THE WEST WING
1-12: HE SHALL, FROM TIME TO TIME...
(大統領の役目)
WRITERAARON SORKIN
STORYLAWRENCE O'DONNELL JR.
DIRECTORJEREMY KAGAN

US TRANSMISSION DATE
8 November 2000
UK TRANSMISSION DATE
17 July 2001(E4)
JP TRANSMISSION DATE
15 November 2003
-STORY-
一般教書演説の5日前、演説のリハーサル後にバートレット大統領が倒れる。熱がぶり返しただけなのだが妻のアビーは急いで旅行先から戻ってきて往診にあたる。その様子を見たレオは彼女が何かを隠していると察知し、問い詰めたところ、バートレットは6,7年前に多発性硬化症(MS)にかかっていると診断されたと聞かされ愕然とする。 インド・パキスタン問題はマーベリー卿の仲介があったおかげからかインド軍が後退している様子が衛星写真で確認され、核戦争勃発の危機が心配されることもなくなった。容態も回復し、安心したバートレットは農務長官ロジャー・トリビーに人間の可能性を説き、親友レオ、秘書のチャーリーと一緒に一般教書演説が行われる連邦議会へと向かう。


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-TEASER-
5日後の一般教書演説に向けて大統領とそのスタッフが会見室で予行演習を行っている。テレビのテロップを見ながら演説を行う大統領。 途中何箇所かテロップに間違いがあることが分かる。

バートレット:わずか10年前に2億9000万ドルの負債があったこと・・・

トビー:2900億ドル(290 billion)です。

バートレット:おい、このテロップじゃぁ2億9000万ドル(290 million)になってるぞ。

別の部屋からTVでリハーサルの様子を伺っていたジョシュとCJが大統領の顔色がどこか悪い事に気づく。

バートレット:私は一年前この神聖な(hallowed)部屋に来ました・・・・・・おい、テロップにはharrowed(痛々しい、悲惨な)って書いてあるぞ。

先を続ける大統領。

バートレット:(演説)私は一年前この神聖な部屋に来ました。我々皆にアメリカンドリームを復活させるために、我々は広大な可能性を最果てまで 見据えなければなりません・・・・・・321世紀まで。(演説中止)・・・私はもの凄い野心家だな?

直しを訂正しようと大統領の所までサムが行くとまた指摘される。

バートレット:ここは強くなった(stronger)って意味なんだろ?

サム:どこです?

バートレット:私はこの国が一年前よりおかしくなった(stranger)と報告する事を誇りに思います・・・って所だよ。

サム:タイプミスです。

バートレット:どちらでもいいか。

一先ず休憩タイムに入るとジョシュとCJがバートレットの体を心配してくる。大統領執務室に向かいながら、ファーストレディからもらった薬を 飲んでください、ポケットに入れるだけではなくて、とCJ。トビーを呼んで先程の演説の一部「我々全ての人」を「働いている全ての人」に変える ようジョシュから提案があった事を告げるバートレット。トビーは反対するがジョシュはさらに「大きな政府の時代は終わった」という一文を付け 加えたがっている。低所得者を敵に回すのか、というトビーに対して、そう言った人間は一般教書演説を見ない、というのがジョシュの、 福祉に頼りきっている連中に喝を入れてやれ、というのがバートレットの考え方だ。

サムたち広報部のタイプミスをみんなでからかっていると、バートレットが入っていった執務室からガラスの割れる音がする。慌てて駆け寄って みると大統領が倒れている。シークレットサービスも駆けつけ、CJがドクターを呼ぶように言う。

-ACT ONE-
大統領の体の状態は、医者によればインフルエンザだというらしい。熱は38度8分で、立ち上がると倒れかけて周りを心配させる。だがベッドには 行かずシチュエーションルームの方に行こうとする。・・・一触即発状態にあるインドとパキスタンの件だ。

シチュエーションルームではフィッツウォレスが参謀たちと細部の打ち合わせをしている。大統領が入ってくる。大した戦闘はないがインドが 国境に更なる軍隊を送り込んだ、とのことだ。一方のパキスタンは核兵器の使用を示唆しているがこれはアメリカや中国の目を引くためだろう、と 分析する。

CJの部屋ではダニーとマンディーがじゃれ合っている。CJはその様子が気に入らないのかダニーを退出させる。気を落ち着けてからマンディーから レオのアルコールの件がインターネットで漏れた、という話を聞く。・・・となるともはや黙ってはおけない。レオに知らせにいくCJ。

レオがマーガレットに「一人選べ」と伝えるように言うとCJが入ってくる。CJは黙っているがレオはその様子から事態を察知する。明朝に打合せを する事にしてその場を去るCJ。

バートレットが電話越しにいるトビーに先程の「大きな政府の時代は終わった」という一文を入れて反応を見たい、と頼み込んでいる。そばには 当直の医師とチャーリーがいる。そこへファーストレディが入ってくる。アビーに心配されたいのに医師と話し込んでいるのでイジけるバートレット 。医師とチャーリーに退出を願うとアビーはバートレットと二人きりになる。たかだか熱のためにわざわざ旅行から戻って来たというのだから、 アビーはバートレットの熱を過剰に心配している、と分かる。どこの国が戦争していようとすぐ電話してよ、とアビー。

-ACT TWO-
マーガレットからレオが「一人選べ」と言ってた事をジョシュに伝えるドナ。それがどういう事かジョシュはすぐに分かるがドナにはちんぷん かんぷんだ。これから一般教書演説が行われる議事堂が爆破された時のために大統領継承権のある人物を一人演説に欠席させるのだ。

ドナ:誰にするの?

ジョシュ:誰にすべきだと思う?

ドナ:あたしにすべきよ。

ジョシュ:ほんとに?

ドナ:えぇ、あたしって有能よ。

ジョシュ:君って大統領継承権あったっけ?

ドナ:議事堂が爆破されて皆死んじゃったらあたしが繰り上がるって事もあるんじゃない?

ジョシュ:なるほどね。

その人物にジョシュが選んだのは、もちろんドナではなく、農務長官のロジャー・トリビーだ。ドナは人選に懐疑的だ。

レオがCJとサムの前でアルコール依存症に関する会見のリハーサルをやっているところへジョシュがやってくる。あまり質問攻めには慣れてない 様子だ。リハーサルが終わるとサムがレオを助ける大統領の応援声明文を書いたと言うがレオは怒り心頭だ。自分の退任に関わる問題に大統領は おろか誰一人道連れにしたくないのだ。

大統領室ではバートレットとアビーがベッドの上で横になっている。彼が彼女をヤブ医者呼ばわりしてからかう。バートレットはベッドから 立ち上がろうとするがうまく立ち上がれない。お医者さん(アビー)の言う事は信じなさい、ということだ。

レオがいよいよ会見に臨む。1993年6月、私はアルコールと薬物中毒治療のためにシエラツーソン・リハビリセンターに自ら進んで入院しました。 幸いなことにどちらの中毒も克服しつつあります。今回のことで関係者の方々にご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。
カメラのフラッシュが容赦なく降り注ぐ中、堂々と会見をこなしていくレオ。

ドナが農務長官を後継者に選ぶ理由を聞く。司法長官や国務長官は知名度があるから一般教書に出席させてテレビに映したいのだそうだ。途中ドナ と別れサムと合流する。レオに殺されると分かっていても、サムは大統領の声明文を出すつもりだ。

ルーズベルトルームではトビーが下院議員たちと一般教書演説の内容を最後まで練り直そうと話し合いを続けている。彼らによれば、政府の役割を 重要視しすぎている、とのことだ。だが残す時間31時間で、外に長い行列が待っていることを知っているトビーはこの話を長引かせたくはないから 別の要点に入るよう促す。次のテーマはNEA(国家芸術基金)だ。

レオが会見の様子が流れている自分のTVのスイッチを切ると娘のマロリーが部屋に入ってきて大統領の応援声明文がマスコミに出回っている事を 知らされる。レオは激怒してサムの部屋に怒鳴り込む。居合わせたジョシュにも怒鳴って、誰が大統領に見せたのか、と聞く。

レオ:誰が見せた!!

サム:僕です。

レオ:言ったはずだぞ!

サム:マスコミはあなたを引きずりおろしたいんです。彼らはあなたを嫌っていて、あれが彼らのやり方なんです。なのにあなたを守るな、と?この 命令に背いたのは謝りますが当然の事をしたまでです

ファーストレディに呼ばれた、と知ってレオは去るがまだ怒りは収まっていない。

マロリーとアビーが雑談している。マロリーはアビーにサムが好きであることを見抜かれて困惑する。マロリーがレオと入れ違いに部屋を出ると 本題に入るアビー。大統領の一般教書演説を2,3日延期してほしいというのだ。熱が再発したわけではない、レオは懐疑的だ。

レオ:私が知らない事で知っておくべき事は何ですか?

アビー:しばらく安静にすべきだと思っただけよ。

レオ:そもそもあなたは何故旅行をキャンセルしたんですか?

アビー:それは主人が・・・

レオ:大統領が熱を出したからですか。大統領は保育園児じゃないでしょう?

アビー:延期するのがまずいのなら・・・

レオ:延期するのは問題ありませんよ。こういうことは以前にもありましたから。あなたは混乱を隠そうとしている。私はあなたが薬を処方するの も注射を打つのも見ています。大統領はいったい何のご病気なんですか?

アビー:インフルエンザだって。

レオ:そんな事であなたは戻ってこないでしょう。隠さないで言ってくれ!

アビー:(涙を浮かべ間をおいて)多発性硬化症(MS=Multiple Sclerosis)なのよ、レオ。

レオ:そんな・・・。

アビー:熱を出せば命に関わるのよ。

-ACT THREE-
ベッドで横になってTVドラマにケチをつけるバートレット。チャーリーを外してレオを入れる。アビーが打ち明けた事を知ったのだ。

レオ:あなたは合衆国大統領で一般教書演説を明日の晩に控え、インドとパキスタンが互いに核兵器を向け合ってる中、あなたは38度9分 の熱がある。我々は本当に運が良いとしか言えません。

レオにジェドと呼ばれたのは久しぶりだ。大統領選に出馬したかったのだ。出馬の邪魔なんかしませんよ、とレオ。

トビーはNEAの件を話し合っている。彼ら下院議員は、大統領が演説でNEAの予算を5割増額する事に反対しているのだ。NEAの予算は連邦総予算の 1%のさらに100分の1にしかならない。1年あたり納税者に39セントの負担だ。このアメリカの芸術予算はスウェーデンの芸術予算とほぼ同額なんだ よ、とトビー。大した価値のない予算に金をつぎ込むことになる、というのが彼等の主張だ。

下院議員その1:誰も金を払わない芸術を支援するためにNEAが存在するという人もいますがそれはどうかと思いますね。ロジャーとハートは ミュージカル「オクラホマ」を書くのにNEAを必要とはしなかったし、アーサー・マレーも「あるセールスマンの死」を書くのにNEAを必要としな かった。

トビー:断っておくが、オクラホマを書いたのはロジャーズとハマースタインだしあなたの言うアーサー・マレーは熱心に社交 ダンスを教えていた。一方アーサー・ミラーは「あるセールスマンの死」を書くのにNEAを必要とした。ただし当時はNEAと言わずWPAと 呼ばれていたんだ。あれはルーズベルトが・・・(止まる)

そして途中で急用を思い出したと言い、戸惑う下院議員たちを尻目にルーズベルトルームを出るトビー。

大統領の部屋ではバートレット、レオ、そしてインド・パキスタンの専門家のジョン・マーベリー卿が話し合っている。マーベリー卿は解熱には、と 飲酒を勧めるばかりでレオは呆れる。本題に入り、マーベリー卿はインド・パキスタンの国境紛争の解決に買収を提案する。マーベリー卿の国、 イギリスではインドを長年にわたって飴と鞭で支配してきた。誰かと衝突した際には、一人の人物をマハラジャ(王族)に仕立て上げ民に物を分け 与えて忠誠を誓わせたというのだ。レオが、合衆国憲法は大統領にマハラジャの任命権を与えていない、と指摘すると、お察しの通りケンブリッジ とソルボンヌを出てる割には僕はとんでもなくバカなもんでね、と皮肉るマーベリー卿。
アメリカは今までマハラジャのように振舞ってきたで はないか。産業時代から世界を買収し続けてきたし、冷戦時代には対外援助として独裁者を金で抱きこんできた。そして最近では北朝鮮の核開発をも 金で食い止めようとしているではないか。
インドの要求はコンピューター産業を初めとするインフラの整備だ。富と自由と活気を併せ持つ国の代償として、そして核兵器拡散の監視を怠って きたアメリカ議会の責任としても支払う義務がアメリカにはある、とマーベリー卿。だが体裁上すぐにその要求を呑むわけには行かない。3ヵ月後に 行動を開始する。その間レオは、インド軍に24時間以内の撤退とそれを示す航空写真の提示を要求するつもりだ。出来ない場合はアメリカ及び NATO加盟国におけるインドの資産を差し押さえ、G7にはローンの返済を強く求めさせる。今度現場の司令官に核兵器使用の権利を与えたらこちらも 武力行使に出るし、フィッツウォレスに航空写真を24時間以内に渡すよう向こうの大使に言っておけ、と大統領。マーベリー卿は了解して去り 入れ違いにトビーが入ってくる。

すぐ後にジョシュも入ってくる。トビーはあの「大きな政府の時代は終わった」という一文をやはり変えたいと言う。例え過去・未来にどんな 大きな間違いを犯しても政府は国民全員が一つになれる唯一の場所だ。部外者は誰一人としていない。あの 文章が大衆受けするのは分かるがそれを言うべきではなく、変えるべきなんだ、とトビー。
バートレットもジョシュも同意する。政府の強調する点が全く変わったのだからこれは重大な事だ。スタッフを総動員してこの問題を検討しなけれ ばならない。

-ACT FOUR-
ミューラルルームでは演説を前に前祝いをする人たちで一杯だ。サムがCJとジョシュにマロリーの気持ちが分からない事に戸惑っている、と打ち 明けるとマロリーがやって来てサムに父親(レオ)の応援声明文を書いたの、と尋ねる。書いたよ、とサム。マロリーから熱いキスを受けるサム。

サム:わぁ、これで余計迷うよ。

その姿に触発されたのかCJはダニー・コンキャノンを自分の部屋に呼ぶようキャロルに伝える。

バートレットとアビーも演説を前にキスをする。

CJの部屋ではダニーが金魚で遊んでいる。CJが入ってくるがかなり緊張しているようだ。ダニーは、今夜は忙しいからはっきり言うよう言われる。

CJ:あなたにキスしたいの。もちろん口に、ってことよ。そうすれば・・・乗り越えられるの。一度してしまえば気が済むのよ。雑念を振り払って 仕事に集中するために・・・キスしたいの。

ミューラルルームではマーベリー卿が医者のアビーに西洋医学の何たるかについて意見をしている。そこへ大統領がやってきてインド軍が撤退している 航空写真をマーベリー卿に見せると彼はすぐにイギリスに帰る支度をする。

レオ:グッド・ラック、ジョン。

マーベリー:君もな、レオ。

二人が握手を済ませるとマーベリー卿は退室する。そしてサムとトビーの書いた教書演説の原稿内容を皆の前で誉め称えると農務長官ロジャー・ トリビーが一人待つオーヴァル・オフィスへと向かう大統領。貧乏くじを当ててしまってすまない、来年は必ず公衆衛生局医務長官(Surgeon General)にするから、とロジャーと握手しながら言う大統領。ロジャーは大統領に渡すための本を持ってきている。作者不詳だが憲法の内容を ラテン語に訳したものだという。大統領が一文を読み上げる。

バートレット:"大統領は連邦議会に対して連邦の状態についての情報を随時提供し、必要且つ時宜に適したと判断される措置についての審議を勧告 する。"

Bartlet:"He Shall, from Time to Time, give to the Congress information on the state of the union and recommend to their consideration such measures as he shall judge necessary and expedient."

読み終わると、もしもの時が起こった際の措置についてロジャーに事細かく説明する。ふとある事を尋ねる大統領。

バートレット:親友はいるかね?

ロジャー:はい、おります。

バートレット:君より賢いかね?

ロジャー:(少し笑って)ええ。

バートレット:生涯を通して彼を信頼するかね?

ロジャー:(真顔に戻って)はい。

バートレット:その人が君の首席補佐官だ。

レオは偶然バートレットがそう言うのを部屋の外で耳にする。
バートレットはチャーリーに付き添われて一般教書演説へと向かう。ロジャーに、人間には誰も想像出来ないような力が存在する、と言い残して。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Moira Kelly as Mandy Hampton
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J.Cregg
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
Stockard Channing as Abbey Bartlet
Roger Rees as Lord John Marbury
ALlison Smith as Mallory O'Brian
John Amos as Percy Fitzwallace
Harry Groener as Roger Tribbey
Madison Mason as Hacket
Janel Moloney as Donna Moss
Devika Parikh as Bonnie
Melissa Fitzjerald as Carol
Kim Webster as Ginger
Suzy Nakamura as Cathy
Nicole Robinson as Margalet
Renee Estevez as Nancy
Kathryn Joosten as Mrs.Randigham
Timothy Busfield as Danny Concannon



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