THE WEST WING
2-10:
E P I S O D E # 32
2003/12/13 on NHK
NOЁL
(クリスマスキャロル)
エミー賞受賞(Emmy Awards Winner)
・撮影賞(Cinematography for a Single-Camera)
エミー賞ノミネート(Emmy Awards Nominee)
・美術監督賞(Art Direction for a Single-Camera)

アメリカ撮影協会賞(American Society of Cinematographers, USA)受賞
アメリカ監督組合賞受賞(Directors Guild of America, USA)受賞
メイクアップアーティスト、ヘアースタイリスト組合賞(Hollywood Makeup Artist and Hair Stylist Guild Awards)ノミネート

-STORY-
ジョシュが全米被害者トラウマ協会のスタンリー・キーワース博士と会いにホワイトハウスのある一室にやって来る。ジョシュは最初はキーワースを 敵視していたが次第に事の起こりを詳しく話すようになっていく。CJはブルールームの絵画を見て叫び声を上げた女性と会って彼女の祖父の物だっ たというその絵画を彼女に返す。
〜キーワース博士の説得によりジョシュは過去の自分に起こった出来事を一つ一つ思い出していく〜
3週間前、トビーはクリスマス精神をアピールするためにブラスバンドの演奏を手配するがジョシュはそれが気に食わない様子だった。突然隊から 離れて単独行動を取ったパイロットの話を詳しく調べていくうちに彼の境遇の何もかもが、かつて自分の身に降りかかった事と酷似していた事が 分かる。そしてオーヴァルオフィスでの石油備蓄戦略のミーティングでついにジョシュはある人物に大声を張り上げてしまう・・・。

WRITERAARON SORKIN
STORYPETER PARNELL
DIRECTORTHOMAS SCHLAMME

US TRANSMISSION DATE
20 December 2000
UK TRANSMISSION DATE
14 August 2001(E4)
JP TRANSMISSION DATE
13 December 2003
-TITLE'S MEANING-
Nightmare for Josh

-EPISODE OUTLINE-
Sirens wail from anywhere.

-QUOTING-
You need to listen to me. You have to listen to me. I can't help you, unless you listen to me! You can't send Christmas cards to everyone, you can't do it! Forget the SPR, let's get the IMF loans like we said we were going to, listen to what I have to say about Didion, and please, listen to me!


INTO THE MAIN TITLE:★★★★★

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-TEASER-
クリスマスイブ。ホワイトハウスのある部屋の一室にジョシュが入ってくる。部屋の中央にはテーブル一つとその周りにイスがいくつか置かれてあ り、入ってきた ジョシュの左手側にはアメリカトラウマ被害者協会(ATVA=American Trauma Victims Association)の精神科医、スタンリー・キーワース博士 (Adam Arkin)が、奥の奥の窓際左側のイスには心理学者と紹介されるケイサ・トラスクという女性がそれぞれ座っている。ジョシュは彼女を少し 訝るような素振りを見せるが挨拶を簡単に済ませて席に着く。キーワースがジョシュの手の怪我の事を尋ねる。グラスで手を切った、と答えるジョ シュ。キーワースがその席に着くまでのいきさつを語ると途中で、まるで全て分かっていると言わんばかりにジョシュが遮る。

ジョシュ:キーワース博士、僕はホワイトハウスの次席補佐官で1100人のホワイトハウス職員を監督しており、直属の上司はレオ・マクギャリーと 合衆国大統領です。あなたは新聞配達の少年と話してると思っているのですか?

いや、とキーワース。ジョシュは彼らが何者かは調べているので既に知っている。ケイサ・トラスクは心理学者ではなくジョシュの挙動の一つ一つ を監視するためにやって来たのだと言い当てる。キーワースもその通りだ、と認める。

ジョシュ:スタンリー、最悪の出だしになりましたね。

キーワース:確かにそうだな。

ジョシュ:そうですよ。

キーワース:ではもう一度始めようか。

ジョシュ:また嘘をつくつもりですか?

キーワース:いや。君こそ嘘をつくつもりなんじゃないのかね?

ジョシュ:ついてませんよ。

キーワース:本当に?

ジョシュ:えぇ。

キーワース:ならどうして手を切ったんだ?(少し間を置く)君も郵便配達の少年と話しているわけではないのだよ。

-ACT ONE-
立って室内を歩き回るジョシュにキーワースが次々と話を始める。銃撃事件があった場所はロザラインではなくロスリンだと、キーワース博士の 間違いをジョシュが指摘する。キーワースは何が起こったのかを訊き出そうと銃撃事件のときに誰と一緒にいたのかを尋ねるが、質問の内容が細かい せいなのかジョシュはただ銃撃事件が起こっただけだと答える。すると突然キーワースが時間軸を変えて質問する。3週間前には何が起こっ たんだ?ジョシュは何のことを言っているのか分からないと言うがキーワースはジョシュの同僚が彼の行動・素振りに疑問を抱くように なった理由を尋ねる。ジョシュは「パイロット」と答える。ジョシュによるとその日はいろいろとあって、ロバート・ケイノという空軍のパイロット の他にもIMF(International Monetary Fund=国際通貨基金)条約や石油備蓄、アラスカ、大統領の・・・・・・だが君はパイロットについて 話してた、とキーワースが指摘する。特別な理由はありません、3週間前は本当にいろいろあったんだ、と主張するジョシュにキーワースが合わせ、 3週間前に何があったのかを聞く。

*     *     *

3週間前・・・。ホワイトハウスのロビーで、トビーが手配したブラスバンドの5重奏(トランペット二つ、トロンボーン、バリトンホーン、フレン チホーンがそれぞれ一つずつ)が”Joy to the World”を派手に鳴らしているところへジョシュがやって来て何事なのか尋ねる。

トビー:朝も晩もロビーでクリスマスキャロルをすれ違っていく人に演奏するんだ。

ジョシュ:嫌です。

トビー:何で?

ジョシュ:パラマスのショッピングモールじゃないんですよ。

トビー:あのなぁ、ジョシュ。この2年間ホワイトハウスにクリスマスの時期が来るたびに私はクリスマス精神に欠けていると言って責めたてられて きたんだ。名指しでだぞ。だが今年は違う!これから向こう3週間はこのロビーを朝も昼も音楽で満たしていけば我々もクリスマスの・・・ (演奏していた演奏団の方を向いて怒鳴る)やかましい!ちょっと黙っててくれ!

トビーに手配されて演奏していたのにしょげ返って演奏をやめる演奏者たち。

トビー:・・・・・・つまりあれだ、その・・・・・・クリスマスの平和喜びを分かち合える だろう。

ジョシュ:・・・・・・ですよね。


一通り話題が収まるとジョシュがトビーを連れて歩きながら政治の問題について話していく。エネルギー省長官のベン・ザハリアンがNRDC (North Resources Defense Council=天然資源保護協会)の質問の場で大統領はSPR(Strategic Petroleum Reserve=石油備蓄戦略)に手を つけることを考慮しているのか、との質問に、それはメリットがある、と答えたのだそうだ。
ジョシュと別れサムと会うトビー。ザハリアン長官の石油備蓄戦略の話を伝えるとサムがエネルギー省の次官と話すと請合い、その話をCJにも伝え るために会見室に足を踏み入れる。
会見室で定例のブリーフィングを行っているCJ。ピート・ディディオンの反対声明が、来週プラハで行われるIMFと世界銀行の規制緩和についてどの 程度影響力があるのか、といったようなお決まりの政治的な質問の間に妙な質問が飛んでくる。ホワイトハウスの見学ツアーに来ていた女性が壁に 掛かっている絵画を見るや否や叫び声をあげたというのだ。CJは本当に知らないのでいつものジョークでその質問を終わらせる。次にザハリアンの 質疑応答についての質問が飛び出るがこれもジョークでいなしてしまうCJ。そこで会見を終わらせると室内で待っていたサムから、彼が次官と話す という話を聞き出すと逆にサムから絵画を見て叫び声を上げた女性の話について尋ねられる。CJによればそういう人は1週間に5人はいる、との事だ 。
サムと別れたCJがジョシュと会い、大統領がパイロットの件でシチュエーションルームにいるという話を聞く。

シチュエーションルームでは詳細を確認し合う軍部関係者の間に微妙な緊張感が漂っている。到着したバートレットはニューメキシコのキャノン空軍 基地の空軍パイロットが戦闘訓練中に隊列から離脱したまま行方が分からなくなったのだという話を聞かされる。20ミリのバルカン砲と7AIMサイド ワインダーを搭載したその飛行機のパイロットに悪質な意図がある場合、最悪撃墜しなければならない可能性までを考慮に入れるのは気が重い。 そのパイロットは心理テストにはちゃんと合格している。だがそれでも応答がないのなら決断を下さねばならないだろう。

*     *     *

パイロットの話を聞いたのはその時が初めてなのか、というキーワースの質問攻めに少しイライラした様子のジョシュが逆に尋ねる。いつまでやる つもりなんですか?私が望むまでだ、とキーワース、加えて、レオ・マクギャリーに頼まれたと告白しジョシュもようやく質問に答える。ジョシュが パイロットの話をシチュエーションルームで話し合われた時よりも少し遅れて耳にしたのは別の仕事に追われていたからだ、と打ち明ける。その仕事 は何かと尋ねられ、それに答えていると部屋のドアからノックをする音がしてジョシュがびっくりしてドアの方を向く。その一瞬、ジョシュの脳内で 悪夢の片鱗がフラッシュバックする。ネクタイをしていない真っ白なシャツを着たジョシュがドアをノックする音にびっくりして振り返り、その手 からは血を流している。すぐさま現実に戻ったジョシュはキーワースからただのコーヒーだよ、と言われるが顔はまだ興奮状態にある。

-ACT TWO-
*     *     *

歩きながらジョシュがレオからシチュエーションルームで先ほど話し合われていたパイロットの話を聞く。心理テストに合格したはずのこの パイロットがどうして異常な行動に走ったのか見当もつかない。そしてそのパイロットが1800万ドルもする戦闘機を与えられたというのだからます ます謎だ。
レオと別れドナと合流すると彼女はすでにパイロットの話を知っていた・・・・・・とはいうものの10分前にその電話がかかってきたのだからそう 不思議な事でもないがジョシュは少し気にする。ところでドナはやたらとジョシュを持ち上げてくる。どうやら議会で開かれるクリスマスパーティ ーでヨーヨー・マが演奏するのを見に行きたいたいからなのだそうだ。あなたならパブロ・カザルスでもロシア人チェリストのロストロポヴィッチ でも自由に呼べるでしょうけど私はヨーヨー・マが大好きなの!と興奮気味に話すドナ。だがジョシュは「いい」とだけ言うとドナからもらった パイロットのファイルに集中してふとつぶやく。「このパイロット、僕と同じ誕生日だ・・・」。自分のオフィスに入るとサムが入ってきて、 エネルギー省副長官のジェシー・ウィットにきつく言っておいた、という話を聞く。彼女らがSPRの方針の転換を訴えても政府が認めなければ通る はずがない、とジョシュは言うがサムは政府が認めるべきだと言う。だがジョシュにはまださっきの事が気にかかっている「僕らは同じ誕生日だ ・・・」。

CJがホワイトハウス見学ツアー担当で長身のバーナード・ザッチとルーズベルトルームで会う。お決まりの素っ気無い、彼らしい挨拶を済ませると CJが話を聞く。彼の話によると、ガイドがギュスターブ・カイユボット(Gustave Caillebott)の絵画を指し示すや否や女性が意味不明の叫び声 をあげたのだそうだが、彼女の話す言語を通訳できるスタッフがいなかったのでその場はどうしようもなかったらしい。CJのネックレスを中産階級 のオバサンがつけてたような物みたいだ、と皮肉を言って去ろうとするバーナードにさらに話を聞く。その絵画にはさほどの価値は無かったもの の、オルセー美術館からホワイトハウスに貸し出されていたのを大統領が気に入ったので譲り受けることにしたのだそうだ。そんでもって、 バーナードはまた余計なことを言う、大統領の絵画を見る目は君(CJ)のネックレスを見る目といい勝負だよ。フランス政府が惜しげもなく寄贈し 、今ではホワイトハウスの壁のシミとなっているわけだね。嫌味な人ね、とCJは笑いながら言う。

国防長官と国務長官をせき立てて例のパイロットを見つけ次第、すぐに情報を教えてくれるようスタッフに言うと今度はチャーリーに、今年の クリスマスカードは全部手書きでやるぞ!と意気込みを見せるバートレット。チャーリーが言うには手書きで出すものとオートペンで出すものとに 分類してほしいようだがバートレットはオートペンを使いたくない。だがそうなると110万枚ものカードを書かなければならなくなるとチャーリー から知らされて顔が少し引きつる。大別して、1000人は大統領の親類に、10万人はキャンペーン協力者に、あとの100万人はホワイトハウスに手紙を よこした人たちに、の3つのパターンがある。もちろんそこには脅迫状の送り主は含まれない。さすがに110万枚は書けないなぁ、と少し落ち込む バートレット。その時レオからシチュエーションルームへ来るよう促される。

*     *     *

パイロットが死んだとレオから聞いたんです、とジョシュがキーワースに説明する。他に何が分かったんだね?パイロットが山に墜落して死んだと いうのはつまりは、打ち落としたから死んだ、という事なのかね?新聞の一面に出てたでしょう?とジョシュ。

*     *     *

自分の部屋でパイロットの家族の写真をパラパラと見ていたジョシュの元にレオから連絡が入る。パイロットの乗っていたF16はメキシコシティの 北の山に突っ込み、彼は死んだ。最後に連絡を取った時に彼はこう言っていた「これは飛行機のせいじゃない」。・・・・・・それだけですか?と 全然物足りないといった表情を浮かべながらレオに尋ねるジョシュ。だが本当にそれだけなのだ。ジョシュが掴んだ情報によれば彼はフロリダの タラハシー出身でT-37のラフリンで訓練を受けていた・・・・・・。

レオ:他には?

*     *     *

キーワース:(レオの体で)他には?

ジョシュ:分かりませんよ。彼の名前や階級、どこで訓練を受けたかとか任務とかです。

キーワース:他には?

ジョシュ:(長い間を置く)誕生日が同じだった・・・・・・。

キーワース:それがあるな。他には?

*     *     *

ジョシュ:勲章も受勲しています。一つはパープルハート勲章でした。

レオ:何でもらったんだ?

ジョシュ:(次第に何かを思い出していく)ボスニアで戦闘機が撃たれたんです。


*     *     *

ジョシュ:燃え上がって緊急脱出し・・・・・・その時に怪我をしたんです。

キーワース:そうだ、ジョシュ。その通りだ


-ACT THREE-
現在の時間から1週間前・・・。ロビーではトビーの手配した、今度はバグパイプの、演奏団がまたも大音量で音を鳴らしている。トビーと合流して 自分の部屋へ向かう途中、ジョシュはついに声を荒げて言う「うっとうしいサイレンの音が建物中に聞こえるん ですよ! ・・・・・・このバグパイプがね。もうロビーでは演奏させないでください」。その様子に面食らったトビーはジョシュが部屋に 入って行くのを黙って見ている。CJが寄ってきてトビーと話しているとジョシュが部屋から出てきて今度はスタッフの共有しているオフィス内で 声を張り上げる「もうちょっと静かにしてくれないか!?」。トビーと、今度はCJもその様子を黙って見ている。

*     *     *

そこで同僚が君の心配をしていたことに気づいていたのかね?キーワースがまたも質問するがジョシュはまともに答えられない。パイロットの話を 聞いて以来、自分の中でどこかおかしいところに気づいたんじゃないのかね?だがジョシュは否定する。そんなに同僚の反応を知りたいのなら彼らに 直接聞けばいいでしょう?もちろん聞いたさ、とキーワース。ならばなぜ彼はあれこれジョシュに質問しているのか?そして今度は5日前の19日に 何があったのかを尋ねる・・・・・・。

*     *     *

部屋で写真を眺めながら昼食をとってくつろいでいたCJのところにジョシュがやって来て、パイロットのロバート・ケイノに関する情報が何も入っ てこない事に強い不安を感じているのが見て取れる。だがCJの反応は、無いものは無いから、という少し素っ気ないものだ。するとCJが立ち上がっ てジョシュに、今見ていた写真を見せる。ジョシュがその絵がブルールームにあると言った時のCJの反応から彼女が持っていた写真はおそらく例の ギュスターブ・カイユボットの絵画なのだろう。
そこにいたジョシュの近くをドナが通り過ぎ、元気良く言う「ヨーヨー・マ最高!」。

*     *     *

ドナはそればかりでヨーヨー・マの話を止めようとしなかった、とジョシュはふり返る。それを機にキーワースは一気に核心を突いてくる。ヨーヨ ー・マが演奏した日にオーヴァルオフィスで何かあったはずだ、いったい何があったんだ?オーヴァルオフィスでの話し合いは別に珍しいことでは ない、とジョシュは言うがキーワースは話を逸らさせない。いったいそのミーティングで何があったのだ?キーワースはやはり知っている のだ。彼は、声は荒げないが、しつこく尋ねる。

キーワース:言うんだ!君はサムに噛み付き、トビーに噛み付き、CJにも噛み付き、ドナにも噛み付いた。次は誰だ?

*     *     *

クリスマスパーティーの当日。オーヴァルオフィスでサムがバートレットにニューイングランドの商業用石油の総量について話している。

*     *     *

あなたがあのミーティングについて何を聞いたかは分かりませんがあれはミーティングですらありませんでしたよ、とジョシュは言う。

*     *     *

オーヴァルオフィスの中にはサムの他にレオとジョシュが立っている。先ほどの話の続きで、バートレットはOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries=石油輸出国機構)を警戒している様子だ。サウジ アラビアはホワイトハウスがSPRに介入して市場を落ち着かせるのには賛成しているとの事だ。彼らも石油の高騰を心配していますから、とサム。 そんなに心配なら石油の産出を急げばいいだろう、というバートレットに、そこまでは心配してないそうです、とサム。

*     *     *

サムはSPRに関するエネルギーと経済のアドバイザーを大統領に会わせたかったが僕はあくまで政治的助言をするためにその場にいました、と説明 するジョシュ。つまり政府のする事にストップをかけるのは金か政治的取引か、だ。そこで声を荒げたのか、と尋ねるキーワース。大統領に?まさか ・・・・・・大統領に向かってそんな事をする人は誰もいませんよ。あなたもオーヴァルオフィスで大統領に声を荒げてはいけませんよ。 ・・・・・・まるで自分に言い聞かすように繰り返すジョシュ。超えてはならない一線があることは彼にも分かっている、少なくとも今は・・・。

*     *     *

サムの案にバートレットは乗り気だがジョシュは共和党のディディオンににらまれる事になると言って反対する。SPRの意思決定をするのは大統領に あってディディオンにはないが彼にはIMFでの発言力がある。バートレットはSPRとIMFに共通点はないのにディディオンを気にする必要はない、 と言うがレオの心配をよそにジョシュは食い下がる。両者の間にはちゃんと関係はありますよ!石油備蓄戦略と国際通貨基金の負債との関係はディ ディオンを通して関係あるのだから彼を通さなければ話になりません!・・・・・・明らかにジョシュは興奮しているように見える。もしSPRに政府 が干渉すると分かったらディディオンは議会でIMFの債権の放棄を認めませんよ!だがバートレットはジョシュの話に耳を貸さない。苛々している ジョシュはさらに声を荒げて反論する。あいつと話し合うことにでもなれば「NO!」と言える立場を利用して党のヒーローを気取ることになりますよ !

ジョシュ:いいから私の話を聞いてください!聞いてくれなければ何の助けにもなれないんですから!全 員にクリスマスカードを送るなんてことはできるはずがないんです!石油備蓄戦略の話も忘れて僕が言ったように国際通貨基金のローンの話に乗り出 しましょう!そしてディディオンに関する僕の話に耳を傾けてください。お願いですから聞いてください!

サムとレオは互いを見回し、場が凍りついたように静まり返る。バートレットは鋭い目でジョシュを見ていたがやがてレオに目配せして合図する。 ジョシュは自分の過ちを認めて立場がもっと悪くなる前に、前に進もうと言うがレオがそれを認めない。レオから、彼の部屋で待っているよう命令さ れて言うとおりにするジョシュ。ジョシュが部屋を出ると、バートレットは先ほどの話に戻る。もしディディオンがIMFを利用して石油価格の変動に 関わったら、共和党が石油の値段を動かしているのと同じことになる。これは平等とはとても言えない。その通りです、とレオ。
ミーティングが終了し、自分の部屋で待つジョシュの元に来るレオ。クビにされるかと思いきやレオからアメリカトラウマ被害者協会、通称ATVAの 人間と会うといい、と言われる。あそこで自分が取り乱したのは最高の状態でなかったからです、とジョシュは釈明する。あそこで君が言ってた間、 意識がちゃんとあったのか私には確信が持てないんだよ、とレオ。

*     *     *

ならレオに感謝しないとな、キーワースが言う。彼もアルコール依存症で苦しんでいたからこそジョシュの症状に気づいたのだ。ジョシュは自分は そこまでひどい状態ではないと否定するがキーワースはかまわず次の話に進む。「その手はどうして切ったんだ?」。頭の中で 思い出しながら答えるジョシュ。家に帰ってドリンクを飲もうと座って、雑誌を押しのけてからお盆に置こうとしたら力を入れすぎてお盆から外れ てしまい、それで割れてしまったんですよ。キーワースはジョシュの嘘に騙されない。彼の苦悩は診断できているのでキーワースにもよく分かって いる。9種類の苦しみの中にあり、自分の中で起こっている事も分からず自分のダメージコントロールに鍵をかけてしまっているのだ。そして キーワースは次に、その夜のパーティーのことについて話してくれと促す。

*     *     *

誰かがジョシュのアパートの部屋のドアを激しくノックしている。

*     *     *

議会のクリスマスパーティーですよ、とジョシュ。

*     *     *

ノックはまだ続いており、ジョシュを呼んでいる。

*     *     *

ジョシュによればその晩の議会のクリスマスパーティーは白いネクタイの少し格好悪い服装だったがバートレットが気に入っているのだから仕方が ない、とのことだ。

-ACT FOUR-
*     *     *

チャーリーの燕尾服姿を見たバートレットはよく似合ってるじゃないかと褒めてるのかからかっているのか分からないようなことを言う。チャーリー はバートレットの用意した燕尾服に少し恥ずかしがっている様子だが大統領命令とあらば致し方ない。だがそんなチャーリーの心配をよそにバート レットはさらにシルクハットの着帽にまで言及しかかりチャーリーを困惑させる。そして二人は議会のクリスマスパーティーへと向かう。

パーティー用にドレスアップしたCJがルーズベルトルームでバーナード、そして例の悲鳴を上げたという女性レベッカ・ハウスマンと彼女の息子 デビッドと会う。彼女の父はオーギー・ハウスマンというフランス系ユダヤ人で、誰も目に留めない、それでいて印象に残った、絵画の収集家で ある。第2次大戦当時ドイツの支配下にあったフランスのビシーの法律により彼の財産はナチスに奪われてしまったのだ。その後彼女の父がアウシュ ビッツで獄死した後ナチスがスイス人ディーラーに売り飛ばし、それがオルセー国立美術館に渡り、大統領の目に止まった・・・・・・CJが事細か に説明しているとバーナードが割って入る、フランス政府は譲り渡すつもりである、と。そしてバーナードは包装されたその絵画をデビッドに手渡す と彼の祖父(レベッカの父)が幾らでこの絵を手に入れたのかを尋ねる。アメリカドルでいうところの300ドルです、とデビッド。するとバーナード がある提案をする。この絵はホワイトハウスに飾られていたために大変値打ちが出ていて今では40万ドルにも上る、この先もホワイトハウスに預け て頂ければさらにその絵画の値打ちも上がるというものです。だが彼女は優しい笑みを浮かべながら首を振る。彼女にとっては金に換えられない価値 があるのだ。バーナードもそれをその様子を見て少し微笑む。レベッカはデビッドと二人の警備員に付き添われながら部屋を出ていき、CJとバーナ ードはその様子を見守っている。

CJ:あなたって嫌味な人かと思ったら今みたいに結構いいところもあるのね。

バーナード:君はちょっと変わった女性だね。

CJ:いい人モードは終わり?

バーナード:そういう事だ。

バーナードが去っていきジョシュがCJの前を通りかかる。ディディオンと話したことをCJが言うと、結局向こうの要求も呑むはめになって不満足な 様子のジョシュだ。今日はクリスマスなのよ、とCJは言う。

*     *     *

5分で診断が出てたのなら、とジョシュが単刀直入にキーワースにその診断結果を尋ねる。彼の診断はPTSD(Post-Traumatic Stress Disorder) 、心的外傷後ストレス障害。だがジョシュはあまりの診断結果に愕然とし、先ほどまで食って掛かってたキーワース博士に婉曲的に診断を取り下げて くれるよう頼む。大統領に仕える身である彼にはそれだけとんでもない結果なのだろう、つい感情的になったことを後悔している様子だ。だがキー ワース博士はむしろ先ほどの話の中に感情はなく、ジョシュにそういった感情を交えず客観的に事件を見つ めなおしてもらいたかったのだ。

*     *     *

ヨーヨー・マの紹介の前にバッハのジョークを言って聴衆を笑わせているバートレット。

*     *     *

そしてキーワースはクリスマスパーティーに起こった事を、答えから逃げ出そうとしているジョシュにしっかりと思い出させようとする。

*     *     *

バートレットがチェリストのヨーヨー・マを紹介すると聴衆が拍手で彼を迎える。

〜ヨーヨー・マの演奏が始まる〜

*     *     *

ジョシュはヨーヨー・マのバッハは好きだと言うが思い出すのが辛そうな様子でいる。キーワースはヨーヨー・マと実際に会った事はない、と言う。

*     *     *

演奏の間、バートレットを含めたパーティーの出席者たちはヨーヨー・マの演奏に聞き入っている。

*     *     *

キーワースはジョシュにそのパーティーで何がどう起こったのかを尋ねる。ジョシュは否定するがキーワースは繰り返し尋ねる。その時、今まで 黙って見ていた博士の助手のケイサ・トラスクが口を開く「口の中で苦い味がしませんでしたか」。ジョシュは少し驚いて彼女の方を向くがやがて 頭の中で銃撃事件の経緯がフラッシュバックする。「苦い味はアドレナリンです」とケイサは言う。

キーワース:そしてどうなった?

ジョシュ:止められなかった

*     *     *

ヨーヨー・マの演奏の間、ジョシュは苦しそうな表情で震えている。彼の頭の中で銃撃事件の映像がより鮮明に浮かび上がってくる。割れたパトカー のライト、逃げ惑う人の一人に突き飛ばされる自分、左の肺を貫通する銃弾、地面に倒れ救護士たちに囲まれている様子、救急車の通り過ぎる音、 そしてサイレン・・・。苦悩している様子のジョシュを心配そうにトビーが見ている。

*     *     *

銃撃現場をはっきりと再現したジョシュにキーワースが言う。銃撃現場から目を背け続けていたから内なる自分が傷つくことになったのだ、と。 だがまだ終わらない。続いてキーワースはパーティーが終わった後の晩に何があったのかを尋ねる。

*     *     *

ジョシュを呼びながらアパートのドアをノックする人がいる。それを見ているジョシュの手は血に染まっている。

*     *     *

昼はオーヴァルオフィスでバートレットを怒鳴り、パーティーでは銃撃事件が頭をよぎりそのせいで苦しんだ。さらにアパートに帰ってから他に何が あった?何もなかったと否定してばかりのジョシュに業を煮やしたキーワースがジョシュの右斜めの席まで移動して再び尋ねる。自分にも自殺願望が あると考えてしまったのではないか?違う、とジョシュ。キーワースはその嘘をすぐに見破る。ジョシュとパイロットには誕生日が同じという以外に も共通点があった。そしてそれは当然ジョシュも知っていた。かつてパイロットが少し前のジョシュと同じように撃たれ、飛行機が炎上し緊急脱出 して怪我を負った、という事を。それでも手を切ったのは雑誌を押しやってお盆の代わりにしようとしていたからだと言い張るジョシュにトーンを 変えてもう一度尋ねるキーワース。どうやって手を切ったんだ?

*     *     *

アパートで座り込んでいるジョシュの頭に入ってくるのは銃撃現場に横たわっている自分のフラッシュバック映像とサイレンの音ばかり。ジョシュ は明らかに憔悴しきっている。ついに耐えられなくなって立ち上がると窓まで駆け寄り右手で窓を突き破る。
そしてジョシュを呼び、ドアからノックをする音が聞こえてきたのはその時だったのだ。

〜ヨーヨー・マの演奏が終わり、拍手喝采を浴びる〜

*     *     *

すると突然「なら、よろしい」と言って立ち上がり、身支度をするキーワース。治ったのか、とジョシュ。いやいやとんでもない、これからお薦めの セラピーを紹介しましょう。あなたがいい、とジョシュは言うがキーワースは診断を下すだけでセラピーは彼の担当ではないのだ。その様子に面食 らった感じのジョシュだがキーワースとケイサはクリスマスだから、とさっさと帰ってしまおうとする。ジョシュが心配して言う、もし明日同じ 誕生日のパイロットが自殺したらどうなるんです?だがキーワース博士の診断によればジョシュの様子がおかしくなる原因はパイロットではない。 通常、銃の犠牲者なら車のバックファイアか小枝の折れる音だがジョシュの場合は違う。助手のケイサによれば音楽、キーワースが続けるところに よればトビーの手配したブラスバンドの音楽があるものを呼び起こす。サイレンだ。だが音楽が鳴るたびにサイレンが鳴るわけ ではない。人間は回復していくものだからね、とキーワース。そしてファックスを送るよ、メリークリスマスと言うと二人は帰っていく。ジョシュも 二人にメリークリスマスと言うと部屋を出る。

ホワイトハウスのロビーのイスにはレオが座っておりジョシュがやって来ると声をかけて彼のほうへ歩いていく。ジョシュはレオに、自分が手を 切ったのはグラスのせいではなくアパートの窓を突き破ったからだと打ち明ける。するとレオが穴に落ちた男の皮肉と彼の救出方法を語りだす。

レオ:ある男が通りを歩いていたら穴に落ちてしまった。とても高くて一人ではよじ登れない。そして医者が通りかかったのを見て男が叫んだ「おい 、あんた!助けてくれないか?」。医者は処方箋を書き、穴に落として立ち去った。次に神父が通りかかったのを見て男が叫んだ「神父様!穴に落ち てしまいました。助けてくれませんか?」。神父は祈りを紙に書き、穴に落として立ち去った。次に友人が通りかかった「おい、ジョー!俺だ! 助けてくれ!」。すると友人は穴の中に飛び込んだ。「馬鹿野郎!二人とも落ちてしまってどうする?」すると友人は言った「あぁ、だが俺も前 に落ちたことがあるから脱出法は知っているさ」。

ジョシュは黙ってレオの顔を見つめている。

レオ:私に仕事がある限り君にも仕事がある、分かるな?

包帯は自分で巻いたのか?えぇ、とジョシュ。ドナが君を緊急治療室に連れて行ってくれるだろう。彼女は知ってるんですか?知ってるも何も ジョシュの様子に疑問を持ったのは彼女なのだ。そこへドナがやって来てジョシュにコートを着せると二人は外へ出ようと歩き出す。しばらくして レオもそこから立ち去る。

ホワイトハウスの入り口には人が集まっている。

〜クリスマスキャロル(Noёl)の "CAROL OF THE BELLS" を歌っている(数字の順番に歌う)〜

?@
Hark how the bells,
sweet silver bells,
all seem to say,
throw cares away

?A
Christmas is here,
bringing good cheer,
to young and old,
meek and the bold,

?B
Ding dong ding dong
That is their song
With joyful ring
All caroling

?C
One seems to hear
Words of good cheer
From ev'ry where
Filling the air
?D
Oh how they pound
raising the sound,
o'er hill and dale,
telling their tale,


?E
Gaily they ring
while people sing
songs of good cheer,
Christmas is here,
?F
Merry, merry, merry, merry Christmas,
Merry, merry, merry, merry Christmas,
On on they send,
on without end,
their joyful tone to every home
Dong Ding dong ding, dong Bong

ジョシュは医者は要らない、と言うが彼は医者ではない。なら行かなきゃダメでしょ、とドナに言われる。二人はしばらく足を止めて歌に聴き入って いる。歌っている人が手にしている、ハンドベルが断続的に音を出しているのをじっと見ているジョシュに気付いたドナが彼を現実世界に呼び戻し、 彼らは再び歩き出す。

〜クリスマスキャロルの "CAROL OF THE BELLS" を歌い終わる〜

どこからかサイレンの音が微かに鳴っているのが聞こえる。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J.Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Adam Arkin as Dr. Stanley Keyworth
Paxton Whitehead as Bernard Thatch
Yo-Yo Ma as Himself
Purva Bedi as Kaytha Trask
Robert Noble as Valet
Michael Crider as David Houseman
Etyl Leder as Rebecca Housman
Timothy Davis-Reed as Mark
Jana Lee Hamblin as Bobbi
Melissa Fitzgerald as Carol



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