THE WEST WING
3-21:
E P I S O D E # 67
2005/03/15 on NHK
POSSE COMITATUS
(民兵法)
エミー賞ノミネート(Emmy Award Nominee)
・監督賞(Directing for a Series)
・脚本賞(Writing for a Series)

アメリカ映画音声再生協会賞(Cinema Audio Society, USA)受賞
監督組合賞(Directors Guild of America, USA)ノミネート

-STORY-
ブロードウェイで上演される「薔薇戦争」の鑑賞とクマーの国防大臣シャリーフとの会談の日が近づく中、シャリーフを暗殺するかどうかを最後 まで悩むバートレットに対して、シャリーフに情が移ることを心配したレオは会談をするべきではないと提案する。チャーリーは大統領の秘書候補 としてかつて自分を雇ったために解雇されたデボラ・フィダラーという女性のもとを訪ねるが彼女が精神安定剤を飲んでいることを知る。CJとサイ モンは警備の話でまた一悶着起こすが脅迫者が捕えられたという知らせを聞いてから自由に付き合えるようになった二人はデートをする約束を交わ す。そしてCJはブロードウェイへ、サイモンは近くの雑貨屋へとそれぞれ行くが・・・。劇の途中で席を離れたバートレットは遅れて劇場に到着し たリッチー知事と会い見え、そしてレオからシャリーフ暗殺の決断を迫られる。

WRITERAARON SORKIN
DIRECTORALEX GRAVES

US TRANSMISSION DATE
May 22 2002
JP TRANSMISSION DATE
March 15 2005
-TITLE'S MEANING-
1, "Power of the County" in Latin.

2, Absolutely prohibits any division of the U.S. military -- whether Army, Navy, Air Force or Marines -- from becoming involved in arrests and seizures and conflicts -- any aspect of domestic law enforcement, actually. As it should be.

3, The original Posse Comitatus was a rider to an appropriations bill, Chapter 263, Section 15, approved on June 18, 1878.

4, The Posse Comitatus Act of 1878 prohibits the military from civilian law enforcement, and it can't happen on American soil. (referred by Fitzwallace)

etc...


-EPISODE OUTLINE-
Does "And victorious in war" made really "glorious in peace."?

-QUOTING-
1, Look at the color of Josh Lyman's hair.

2, Assume for a second I say yes. How do we do it? Fitz walks up to him with a gun?

3, I have spent my adult life protecting people. You're the first person who's got me seriously thinking about switching sides.

4, A Secret Service agent walking in the middle of an armed robbery, that's just bad luck.

5, Oh. Crime. Boy, I don't know.



INTO THE MAIN TITLE:★☆☆☆☆

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-TEASER-
会見室の後ろの部屋にあるTVにはバートレットがニューヨークへ発つ事を思わせる様子が映っていて、会見室では和やかムードでCJのブリーフィン グが続いている。大統領が予定よりも1時間遅れた夕方の5時に、アンドリュース空軍基地まで走るリム ジンに乗り込み、そこからニューヨークまでエアフォースワンで飛ぶ事を伝える。大統領の乗るリムジンの列が6時から6時半の間という、マンハッ タンで一番込む時間帯に到着し、さらなる渋滞に陥る事態をニューヨーカーたちに謝りながらも予定が遅れたのは不可抗力もとい不可避だと言って 記者たちを笑わせるCJ。大統領はその後さらに7時半に徒歩で市庁舎に行くことになっている。記者アーサーから開演が1時間早まった理由を尋ねら れる。CJは芝居が19時間もあるから、と言って記者たちを笑わせるが もちろん冗談で本当は5時間半である事を伝えると今度は変わって福祉改革法案の票集めの首尾を尋ねられる。 記者のケイティは昨夜票に動きがあったことを掴んで質問したのだろう。尋ねられたCJは次席補佐官ジョシュ・ライマンの髪の色を見て判断して、 とはぐらかす。別の記者から、この票集めに勝利できるかどうかが夏の再選計画にどれほど大きく関わってくるのか尋ねられ、それ以上にそれが 全世界の命運を決定するとまで言える、とCJは断言する。さらに別の記者から大統領とリッチー知事が今夜鉢合わせすることになるのかどうか尋ね られ、分からない、とはぐらかすCJに質問者のマークは女を囲って酒を飲みたい気分だねと返す。CJが会見を打ち切ろうとするところで最後にクリ スから質問を受ける。

クリス:待ってください、何故1時間遅れることになったのかまだ聞いてませんが。

CJ:はい?

クリス:どうして大統領は1時間遅れて発つんですか?

CJ:急なミーティングが入りましたので。

クリス:誰とのです?

CJ:いい質問ね。

そう言ってCJは手元にある会見用のメモの中から大統領のスケジュールを探し出し、その中から人差し指でなぞりながら名前を見つけ、発表する。

CJ:クマーの国防大臣アブドゥル・シャリーフとです。

-ACT ONE-
シチュエーションルームで大統領を、着席して待機中のレオ、フィッツウォレス他諜報部員の面々。その大統領が来るまでの間、レオはバートレット がシャリーフと直接オーヴァルオフィスで会う事についてフィッツウォレスに激しく抗議する。国防総省も納得したこの予定についていまさらキャン セルはできない、この土壇場でキャンセルしようものならシャリーフに彼を暗殺しようとしている動きがあることがバレてしまうだろう。彼に暗殺の 事を悟られてはいけないとフィッツは考えているのだ。だがそれでもレオは直接会うことだけはすべきではないと主張する。娘のマロリーを海鮮 料理のレストランに連れて行ったとき彼女はまず水槽にいるロブスター全ての名前を挙げた上で食べることを拒否した、という話をレオがする。 つまりバートレットにシャリーフを直接引き合わせでもすればシャリーフに情がいってしまい、暗殺の決意を鈍らせることになってしまうとレオは 考えたのだ。するとそこにバートレット本人が到着し、室内にいた全員が起立する。そして型どおりの挨拶を済ませ、バートレットが座ると回りの 全員も腰を下ろす。そして関係者の一人がこの件に関するルールをバートレットに伝える。

関係者1:まず国家安全保障法は、基本的に、暗殺などの秘密作戦を承認する事ができるのは大統領のみであると定めています。これは知りたい事 だけ知っていればいいような法律ではなく、大統領はこの件に関わる全てを把握する必要があるのです。

バートレット:そして法は私が誰かを殺せないことも定めているんだろ?

関係者2:はい、政治的な暗殺は大統領命令によって禁じられています。実際には二つの大統領命令があるわけですが。

バートレット:知ってる。その内の一つは私が出したものだからな。

レオ:大統領命令は法律ですが大統領によって作られたものであるため大統領は無視することができます。

バートレット:仮に命令を出したとして実際にはどのように行動に移すんだ?フィッツが銃を向けて撃つのか?

フィッツウォレス:いえ、軍隊は関与できません。

バートレット:どうして?

フィッツウォレス:1878年に定められたPosse Comitatus法は民間人の治安活動に軍隊を動員することを禁じて いますのでアメリカ本土では動けないのです。

バートレット:色々と制約が多いんだな。


そして実際にその命令を下す際は法によっていわゆる「8人組」(the gang of eight)と言われる団体に知らせる必要がある、と関係者のマイクは 言う。その団体は両党の党首たちと上下両院のそれぞれの執行部、そして二つの情報活動委員会の委員長と副委員長の計8人から成る。ここでバート レットが疑問を呈する、アメリカで暗殺が実行に移せないなら何故シャリーフをアメリカに呼ぶことにこだわったのか?それは今夜シャリーフが メキシコ湾流の上を飛行機で帰る際のパイロットがアメリカ側の人間であるからだ。パイロットたちが意図的に離陸から90分後に機械的トラブルを 発生させてバミューダの英国空軍(RAF=Royal Air Force)基地に誘導して着陸させる手筈になっている。そこは芝生に道路を引いた以外に何も ないところだとフィッツウォレスは説明する。イギリス側の了解はもちろん取ってあり、イギリスでもこの事を知っているのは3人だけでバミューダ の人たちの中でも知るものはクラブ活動で勧誘できる程度のほんのごく少数だ。一通りの事の次第を了解したバートレットが、こんな馬鹿げた ミーティングには今だかつて出たことが無い、と言って立ち上がって部屋を出ようとするとマイクがシャリーフとのプレゼントの交換をするつもりで あるかどうか尋ねてくる。するのであれば、とマイクはバートレットの方に歩いて行ってペンを手渡す。何だこのペンは?毒が出るのか、とバー トレット。マイクが説明するにはそのペンには小型の盗聴器が仕掛けられており、シャリーフは捨ててしまうかもしれないがそうしなかった場合には 運が良ければポケットに入れて会話が入ってくるかもしれない。バートレットはしばらくペンを見つめた後レオを見るとペンをテーブルの上に放り 、部屋から出て行こうとする。呼び止めるマイクにバートレットが返す「箱無しでは渡せんだろ。箱に詰めてくれ」。

レストランで朝食のオーダーを取るジョシュとエイミー。エイミーは卵の白身だけのオムレツと焦げたトーストを、ジョシュはコーヒーだけをそれ ぞれオーダーする。オーダーを取ったウェイトレスが去ると、焦げたトーストは癌になるのでは、とジョシュが尋ねてくる。だから白身のオムレツ も頼んだのよ、とエイミー。そしてジョシュが現在の仕事の話を切り出す。浮動票の鍵を握る無党派層を取り込むことについて福祉改革法案は重要 な問題だ。彼らにとってはそれが大統領の仕事と責任感を測る物差しになっているからだ。そして彼らを取り込んだ、とジョシュ。でもバーネット とブリストルとキースは逃すんじゃないの?とエイミー。事実彼らは迷っているところでジョシュはこれから説得にあたるつもりだ。いずれにせよ 福祉は6年毎にあれこれと手を加えるべきなんだよ、とジョシュ。エイミーは、そんな当たり前のことも分からないほど自分が馬鹿に見えたのか、 と尋ね、それが共和党への迎合に繋がるのでは、と続ける。ジョシュが児童福祉に10億ドルの予算を回せることを強調してもエイミーの心配はやは り結婚奨励制度の馬鹿馬鹿しさにある。ジョシュも結婚奨励制度に賛成しているわけではないが無党派層を取り込めることを考えれば馬鹿にはで きない。「無党派層」と言わず「白人男性」と言ってちょうだい、とエイミー、続けて解雇された人を助けるために福祉改革に本気で取り組む気が あるのなら職業訓練を受けさせるべきであるとも主張する。エイミーに票差をつけて余裕のジョシュは、手を引けばホワイトハウスとの中を取り 成してあげるよ、と持ちかける。どうして?とエイミー。「僕らが勝つからさ」、とジョシュ。

チャーリーがある静かな家のインターホンを鳴らして中の様子を窺い、ドアをノックすると壮年の女性が戸口に現れる。チャーリーが尋ねるとその 女性はミセス・ディラガーディアである事を認める。彼女に対してチャーリーは何度も電話をしたが仕事に興味の無い彼女によって意図的に電話を 切られていたということを知る。電話でそう言えばいいのに、というチャーリーに対して、あなたも訊かないからよ、と返すミセス・ディラガー ディア。何故興味が無いのか尋ねようとしたところでいきなりドアを閉められるがチャーリーはすぐさまノックしてもう一度ドアを開けてもらう。 何故自分の住所がチャーリーに分かったのか訝る彼女だったが、彼女がかつてホワイトハウスで働いていたことからそれはすぐに分かったとチャー リーは言う。駐車禁止区域に駐車しているチャーリーを注意するも全く気にしない彼をようやく家の中に招き入れる。チャーリーがもう一度ミセス ・ラガーディアと言うとそれは旧姓で、彼女は既にミスター・ラガーディアと離婚しているため今はデビー・フィダラーである事を明かす。彼女が 名前を正すとチャーリーは彼女の経歴、ガネットニュースの編集局長であるテランス・ハント、ワシントンレッドスキンズの元オーナージャック・ ケント・クック、カトラー・ウィリアムズ・ロッシ弁護士事務所の共同経営者ジョーダン・ウィリアムズらの秘書を務め、ホワイトハウスでも大統 領周りの人事を務めてきた事、をざっと口にした上でドロレス・ランディハム夫人の仕事だった大統領秘書に就いてもらいたくて参った事を話す。 だがミス・フィダラー氏の答えはノーだ。今の彼女はもう誰の下でも働きたくない、自分がボスだと言ってのける彼女。今では自分の船旅の舵を 取って目標の方向に向かっているとの事だ。航海は順調ですか、とチャーリーが現在の仕事のことを尋ねるとフィダラーは前にやってたギャンブル よりかは幾分マシで、おかげでギャンブルに対して目が覚めたと答え、そんな彼女は今アルパカを飼っていると言う。チャーリーは冗談だと思って いたがアルパカは世界で一番投資すべき家畜だと聞かされる。それは深夜のTV番組でやってる羊たちの事ですよね、とチャーリーが尋ねるが彼女は 普通にアルパカだと答えるだけだ。彼女が言うにはアルパカの毛で作られた織物は世界中のブランドから挙って欲しがられている代物なのだと言う 。彼女が飼っているアルパカは二種類いるスリ(Suri)とワカヤ(Huacaya)のうち後者のものらしい。ここでアルパカがいると思われる真横を 向いたチャーリーが話を突然本題に戻す。 フィダラー氏がアメリカオリンピック組織委員会の委員長秘書も務めていたことも持ち出し、チャーリーは90分後に車をこの家によこすことを伝え る。去ろうとするチャーリーにフィダラーが声をかける。私はホワイトハウスを解雇されたのよ、と。知っています、と言うとチャーリーはそのま ま外に出て行き、フィダラーは急いで時計を確認する。

ホワイトハウス北西部のロビーをサイモンと若い黒人男性のアンソニーと一緒に通ってくる。歩きがてらにサイモンはアンソニーにホワイトハウス から母親に贈り物を贈るといい、となどアドバイスする。母親には笑顔で毎日愛情を表現しておくべきだ。「今日もきれいだね」などはよく言われ る事だがそれが一番嬉しい事だからだ。何故毎日愛情表現する必要があるか分かるか、とアンソニーに尋ねるサイモン。もちろん答えは「育てて くれたから」だ。それだけで親子の中は上手くいくものなんだよ、とサイモン。そのままジョシュのブルペンに入って来たところでアンソニーが ニューヨークへと出かける事になっているサイモンを気遣う。確かにサイモンは技もあれば射撃の腕もいいし運動神経だって抜群だ。でも?と サイモン。頭が弱い、とアンソニー。サイモンはアンソニーにヘッドロックをかけて二人はじゃれ合う。そこにCJがやって来て声をかけて来たので サイモンはアンソニーを解放してやや義務的に立つ。CJがサイモンの仕事について尋ねるとサイモンは、仕事は午後からで今はアンソニーにホワイ トハウスを見学させたくてやって来た、と告げてアンソニーにCJを紹介する。そしてアンソニーの母親に何か贈れる物が無いかどうかCJに尋ねると CJはあると言って秘書のキャロルにバートレット大統領のサイン入りの大統領の紋章を持ってこさせる。

CJ:これは大統領の紋章でバートレット大統領のサイン入りなの。土産物屋では買えない代物だってお母さんに言っておいてね、実際のところ、 大統領の紋章を販売することは法によって禁止されているから買えない物だし、ここでしか手に入らない物よ。

アンソニー:でも警察に止められたら盗んだと思われるんじゃない?

CJ:警察がそれを見たらVIP待遇で迎えられるわよ。


良からぬ心配をするアンソニーに、警察に止められるような何かやましい事でもあるのか、と尋ねるサイモン。別に、とアンソニー。サイモンは アンソニーに外で待つよう言ってからCJと一緒にCJのオフィスに入っていく。
CJに尋ねられて、サイモンはアンソニーのビッグブラザー(男性指導員)で、もう3年の付き合いになると言う。彼との仲が上手く行ってるかどうか 、答えるのが恥ずかしいのかサイモンは微妙にはぐらかすがアンソニーがいずれは自分みたいにビッグブラザーになりたがっていると話す。ここで CJがいきなり切り出す。

CJ:ねぇ、ニューヨークまであなたも一緒に来る理由なんて無いって考えてたんだけど。

サイモン:え?

CJ:私はずっと大統領といっしょに旅することになるんだし。

サイモン:ちょっと言ってもいいかな?

CJ:えぇ。

サイモン:警護の対象者とデートすることは許されない。

CJ:誰があなたとデートしたいだなんて?

サイモン:それに警護の対象者とキスすることも許されない。

CJ:誰があなたとキスしたいだなんて?

サイモン:君だよ。

CJ:そんな事思ってないわ。

サイモン:CJ、僕は職務には忠実でいたいんだ。

CJ:警護の対象者をファーストネームで呼ぶことも許されないんじゃないの?


そうでした、と言ってサイモンはアンソニーを家に送ろうとするがCJはサイモンまでニューヨークに来る必要はないと言う。そんなCJを無視するか のようにサイモンは「それじゃ飛行機の中で」と言って部屋を出て行く。

バートレット大統領のプライベートな書斎ではテーブルをはさんでバートレットと精神科医のスタンリー・キーワース博士が話をしている。 バートレットがブロードウェイで鑑賞する予定である、歴代のヘンリー王とリチャード王を描いた芝居「薔薇戦争」について放している。おそらく かなりの部分がカットされている事になるだろう、というのも普通に上演すれば何週間にも及ぶほどの大作だからだ。

バートレット:それに歌もついている。

キーワース:おぉ、ミュージカルですか?

バートレット:いや、だが次から次へと歌が披露されてその内の一つが私のお気に入りなんだよ。名前がちょっと思い出せなくて、たしかエドワード 王時代のもので・・・それを聞くといつも大学を思い出すよ。よくは分からないがケンブリッジのキリスト教大学のダイニングホールで歌われる ような歌だ。コーラスは「そして戦争の勝利は輝かしい平和をもたらす」で、今朝は思わずそれを歌って たよ。

そして間を置いたキーワース博士がふと最近のバートレットの睡眠状態について尋ねてくる。答えの様子を聞く限り今ではばっちり眠れるように なってるそうだ。ここでバートレットは唐突にキーワースに尋ねる、犯罪だがそれが違法ではないならするかどうか、だ。駐車違反ぐらいなら、と 博士は落ち着いて答える。でも銀行強盗まではやりたくはなさそうだ。バートレットがある例を挙げる。コネチカットではかつて避妊具の使用が法 で禁じられていたが、それは興奮して及ぶであろう姦通罪を防ぐためのものだった。しかしエイズが流行るようになったらコネチカットの住民は 公共の福祉に頼らずに無理矢理にでも法を破ろうとするだろう。ところで避妊具を使っていたかどうかなんてどうやって分かったのだろうか、と キーワース博士がふと疑問に思いさらに、バートレット大統領は今何を考えているのかを疑問に思う。だがバートレットは国の安全に関わること だから言えないと言う。それに言うまでもなくバートレットが犯罪を犯そうとしていることを打ち明ければ博士には法によってそれを報告する義務 が生じる事になる。つい先ほどシャリーフ暗殺に関して嫌なミーティングをこなしてきたばかりのバートレットは間を置いてからイスから立ち上が り、上着を取って、キーワース博士を残して書斎を出て行く。

-ACT TWO-
サムとトビーは、大統領の旅行予定であるブロードウェイにライバルであるリッチー知事も来る事についてルーズベルトルームで下院議員と話し 合っている。この議員がスポンサーになっている福祉法案にある労働時間をもし増やすことにでもなれば、たとえば、十分な仕事が無い知事はどう すればいいのか?もちろんサムにそんな事はとても答えられないがトビーが言うにこの議員がここに来ているのは法案のスポンサーの立場としてでは なくフロリダの共和党議員団の代表として来ているのだ。そのテッドという議員が言う、大統領は今夜リッチー知事と会うべきだ、と。だがトビーは 、これはカトリックの資金集めパーティーであってTV局関係者の集まりではない、と言う。それでも構わずに議員は話を続ける。大統領と知事の二 人が一緒にドアを入ってきて同じ部屋で会話して芝居を見る、このようにすれば彼らの集まりに興味をもつ下院議員が5人出てくる。それはつまり バートレットがリッチーと会えば5票が手に入るということだ。だがそれでもトビーは反対する。何故なら大統領はその芝居を見に行くのに夫人と 中国の国家主席を伴うからだ、フロリダ州知事と出るなんて考えられない。サムもそれに賛同するかのように議員の方を見る。

ミューラルルームではジョシュが福祉改革法案に賛成しない下院議員三人と会って話をしている。この三人のうちの一人は先ほどエイミ ーが挙げたブリストルという人物だ。ブリストルはこんな大事な時期に大統領が芝居を見にブロードウェイへ行くのはどういうことが尋ね、ジョシュ はただのスケジュール管理ミスだと答える。彼らも予備選挙があるため資金が必要だと言うとジョシュが資金集めの手助けを申し出る。それなら エイミー・ガードナーもできる、と皮肉っぽく三人のうちの一人がジョシュに言う。ジョシュは児童福祉に10億ドル回せる事を挙げてメリットのあ る法案であることをアピールするが三人の下院議員たちはその法案を支持してエイミーを指示する女性たちからの女性票を失うことを懸念している。 福祉の悪い点を是正できることもアピールしようとするジョシュだが生活保護に頼る女性が38時間も働けるかどうかという問題や、それは見逃した としても法案の最悪のおまけである結婚奨励制度が問題だと言われる。それによって女性票を丸々失うことは彼らにとって無視できないリスクだ。 そしてここでジョシュがこの三人が投票しない(No Vote)立場である事を確認し、大統領が劇の最初の幕間に電話することを伝えて部屋を出て行く 。

オーヴァルオフィスでは問題の人物アブドゥル・シャリーフがバートレットとの会談相手となっている。彼の手には既に盗聴器付きのペンを包んだ 箱があり、バートレットもそれ相応の物を貰っていてプレゼント交換は既に果たしたようだ。部屋の中央でシャリーフのアラビア語を聞いている バートレットだがもちろんシャリーフの隣の通訳者から英語でその言葉を理解する。オーヴァルオフィスの入り口のところには二人の男が立って おり、レオとフィッツウォレスは隅の方で彼らの様子を見守っている。通訳者の言葉を聞くに、シャリーフは彼の国クマーの国民と国が今後とも アメリカとの協力関係を築いていきたいのだと言う。バートレットが戸口の二人の事を尋ねると彼らがボディガードである事が分かる。そして通訳者 を介してシャリーフはアメリカがティアレ空軍基地の使用を10年間更新したことについての感謝の意を述べる。バートレットも、それが今日一番誇 れることである、ということを伝え、これからもシャリーフの訪米を歓迎し、合衆国大統領がサルタン国王によろしく言っていた、という事を伝え る。そしてシャリーフが更なる友好関係を表そうとしているのか握手を求めてくるがバートレットは顔色を変えずに手に発疹ができているという理由 でそれを拒む。面食らうシャリーフだがそれほど顔色を強張らせるでもなく型どおりの挨拶をしてボディガードとともにオーヴァルオフィスを出て 行く。シャリーフとボディガード、通訳者がオーヴァルオフィスを出て行くとバートレットはシャリーフからの贈り物である石膏とビャクダンで できた手彫りの香炉の陶器を一目見た後フィッツウォレスの方に放り投げる。

サムが自分のオフィスで仕事をしていると、サムとトビーの部屋の間の壁にボールがぶつけられた音がしたのでサムがトビーのオフィスへ何の用か と入っていく。トビーによるとサムの元友人だったケビン・カーンが今度はAP通信に「リッチー知事は今夜大統領とのミーティングの準備をしてい るが話の内容はエバーグレイズについての連邦政府の計画の事で、その計画は砂糖業界を潰しかねない」と漏らしたと言う。もちろんそんな内容は 誇張されているとサムは言うがまた「今日のバートレットは何を隠しているのか?」とまた叩かれる材料になるだろう、とトビーが言う。それなら ば、とサムは対応策として、リッチー知事が勘違いしていて、彼が大統領と会う予定は無い、と言うか或いは大統領は知事との会談を望んでいるが 今夜の投票で苦戦しているので会えない、と言うべきだと提案する。それかフロリダ議員団のせいにするかだ、と言ってトビーは近くにいたジョシュ を呼んでケビン・カーンからのリークに対抗して、AP通信の方に福祉改革案に対するフロリダの投票妨害を漏らすことを確認して同意を得る。 そうすれば投票で負けてもリッチーのせいにできるだろう。

オーヴァルオフィスの外のチャーリーの秘書室ではバートレットの面接を受けるべく到着し、亡きランディハム夫人がかつて使用していた何も置か れていないデスクを眺めていたデビー・フィダラーをチャーリーが出迎える。だがまだ大統領の部屋ことオーヴァルオフィスは 「PRIVATE, OFFICE OF THE PRESIDENT」(大統領私用中)なので入れない状態だ。彼女が言うに、大統領とは写真撮影をする前に握手したことが あると言う。そんな彼女の話し振りを見たチャーリーは家で会ったときよりも落ち着いていることに気付く。すると驚いたことに彼女はホワイト ハウスに舞い戻って来なければならなくなった鬱から精神安定剤を服用した事を明かす。するとそこで、私用中だったオーヴァルオフィスの扉が開い て中から出てきたナンシーにオーヴァルオフィス内へ入れるようになった事を告げられる。ナンシー他数人の関係者らとすれ違いながら、どこか おどおどとしながら水入りのペットボトルを手にしたままオーヴァルオフィスへと入っていくデビー。チャーリーがほんの一言挨拶して出て行くと 大統領と1対1になる。

バートレット:履歴書を拝見したので特に話すようなことも無いのですが、最近まで何をしてました?

デビー:アルパカの世話をしていました。

バートレット:セーターの?

デビー:セーターになる前のやつです。


他にしていたこととして、目をクリクリさせながらブラックジャックなどのギャンブルをしていたと言うデビー。プロのギャンブラーという響きが 好きだとも言う。それなら住んでいたところはもちろんネバダ州のベガスの辺りという事になるだろう。そこまで聞いたところでバートレットは 何故以前ホワイトハウスを解雇されたのか尋ねる。精神不安定のせいかその事を話したがらないデビーは話の最中に持っていたペットボトルを落とし 、バートレットは彼女がそれを拾う間にチャーリーを呼びつけ、呼んだ後デビーを外で待機させてチャーリーを詰問する。これは際どいジョークに なりかねない出来事だ。ジョークに寛大なバートレットもこればっかりはチャーリーを叱る。彼女がドロレス・ランディハム夫人に代わるような 人物とはとても思えないからだ。自分の名前を2度も言い直す必要のあるアルパカの飼育者など誰が雇いたがるか、というところだ。失望したバート レットは人事部に適当な人選を探してもらうよう頼むことにする、と言ってそのまま柱廊から外に出て行ってしまう。
オーヴァルオフィス前の秘書室で待っていたデビーにチャーリーがまず準備をしていなかったことを謝り、二度目の大統領との面接の時には安定剤を 飲まないよう勧めるが、デビーはもはや自分の信用が完全に失墜してしまったと思い二回目の面接などあり得ないと言うがチャーリーは何度でも させるつもりのようだ。それよりWard Swingleの結成したSwingle Singersはどうなったの?と唐突に尋ねるデビーに対し、彼女を早くタクシーの 元へと送るべく、知りませんよ、とだけ返すチャーリー。

円卓の周りに10人分のイスとファイルが置かれている小さな会議室に既に8人の人間が座っている。各々はファイルを読みながら残る二つのイスに 座るべき人物が来るのを待ち、その二人、レオとフィッツウォレスが到着する。全員がファイルから目を上げて立ち上がり、やがて座るとレオが 遅れてきたことを謝ってから早速切り出す。

レオ:国内外の情報機関より提供されたこれ以上ないほど膨大な証拠の提出を受けて、大統領は情報機関に今君たちの手元にあるファイルの中身に 書かれている「結論」を要求した。その「結論」は入念に検討され、国家安全保障局やCIAの各々の長官たちのサインを受け承諾を得た。

フィッツウォレス:その後に再検証され承認を得た。検証し承認をしたのは国家安全保障問題担当補佐官、国務長官、国防長官、司法長官、ホワイ トハウス法律顧問、そして最終的には私自身もだ。君たちにも内容を知らせておきたい。

関係者1:合衆国の諜報活動に関しての大統領命令11905(情報機関による暗殺行動など)はどうなってるんだ?

レオ:自分の出した大統領命令だから撤回できる。

関係者2:シャリーフは今アメリカ国内にいるんだぞ。FBIはどうして動けないんだ?

レオ:FBIの役割は調査と捜査だ。彼らには警察のような治安活動に関与する権限が無い。

関係者3:軍隊はどうだ?

ロベル上院議員:Posse Comitatus法で禁じられている。(レオに)シャリーフを暗殺するのか?

レオ:(間を置く)分からない。

関係者1:レオ、大統領はいつゴーサインを出すんだ?

レオ:最後の最後まで分からん。ともかく今はファイルを見ていてくれ。それじゃ芝居に行って来る。


その場の全員が立ち上がりレオが出て行くのを見届ける。

-ACT THREE-
夜の雲を明るく照らすかのようなイルミネーションが眩くニューヨークのタイムズスクエアの空の下の「薔薇戦争」の劇場の外ではシークレット サービスによる護衛に関する打ち合わせが車の中で行われている。ロンが部下たちに劇場での警備の配置等について詳細を教えた後、車の外に出て サイモンを呼ぶ。CJの事件について進展がありそうなのでその旨をさっと伝える。そしてロンが離れて行き、サイモンが劇場の入り口に目をやる とCJが劇場の外に出て記者たちの方に歩み寄っているのが見えたのですぐさま彼女の方へ歩いていく。記者たちと談笑しているCJをそれとなく連れ 出して、風が強い、人払いされた路上に連れて行き、必ず誰かエージェントを一人つけて待機しておくべきだ、と護衛される者への心得を繰り返す 。勝手に外に出てきたCJを咎めるサイモンだがCJはただ風にあたりたかっただけだと言う。だが人の身を守る立場にあるサイモンにとって警護の対 象者の勝手な行動ほど気になるものはない。話が進むうちにサイモンはつい声を荒げてしまう。

C.J. Cregg and Simon Donovan

サイモン:エージェントに「外に出て新鮮な空気にあたりたい」と一声かけるだけで彼はついてくるんだから。

CJ:大統領の警備任務のど真ん中にもいる私にいったい何が起こるって言うの?

サイモン:君の身に何が起こるかなんて分からない。分かればそんな簡単なことはないんだよ!

CJ:怒鳴らなくてもいいじゃないの。

サイモン:僕は大人になってからずっと誰かを守る側に立ってきたけど、守る側と守られる側の立場を逆転させる事を僕に真剣に考えさせたのは君が 初めてだよ。

CJ:あらごめんなさい、それって私が魅力的だからかしら。

サイモン:(皮肉めいて)あぁ、そうだよ。びっくりするぐらい魅力的だね。

CJ:もしかして怒ってるの?

サイモン:君は初日から、何か起こるたびにまるで僕に全ての非があるかのような態度を取ってきただろ。

CJ:あなたのせいだなんて思っていないわ、それどころか感謝してるぐらいよ。

サイモン:僕を好きな素振りを何度も見せているけど実際のところは・・・

CJ:あなたが好きよ。

サイモン:その割には僕を置いて行ったりで僕の事を見てくれないじゃないか。こんなの馬鹿げてるよ!

CJ:だから好きって言ったじゃない。

サイモン:別の意味だろ!

CJ:そうよ、だからキスしようとしたんじゃない。

サイモン:してないって言ったじゃないか!

CJ:嘘ついたのよ、おバカさんね。

サイモン:そうかい、やはり僕は守られる側に立つよ。

CJ:恥ずかしくて言えなかったのよ。

サイモン:言わなかったんだろ。前にも言ったがキスすることは許されていないんだよ!

CJ:言い訳に聞こえるけど。

サイモン:そうじゃないよ。君は誰かに命を狙われてるんだぞ、それなのに・・・。バーニーのデパートで君のドレス姿を三秒間見ていたその隙 に脅迫者が出てきたら・・・それなのに・・・

CJ:私に見とれてたの?

サイモン:君は車の講習を受けている女の子と同じなんだよ。グロテスクという理由で生々しい事故のビデオは見ないで飲酒運転についての大事な 知識が欠落してしまう、そういうタイプだ。

CJ:(笑う)それいったいどういう例えなの?

その時携帯電話に連絡が入り、電話に出るサイモン。その間もサイモンに喋り続けるCJ。警護のことについて真剣に考えて欲しいと彼が言うの はCJも分かってはいるが、私は私の人生を楽しみたい、とも言う。だが電話で話し中のサイモンの耳に届くばかりか会話の邪魔をされて不快にすら 思われてしまうCJ。サイモンが電話を切ると再びCJに向かって話をする。

サイモン:捕えた。

CJ:何の話?

サイモン:シークレットサービスがペンシルベニアのトレントン駅で脅迫者の電車を止めたんだ。

CJ:どこに向かってたの?

サイモン:ここだ。でもこれで君には何もできなくなった。

CJ:終わったのね。

サイモン:後は書類整理だけだ。

CJ:私のことよ。

サイモン:あぁ。

CJ:ありがとう。

サイモン:とんでもない。

CJ:本気でよ。


そう言うとCJはサイモンの頬にキスし、二人の仲はさらに近くなり、やがては情熱的なキスを交わすまでに至る。キスが終わりその余韻に浸ると、 ゆっくりと優しく話し始める。

CJ:ありがとう。

サイモン:もう車を運転できるよ、人ごみの中も歩けるし、グレープフルーツを食べたり君のしたいように。

CJ:飲んだりすることも?

サイモン:もちろんだ。

CJ:お芝居の後で会えないかしら?

サイモン:いいよ。

CJ:良かった。

サイモン:どこで会う?

CJ:あなたの好きなところでいいわ。

サイモン:それじゃこの場所はどうかな?

その時近くで大統領の乗る車の到着を告げるサイレンが鳴ったのを聞いてCJはしばしの別れを惜しむ。

CJ:仕事に戻らなくちゃ。

そう言うとCJは振り返り、大きな笑みを浮かべながら大統領の降りてくるリムジンのほうへと歩いていく。サイモンも一瞬顔が緩んで笑みをこぼし てしまうがすぐにまたプロの顔へと戻る。

バートレット大統領がリムジンから降りてくるとそれまでの拍手の音がさらに盛り上がったように大きくなる。バートレットがカトリック教会の 関係者数人と握手を交わすと観衆に向かって手を振り、さらなる拍手を受ける。

劇場内で薔薇戦争(THE ROSES OF WAR)の舞台劇が始まる。ステージに近い明かりは一部を除いてほぼ全て消され、淡い青色のライトを浴びながら 劇が始められる。トランペットの演奏に合わせて聴衆が拍手を起こし、そしてシェイクスピアカンパニーの劇が本格的に始まる。最初のシーンで 両端の赤と白で象徴された幕が上がり、その間舞台上の役者たちは幕が上がりきるまで全員が静止している。真ん中の男が剣を左手に掲げ、モノロ ーグが始まる。
一方バルコニーの方ではサムが、劇を鑑賞しているトビーを劇の外の廊下に呼び出す。

サム:彼はヤンキースの試合を見に行っています。

トビー:リッチーか?

サム:えぇ。

トビー:今ヤンキースの試合を見ているって?

サム:ローカルニュースで取り上げられていました。リッチー曰く、普通のアメリカ人なら娯楽として野球観戦に興じるもの、だそうです。

トビー:私はヤンキースタジアムで441試合観戦したが普通のアメリカ人なんていなかったぞ。

でしょうね、とサムのその態度にヤンキースをバカにされたと思い込んだトビーが少し絡んでくるがサムが話を元に戻す。おそらくリッチーは幕間 にこちらにやって来るつもりなのだろう。仮にも大統領の後から遅れて劇を見に来るなんていうのはどう見ても無礼な振る舞いだ。スタジアムも 試合が好カードだから4万人は入っているだろう。そこまで聞くとサムの頭脳明晰な頭が回転を始め、アイディアを口にする。劇場に現職の大統領 がいて、相手候補と会う最初の日にその大統領のスタッフが渋滞で相手候補を身動き取れなくするために長い車列を送り込めば、ただでさえ遅れて いた相手候補はさらに遅れることになるだろう。そのアイディアを聞いたトビーはサムの頬と口を手で押し込めてプニプニしながらサムが自慢である 事を言うが逆に気持ち悪がられてしまう。そして早速ホワイトハウスで待機しているジョシュに電話をかけて車列を道路に送り込みたいという旨を 伝える。するとジョシュからMajor Deegan通りに車の列を送り込む理由を尋ねられたトビー、電話を持ちながら目の前にいるサムに「その通り、 (車列を送り込むには)何か理由が必要だぞ」とまるで人事のように言う。ところで福祉法案の件で票集めをしているジョシュに現在の様子を尋ねる トビー。30分後に投票が始まることになっているが、ジョシュはエイミーのボスであるブレンダをプラットホーム委員会の議長にするという約束で 抱き込んだのだ。投票では勝つことになっているだろうが、トビーは自分が投票の事でジョシュにプレッシャーを与えてしまったかどうか尋ねる。 いえ、とジョシュ。AP通信やリッチーの出席での件ではどうか。それでも、いや、とジョシュ。トビーはジョシュが先週大統領に激しく怒られた事 を気にかけているが、ジョシュはもう終わったことであり、勝ったからもうなんでもない、と言う。エイミーを雇うなら今だぞ、とトビー。ジョシュ は少し笑いながらも罪悪感や疲れを表情に滲ませてそこで電話を切る。部屋の入り口に現れたドナからも労いの言葉をかけられるがそれでもジョシュ はまだ少し顔が暗い。自分のガールフレンドを叩きのめして失業に追い込んだのだ。8票差で勝つことが決まっている投票結果をTVで確認することな ど気にするまでもなくジョシュは少しやつれた表情で岐路に着く。

-ACT FOUR-
バンの中からサムとトビーが記者を相手にしている様子を映した3台のモニターを管理するエージェントがいる。モニターの中の二人はどちらも上 機嫌なように見える。既に幕間となっているにもかかわらず交通渋滞で足止めを食らって未だに現れないリッチー知事はこの様子だと第2幕中にも 来る事は出来ないだろう、という記者の発言に対して皮肉たっぷりにCross Bronxを通ってWest Sideに来る道を選べばよかったのに、とトビー。 サムはこれを機に、カトリックへの寄付が180万ドルも集まったのはここに集まった方々と下院で大統領の福祉改革法案の通過に協力をしてくれた 下院議員たちのおかげで、投票に働きかけてくれた州知事全てに大統領が感謝している、という事をそれぞれ伝える。ちなみにヤンキースの連勝は 12でストップするだろう、とトビーの言葉に笑いが漏れる。そしてその言葉もサムが説明、もとい訂正し、90%勝ち目がなくても残りの10%にかけ る姿が素晴らしい、と言う。そしてサムとトビーはその場を離れていくがその後姿はまだどこか意気揚揚としているみたいだ。

幕間に劇場内の廊下で誰かと写真撮影をしているバートレット。撮影が終わってチャーリーを従えて歩くバートレットだが何か言いたそうにしてい るチャーリーにどうしたのか声をかける。するとチャーリーの口から、町から戻った後にデボラ・フィダラーとの2度目の面接をセッティングして いる、という事を聞かされて驚く。

バートレット:君と彼女の間に何があったというんだ?

チャーリー:彼女は、彼女が僕を雇ったために解雇されたんです。


バートレットは少し驚いたような素振りを見せたかと思うと首を縦に振ってすぐさま歩き出す。

ドレスを着てはいるが、おそらく非番中なのだろう、サイモンが嬉しそうに雑貨屋に足を踏み入れて、置いてある商品に麻薬が入っているっぽいと いう冗談を言うが店主の目線がうつ伏しているのを見て即座に謝る。そしてカウンターの前に置いてあるキャンディと花を指してその値段を尋ねる が不思議なことに店主は金はいらない、と言うばかりだ。おかしく思ったサイモンがよく目を凝らして見ると、レジの引き出しが全て開かれていて 空っぽになっている。店主の顔が凍りついていたのは強盗に入られた直後だった事を知るサイモン、静かに装いながらホルスターの銃に手をかけ、 素早くそれを取り出すと真後ろで普通の客のように振舞いながら商品を漁っていたと思われる強盗に銃を向け無抵抗を促す。自分が連邦政府の シークレットサービスの者である ことを告げ、男を腹ばいにさせて手を後ろに回してネクタイで手を縛る。強盗に入った店でシークレットサービスに見つかるなんて不運もいいとこ ろだな、とサイモンが独り言のように言うと、立ち上がって手首に通されたマイクにブロードウェイ98丁目の韓国の雑貨屋にニューヨーク市警を よこすよう言う。そして店主の方に向かって歩きながらもう一度キャンディと花を売ってくれるよう頼んでいたその時、一番端の列に隠れていた もう一人の強盗が視界に入ってきたサイモンの胸を狙ってつんざくような銃弾を三発浴びせる。さすがのサイモンも全く反応できずにその場に倒れ 即死する。もう一人のロングヘアの強盗はサイモンが倒れたことを確認するや猛スピードで店から出て行き、同じくサイモンが死んでいるのを見た 店主も逃げるように店から出て行く。

そしてもの哀しい調べHallelujahが流れる。

芝居をバルコニーから鑑賞し続けるバートレット。劇の女性が謡う〜決して許されざるは彼が王である事、そして彼が王でない事。私たちの命があ るうちに彼を死なせてあげましょう、時をかけてゆっくりと〜 劇が続く中、バートレットは自ら席を立ち、一方でCJもシークレットサービスの ロン・バタ ーフィールドから呼び出されて席を立つ。そして外でフラッシュが何度もたかれている中ロンからサイモンに関する哀しい知らせを受けて呆然とす るCJ。最初はただの伝達ミスか何かだと思っていたが少しずつ話が呑み込めてきたのかその場を離れて重い足取りで現場へと向かう。
犯行現場の雑貨屋にはサイモンが知らせたニューヨーク市警が到着し、皮肉にも彼の遺体の写真を撮っている。彼の遺体はまだ動かされておらず、 その周りにはいくつもの花が散り散りに落ちている。
I heard there was a secret chord
That David played and it pleased the Lord,
But you don't really care for music do you
It goes like this the fourth the fifth,
The minor fall and the major lift
The baffled king composing hallelujah
Halleluja, Halleluja,
Halleluja, Halleluja
Your faith was strong but you needed proof
You saw her bathing on the roof
Her beauty and the moonlight overthrew you
She tied you to a kitchen chair
She broke your throne, and she cut your hair
And from your lips she drew the Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah,
Hallelujah, Hallelujah
人ごみ、イルミネーションの光、そして混沌の中を目に涙を潤ませながらタイムズスクエアを歩くCJは途中、嬉しそうに連れと歓談している通行人 と肩をぶつけてよろめく。
しばらく歩いてから立ち止まるとベンチに腰を掛け、犯行現場の方向に少し目をやったかと思うと今まで我慢して いた思いが急に溢れてきたのかその場で思いっきりむせび泣く。一旦泣き止んだかと思えばまた再び顔に手を当てて涙を流し、やがて泣きながら上 を向くCJ。
サイモンの横に落ちている花は赤と白の薔薇でそれは彼がCJのために買おうとしていた物だった。
犯行現場にやって来たロンはプロの表情を崩さずにサイモンの遺体の前に膝をつき、彼の様子を目にする。
ジョシュは彼の手腕で失業に追い込まれたエイミーのアパートにやって来て彼女を訪ねる。彼女は月曜に辞任する事を決めていると言う。理由は彼 女の持っていた政策プランがものの1時間で正反対にされて扱われたからだ。そう言いながらエイミーは冷蔵庫の扉を開け、中から氷を取り出す。

エイミー:リッチーとの会談をセッティングしたのも票を稼ぐためだったの?

ジョシュ:僕はデートサービスじゃないよ。

エイミー:(扉を強く閉め大声で)じゃいったいどういう事なのよ!?
Baby I've been here before
I see this room I've walked this floor
I used to live alone before I knew you
I've seen your flag on the marble arch
But love is not a victory march
It's a cold and it's a broken Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah,
Hallelujah, Hallelujah
There was a time you let me know
Whats really going on below
But now you never show it to me do you?
I remember when I moved in you
And the holy dove was moving too
And every breath we drew was Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah,
Hallelujah, Hallelujah
ジョシュ:まともな民主党員は団結して大統領の側につく、僕だって遊びじゃないんだ!

エイミー:まともな民主党員は人を導くのが仕事で、従うことじゃないわ!


何度負けても政府に抵抗すると言い切るエイミーに対して、そこが君の怖いところだよ、とジョシュ。リビングの電話が鳴り、それを取 りに行く前に、ありきたりな価値観の強さをシンボルとして打ち出すために貧しい女性に罰を与えようとするあなたをお祝いするわ、と皮肉たっぷ りに言うエイミー。ジョシュは、リッチーが大統領になる事の方が事態が悪くなる事を考えてもいいんじゃ ないか、と言うが、電話の内容を聞いたエイミーは驚いてジョシュに告げる「サイモン・ドノバンが撃たれて亡くなったそうよ」。ジョシュも話すの を止めて電話を取る。

最初の幕間が訪れ、レオはやや暗い廊下を歩きながら隅のほうにいるバートレットの方まで歩いていき、静かに話を始める。民間人に死傷者を出す 事に乗り気ではないバートレットにシャリーフは民間人ではない事は司法長官も認めている事だとして彼を諭そうとするレオ。だがシャリーフを 暗殺すればバレるだろう。たとえ飛行機事故のように見せかけたとしても必ずバレてしまう、そうなればクマーと戦争しながら選挙でも戦わなく てはならなくなってしまう。だからバートレットはシャリーフを裁判にかけたいと言うがそれが出来ないことはレオに言われるまでもなく分かって いる。レオは再び娘のマロリーが水槽に入ったロブスターの名前を挙げるという話をしてシャリーフの犠牲になった人たちのリストを目の前に持って 来た方がいいかどうか尋ねる。そしてレオは修道僧の言葉を引用する「正しいかどうかは分からない、主よ、だが私はただあなたを喜ばせたいだけ だ」。

レオ:もう時間がありません、大統領。

バートレット:これは宗教とは関係ない。

レオ:はい。

バートレット:世界には確かに悪は存在する。

レオ:なら何故そこまで反対なさるんですか?

バートレット:これで我々が他の普通の国々と同じ仲間だと胸を張って言えるのか?

レオ:それが理由ですか?それで明日から国家に対する忠誠を誓えなくなるという事にはならないと思いますが。

バートレット:それが理由じゃない。

レオ:大統領・・・

バートレット:間違っているからだ。絶対に。

レオ:分かっています、でもあなたはやらなくてはいけないんです。

バートレット:何故だ?

レオ:選挙に勝った(=大統領になった)からです


しばらく間を置いた後バートレットは少し歩き、レオの肩のところに来て言う「始末せよ」と。バートレットはそのまま廊下を歩いていき、一方の レオはその場で電話をかけ、大統領のゴーサインが出たことを伝える。

階段を下りてきたバートレットは後ろのバスルームで手を洗う影には気付かずにライターでタバコに火をつけ、その様子を目の前にやって来た女性 の従業員に見られてしまう。「見つかったか」と笑顔で言ったバートレットの後ろにはバスルームから出てきたフロリダ州知事のロバート・リッチ ーがやって来ていた。リッチーに声を掛けられ対面する二人。リッチーはヤンキースの試合を見てから芝居を見に来ようとしていたが渋滞に巻き込 まれて遅れてしまったと言う。バートレットは政治的側面から、知事に悪気はなかったのだろうが遅れてやって来たことで枢機卿を侮辱したように うつっただろうから後で謝ったほうがいいだろう、とアドバイスする。他の普通のアメリカ人たちと同じように野球の試合を見に行っていただけだ と説明するリッチーにバートレットが反論する。ヤンキースのセンターは名のあるクラシックギタリストであるし、野球を見る人だって本を読んだ りはするだろう、と。少し心象を悪くしたのかリッチーが個人的なことを言っているのかと尋ねて来るがバートレットは違うと言って1時間前に起 こった悲劇について語ろうと知事にも着席することを勧め、二人はテーブルを挟んだ形で座る。そして脅迫状が来ていた事を受けてCJに護衛官をつ け、その彼が素晴らしく、ロスリンで自身の警護にもあたっていたほどだったがその彼が今夜入った店で強盗に巻き込まれ、拘束した容疑者の一人 に撃たれて命を落とした、と明かす。リッチーは顔を沈ませ「あぁ・・・犯罪。少年よ、私には分からない」とだけ言う。

バートレット:討論会ではベストを尽くそう、ロブ。それが国民への義務だ。私が州知事に立候補したときは何も知らなかった。ダイニングルーム でバートレット大学を始めて、毎朝2時間そこで外国の情勢と軍事の事について学んだ。君もそうするといい。

リッチー:(笑う)手を変え品を変えて私をまたバカ呼ばわりですか?

バートレット:そうではないよ、ロブ。だが君は禅の精神を理解していないようでそのせいで面白くないんじゃないかと私は思っているんだ。私に 好かれていないと思う部分があるのならそれはそういう理由からだろう。

リッチー:あなたは私たちの間で言うところの「うぬぼれたクソッタレ」ですよ。あなたは学術的なエリート気取りでお高くとまってるんですよ。 あなたはハリウッド的で、何に対しても弱腰で、リベラルで、信用の置けない人物だ。私に好かれてないとあなたが次から次へと思うのならそれは 今挙げた理由の他にも山ほどありますよ。


そう言われたものの何も言わずにタバコを吹かしていたバートレットだが劇場から流れてきた演奏の音楽を聞く。

バートレット:(演奏を指して)私の好きな歌だ。

そう行って立ち上がり、階段を上ろうとするがその前に振り返って最後に言う。

バートレット:近い将来にもし「犯罪。少年よ、私には分からない」なんて口にしようものなら打ち負かしてやりますよ。

去り際にバートレットが言ったセリフに思わず笑みをこぼしてしまうリッチー知事。

そして淡い青い光のスポットライトで照らされた劇場の真ん中に少年が走ってきてPatriotic Songを歌 い始める。

England arise. Join in the chorus. (イギリス全土を挙げて、共に歌おう)
This is a new made song, 
(新しく作られたばかりの歌を)
You should be... singing. 
(一緒に)
See in the skies, fluttering before us, 
(空を見上げれば、後をついて来る者がいる)
What the bright bird of peace is bringing. 
(鮮やかなる平和の鳥がさえずっている)
Ah...

他の俳優たちもステージの少年に加わりコーラスとなる。

See upon a smiling land. (笑顔の絶えない土地を見下ろせば)
Where the wealth of nations stand. 
(そこには豊かな国が築かれ)

バミューダに上陸したシャリーフの暗殺部隊の人員がそれぞれ配置につき、男が狙撃手に装填されたライフルを渡していく。

Where prosperity and industry, (繁栄と産業が)
Walk ever hand in hand. 
(手を取り合って歩いている)

シャリーフの乗る飛行機が着陸するや、狙撃手がその様子を夜間スコープで覗く。

Where so many blessings crowd. (祝福された民の住む国)
'Tis our duty to be proud. 
(誇りを持つことが我らの義務)

バルコニーで地位と気位の高そうな貴婦人の後ろで劇を鑑賞するバートレット。

Up and answer English yeoman, (イギリスの自由民よ、今こそ立ち上がり)
Sing it joyfully aloud! 
(この喜びを高らかに歌い上げよう)

シチュエーションルームで一人任務の報告の電話を待つフィッツウォレス、その後ろにはバミューダの地図が映し出されている。

Every garner filled with grain, (倉には穀物が溢れ)
Every meadow blessed with rain. 
(牧草地は雨で溢れ)

アブドゥル・シャリーフと二人のボディガードが飛行機を降りてきて恭しく辺りを見回す。そして狙撃手が狙いをつけて引き金を引き、シャリーフ と二人のボディガードを地面に倒し、その死を確認する。

Rich and fertile is the golden corn, (豊富で肥沃な黄金色のとうもろこしは)
That bears and bears again. 
(何度も何度も実を結ぶ)

部隊の一人が、バートレットがシャリーフに手渡した盗聴器付きのペンを回収し、携帯電話でフィッツウォレスに報告する。

Where so many blessings crowd. (祝福された民の住む国)
'Tis our duty to be proud. 
(誇りを持つことが我らの義務)

そしてレオもほぼ同時刻にその報告を受ける。

Up and answer English yeoman, (イギリスの自由民よ、今こそ立ち上がり)
Sing it joyfully aloud! 
(この喜びを高らかに歌い上げよう)

コーラスを見ていたバートレットはステージから目を逸らし、立ち上がる。

Upon our country, (我らが国に)
God will pour his rich increase, 
(神は栄華を授ける)

ステージでは数人の俳優たちによって旗が振られている。
立ち上がったバートレットはカーテンの裏の影になるところでレオから報告を受け、報告を終えたレオは即座にその場を去る。

And victorious in war (そして戦争の勝利は)
Shall be made glorious in peace. 
(輝かしい平和をもたらす)
And victorious in war 
(そして戦争の勝利は)
Shall be made glorious in peace. 
(輝かしい平和をもたらす)
Glorious in peace. (輝かしい平和を)
Glorious in peace. 
(輝かしい平和を)
Glorious in peace. 
(輝かしい平和を)
Glorious...  
(輝かしい)

ステージでは俳優が全員中央にに集まって歌を続け、旗を振り続けている。

...in peace. (平和を)

カーテンの裏にいたバートレットは歌が終わるのと同じぐらいのタイミングでカーテンの表に歩み出る。
カーテンには彼の顔が影となって現れ、俳優たちがPatriotic Songを歌い終える。

-END-
Starring
Main Cast
Rob Lowe as Sam Seaborn
Dule Hill as Charlie Young
Allison Janney as C.J. Cregg
Janel Moloney as Donna Moss
Richard Schiff as Toby Ziegler
John Spencer as Leo McGarry
Bradley Whitford as Josh Lyman
And
Martin Sheen as Jed Bartlet

Sub Cast
John Amos as Percy Fitzwallace
Michael O'Neill as Ron Butterfield
Adam Arkin as Stanley Keyworth
Mary-Louise Parker as Amy Gardner
Mark Harmon as Simon Donovan
Lily Tomlin as Debbie Fiderer
James Brolin as Robert Ritchie
Al No'mani as Abdul Shareef
David Huddleston as Max Lobell
Andrew McFarlane as Anthony Marcus
Glenn Morshower as Mike Chysler
Thomas Kopache as Bob Slatterly
Glenn Kubota as Grocer
Al Faris as Translator
Charles Noland as Steve
Mindy Seeger as Chris
Timothy Davis-Reed as Mark
Kris Narmont as Katie
Randolph Brooks as Arthur Leeds
Renee Estevez as Nancy
Melissa Fitzjerald as Carol
NiCole Robinson as Margaret

Chorus
Joshua Wolf Coleman
Charles Currier
Russell Edge
Joshua Fardon
Richard Gould
Rob Nagle
Kevin Owers
Graham Shiels
Richard Soto



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