来れば投票は行われる。仮にそうじゃないとしても共和党が出す全てのものに賃金引上げの修正条項を付帯する、とはっきり言って のけるがアンは、私があなたを脅迫したとでも思ったの、と笑顔で返す。そしてトビーが話し合いを望む患者の権利法案について、15分話しても いいが条件がある、とアンは取引を持ちかける。それは先ほどCJとの話し合いで彼女にはねつけられたもの、すなわちプレスルームを議会へ移転す ることだ。大統領のお飾りに写るのはもうごめんだ、との事だそうだ。CJが猛反対していたにもかかわらずトビーはあっさりとその件を請け負う。 でもCJは反対するわよ、と心配するアン。だがCJは私の下で働いている、とトビー。

オーヴァルオフィスではバートレットがイスに座って新聞を読んでいる。次の予定をチャーリーに聞こうと大声で呼ぶがすでにそこにいる。これから 会うのはシンガポールのキム・ウーという女性だがバートレットは彼女を男だと思っていたらしい。そんなあなたに人身の掌握術について話されても 、というような顔をするチャーリーは朝食会用にサムの書いたスピーチをバートレットに渡す。スピーチを読みながらバートレットは朝食会の席で 「水で乾杯」するのは縁起が悪いことだと説明するがあまり詳しい部分には言及しない。ギリシャ神話からきた文句で後は自分で調べたまえ、と バートレット。対立するより協力するほうがより多くのものを得られる、というサムの協調路線をアピールするスピーチを誉めそやしてから、朝食 会では水で乾杯はしてはいけない、と言ってバートレットは部屋を出て行く。

-ACT THREE-
サムがキルギスタンについてカレンに間違った事を話してしまったかもしれないという確信を今ではしっかりと持っている。相手がカレン・ケイヒル だと99%間違えないと思っていても間違えるんだ。サムが言うには彼女は相手に最悪の言動を促す雰囲気を持っているそうだ。コラムニストの彼女 にいろいろ書かれたくないサムは自分の尻拭いをドナにさせようとする。奇しくもカレンとドナが今夜北通りの展覧会に行くことになっているという 事を突き止めたサムはその場でドナに彼女と話してほしい、と頼む。

サム:パーティーに行ってこう言うんだよ。「ハーイ!私はドナ・モス、あなたは覚えがないでしょうけどジョシュ・ライマンのアシスタントをして いるの」。そして彼女にさりげなく昨夜の話を持ち出しすんだ。「サム・シーボーンって可愛いの♪彼、昨夜あなたにカザフ スタンとキルギスタンを間違えて言っちゃったかもしれないの」、って。

ドナ:「サム・シーボーンって可愛いの」???

とりあえず言葉の意味は置いといて、ドナはついでだから、とその仕事を引き受けることにする。

トビーがCJの部屋のドアをノックして部屋に入り、今朝アン・スタークと話合ったことを彼女に伝える。CJは話し合いをすればケンカになるだけと 踏んでいるのでアンとの打ち合わせは無駄だと思っている。だがトビーはどんどんケンカすべきだと主張して譲らない。そして患者の権利法案に ついて15分間ガチンコで話し合う代わりに会見室を議会に移すという彼女からの取引を承諾した、と伝えるトビー。途端にCJの顔がこわばる。昨日 しがた彼女がアンとの話し合いではねつけたばかりのルールをトビーが、自分が話し合いたいと思っていることのためだけにその要求を呑んだからだ 。そもそも会見室を移すこと自体にもデメリットがある。議会の前で会見をする場合、返答を求められるような質問が飛び出た場合にはスタッフと の打ち合わせが必要だがホワイトハウスと議会の記者団の真ん前でそんなことができるはずがない。トビーは抜き打ちの質問なんかは出ないと言って なだめようとするがCJはトビーとアンが結託して彼女を出し抜いたことに怒り心頭だ。議会の前では大統領の代わりとしては話せない。マイクを差 し出されてそんな事をしようものなら私たちが小さく見えてしまいますよ!貧困家庭の最低賃金引き上げや税制緩和の話をする我々が小さく見えたり するもんか、15分真面目に話し合えるのなら道端で会見をやったって構わん!と言い放つトビー。CJは見るからに楽しいとは言えない表情をしてい る。そして、私は行けません、報道次官のヘンリーを会見に送ってください、とCJ。

CJ:これは最悪のやり方ですよ。まるで議会が権力の座に着き、大統領は過去の人に見えてしまいます。のみならず、あなたはアンと一緒になって 私を陥れたんです!(間を置く)議会でやれというのは命令ですか?

トビー:命令はしたくない。

CJ:ではやりません。

トビー:・・・・・・・・・やれ。

そして水曜日の会見の直前、議会の前ではそれぞれの報道官とそのスタッフ、そして報道関係者といったマスメディア関係者たちでひしめき合って いる。

CJの部屋で記者の一人のスティーブが待っていて、プレスルームを移すことにしたのかとCJに尋ねてくる。何でも彼の話によれば別の記者のクリス が世論調査員からの調査で会見室の移転に関する質問を受けたのだという。会見の時間が差し迫ってきたCJは調べておく、とだけ言う。そして いよいよ議会前での会見が始まる・・・・・・。

〜 議事堂(議会)前での会見 start 〜

議会の前で会見を行う時がやってきた。CJ、トビーは自分の部屋から、アンはスタッフとの共同スペースから、それぞれTVでその会見の様子を見て いる。TVを通して議員の一人が挨拶を行う。下院議員のデイド、シャリック、上院議員のハモンドとフォードが会見に参加するが上院多数党院内 総務は咽頭炎のために自分のオフィスに戻っていかれた・・・・・・。不思議に思ったCJは、即座に、アンが院内総務を外したのだと直感する。そ して朝食会で協調路線を図った、と述べた議員がそのまま記者からの質問に答えていく。CJはTVを見てはいるが考えは別のところにある。なぜ彼女 は自分のボスである院内総務を外したのか?彼を外す必要があったのか?・・・・・・私たちはこれから打ちのめされるわ。記者から患者の権利法案 やら最低賃金引き上げの質問を受けるが議員は、話し合われていない、特別な答えは何も出なかった、と次々と流していく。アンはその様子を見な がら「サイモンを指して」とつぶやく。そして議員がそのサイモンを指す。サイモンは質問する。票をすでに獲得していると言うあるホワイト ハウスの上級職員がその票通りに投票が行われなければ共和党が行う全ての案件に修正案を付ける、と言ったそうですが・・・・・・。トビー とCJは食い入るようにその様子が流れている画面を見ている。一方アンは口元を少しゆがませて微笑む。質問を受けた議員はその質問には 答えない。だがシャリック議員が演壇に上がり、議員と交代して彼の代わりにハッキリと意見を述べる。これは恥ずべき事だ!107期目の議会の開会 を前にしてマスコミを通じて裏でこのような謀が通っていいわけがない、記録に残しておくべき事件だ!それを見ていたCJがキャロルから、トビー の電話を受け取る。あの上級職員とは私だ、というトビーの言葉に驚きを隠せないCJはそこで、議会前に行かせた副報道官のヘンリーを電話口に呼 び出させる。そしてトビーにこれからどうするつもりなのかを尋ねる。なかなか何も言わなかったトビーは、ヘンリーを壇上に行かせるな、君(CJ )が20分後にいつものブリーフィングルームで会見をする、とだけ伝える。CJはすぐヘンリーに戻って来いと言い、トビーは乱暴に受話器をたたき つける。

〜 議事堂(議会)前での会見 end 〜

-ACT FOUR-
トビー、CJ、サム、ジョシュがレオのオフィスの前で黙って待っている。そしてレオがやって来るなり、一体どういう事だ!と怒鳴る。トビーは、 自分がアン・スタークに修正案をつけるという話をしてしまい、彼女がそれをマスコミにリークしたのだ、と言う。だがそんな事は彼女もとっくに 知っていた、仮にも院内総務の首席補佐官なのだから、とレオ。トビーがアンに利用されたということに関してはレオもすんなり納得する。

サム:お言葉ですがマスコミにリークしたのはトビーじゃありません!

レオ:多数党院内総務がそれで納得すると思うのか?

トビー:いえ。

レオ:たかが年明けの朝食会でなぜこんな事になるんだ!まだ議会が開会してもいないのに我々はワッフルを一かけらも口にできない、咳をして のどに詰まったボールを取り出さない限りは。(間を置いて、トビーに)やられたな。

CJの記者会見で何を言うべきか?ジョシュとサムはあれこれと案を出すがどれもどこかに穴の空いた作戦ばかりだ。緊急に対策を取らなければなら ないがこのような間に合わせの作戦ではだめだ。トビーはクールで、滑稽に、だが辛辣(しんらつ)にやり込めろ、とCJにアドバイスする。とりあ えずジョシュの出した「咽頭炎だそうでお見舞い申し上げます。病気になって健康保険のありがたみがようやく分かったでしょう」という表現が サウンドバイト(sound bite=新聞・ニュース・TVで繰り返し放送されるような引用表現)ネタになり、注意をそこへ向けることができるかも しれない。
スタッフの作業スペースに戻ったジョシュは先ほどの案が採用されたせいか調子に乗って「法案を電車に例えよう」などとさらなるアイディアを サムに相談しているがさすがに今度は不適切な表現が多いせいかサムは納得しない。ドナが二人に加わってジョシュ宛ての小さな封筒を彼に手渡す。 ジョシュが封筒を持って自分の部屋へ消えるとサムがドナに昨夜のカレン・ケイヒルとの話し合いはどうだったか、と尋ねる。ドナ曰く、非常に 有意義な会話をしてきた、とのことだ。サムはカザフスタンの問題がどうなったのか気になっているがドナによればカレンはその話を聞いてなかった のだという。これでキルギスタン核兵器保有の話がコラムに載ることはないだろうが、話を聞いてすらいなかった事でサムはちょっと悲しそうな目 をする。刺激的で、中身の濃い、高尚な、それでいて次の日に説明を必要とはしないような会話をしたことで満足そうなドナの顔が、封筒の中身が ドナの下着だっというジョシュのカムバックで一気に青ざめる。前の日の下着の上からまた履いたために最初の下着が脱げ落ちてしまった・・・そう だが。それがカレンからの封筒にメモ入りで入っていたということは、よりにもよって彼女の目の前で落としてしまったということになる。ドナが 絶望感に浸りかけていたとき、CJがサムとジョシュを「フレッドとエセル」(50年代のコメディ「I Love Lucy」のアパートの管理人夫婦)と呼ん で二人を引っ張り出す。
民主党全国委員会に頼んで世論調査の質問に「プレスルームの移転」に関する条項を追加したの、と尋ねるCJ。サムは 広範囲に及ぶ調査をしたかったのだが例え広範囲とはいえ800人という人数は合衆国の人口から言えばかなりプライベートな人数だ。もしCJの言って いる、記者が「プレスルームの移転」に関する話を耳にしたとすればそれはおそらく記者本人が世論調査の電話を受けた時ぐらいだろう。そう、受け たのよ、とCJ。サムとジョシュはその偶然性に本気でビックリしてポカーンと口を開けている。サムと別れジョシュがCJと話す。

ジョシュ:君には今日「言ったじゃないの」というチャンスが何度もあったしレオと一緒に点数も稼いだ、君は有能な報道官だよ。

CJ:何でさっき女性の下着を持ってたの?

ジョシュ:(面食らって)別に理由なんかないよ。やつらを食い潰してやれ!

納得はいかないがとりあえず会見室に入ってブリーフィングを行うCJ。

ニュースではCJのその会見の模様が流れている。会見でCJは共和党 のとった行動を「奇怪」だと言っている。1年前から議論のテーブルにあげられていた案件を「不意打ち」と捉えるのはおかしいと思います、とCJ。 一方共和党院内総務の首席補佐官になったばかりのアン・スタークはこの発言を受けて非常に困惑している、とコメントしている。

そのニュースを見ていたアンのオフィスに、トビーがノックして入ってくるなりショックだったよ、と遠慮なく言う。アンはトビーが、民主党が多数 党じゃないという考えに慣れたほうがいい、と言い放つ。憲法は主権をホワイトハウスに与えていないのよ。だがトビーも大統領が攻撃されている のを黙って見ているわけにはいかないと言う。どうあろうと世の中は多数党の意見に従うのよ。それはそうとアポイントなしで今後私のオフィスに 入らないでちょうだい、とアン。

トビー:選挙の年まで待っていると思うのか?

アン:選挙の年じゃないのはいつよ?

トビー:10年前、我々はイスに座ってバーボンを注文し、健康問題や最低賃金について話していた。(間を置く)彼は咽頭炎じゃなかったんだな。

アン:えぇ。

トビー:君は彼が戻ってきて取り繕えるように彼を外した。

アン:えぇ。

トビー:いつマスコミに発表する?

アン:発表するって何を?

トビー:彼の大統領選出馬だ。

アン:さっきしたわよ。

しばらく間を起き、トビーは黙って出て行く。

一連の様子をニュースで見ていたバートレットも今回の出来事にかなり腹を立てている。その上チャーリーから、ドナがカレン・ケイヒルの足元に 落とした下着に性的な意味合いがないことを大統領の口から彼女に電話で伝えてほしい、という、バートレットにはまったくもって意味不明な話を 聞かされて驚く。それは今、私に頼むようなタイミングじゃないと思うんだがなチャーリー、とバートレット。チャーリーと入れ違いにレオがオー ヴァル オフィスに入ってくる。バートレットが今しがたチャーリーから聞いたドナの話をレオに伝えると、レオは気まずそうに何があったのか全て話しだす 。まとめて言えば、元はといえばレオがカレンの靴をからかってしまい、その尻拭いとして遣いにやったサムが今度はキルギスタンに核兵器がある と言ってしまい、さらにその尻拭いとしてサムが遣いにやったドナが今度はカレンの前で下着を残してきて今に至った、というわけだ。キルギスタン に核なんか あるわけないだろう、と無駄知識の王バートレットは即座に言う。だがレオがこれ以上深入りされたくないというのでこの話はここまでにしよう。
チャーリーからトビーが来たと知らされるがバートレットは彼を許さない。レオとチャーリーにおやすみを言って裏口からさっさと帰ってしまう。 バートレットが外の廊下を歩いて帰る様子をオーヴァルオフィス前の秘書室の窓から見ているトビー。彼が怒っているのはトビーにも分かる。そして オーヴァルオフィスに入っていくと、翌朝には機嫌が直っているだろう、とレオが言う。CJの言う事を聞いていれば・・・、トビーも後悔している 。大統領選に向け、敵は向かってきている。バートレットが初めて出馬しようとしたとき彼はどんな様子だったのか?「糖蜜を砂丘の上に 押し上げるようなものだったよ」、とレオ。もし今再選を彼に切り出せばバートレットは狂ってしまうだろう。頭を抱えて沈み込み、出馬しないと まで言うかもしれない。

トビー:それなら彼のためにも我々がするべきですよ。今は仕事場から遠ざけておきますが本気でやり始めないと。(間を置く)レオ、アン・ スタークは戦時中の相談役ですよだから昇進したんです

レオ:私も戦時中の相談役だぞ、トビー。(間を置く)平時がもう少し長ければな・・・。

トビー:えぇ。

レオ:クソ!

トビー:はい。

レオ:握手だ、トビー。

彼らは立ち上がって握手する。

レオ:我々はたった今結成した。

トビー:何をですか?

レオ:大統領再選委員会だ

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J.Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Felicity Huffman as Ann Stark
Bruce Winant as Henry Hanson
Dude Walker as Simon
Tom McCarthy as Senator Randall
Corbin Bernsen as Henry Shallick
Patrick Falls as Billy
Charles Noland as Steve
Peter James Smith as Ed
William Duffy as Larry
Jana Lee Hamblin as Bobbi
Melissa Fitzgerald as Carol
Kim Webster as Ginger
Nicole Robinson as Margaret



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