SPECIAL EPISODE 01 | : |
E P I S O D E # 45
NO ON AIR SCHEDULE on NHK |
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-STORY- ホワイトハウスで突然「CRASH」という不測の事態が起こり、スタッフとそこにやって来た、全国から集められた優秀な学生たちが閉じ込められる ことになる。彼ら学生たちと会う予定だったジョシュは彼らからの質問を受けていくうちに、この事態を機に彼らに過激派のテロリストや何故アメ リカ人が彼らに狙われるのかという事について教えようと思い至る。 一方レオは空港の爆破未遂で逮捕した男が明かした共犯者の名前が、あるアラブ系アメリカ人のホワイトハウス職員と同一だったことから直接彼に 尋問を始める。 時間を重ねるうちにジョシュの講義にトビー、サム、CJ、チャーリー、大統領、アビーがそれぞれ参加するようになる。 |
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ツインタワー基金 | 災害援助基金 |
中央郵便局 | アメリカ赤十字社 |
私書箱 26999 | 私書箱 37243 |
ニューヨーク、ニューヨーク 10087-6999 | ワシントン D.C. 20013 |
1-877-870-4278 | 1-800-HELP-NOW |
"CRASH" ACCIDENT (「クラッシュ」という事態) |
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ドナが学生たちを廊下を通って食堂へと導いている。学生たちをそれぞれ席に着いてもらうようドナが言っていると遅れてジョシュが到着し、レオ のオフィスに電話して何が起こったのかを尋ね、さらに重要な事、つまりこの事態がいつまで続くのかを聞いてくるよう言われる。その代わり怯え ている学生たちを慰めてあげるのもジョシュの仕事になるわけだ。やってはみるけどね、と安請け合いのジョシュ。二人が遅れてやって来た残りの 学生を全員食堂に案内するとジョシュが学生たちの前に出て今分かっている事態を説明する。これはいわゆる「Crash」と呼ばれ る事態で、警備に問題があった時などに発動され、そうなると誰もホワイトハウスの内外に出入りできなくなる。そう言ってまだレオの オフィスに連絡してないドナ にそれを促すジョシュ。すると彼女は部屋の隅にある受話器を取って電話をかけ、ジョシュも学生たちに話を続ける。こうした措置は最高権力を 持つ合衆国大統領と連邦政府の持つ三大権力機関の中でも一番権力をもっているとされる行政機関の置かれているホワイトハウスには必要なのだ。 ジョシュが前に出たり下がったりをくり返しながら説明を続けようとすると一人の生徒が手を挙げる。ビリー・フェルナンデスと言う名のその学生 は、憲法の立案者たちは行政機関こそが三つの機関の中で一番弱いという事を言っていたのではないのか、というのも我々は一箇所に権力を集中 させる王政主義とはたもとを分かったのだから、それなのに何故司法と人民の機関が一番権力を持っているという事にならないのか?話を中断され たジョシュは 少し威嚇しながら、顔を引きつらせてビリーの前まで行くと「生兵法は怪我の元だ、いつまで僕らがここにいる事になるのかは分からないが君は 僕のリストに載ったぞ、フレッド」と言って彼の質問に答える。確かに厳密な意味では司法機関が一番権力を持っている、だがリムジンの列を作って 他の車を下がらせる力には敵わないさ、とジョシュ。君たちは既に政府の機関はおろかどのようにして法案から法が制定されるのかも知っている よね、とやや嫌味に聞こうとするジョシュ。国の将来を担うとされるさすがの学生たちもそれは分からずにたじろいでいるのを見てジョシュは 今起こっている「Crash」という事態が1週間に1度はあることを知らせて安堵させようとするが突然ある女子生徒が甲高い声で言う。「誰もが あなたを殺そうとしている事を何とも思わないのですか?」と。「誰もが」じゃないしターゲットは君にだってなり得るよ、とジョシュ。 |
DUTY(義務感) |
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ここでビリーの後ろの男子生徒がジョシュに質問する:ホワイトハウスに仕事をしに来るのは怖くないんですか ?いや、僕らは傍観者だからね、とジョシュ。僕らは通常の任務で自分の身を危険にさらしているシークレットサービスや軍隊のような人間の周り で働いているだけだ。彼らは銃に対する千にも及ぶ訓練をこなしている、それは大統領に突進してかばったり、車のドアを開けたり、防衛線を 張ったり、時には銃弾の前に立つことも仕事のうちに入る。もっとも好き好んで銃弾の前に立つわけではないが僕はそういった人を見てきた。 それでも仕事を辞めようとは思わないんですか、と先ほどの女子生徒が尋ねる。そこでジョシュは少しためらう様子を見せながらも自分がここに いるのは母親がそうして欲しかったんだと話す。僕の家族はそうなる前に死んでしまうからね、とジョシュ。彼がロスリンで撃たれたか、あるいは そこで何かがあった事は学生たちも知っていると思うが、その時個人的にジョシュの母が彼に会いに来た。その時母親にこう言ったと言 う「僕の政府の給料は多いとは言えないけど銃弾の前に立ちはだかる仕事に就いている人たちよりかは多くもらっている。それなのに どうして辞めるなんて事が言えるんだい?」。それでジョシュの母親は彼に、いつも車のトランクに入れておくようにと強力な懐中電灯、 5ガロン(およそ19リットル) の水、トランジスタラジオ、そしてファーストエイドをつめた箱を与えるのだがさらに彼女はジョシュの父親がジョシュのためにジョー・ペピトン (1964年のワールドシリーズでグランドスラムを放った強豪ヤンキースの選手)からもらったバースデーサインの入った帽子まで入れたほうがいい のでは、と言ったのだそうだ。というのもジョシュが7年生の時にはいつも学校にそれを着用して行ったのだと言う。そこまで話した所でジョシュは 思いつめたような顔をするが、辺りを見回して元気を出してもう一度話を始める。結局ジョシュはその帽子を送るよう母親に言ったと告白する。 そして少し笑い今度は、誰が敵でこれからどうなっていくのかは分からないが近いうちに大勝利を収める事になるだろう。今現在から数えて6人の 大統領を自分のオフィスやワイリー・コヨーテの世界、そして地図で一緒にいることになるだろう、と。 |
TARGETING AMERICANS WHY (アメリカ人が狙われる理由) |
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だが学生たちが先ほどの話に話を戻し、この
ホワイトハウスで誰に殺される可能性があるのかについての会話が飛び交う。ある学生はアラブ人、ある別の学生はイスラム人だと言うがジョシュ
がこれを否定して今それを言った学生たちが本当に高校3,4年生である事をドナに確認し、君らが受験しようとしてい
るSAT(Scholastic Assessment Test=アメリカの大学進学の全国共通試験)に敬意を表して、と言って学生たちにクイズを出題する。
「イスラム教の教えを身に付けたイスラム過激派はキリスト教の教えを身に付けた〜〜〜である」これは誰の事か?学生の
一人はキリスト教原理主義者、別の学生はキリスト宗派の一つであるエホバの証人(Jehovah's Witnesses)と答えるがジョシュがそんなキリスト
教右派嫌いとも取れる学生たちをたしなめるように諭すと改めてもう一度尋ねる「イスラム教の教えを受けたイスラム過激派はキリスト教
の教えを受けた???である」
。だが学生たちから返事が来ない事を悟ったジョシュはホワイトボードの質問の空白欄に「KKK」と書いて丸で囲む。
答えは「クー・クラックス・クラン」で、中世
の雰囲気を醸し出している彼らは全世界中に広がっていった。世界中に数億人はいるとされているイスラム教の教えに従順な男女より
かはその数が少ないだろうが。
ともかくこのイスラム教徒は陸軍、海軍、空軍、海兵隊、州兵、警官、消防隊員となってこの国を守っている、ここでもう一度
学生たちからの質問を取り上げる。何故イスラム教過激派は今いる我々を殺そうとしているのか?何故戦争のターゲットになるのか?ジョシュは
これを今までで一番良い質問だと褒め、同じ学生である彼らにその理由を尋ねる。アメリカ人だから、自由の国だから、自由と民主の国だから、と
学生たちは次々に答えていく。ジョシュは、おそらく答えは違うだろうが学生たちがこうした明確な考えをしっかりもっている事はいい事だと言い
、ホワイトハウスが支援しているサウジアラビアの軍隊や認可を与えたイラク、サポートを続けているエジプトにいる人たちの言う事に毎日耳を傾
けていると言う。 ジョシュ:(学生たちに)ソ連出身のアーヴィング・バーリンが嫌いなのとはわけが違うんだ。 ドナ:そうかしら。 ジョシュ:違うんだって。 ドナ:アーヴィング・バーリンの事じゃないわよ、誰かが彼ら(イスラム教徒?)の胸に爆弾をくくりつける事が筋が通っているっていうあなたの 馬鹿げた調査が馬鹿げてるって事よ。 ジョシュ:今君は一つの文章で僕を2回「馬鹿」扱いしたぞ。 ドナ:大したことじゃないと思うけど。 ジョシュ:これで君も僕のリストに載ったぞ。 そんなリストに載ったからって何か起こるわけじゃないからね、と先ほど既にジョシュのリストに載せられた学生たちにそう伝えるドナ。さらに、 女子大生なのに要点は鋭いんだ、というジョシュに対して「リストに載せておきながら同時に弁解もさせるような人なのよ」とドナ。 |
WHAT'S ISLAM?(イスラム教とは?) |
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それこそ大したことじゃないと思うけどね、と言ってジョシュが長い話を始める。そもそもイスラム過激派とは何なのか?7世紀にイスラム教の始祖 であり予言者でもあるモハメドによって制定されたイスラム法の特定の解釈に酷く固執した人たち。ここで「酷く固執した」と言ったがこれは決して 冗談でも誇張でもない。教徒たちは祈ること、ある程度の長さのあごひげを生やすことを強いられる。その中でジョシュの好みに合うのはサッカーの 試合を応援することだけというほどのものだ。アラーの神は確かに偉大だ。もし教徒たちがコテンパンにやられても自業自得でしかないからだ。 学校に通うことや仕事に就くことを許されない女性たちには楽しみが無い。彼女らには一緒に歩くことや、時にはヴェールを着けていないという だけで公に石を投げられて殺されることすらある。だからといって禁止されてないサッカーの試合観戦で叫ぶ必要もない事も学生たちに分かって おいてもらいたいところだが。それで彼らは僕らアメリカ人の何が嫌なのか?それはジャイアンツスタジアムの安席でカウボーイごっこをしている 選手たちを一人で応援したりする事ですら彼らにとってはジハード(聖戦)を起こすだけの理由になり得るのだ。言うまでもなく、シナゴーグや モスクの隣の教会に列をなしていることや、言いたいことを何でも掲載する事のできる新聞社、女性が地球外へ宇宙船を飛ばしたり投票権を持った りサッカーを したりすることも含めてだ。これが複数の民族からなる複合社会だ。「我々は一つの考え方には固執しない(=他の考え方も受け入れ る)」、その考え方が彼らには気に入らないんだ。それはそうとドナが良い事を言っているからといって彼女の言う事に耳を傾け るんじゃないぞ、とジョシュ。 |
ANALOGY and PRAYING(推論と祈り) |
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そこで女子学生がトビーの髭を褒める。トビーはそれを、男子が髭を生やしたりカツラをつけたりカラーを着用したりする掟がある宗教なんかとは 何の関わりもないがね、と言ってジョシュがホワイトボードに書いた言葉に目をやって読む。「イスラムの教えを身につけるイスラム教過激派は キリスト教の教えを身に付けたKKKと同じだ」。確かにその通りだ、いい宗教的アナロジー(推論)だな、とトビーも同意する。それなら政治的 アナロジーとは何だ?政府を利用したアナロジーは?でも彼らに政府はありません、とある男子学生が言うと別の男子学生がアフガニスタンの タリバン政権がそうだ、と言い出す。トビーはタリバンがアフガニスタンでは公式に認知されていない政府で、アフガニスタン政権を乗っ取って おり、それが君たちの政治的アナロジーだ、と言う。つまりアフガニスタンの事を考える時にはポーランドの事も、タリバン政権の事を考える時には ナチスの事も、アフガニスタンの国民の事を考える時にはユダヤ人強制収容所の事をそれぞれ考えるだろう、それがアナロジー(推論)だ。私の 父の友人も収容所にいた、とトビーは話す。彼はちょくちょく家に寄っては父とトランプでピノクルをやっていたもんだ。彼は一度収容所でひざま ずき、祈っている男を見た、と言う。その時にその男に「何をしてるんだ?」と尋ねると男は神に感謝していたと言ったのだそうだ。そして 父の友人も言った「どうしてこんな状況で神に感謝できるんだ?」、男は言った「神が私を彼ら(自分たちを収容 しているナチス)とは違う人間に作ってくれたことに感謝してるんだ」と答える。悪人には見ることができない、見ようともしない からだ。そこは既に言いました、とジョシュ。だが繰り返す必要があるほど重要な問題であることも確かだ。 |
TERRORISM(テロ活動) |
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ずばり言うと12人から20人の若者がハシッシュ(大麻から作る 麻薬)を与えられてそれを・・・・・・実際に彼らがどう呼んでいるのかは知らないが、内縁の妻と一緒に特別な装飾を施した饗宴の庭にこっそり 運んでいた。そして彼らはそこをパラダイスで、主の天使たちは主のためならば敵対する人間の殺人もいとわない、と言った。サムはそれを「誘惑 、我は汝を名づける、 汝の名前は女なり」と言い、ジョシュが今度はそんなサムの紹介を始める。こちらはサム・シーボーン、広報部次長だ。サムがテロリズムの専門 知識に長けていると僕が言ったからといって怖がらないでくれ。この政府のいいところはそうしたテロリズムに関する幅広い専門知識を持った人間 がいるという事だ。それでサムが呼ばれたと言うわけだ。そのサムがいかにも専門的(?)な質問をする。アラビア語で作られた秘密指令が今日まで ずっと存在し続けて来て いるがそれが何なのかを知っているだろうか?学生の一人が「暗殺者」と言い、サムが「その通りだ」と言うがジョシュは「実際にそんな呼び方は しないけどね」と言って皆が笑う。ところでサムは財務省と会議の予定があり、トビーは6時に議会で会議の予定があったが今日の事件でキャンセル され、トビーが言うには今「いい服を着た、投票権の無いお子様」のお相手をしている。テロリストはいつも作戦に失敗するばかりか敵対 するグループ・国の戦力増強を成功させてばかりいる、とサムが指摘すると学生がIRA(Irish Republican Army=アイルランド共和国 軍)についても 同じ事が言えるかどうか尋ねてくる。サムはイギリス人もプロテスタントもまだ存在するし、バスク人の過激派は十年間スペインでのテロ攻撃を 計画しているが結果は出ていないし、ドイツのギャング集団Bader-Meinhoffからアメリカの過激派へと60年代から70年代にかけて移ってできた 左翼のテロリスト団体Red Brigadesは資本主義を覆そうとしたがその結果は今のときを見ればわかることだ、と言う。ではガンジーに影響を与え た非暴力抗議はどうですか、と学生が尋ねる。この抗議の仕方は公民権運動にも影響を及ぼしている。でも1773年のボストン茶会事件での我々 アメリカ人はテロリストじゃないですよね、と女子学生が不安そうに尋ねる。確かにあの事件では誰も傷つかなかった。傷ついたと言えばクラン ペット(マフィンに似たパン)も一緒に投げ込まなかったやんちゃ坊主だけだよ、とサムは言う。淡い赤のジャケットを着たイギリス人が道を歩い て来たところを我々が藪から飛び出して脅かしたからって戦争宣言が成される事は無い(茶会事件は独立戦争のきっかけを作ったという)。達筆な 卒業証書に「あなたの優秀な成績を見込んで、もしよろしければこの日にフィラデルフィアで戦争を起こして頂けませんでしょうか」なんて事に は絶対にね、とサム。だがここで女子学生に話を最初に戻すように言われる。テロの効果なんてものは殆ど無いに等しい、テロリストは 今でもテロ計画中だ、テロリストは失敗に挫けたりはしない・・・・・・。本当にそうなのか?毎日ピザを食べて過ごしているこの社会 に警告無く爆破が起こる事も全く無いと言えるのだろうか?「イスラエルだ」とサムは答える。 |
CIVIL LIBERTIES, SCHMIVIL SCHMIBERTIES (市民的自由) |
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食堂のメンバーにCJも加わって話が続いているが、CJがCIA(Central Intelligence Agency=中央情報局)に特別な感情を持っているというので
彼女にその質問はしないようジョシュらが言う。だがそのCJは勝手に「CIA:謗(そし)られた我らの小さな兄弟
」(The CIA, Our Maligned Little Brother)という歌を歌いだしてサムを呆れさせる。CJが歌う「我々にはスパイが必要だ、人間のスパイたち
が。フルシチョフ(冷戦時のソビエト首相)がキューバにミサイルを置いたかどうかを発見することもできるスパイ衛星は確かに素晴らしい。しか
しもしカイバル峠(パキスタン)でなされているトルココーヒーについての会話を知りたいのであれば君たちには人間のスパイが必要になる。君たち
は大学を卒業して自分の国に仕えるという偉大な仕事を成し遂げたいとは思わないのかい?それならまずアラビアや中国、現代ペルシャ語について
も学ぼう」。・・・「謗られた我らの小さな兄弟、市民的自由」というコーラスにするべきかもしれんな、とトビー。自由(Liberties)
、Schmiberties(※よくは分からないがLiberties(自由)という言葉に対して共和党がよく使う言葉らしい)とCJ。ここで改まってトビーがCJを
学生たちに紹介する。電話を使わないのならどういう説明をしたらいいのかしら、とトビーに尋ねるCJ。違法な捜査やプロファイリングについて話
したらどうだ、と言ったトビーはふとベンジャミン・フランクリンが言った言葉をCJに確認する。CJが覚えてる限りでは「おぃ、見ろよ!私はスト
ーブを開発したんだぞ!」。その言葉を学生のビリーが訂正する、それは「多少の身の安全を確保するためには自由ですらも犠牲にしな
くてはならない、自由と安全の両方を享受することは出来ない」という言葉だ。自分の言葉を訂正されたCJがビリーに名前を尋ねるが
、割って入ったことでビリーは少し物怖じしてしまったようだ。気を取り直してCJは、多少の身の安全について話すべきではないし、今ある危険の
大小を見極める必要があると言う。そこでトビーはテロリズムと戦う際の要点は何かと尋ねる。「自由を保証することよ、ポーキー。パンフレット
なんかいらないわ」とCJ。それに対して「そうだろうな」と言ったトビーは続けて尋ねる。 トビー:重大な危機や脅威にさらされている時、以前のアメリカなら脅威の度合いを測る絶対的な物差しがあったが、君はそれが彼らにどれほどの 影響を及ぼすか忘れてしまったんじゃないか?名前を挙げられるか? 女子学生1:「ブラックリスト」です。 トビー:(CJを指して)彼女に挙げてもらいたかったんだがね。 CJ:「ブラックリスト」よ。 トビー:それはどうも。 それはともかくとしてCJは話を始める。市民的自由について話す事は誰にとってもきわめて重要よ。私はいくつものディナーに行った事があるけど 自由については話題にしたことすらないし、誰かはマイノリティの意見を声高に叫んで愛国警察にリンチされていたわ。これが「Tobus」と言われて いることで見習わなきゃいけないところね。ボタンを押して電話をかけたり、悪意の薄い人たちとパートナーを組んだりしなければいけないの。 でもごめんなさい、テロリストたちは陸軍や海軍はおろか連邦だって持っていないわよね。この人たちはターゲットの所まで歩いていって撃つだけ だものね。えぇ、だからテロリストの根城を根絶させることも出来るんだけど第105装甲師団の手から逃れる連中もいるわ。その連中の何人かも サイレンサーを持ったボーイにやられるわ。結局のところCIAに金と人員を与えればいいのよ。彼らの手柄を聞くことは無いけど理由は分かるかしら ?ソビエト軍はエルベ川(北海に注ぐドイツの河川)を横断しないし、北朝鮮も北緯38度より北上することは無いわ。ミレニアムの間だって同じ ことよ、大事件じゃないし何も変わりないわ。そうした日を活動しやすい絶好の日だとテロリストが考えていると思う?それとも全く行動を起こさ ない日だと?これで歌は終わりよ。 |
BELONGING TO GROUP GIVE BIRTH TO(寄り固まって 生まれるもの) |
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そんな話をしているうちにまたも学生の一人が手を挙げる。テロリストはどこから来るんですか?どこからでも 、とサム。大抵は君らが想像しているところからだよ:つまり、みすぼらしいほどの貧困や絶望が渦巻いている場所からだ。恐ろしいことに貧困化 している地域はさらに犯罪を生み出すという悪循環に陥っている。ここにいるのもそれと同じ事なんだよ、とチャーリーが言うのを聞いて皆が後ろ へと振り返るり、チャーリーが話し始める。僕はDCの南東部に住んでいるけど、分かりにくかったらコンプトンやサウスセントラルLA、デトロイト 、サウスブロンクスのようなものだと思ってもらっていいよ。学校は崩壊しドラッグや銃や他には何がある?ギャングですか、と生徒の一人が 答え、チャーリーもそれに頷く。そう、ギャング(グループ)だ。ギャングはつるむことについての、時には稼ぎについての感覚を教えてくれる だろう。だがたいていの場合彼らが教えてくれるのは尊厳の感覚だ。人は人で、人は誇りを求めている、ということを。ここにいるみんなが 身に付けるバッジを持っているだろう。「私は広報部次長だ」、「私はPresidential Classroomを率いています」、「答えは知っています。私は コーネル大学志望です」。麻薬常用者(head bunger)が頭を下げながら回りまわって「何てことだ、俺は人生で何も成し遂げちゃいない。ギャング 生活に身をやつしている」と言う。さらに回りながら「くそっ!俺はギャングなんだ。奴らと一緒なんだ」。 |
MARTYR or HERO(殉教者か英雄か) |
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帰ろうとして出口に向かって足を運ばせていたバートレットだが男子学生から質問をされて足を止める。あなたはご自分を信念の人だとお考えです か?そうなろうとはしている、と答えるバートレット。それでは敵だと分かっている彼らが、殉教者となることについて堂々としたものを持って いるとお考えではないのでしょうか?少し間を置いて質問を熟慮するバートレット、そして口を開く。殉教者は信仰を捨てるよりも抑圧している 者たちの手によって苦しみ死ぬことの方を好む。自殺という行為は、無心の人たちにとっては、病気で、歪曲されていて、残酷で愚かな殺人だと 見られるだろう。私のものであるリンゴを探しに行く前に君たちにこれだけは言っておこう。我々には殉教者は必要ない、英雄が必要だ。英雄なら 国のために死んでくれるだろう、だが、生き続けてくれるほうがいいがね。それでは失礼するよ。そう言ってバートレットは去り、チャーリーと エージェント数人が彼の後をついていく。CJ、ジョシュはそれぞれありがとうございますと言って去っていくところを見守る。 |
ISAAC AND ISHMAEL(イサクとイシュマ エル) |
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ここに来て学生が尋ねる「全てはどこから始まったんですか?」。サラ・・・神はアブラハムに言ったわ「天を見渡して星を数え、汝の子孫をもう
けよ」と。でもアブラハムの妻のサラはもう若くなかったわ、それで神との約束を果たせなかったの・・・。私は子供をもうけた時とても若
かったわ。とてもとてもとてもとっっっても若かったの。一番上の娘のエリザベスを産んだときにもまだ生まれてなかったのかと思えるぐらいにね。
ジョシュと生徒たちが静かに笑う。アビーも自分の方を見て笑っているジョシュを見る。 とにかく、サラは老いが進んでいて子供をもうけられないことでナーバスになっていたの。それで彼女はアブラハムをメイドのハガルのベッドに あてがって二人の間にイシュマエル(Ishmael)をもうけさせたのよ。そして時間も経たな いうちに神はサラに対して交わしてきた約束を守ってアブラハムとサラの間にイサ ク(Isaac)が産まれたの。そしてサラはアブラハムに言ったの「この女奴隷(ハガル)を息子のイシュマエルと一緒に追放し て、そうすればこの女奴隷の息子が私の息子のイサクと跡取りのことでもめることもなくなるわ」。ここが始ま りなの:イサクの子孫がユダヤ人で、イシュマエルの息子がアラブ人。でもね、大勢の人に重要なことだと覚えておいてもらいたい 事は、最後には、二人の息子は一緒になって彼らの父親を弔った、という事なの。 そしてもう一つ覚えておいてもらいたいのはこの話の起こりはおよそ7300万年も前ということなんだよ、とジョシュが付け 加える。そうね、とアビー。 |
LAST LECTURE(最後の講義) |
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アビーが去るとジョシュは学生たちに安全になったことを告げるが、ここで学生から最後にもう一つだけ、と質問が来る。 学生:死刑には賛成ですか? ジョシュ:いいや。 学生:でもテロリストは殺すべきだとお思いなんじゃないのですか? ジョシュ:いざ戦争になれば陪審員室にいる時のようには選べないよ。だけど僕は・・・僕は・・・、僕ならそうならないように願うね。死とは 単純すぎるものだからね。 学生:代わりにどうなるんですか? ジョシュ:小さな独房に入れればいいんだよ。それで彼らが殺した独身の人たち全員の誕生日、洗礼式、結婚式のホームビデオをそれこそ毎日毎日 、死ぬまで見せ続ければいいんだ。それから寝床に着くときにはいつも口を殴られればいいんだ、毎晩毎晩違う人にね。それをするためのボラン ティアの人のリストを長々と作ってもいいぐらいだ、まぁ別にいいんだけどね。とにかく待って・・・でもね、僕らが守ってあげるから今はそんな ことは気にしなくていいんだよ。学校や門限を破ったときにする家族への言い訳の事を心配すればいい。これから君たちは様々な男や女と出会う んだ。・・・(ビリーに)悪くは無いだろ、フレッド。 学生たちが低い声でくすくす笑う。 ジョシュ:たくさん学んで、いろんな人と接して、新聞を読んで、映画館に行って、パーティーに足を運んで、本を読み、時には多元主義を思い 起こすんだ。君たちはこうした人たちを苦しめたいか?つまり、本当に彼らの住んでいるところまで行って殺したいのか、ということだよ。 一つの考え方には固執せずに多面的な部分から判断するんだ。視野を狭める事が狂人へと繋がるからね。 学生たちは全員熱心にジョシュの言う事に耳を傾けている。もう行くんだ、と優しく声をかけたジョシュは立ち上がって学生たちと握手し、彼らは 一列になって帰っていく。引率者のマージョリーと握手したジョシュは「ありがとう、楽しかったですよ。わき道へ逸れないようにしてください」 と声をかける。最後に残ったビリーを見たジョシュは他の学生たちが全員退出するのを待ってからビリーに声をかける。言う事は特に何も無いのだ が今頑張っている事を頑張ることだ、アドバイスする。そしてビリーもジャケットを持ってホワイトハウスの食堂を後にする。その様子をジョシュは ポケットに手を入れながら見守る。 |