The West Wing Season1 Commentaries
ザ・ホワイトハウス 第1シーズン音声解説

●Season1
1-01 Pilot(大統領と側近たち)
1-10 In Excelsis Deo(聖なる日)
1-14 Take This Sabbath Day(安息日)
1-15 Celestial Navigation(終わらない悪夢)
1-22 What Kind of Day Has It Been(凶弾)





1-01 Pilot(大統領と側近たち)
解説者:アーロン・ソーキン(脚本)、トーマス・シュラム(監督)
■レオの部屋で、彼の座る席の後ろにある「トースター」と呼ばれるモニターは大統領とその家族、副大統領が現在どこにいるのかを15分毎に 知らせてくれる。
■トビー役のリチャード・シフは礼儀正しく、一旦カットをかけると次の出番まで出て来ないほど自身のプライバシーを守る。
■反対にジョシュ役のブラッドリー・ウィットフォードは次の出番に備えてセットを歩き回る。
■ホワイトハウス周辺へロケに出かけた当初は普通に撮影を許可してくれただけだが、シーズンの終わりごろには夜でも500人ぐらいの人が見に来る 程だった。
■撮影当初、マンディ役のモイラ・ケリーの髪の長短についてスタジオや局側から議論が起こった。出演者の外見についての話し合いが起こるのは パイロット版ならでは。
■トーマス・シュラムが家族で大統領執務室に招かれた時、そこには常に人がドアからドアへと早足で歩いていて誰もが何かの重要な案件を持って いそうな雰囲気で、それを視聴者にも見てもらいたくてTWWの中にも取り入れたのだと言う。
■ドナ役のジャネル・モロニーは、アーロン・ソーキンがTWWの1年前に始めたコメディ「Sports Night」という番組で一度だけ彼女を使った縁で ジョシュの秘書役を演じさせた。彼女の演技は素晴らしく、ジョシュにアル・コールドウェルとの話し合いに臨むにあたってシャツを着替えるよう 言っていたその時のジョシュ&ドナの雰囲気が、後に彼らの関係を発展させる最初の瞬間になった。彼女は次も呼ばれ、結局は22エピソードの全て で登場し、第2シーズンからはレギュラー出演するほどまでに至る。
■サムの彼女ローリー役のリサ・エーデルスティンも「Sports Night」に出演していた。
■アーロン・ソーキンがキャストたちの名前を挙げるとき、第1シーズンでジャネルはレギュラーでは無かったにもかかわらず彼女の名前は挙がった のにモイラ・ケリーとチャーリー役のデュレ・ヒルの名前は挙がらなかった。2回目に至ってはモイラ・ケリーだけが名前を挙げられなかった。
■マーティン・シーンは当初全エピソードに登場する予定ではなかったが本人からまた演じたいとの希望があった。
■トーマスの親は移民で、アーロンが書いた最後の、バートレット大統領がキューバ人難民について語るくだりには特に感銘を受けたと言 う。

1-10 In Excelsis Deo(聖なる日)
解説者:アーロン・ソーキン(脚本)、トーマス・シュラム(製作総指揮)、アレックス・グレイブス(監督)
■最初のクリスマスツリーとトビー、サム、CJが一緒にいた場面は28回撮り直した。
■アーロン・ソーキンが一番好きなことはニューヨーク案内で、二番目はアリソン・ジャニーと初仕事をする監督の様子を見ること。
■記念碑は撮影禁止で、もやを撮っていたら本物の退役軍人が来た。その上記念碑でセリフを言うのも禁止事項、近づくことすら許されない。
■(1-01 Pilotの続き)リチャード・シフはこのエピソードの撮影でも孤独を好んでいたし、監督に対して質問も多く好印象だった。知的な印象 でよく気を使ってくれると言う。リチャードとトビーの共通点は知的で、仕事場では無愛想で、驚くほど繊細だというところ。 このような話もある。
 パイロット版で撮影も中盤に差し掛かってきた頃、撮影現場に現れたリチャードの指には結婚指輪がはめられていてそれを見たアーロンが尋ねた 。

アーロン:トビーは独身だと思うよ。
リチャード:私も同感だ。
アーロン:じゃ何故指輪を?
リチャード:さぁね。君が考えてくれ。

リチャードの切り返し方にトミーもアレックスも笑う。
(前妻アンディ・ワイアットの事でトビーが引きずっていたという設定にしたのだろうか?IMDBでは俳優のリチャード・シフに離婚歴は無い)
■憎悪犯罪(Hate Crime)を取り入れたのは執筆の数日前に実際に憎悪殺人が起こったからだとアーロンは言う。本来ならこのような最新の事件を 組み込んだりはしないが、あまりにも衝撃が大きくこれは例外だった。
この音声解説の収録は第4シーズン終了直後に行われている。
■葬式の参列者の中には、当初マーティン・シーンを入れる予定だったがやり過ぎということでランディハム夫人を参列させた。
■この回の脚本をジョン・スペンサーが読んだ時涙を流し、次に呼んだ人もまた涙を流したと言う。
■バートレットが古書店に稀少本を買いに行くという話はジョージ・ブッシュ(父)大統領のエピソードから取った。彼はクリスマスに友人や家族 のためにプレゼントを買って、その買い物リストも自分で作ったほど。シークレットサービスが黒い覆面大型車に大統領を乗せて他の車と一緒に 店に連れて行った。実際、プレゼントを買う大統領を狙う暗殺者はいないし、出かける直前に記者たちにも言わなかった。
■自分には軍隊式の葬儀を手配するだけの力があることを説明するところのリチャードの演技は素晴らしかったと言う。自分に力があることを誇示 する事を恥だと思っている部分の演技はとりわけ秀逸。
■小道具係のスティーブ・ブランチは、CJに送られた金魚鉢の底に、今回はクリスマスエピソードにちなんでクリスマスツリーをつけ、その他の回 にはその回ごとに話の内容に合わせた飾り付けを施している。緊迫した南アジアの話では焼けた避難所を飾り付けた、という風に。ちなみにこの金魚 鉢は小道具係や美術係が4年間世話をし続けてきた。スミソニアン博物館に展示されたこともあると言う。
■レオ役のジョン・スペンサーと共に仕事をすることは素晴らしく、リハーサルが始まると全てを彼に任せ、まるでニューヨークで舞台劇を見て いるような気分に陥ることもある。ジョンは細かい仕草を気にこだわる。例えば彼は大統領の前では決してスーツを開かない。執務室に行くまでに ボタンを留めているからだ。
■ラストのアーリントン墓地での撮影は制限時間が決められていた。また、正確さにこだわるがゆえにアレックスはアーリントン墓地の葬式管理者 に内容を聞いてリストを作る。
■葬式管理者は放送終了後に国防長官からその仕事ぶりを称えられた。これは製作サイドが前もって国防省に話をしていたからだと言う。
■このエピソードでアーロンが一番心配していたのは銃声にひるむトビーが滑稽に見えないかどうかという点だ。
■最後に解説者たちは自分たちの名前を紹介して終わる。

Thomas Schlamme: I'm Tommy Schlammy.

Aaron Sorkin: Ha, Ha, I'm Aaron Sorkin.

Alex Graves: I'm Alex someone Graves, thank you.

(何か面白いよ最後の人)

1-14 Take This Sabbath Day(安息日)
解説者:アーロン・ソーキン(脚本)、トーマス・シュラム(監督)
■上告が棄却されて法廷から出てきた、サムの友人の弁護士ボビー役のノア・エメリックの右にいる眼鏡をかけた人物は実際の弁護士で、死刑を 減刑するために60件も最高裁で戦ってきた。
■第1シーズンの頃はセットが二つあった。
■アーロンはジョーイ・ルーカス役のマーリー・マトリンとこのエピソードの脚本を書く2ヶ月も前に初対面した。このドラマのファンとして彼女の 方から訪ねてきたのだ。
■メインタイトル明けの、サムとボビーの会話シーンの場面は自然史博物館で撮影されたため、トーマスは恐竜を画面に入れないように するのが仕事の一つだった。
■安息日には死刑が行われない、という話をアーロンがもってきたのは映画「明日に向かって撃て」('69)の脚本を書いたウィリアム・ゴールド マンが映画の中の逃亡者役の一人に泳げないという予想外の展開を挟んだ事からヒントを得たと言う。
■ジョーイと会う前にベロベロに酔っ払って寝ぼけていたジョシュ。それになりきるためブラッドリー・ウィットフォードは体中に酒を浴びせた。
■エアフォースワンの映像は747機を先に撮って、後から登場人物の映像を足した。
■ラビを登場させたこのエピソードにおいてアーロンは、彼の実際のラビであるスティーヴン・リダーとユダヤ教と死刑について話をし、ラビの 書いた説教を呼んで参考にした他大勢の聖職者たちからも話を聞いた。
■実際に聾唖(耳が不自由)であるマーリー・マトリンは相手の唇を読む事ができる。彼女をあまり知らなかった当初は関係者らも妙な手話で表現 したり声を大きくしたりして話し掛けていたがそれを必要としないほど彼女の読唇術は優れていた。
■デュレ・ヒルはレギュラーの中でも最年少だが芸歴は一番長いらしい。(笑ってたのでジョークかもしれない)
■このエピソード中、アリソン・ジャニーは風邪と高熱で体調を崩していたばかりでなく、死刑問題を真剣に見つめ過ぎて取り組んでいたために 涙が止まらなかったこともあると言う。
■ラビが教会で歌わせていた女性役のエレン・シュガーマンの姉キャロリン・ストラウスとは「Sports Night」で組んだ事がある。このエレン・ シュガーマンもウィルシャー・ブルバード寺院の専属独唱者である。
■ブラッドリー・ウィットフォードは演じる時、誰かが傍にいる事が望ましいと思っている。
■アリソン・ジャニーは、演じている時に話し掛けても役になりきっているために無視されることもあると言う。
■劇中のCJに死刑の様子を具体的に語らせたのは視聴者にも死刑制度を身近に感じて欲しかったからだと言う。
■キャバナー神父役のカール・マルデンは撮影当時84歳という高齢だった。さらに、シーンの最後で彼が取り出した聖書は彼が出演したおよそ50年 前の映画「波止場」('54)で使用した物だった。
■舞台出身でTV界の大物だったカールが撮影5分前に待機していてシーンの把握も完璧だった事には解説者の二人も驚きを隠せない。
■「神に祈ったが通じなかった」とバートレットが言った後、「頭に来ました。本気で」というセリフをアーロンは入れていた。だが監督のトーマ スが「頭に来ました」と「本気で」の間に死刑執行が行われる夜の0時を時計が指していた場面を挿入して、それが演出を高める事に成功 した事にアーロンは非常に強い感銘を受けたと言う。

1-15 Celestial Navigation(終わらない悪夢)
解説者:アーロン・ソーキン(脚本)、トーマス・シュラム(製作総指揮)、クリストファー・ミシアノ(監督)
■CJの歯痛のエピソードのためにアーロンは監督のクリストファーに綿ボールを用意させていたが、演じるアリソンは割りとそれを気に入っていた 。
■このエピソードの撮影日はブラッドリーが病気で体調を崩していたし、監督のクリストファーも百日咳、さらには俳優の33番の人まで気分が悪 かったのだと言う。
■ジョシュとの対談のデビッド・ネスラー役で登場したロバート・デビッド・ホールは足が不自由で義足をつけているが、ある時彼が聴衆席で、 外した義足を使って頬杖をついているところを目撃したが笑っていいものかどうか会場全体が固まっていると結局は大爆笑になった。

アーロン:このドラマのファンが好きな話を10本挙げるとすれば、私が思うに、クリス(クリストファー・ミシアノ)の監督作ばかりだろう 。
クリストファー:(笑う)それはご親切に。
トーマス:(←同じ監督)異議あり。
クリストファー:やっぱりきたな。(笑う)
トーマス:冗談だよ。(笑う)
アーロン:もちろん半分はトミー(トーマス・シュラム、俳優たちからもその名で親しまれている)の監督作品だよ。でももし10本を選んだら ・・・
トーマス:じゃ僕のは4本ということで。
アーロン:アレックス(アレックス・グレイブ、この人も監督)が怒るぞ。

■この回は他のどのエピソードよりもコメディ色が強かったので監督のクリスは少し自信が無かったと言う。
■シーズン1の頃のセットは、ドアは見かけだけの事が多く、その先はクローゼット並みの部屋しかなかったり、または別のスタジオの撮影に使われ ていたりしたこともあった。
■1-03 A Proportional Responseでサムとコールガールの関係を掴んだ記者ダニー役をティモシー・バズフィールドに一度やらせてCJと会話させ 、そのシーンが良かったから彼をまた使うことになった。
■3-06 Gone Quietで登場する国務次官アルビー・ダンカン役のハル・ホルブルックも元は、マーティン・シーンと並んでこのドラマの大統領候補 の一人だった。
■クリストファーはTWWの製作総指揮の一人ジョン・ウェルズとは最初「ER」で出会い、それからアーロン、トーマスたちと出会うがこの時に 1-06 Mr. Willis of Ohioの台本を渡される。最初はこの1-06のエピソード1本のみの契約だったが脚本を読んで興奮した彼はもっとやらせてほし いと電話で頼み、このエピソードを含め第2シーズン以降の監督も任されるようになったと言う。
■CJが歯痛だった設定が関係者内でバカ受けして口に綿を詰める遊びが一時期流行るようになった。
■アーロンはブラッドとティモシー・バズフィールドが「ナーズの復讐U」('87)と「ア・フュー・グッド・メン」('92)で共演していると 言っている。だがIMDBでは前者だけしか確認できず、後者は二人とも出演すらしていない。ただティモシー・バズフィールドがアーロンの製作する 、映画ではなくブロードウェーの方の「ア・フュー・グッド・メン」に出演した事がある、とオフィシャルガイドブックにあるのでひょっとすると その舞台劇の方にブラッドも出演していたのかもしれない。
■クリスのTWW監督への本格的な参加について当時彼が監督を兼任していたER側とも話をしたと言う。
■ジョン・ウェルズは、TWWを監督するのは相当難しく、失敗すればどん底に落ちてしまうとまで言っていた。
■クリスがアーロンのオフィスを訪ねた時、アーロンに「君は笑いが分かるか?」「脚本が笑えるか?」と問われた。
■第2シーズンになってからアレックス・グレイブスとクリストファー・ミシアノの二人を本格的に社員(監督)として雇うことになった。
■クリントン政権で大統領秘書を務めていたクリス・エングスコフが一番辛かったのはろくに寝ていない大統領を起こす時だと言う。
■ファーストレディのアビー役のストッカード・チャニングとは第1シーズン時に1エピソードの契約しかしていなかった。
■大統領執務室で大統領が座る椅子の後ろの窓の向こうの背景は実物ではなくスライドに光を当てたものだ。
■ドラマ用の写真が欲しいからとホワイトハウスに尋ねても普通は許可が下りないので合成することも多い。2-10 Noёlでジョシュとドナが門を 通る所も合成で通したのだと言う。
■クリントン政権時の首席補佐官ジョン・ポデスタはこのドラマが好きな寛大な人で特別許可をくれる事が多かった。中には正面から裏側の門まで 撮らせてくれたこともあったと言う。これのおかげで2-10 Noёlでも素晴らしい効果が得られた。

1-22 What Kind of Day Has It Been(凶弾)
解説者:アーロン・ソーキン(脚本)、トーマス・シュラム(監督)
■このエピソードの原題「What Kind of Day Has It Been」は「Sports Night」の第1シーズン最終回でも使われている。これまでの出来事を 一区切りさせる意味がある、とアーロンは言う。
■冒頭でバートレットが臨んでいるタウンミーティングはバージニア州のロスリンという設定だが実際にはロサンゼルスの音楽学校で撮影している 。
■タウンミーティングの外でバートレットが出てくるのを待っている聴衆の後ろにあるのはベルリンの壁と地下鉄の部品であると言う。
■銃撃事件の撮影は夜通しで行われ、聴衆200人にドーナツを配った。
■このエピソードの脚本執筆時や撮影時になってもまだアーロンは銃撃事件で誰が撃たれるのかを決めていなかった。
■長い間照明の下に俳優たちを立たせる事は出来なかったのでスタントを使ったこともある。
■TWWにはお馴染みの歩きながらの長台詞、マーティン・シーンだけにはあまり使われていないのは彼が慣れていないから。反対に舞台劇で経験を 積んだジョン・スペンサーなど他の俳優たちには割りと多い。
■シーズン2プレミアでナンシー・マクナリーがビンラディンの居所については分からない、という話に言及し、何故彼が我々(アメリカ人)を 攻撃するのかと問い掛ける。
(これは、イラクに墜落した米兵を捕えた者には政府から賞金が出るという話を受けて驚いた解説者二人が話すものだが、自分には二人がビン ラディンに言及した事の方が驚きだった)
■アーロンたちから見て第1シーズンと第4シーズンを比べて男社会の中で生きるCJはかなり変わったと言うが同時に、演じるアリソン・ジャニー 自身もシーズン1当初は疎外感を感じていたらしい。
■タウンミーティングの事前準備時にマイクを手にしていたマーティン・シーン、本気で歌うつもりだったらしい。
■バートレット演じるマーティン・シーンは撮影中冗談ばかり言っていて楽しくしている。
■サムの秘書キャシー役のスージー・ナカムラはこのエピソードを最後によその番組へと移った。
■フィッツウォレス役のジョン・エイモスはかつてカンザスシティ・チーフスなどに所属していたプロのアメフト選手で、チームワークを尊ぶ人 だと言う。
■ランディハム夫人役のキャスリン・ジュースティンは単なる年寄り役で出演することを拒否した。



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